無信号横断歩道での安全に関する基礎研究~歩行者保護に資するソフト施策の視点から~
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-28- (5)ドライバーへの啓発施策の限界 無信号横断歩道での停止ルールは認識していても、交通状況や道路状況によって「止まれない」という現状は多々あるように考えられる。止まることが危険を誘発する状況もあるだろう。 図5-15は、歩行者を見つけても停止しなかった(できなかった)理由についてたずねた結果である。他車との関係で安全に停止できない状況にあったことや、歩行者に気づくのが遅れたこと、歩行者に横断意思があるのか判断できなかったことなどが比較的「よくある」という回答割合が高くなっている。 このことは、啓発施策によって歩行者保護運転に対する意識を高めることによる効果には限界があり、路側での直接的な注意喚起の仕組みや道路環境へのハード的な対策も必要であることを示唆している。また、歩行者自身が「手を挙げる」など横断意思を示すよう、歩行者に対する啓発も必要であると言える。 0%20%40%60%80%100%後続車など他のクルマとの関係で安全に停止できなかった歩行者が渡ろうとしていることに気付くのが遅れた歩行者が渡ろうとしているのかどうか、判別できなかった急いでいたので停止しなかった停止しなければならないことをあまり意識していなかった歩行者を見つけても停止しなかった理由とてもよくある(10回中9回以上)よくある(10回中7~8回)たまにある(10回中4~6回)あまりない(10回中2~3回)ほとんどない(10回中1回以下)(n=400) 図 5-15 停止しない(できない)理由 さらに、図5-16に示す全国の横断中死亡事故の死者(歩行者)の法令違反有無を見ると、6割以上の歩行者が違反をしていることがわかる。このことから、歩行者への啓発は先述の「横断意思を示す」ことのみならず「法令を遵守する(無理な横断や横断歩道以外での横断はしないことなど)」ことを訴える必要もあると言える。

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