無信号横断歩道での安全に関する基礎研究~歩行者保護に資するソフト施策の視点から~
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-25- 停止しなければならないというルールの命令的規範としての強度である。他の交通ルールと比較して、どの程度「悪いこと」であるか、また「違反しても仕方ないこと」であるか、回答結果を図5-11に示す。これは、当該ルールと「同じぐらい」を0点として、どちらがより「悪い」「仕方ない」か、2段階ずつの回答を得点化し回答者数を乗じて足し合わせた数値である。 結果を見ると、世相を反映してか、近年問題となっている「運転中のスマホ操作」が最も「悪いこと」であり「違反しても仕方ないとは言えない」ルール違反となった。また「歩行者を見たら停止しない」は「駐車違反」と同程度の「仕方なさ」であり、「黄色信号で侵入」以外のいずれの違反よりも「悪さ」は低く、比較的軽んじられているように見うけられる。 -200-1000100200300400500歩行者が渡ろうとしていても停止しない黄色信号で交差点に進入する駐車違反幹線道路での最高速度超過住宅地内の狭い道路での最高速度超過「止まれ」標識のある交差点で一時停止せず通過運転中のスマホ操作(ながら運転)「歩行者が渡ろうとしていたら停止」と他ルールの比較違反は悪いこと違反しても仕方ない← 悪いこと・仕方ないこと 図 5-11 交通ルール違反に対するドライバーの意識 次に「停止するクルマは少ないから止まらなくてもよい」という記述的規範が支配的であるとすれば、周囲の人たちの多くがルールを守ることが停止行動をより促進させると考えられた。そこで、さまざまな状況を提示し、その状況であれば自分はどれくらい「歩行者を見たら停止できる」のか、10段階で回答を求めた。その結果の平均得点を図5-12に示す。

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