46 な人々の活動をとらえたデータと解釈できる。様々な人々の活動には、通勤通学、夜の飲食などの中心市街地に来訪した人の活動や、中心市街地及び周辺に居住する人の活動も含まれる。 WPSは、歩行者通行量の自動観測機周辺や、中心市街地内の施設に設置しており、歩行者通行量と同様に様々な人々の活動を捉えたデータと解釈できる。加えて、WPSは歩行者だけでなく、自動車でWPS設置場所付近を通過する端末も捉えている。 モバイル空間統計(分布統計)は、中心市街地の中でも特に商業業務施設が集積する地区に重なる4つの500mメッシュを対象に滞留人口を集計したものである。中心市街地の滞留人口を面的に捉えることができる。一方、前述のように外出しない人口も含まれる。研究対象地域である豊田市中心市街地のような地方都市の中心部は、大都市と比べて繁華街の範囲が狭く、夜間人口も多いと考えられる。特に地方都市を対象に本データを用いて分析をする際は、こうした点に配慮することが求められる。 それぞれのデータが捉える量の違いも考慮することが求められる。駐車場利用実態は入庫台数であるが、1度入庫した車両はしばらくの間駐車され、すぐに出庫することは多くないだろう。そのため1台の車が1時間のうちに複数回カウントされることも多くないだろう。 歩行者通行量は、計測器付近を通過する人をカウントする。同一人物であっても、通過した回数分カウントする。また、中心市街地に滞在せずに通過するだけの人も滞在し続ける人も、いずれも1人とカウントする。 WPSデータは様々な集計の仕方が可能であるが、本研究ではセンサーが検知したユニーク端末数を1時間毎に集計している。歩行者通行量との違いは、複数時間滞在しセンサーに検知されれば各時間に1人とカウントされる。 モバイル空間統計(分布統計)は、その他のデータと異なり、滞在時間を加味した量をとらえている。1時間のうちに1人が60分滞在すると1人とカウントし、1人が30分滞在すると0.5人とカウントする。 これらの違いは、豊田市のように中心市街地にある駅を利用して中心市街地の外側と行き来する人が多い都市では考慮が求められる。つまり、例えば通勤や通学のために駅周辺を多くの人が行き来するが、それらの大部分は通過するだけで滞留する人は多くない。歩行者通行量は通過する人ひとり一人をカウントするが、モバイル空間統計では滞留した時間を加味した量としてカウントされる。今回の分析結果では、モバイル空間統計のデータが受けている影響が大きくない結果となったが、ここで整理したデータが捉える量が異なっていることも関係している。 (3)時系列分析の結果 時系列分析では、季節変動の影響を除くため、介入前後期間のデータを1年前の同期間(同曜日)で階差を取った値を用いる。
元のページ ../index.html#52