市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
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-7- さらに、円滑に大量の交通処理が求められる道路(トラフィック機能が特化した道路)においては、基準速度にとらわれず60km/hを超える最高速度規制も検討される。なお、どのような道路を「トラフィック機能に特化した道路」とするか、その判断の視点は、下記のとおりである。 (3)生活道路における最高速度設定の考え方 生活道路は歩行者の安全確保や地域住民が安全・安心して生活できることが最優先されなければならない道路である。そこで生活道路の最高速度規制の考え方に関しては、海外のゾーン規制などの事例を参考にしながら「自動車と歩行者・自転車の衝突回避」「自動車と歩行者・自転車の衝突時の被害軽減」という視点からの検討がなされた。その結果、生活道路における指定すべき規制速度として「急な飛出し等の突発事象に対応可能な速度」「重大事故の発生を回避する速度」の観点から設定することとされ、既往研究で得られている知見により「突発事象に対してドライバーが対処可能な速度」「交通事故時に歩行者・自転車が致命傷に至る確率が急激に高まる速度」が30km/hであることから、生活道路では30km/h 以下の規制速度を設定することとされた。 また、生活道路において最高速度を規制すべき範囲としては、ドライバーが「生活道路」であることを認識する要因が道路構造や沿道土地利用等であることや、生活エリアの中には当該地域の生活者にとって幹線的な性質を持った道路も存在することを考慮し、「速度を抑えるべき道路」と「走行性を確保する道路」を住民はじめ警察や自治体、道路管理者ら関係者で協議しながら決定することが望ましいとされている。さらに生活道路が集積して存在する場合は、走行性を重視した幹線道路等で囲まれるゾーンでの面的な規制が望ましいことが謳われており、現在、これに基づいて「ゾーン30」の規制と整備が活発に進められている。 【道路構造】 ‣ 立体交差(他道路との交差がない) ‣ 沿道からの出入が制限されている(あるいは出入箇所が極めて少ない) ‣ 一定の区間長を有する ‣ 交差点間隔が長い ‣ 道路線形が良い(直線に近い) ‣ 視距が良い(見通しが良い) 等 【交通特性】 ‣ 歩行者、自転車、原付の通行が規制されている(あるいは通行量が極めて少ない) 等

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