豊田市都心の長期と短期の両面によるまちづくり活動の評価
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42 なお、上のように分析対象とする介入を設定したが、介入そのものによる直接的な影響だけでなく、その時期に行われた他の対策や、社会の雰囲気変化等による影響も含まれることに留意が必要である。 2)分析対象とする時間帯 中心市街地での人々の活動は、時間帯によって異なる。時間帯別に分析を行うことで、活動ごとの影響の度合いを把握することができる。時間帯別データの予備的な分析結果等を踏まえ、分析対象とする時間帯と想定する活動は、7時台(通勤通学)、12時台(日中の活動)、18時台(帰宅)、20時台(夜の飲食)の4種類とした。なお、駐車場入庫台数は、1時間値では量が少ないため、時間帯別入庫台数分布を考慮し、6、7、8時台の合計を7時台、19、20時台の合計を20時台とした。 3)分析に用いる手法 本研究では、基礎集計と時系列分析の2つの方法で介入が人出等に及ぼした影響を分析する。 まず、基礎的な集計により介入前後の変化の傾向を確認する。本研究で使用する4種類のデータの内、WPSデータを除く3種類は2019年1月からのデータを利用できる。そこで、感染拡大前後を大きく2区分し、2019年を感染拡大前、2020年以降を感染拡大後とする。感染拡大後に介入が行われた前後の変化(増減比)を求め、感染拡大前(2019年)の同期間の変化と比較する。これにより季節的な影響を考慮する。 さらに、介入による影響に統計的に有意な効果があるかを確認するため、時系列分析の状態空間モデルにより介入がない状況を推計し、観測値と推計値を比較して影響を評価する。季節変動の影響を除くために感染拡大後の値を1年前の同曜日の値で階差をとった値を用いる。 時系列分析には、状態空間モデルの中でもシンプルなローカルレベルモデルを用いる。状態モデルは式(1)における状態誤差が累積してランダムウォークとして状態が変化する。観測モデル(式(2))は、状態モデルに正規分布に従う観測誤差(ホワイトノイズ)が加わった値として最終的な推計値が出力される構造となっている47)。 =−1+ ~ 0、 2 (1) =+ ~ 0、 2 (2) ここで、μ:状態、y:観測値、ω:状態誤差、ν:観測誤差を表す。 本研究では、状態空間モデルの中でも短期間の将来予測を重視するベイズ構造時系列モデル(bsts)を用いる。これまでにCOVID-19の影響分析にbstsを適用した事例は、Hu, et. 47 馬場真哉:RとStanではじめる ベイズ統計モデリングによるデータ分析入門,講談社,2019.

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