37 8.おわりに 8-1.まとめ 本研究では、電車・バス・タクシー・カーシェアリング等のルート検索・予約・決済機能を組み合わせて定額制で提供するマルチモーダル型MaaS事業に関して、豊田市民を対象としたアンケート調査等により以下のような知見が得られた。 ‣ 最も条件の良いプランでは、豊田市民の約16%が「とても利用したい」という利用意向を示している。 ‣ 現在は主に自動車で移動しており、公共交通を全く利用していない層においても、一定の需要があり、定額制マルチモーダル型MaaSにより公共交通の利用が増加する可能性があることが示唆された。 ‣ 定額制のマルチモーダル型MaaSを利用した場合、自家用車の保有台数を「維持したい」「減らしたい」は半々の回答者数である。 ‣ 高齢層において利用意向が高くなっており、高齢者の移動支援として有効である可能性が示唆された。 ‣ 利用者はマルチモーダル型MaaSの価格は月額1万円以下の水準を求めている。 ‣ 一方、交通事業者としては月額1万円以下の価格水準では事業収益として厳しいという意見が多い 8-2.今後の課題 最後に、豊田市におけるMaaS実装の検討にあたっての課題について述べる。 (1)MaaSに対する需要の程度の確認 本研究ではマルチモーダル型MaaSに関して豊田市民に一定の需要があることが確認できたが、Webアンケート調査での回答であり、実際に対価を払ってサービスを利用するほどの需要がどの程度あるのかは明確ではない。この点を明らかにするための一助として、豊田都市交通研究所の次年度の研究では、交通系ICカードを用いてMaaSを疑似体験する実証実験を通して、利用者の需要の程度や交通・消費行動の変化等を検証する予定である。 (2)交通事業者にとっての事業収益性の詳細検討 高い需要が確認できた月額8,000円という価格水準は、電車・バス・カーシェアリング等の複数の事業者で按分することを想定すると、現在の電車・バス等の定期券の価格水準と比較して低価格であるため、交通事業者が指摘するように事業収益に対してマイナスの効
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