市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
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-25- 重回帰分析によって個人定数項のパラメータおよびPhase2での個人定数項のパラメータを39人分算出し、その平均と標準偏差を示したのが表4-4である。ここでの個人定数項のパラメータはすなわち、個人の速度超過傾向を示しており、高くなるほど速度の超過傾向が大きい。平均では、非高齢者のほうが高齢者に比べて低くなっており、速度超過の傾向がみられる。 表 4-4 個人定数項のパラメータγ1pおよび Phase2での個人定数項のパラメータγ2p Phase2における個人定数項のパラメータについては、被験者の走行ルールの有無によってパラメータが変わってくるため、助言型ISAのみ群と、インセンティブルールあり群で分けて集計している。平均に着目すると、非高齢者、高齢者どちらも助言型ISAのみ群の平均より、インセンティブルールあり群の平均が下回っており、インセンティブプログラムの適用がより速度抑制を促していることがわかる。特に、非高齢者においては -2.203から-4.802となっており、助言型ISAのみよりインセンティブを付加したほうがより速度抑制を促しやすい可能性があると考えられる。しかし、標準偏差に着目すると、高齢者3.267に比べて非高齢者は3.836と高く、非高齢者に対してインセンティブの効果は人によってばらつきが大きいこともわかる。また、ここでは掲載は割愛しているが実験中に行っている速度意識調査アンケートの結果から、「最高速度を普段から意識している」と回答している被験者ほど、個人定数項のパラメータは低くなるという関係が得られており、本研究での個人定数項のパラメータが普段の速度超過傾向を示しているという解釈が妥当なものであるということも確認している。 4-3.個人の速度超過傾向と助言型ISA・インセンティブプログラム効果との関係 図4-1は重回帰分析で得られた個人定数項のパラメータおよびPhase2での個人定数項のパラメータの関係を高齢者・非高齢者別に散布図で示したものである。 助言型ISAのみ群インセンティブルールあり群平均-1.095-2.203-4.802標準偏差4.4953.2813.836平均-2.186-1.289-3.335標準偏差3.7032.1473.267平均-1.640-1.689-4.100標準偏差4.1542.7403.649全体個人定数項Phase2での個人定数項非高齢者高齢者
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