2020年度 自主研究概要 報告者: 西堀 泰英 研究分野 1暮らしを支える交通、2.都市空間を支える交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 豊田市都心の長期と短期の両面によるまちづくり活動の評価 研究の背景・内容 【背景】 ・中心市街地におけるまちづくりの活動として、長時間を要する市街地開発や道路空間再編などの施策に加えて、小規模・短期間の社会実験やイベント実施などの小さな実践も盛んに行われている。まちづくりを進める上では、それぞれに対応する評価手法と、関係者が納得できる指標が必要である。 【目的】 ・そこで、歩行者数や商業販売額、用途別建物配置、市街地開発等の長期的な変動の関係と、歩行者数及び歩行者流動と小さな実践等の短期的な変動の関係を分析し、市街地開発や小さな実践等のまちづくり活動を評価するための分析手法の妥当性や有用性を明らかにする。 ・なお、新型コロナウィルス感染症の拡大により、豊田市中心市街地における小さな実践等のまちづくり活動が軒並み中止となったことから、新型コロナウィルス感染症の影響評価を行う。 研究結果・ 得られた知見等 ・Wi-Fiパケットセンサー(WPS)データに機械学習の手法であるトピックモデルを適用し、データから「通勤・通学」「夜の飲食関連」「日中の活動」などの豊田市都心における人々の活動の特徴を抽出した。COVID19の影響により、特に「夜の飲食関連」の減少が大きいことを確認した。 ・モバイル空間統計や歩行者通行量、WPSのデータを用いてCOVID19の影響を分析した結果、モバイル空間統計に比べて歩行者通行量やWPSの方がCOVID19の影響に敏感に反応することから、人手を把握する指標として適していることを確認した。 ・長期的な変動について、歩行者数と建物用途別面積や電話番号件数、商業販売額等の関係を分析した結果、全体として明確な関係性は認められなかった。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む ・本研究で使用するWi-Fiパケットセンサーデータをはじめとするビッグデータの分析にあたり、人工知能(AI)の一部、機械学習の手法であるトピックモデルや、時系列分析手法に含まれる状態空間モデル(ベイズ構造時系列モデル)など、新たな分析手法を活用した。 所内の担当者氏名・ 担当者 主担当者:西堀泰英 担当者;加藤秀樹 協力先名 ・山梨大学 豊木博泰教授、早稲田大学 佐々木邦明教授、東京大学 嚴先鏞研究員、 ・愛知県都市整備局都市基盤部都市計画課、豊田市産業部商業観光課、豊田まちづくり株式会社、一般社団法人TCCM、豊田市美術館、豊田スタジアム、中心市街地の店舗等 ・本研究の一部は科研費(20K14856)の助成により行った。また、本研究は東大CSIS共同研究No.972の一部として実施した。 問題点・課題・今後の研究予定・その他 ・中心市街地の活性化を考える際、どのような状態を目指すのか、その状態を計測する適切な指標があるかを考える必要がある。 ・ビッグデータを分析する新たな手法にチャレンジしたが、それらをまちづくりに生かす方法も検討する必要がある。 関連論文(R2年度) ・西堀泰英、加藤秀樹、豊木博泰:トピックモデルによるWi-Fiパケットセンサーデータを用いた中心市街地の人出に対するCOVID-19の影響分析,第62回土木計画学研究発表会・講演集,Vol. 62,2020. ・西堀泰英、嚴先鏞:中心市街地の変化が歩行者通行量に及ぼす影響の分析,CSIS DAYS 2020,2020.
元のページ ../index.html#3