豊田市におけるMaaS導入可能性に関する研究
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13 3-2.豊田市の交通課題 マルチモーダル型MaaSの導入によって解決が期待される豊田市の交通課題について概観する。 (1)公共交通の維持・活性化 豊田市において公共交通の交通分担率は低いものの、自動車を保有していない市民も含めた全ての市民のモビリティの確保という観点で公共交通の維持・活性化は欠かせない。しかし、成り行きでは公共交通利用者は減少する見込みである(図 3-4参照)。公共交通の維持・活性化のためには、利用者数の維持・増加が必要であるが、フィンランドのWhimの事例のように、マルチモーダル型MaaSは公共交通の需要増加に寄与する可能性がある。 出典:豊田市公共交通基本計画 図 3-4 豊田市の公共交通利用の将来予想 (2)高齢者の移動支援 全国と同様、豊田市においても高齢化が進行しており、2017年時点の高齢化率は21.9%に達している。高齢化率は今後も増加見込みでる。豊田市では高齢者の交通手段分担率において自動車の割合は非常に高く約80%を占めるが、高齢になると自動車の運転能力(認知・判断・操作能力)は衰えるため、高齢者が自動車に頼らなくても移動できるように支援する必要がある。加えて、昨今の高齢者による重大な交通事故の増加の影響を受けて、運転免許を返納する高齢者も増加している。しかし、運転免許・自家用車ともに保有しない高齢者の外出率は高齢者全体と比較して低くなっている(図 3-5参照)。このような高齢者に対して、マルチモーダル型MaaSは過度に自動車に頼らずに移動できる環境を作ることができる可能性がある。

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