市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
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-5- 2-2.最高速度設定に関する政府の検討 (1)わが国における最高速度設定検討の経緯 わが国における最高速度設定は、昭和54年に「規制速度算出要領」という形でその方法が明示された。これは沿道条件や道路の断面構成などを機械的に数値化し算出していたため、郊外の対面2方向2車線道路では低めに、市街地の複数車線道路では高めに設定されるケースがあり、実勢速度との乖離が問題となっていた。 そこで平成元年度に「規制速度決定手法に関する調査研究」がなされ、道路構造、設計速度、交通の状況、交通事故の発生状況、沿道環境など、より多様な条件を総合的に考慮した上での最高速度設定がなされるようになった。しかしその後の道路整備進展や自動車の性能向上を背景に、さらに実情に合致した最高速度規制が求められ、警察庁主導により平成18年度に「規制速度決定の在り方に関する調査研究検討委員会」(委員長:太田勝敏 東洋大学教授(当時),豊田都市交通研究所所長)が設置され、3カ年に亘る「規制速度決定の在り方に関する調査研究」が実施された。 (2)一般道路における最高速度設定の考え方 平成21年3月にまとめられた「平成20年 規制速度決定の在り方に関する調査研究 報告書」によると、一般道路における新たな最高速度規制の考え方として「基準速度」の導入があった。基準速度は全国一律に定められ、実勢速度を表現する数値としては85パーセンタイル速度(ある地点または区間において、85%の車両がその速度以下で走行しているという速度)が用いられた。これに基づき交通事故抑止の観点から「沿道条件(市街地・非市街地)」「車線数」「中央分離帯の有無」「歩行者交通量」を考慮しながら、表2-2に示す速度値が基準速度として設定された。この基準速度は平成21年10月に策定されている。 なお、実際の道路区間における規制速度設定に際しては、基準速度をベースに交通事故の実態や道路構造等の現場状況に応じた補正が行われている。補正の観点は表2-3のとおりとなっている。

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