2019年度 自主研究概要 報告者: 石井真 研究分野 1.暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2.解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 豊田市におけるMaaS導入可能性に関する研究 研究の背景・内容 ・公共交通を含めた様々な交通サービスのルート検索、予約、決済機能を統合し、定額制でモビリティサービスを実現するマルチモーダル型MaaS(Mobility as a Service)事業に関して、豊田市民を対象としたアンケート調査により、豊田市における需要、求められるサービスの組み合わせ・価格水準を明らかにし、豊田市における導入可能性を検討する。 ・豊田市では、超小型電気自動車のシェアリング(Ha:mo)が事業化されており、カーシェアリングも含めた交通サービスを統合した定額パッケージを検討するなど、豊田市の特徴を活かしたサービスモデルを検討する。 ・アンケート調査で確認された需要を基にMaaS事業の収益シミュレーションを実施する。 ・交通事業者へのヒアリング等を通じて、導入にあたっての課題を明らかにする。 研究結果・ 得られた知見等 ・電車・バス・タクシー・カーシェアリング等のルート検索・予約・決済機能を組み合わせて定額制で提供するマルチモーダル型MaaSに対して、最も条件の良いプランでは、豊田市民の約16%が「とても利用したい」という利用意向を示している。 ・自家用車非保有層だけでなく、自家用車保有層も同等の利用意向を示している。 ・定額制のマルチモーダル型MaaSを利用した場合、約半数は自家用車の保有台数を維持したいと考えている一方、約半数は自家用車の保有台数を減らしたいと考えている。 ・免許返納した場合の利用意向は現状よりも高くなっており、人口構成の高齢化に伴い、ニーズが高まることが考えられる。 ・利用者はマルチモーダル型MaaSの価格は月額1万円以下の水準を求めている。 ・一方、交通事業者としては月額1万円以下の価格水準では事業として厳しいという意見が大半であり、価格水準の検討やモビリティ以外のサービスとの組み合わせによる収益化、自治体からの補助金の仕組みなど、事業性を成立させるための検討が別途必要である。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 ・豊田市におけるMaaS事業検討にあたり、需要に関する基礎的資料として活用できる。 ・豊田市MaaS検討委員会において、調査結果の報告を行った。 所内の担当者氏名・ 担当者 石井真・西堀泰英 協力先名 豊田市都市整備部交通政策課・企画政策部未来都市推進課 問題点・課題・今後の研究予定・その他 ・本年度の研究でマルチモーダル型MaaSに関して豊田市民に一定の需要があることが確認できたが、実際に対価を払ってサービスを利用するほどの需要がどの程度あるのかは明確ではない。 ・次年度の研究では、交通系ICカードを用いてMaaSを疑似体験する実証実験を通して、利用者の需要の程度や交通・消費行動の変化等を検証する。
元のページ ../index.html#3