10 3.まちづくり活動の長期的な分析 3-1.はじめに 中心市街地活性化の評価指標には,内閣府地方創生推進事務局の中心市街地基本計画最終フォローアップに関する報告から調べると、評価指標として歩行者通行量を用いている事例が最も多い.歩行者通行量は人々の移動を捉えたものであり,中心市街地での購買や飲食,休息などの活動そのものを捉えたものではない.歩行者通行量と中心市街地で行われる人々の活動と関連すると考えられる様々な事業活動との関係を知ることが重要である. そこでここでは、中心市街地における様々な取り組みや時代の変化により結果生じた、事業活動の状況や歩行者通行量の長期的な変化に着目し、市街地の変化が歩行者通行量に及ぼす影響を分析することを目的とする。 歩行者通行量を用いた評価を行う際の留意点を提示するとともに,中心市街地のエリア別の事業活動の変化を踏まえた対策の検討に活用できると期待される. 3-2.方法 (1)分析方法 愛知県豊田市の中心市街地を対象に,電話番号契約件数などの事業活動に関係が深い指標と歩行者通行量の長期的な変化に着目し,中心市街地の変化が歩行者通行量の関係を分析する. 中心市街地活性化基本計画(=都心地区)の対象地域を分析対象とする。対象地域内は、2014年度経済センサスの調査区ゾーン区分を統合して平均14haのゾーンに区切った(図3-1)。ゾーン区分は商店街の位置を踏まえて設定(図3-2)した。経済センサスや事業所企業統計調査の2014年度以外のデータは、2014年度のゾーンに整合するよう面積で案分した。 各ゾーンの事業所数,従業者数,建物用途別面積,テレポイントデータを用いて,ゾーン別の事業活動の状況とその長期的な変化を把握する.さらに,中心市街地内で面的に観測された歩行者通行量の変化と事業活動の変化を分析する.分析対象期間は歩行者通行量データが存在する2011年からの9年間とする.
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