45 「緊急事態宣言2回目」は、1回目の宣言時の傾向と異なり、時間帯によって変化の大きさが異なる。以降では時間帯(活動)別の影響について確認する。 2)時間帯(活動)別の影響 通勤通学の移動を多く含むと想定する7時台は、学校休校やテレワーク浸透の影響を受けやすい時間帯である。「学校休校」による減少割合が「厚労省呼びかけ」や「基本的対処方針」と比べて大きい。通学目的の移動がなくなった影響を反映している可能性がある。「県全域時短営業要請」は減少する一方、「緊急事態宣言2回目」は増加する傾向がみられる。2019年前後比も同様の傾向を示していることから、介入だけでなく年末年始の影響を受けていると言える。 日中の活動(例えば昼食や業務、買い物等)を多く含むと想定する12時台は、「緊急事態宣言1回目」と「宣言解除」までの介入の影響は、他の時間帯と同様である。しかし、その後の変化の幅は比較的小さい。その後の介入が日中の活動に及ぼす影響は限定的であることがわかる。1回目の緊急事態宣言が解除された後、日中の活動が受ける影響が小さくなった理由は、不要不急の外出に対する考え方が変化している可能性がある。 帰宅の移動を多く含むと想定する18時台と、夜の飲食や帰宅を多く含むと想定する20時台は、時間帯が近いこともあり、介入による影響は類似の傾向となっている。これらの時間帯は、他の時間帯と比べて影響が大きい傾向にある。これは、テレワーク浸透や不要不急の外出自粛、飲食業に対する営業自粛の影響が多重に表れているものと考えられる。 これらの時間帯の「厚労省呼びかけ」や「学校休校」では、2019年前後比は増える傾向にあるが、2020年前後比では減少傾向にある。この頃からコロナの影響が表れていたことがわかる。また、「県一部地区時短営業要請」でも、2019年前後比は増える傾向にあるが、2020年前後比は減少している。この介入は名古屋都心の飲食店を対象にしたものであった。特に駐車場入庫台数(pkg)の減少が大きいことから考えると、名古屋都心の飲食店にP&Rで出かける交通が減少した可能性があるが、断定するにはさらに詳細なデータを用いた分析が必要である。「緊急事態宣言2回目」は1回目の宣言解除以降、最も大きく減少しており、特に20時台で影響が大きい。飲食業に対する夜間営業自粛の影響が表れているものと考えられる。 3)使用データ別の影響 使用データ別の影響の大きさは、時間帯や介入の種類によって異なるものの、全体的な傾向としては、影響の大きい順に、駐車場利用実態(pkg)、歩行者通行量(par)、WPS(wps)、モバイル空間統計(分布統計)(mss)となる。このように影響に違いが生じるのは、データの観測対象が異なることに起因する。 駐車場利用実態は、中心市街地内のひとつの駐車場の入庫台数そのものであり、自動車利用者以外の他のデータが紛れ込むことや、観測誤差が発生しにくい。また、他のデータと比べて量が一桁小さいことも特徴としてあげられる。 歩行者通行量は、中心市街地内の20地点の歩行者通行量であり、地点により異なる様々
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