市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
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-9- 3.一般道路における実勢速度と特徴 3-1.助言型ISA実験データからみた実勢速度 (1)分析に使用したデータ 本章では、規制速度と実勢速度の乖離が比較的大きいと考えられている40km/hおよび50km/h規制の一般道路(特に補助幹線道路)を対象に、平成25,26年度に実施した助言型ISAフィールド実験データを用いた分析を行う。 助言型ISAアプリが記録するデータは、各被験者の運転時の位置(緯度経度)、速度(GPSドップラー速度)、速度超過の実態等が1秒毎に記録されているものである。また、使用されるリンク情報はアプリ開発を委託した(株)トヨタマップマスターが独自に有するものであり、一般的なDRMに一致しない。そこでこれら個々のデータについて汎用DRMへのマップマッチングを行い、リンクデータ毎に集計したデータを分析に用いた。マップマッチングの詳細は平成27年度の「助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証 報告書」に記したところであるが、以下にそのアルゴリズムを再掲する。 【既往研究と本研究でのアルゴリズム開発】 マップマッチングアルゴリズムに関する既往研究の例としては、三輪(2005)は従来のマップマッチング手法の整理・比較を行った上で、長間隔のプローブカーデータに適用できるようなより精度が高いマップマッチング手法を提案し、名古屋市で行われた大規模なタクシープローブカー実証実験で収集されたプローブデータに適用し、そのマップマッチングアルゴリズムの有効性及び高精度を示した。ただし、三輪が提案したアルゴリズムはプローブデータをマップマッチングするにあたり、計算時間がかなり長い問題点があるため、曹(2011)は三輪が提案したマップマッチングアルゴリズムを簡潔化し、計算用時間を大幅に短縮できるアルゴリズムを開発した。 【LOGデータの特徴】 • プローブデータの収集間隔が短く、ほぼ1秒である。なお、GPS位置情報を捕捉できないデータを除外したため、データの間隔は必ず1秒であるわけではない。 • ISAアプリが用いるデジタル道路地図は公開されていないと言え、有するデジタル道路地図との差が大きくない。 【マップマッチングの基本手順】 デジタル道路地図データのプレ処理を行う。 • マップマッチング対象エリアを大メッシュ(490×350)及び小メッシュ(4,900×3,500)に分ける。

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