市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
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-4- 2.規制速度設定に関する現状と議論 2-1.最高速度違反を伴う交通事故の現状 表2-1は、愛知県警が平成28年中に愛知県内で発生した人身事故について、第1原因となる法令違反別に整理したものである。最も多いのは「安全不確認」であり、事故全体の半数以上となる22,447件を占めている。次いで「前方不注意」が、その半数程度となっている。車両等に関する法令違反のうち「信号無視」「最高速度」「歩行者妨害等」「一時不停止」「酒酔い」の5つは重大事故に繋がる運転であるとして、重点5態様として違反の削減に注力されており、その中で最も多い法令違反は「一時不停止」の1,205件である。 表 2-1 法令違反(第1原因)別にみた愛知県内の人身事故(平成28年) 出典:愛知県の交通事故発生状況 平成28年中(愛知県警察本部交通部) 本研究において問題意識を持っている「最高速度」違反は12件であり件数としては非常に少なく、全体の0.03%に止まっている。しかしながら死亡事故に着目すると、全体で207件のうち9件を占めており、その割合は4.3%に跳ね上がる。見方を変えると最高速度違反が第1原因となる交通事故の75%が死亡事故であり、いかにその致死率(事故件数に対する死亡事故件数の割合)が高く、重大事故となりやすい事故態様であるかが窺える。 すなわち、死亡事故に繋がる重大事故の削減においては、規制速度の遵守を促すことは非常に重要な課題であると言える。

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