無信号横断歩道での安全に関する基礎研究~歩行者保護に資するソフト施策の視点から~
34/44

-30- 6 まとめ 6-1 歩行者保護運転啓発施策の課題と方向性 前章までの考察に基づき、歩行者保護運転の促進を図るための啓発施策の課題と方向性を以下に整理する。 (1)事業所に属さない層に対する啓発 豊田市が取り組む「モデルカー活動」は事業所主体で組織的に模範ドライバーを増やしていくことで啓発効果を得ようというものであるが、未就業層への啓発に課題がある。運転免許更新時の講習等の機会を活用し、広く啓発を行っていく必要がある。 (2)歩行者として「止まってもらった」ことを経験する機会の創出 交通安全学習センターなど、体験型の学習施設を活用し、止まってもらえることの「うれしさ」を体験するような取り組みも効果的であると考えられる。 (3)横断歩行者妨害など歩行者保護違反の深刻さを伝える啓発 交通安全教育の効果的な手法として、受講者に「恐怖」を体験させるスケアード ストレートの効果は既知である。しかしその機会の創出が容易ではないのであれば、人対車両事故の深刻さを訴えるような啓発ツールの開発が望まれる。 (4)地域住民・企業による立哨活動で、横断歩道での停止を促す 顔見知りの立哨活動が効果的であることの可能性が示唆された。現在、多くの自治体では「交通安全市民運動」といった形で、コミュニティ組織や企業が主体となって定期的な交通安全街頭活動が行われている。そのようなボランティア精神に支えられて「人力」が惜しみなく投入される機会を活用し、例えば無信号横断歩道手前で停止を促すような、路側からの直接的な啓発活動は大いに効果が期待される。 (5)路側・道路のハード対策と併せた啓発施策の展開 上述のような路側での直接的な注意喚起に加え、横断歩道の存在や歩行者の存在を気づきやすくさせるようなハード的方策も併用していく必要がある。

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る