市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
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-14- 3-2.速度超過の大きいリンクの特徴 (1)考察対象リンクの抽出 前節で示したリンク毎の平均速度と規制速度の差の分布状況から、ここでは特に規制速度との乖離が生じやすい状況にあると考えられる40km/h規制道路に着目して具体的な道路状況を観察しながら、その特徴を考察する。 表3-3は、リンク平均速度と規制速度(40km/h)との差が規制速度の2割(8km/h)を超えるリンクを抽出したものであり、64リンクが該当する。表中の「超過データ数」は当該リンクにマッチングされたISAアプリデータのうち、速度超過しているデータの数であり「遵守データ数」は速度超過していないデータ数である。「データ数の超過割合」は、合計データ数に対する超過データ数の割合である。また「場所・路線」は、これらのリンクを地図上に落としながら、実際の場所・路線の名称を簡略的に付したものである。各リンクの端点(起終点ノード)を地図上にプロットしたものを図3-3に示す。 具体的な場所・路線名を見てみると、県道340号を代表とする矢作川沿いの道路、内環状線のうち、国道248号以東に位置する未整備区間、国道419号と内環状線が立体交差する通称「3枝立体」付近に集中していることがわかる。特に内環状線の竜宮橋から野見交差点付近の区間は遵守データが皆無であり平均速度が非常に高くなっている。ただし同区間はデータ数が比較的少なく、走行しているのが特定のサンプルであると考えられるため、他区間と相対的な比較をする場合は個人差の影響が内在していることを考慮しなければならない。 また、ここで抽出したリンクはあくまでも助言型ISA実証実験の被験者48名の走行実績によるものであるため、走行経路は全市を網羅しているわけではないため「市内の速度超過しやすい区間」をすべて抽出したわけではない。先述のとおり、被験者個人の経路選択傾向や走行特性に影響する要因が大きいことは留意しておかねばならない。しかしながら、限定的なデータではあるものの実験結果から得られた「事実」として、速度超過が頻繁に行われている区間であり、考察の対象とすることとしている。

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