交通データの情報収集と活用可能性に関する研究
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1.はじめに 交通データは、車両感知器や光ビーコンなどの定点観測データ(VICSデータ)に加え、情報通信技術等の発展により、リアルタイムな交通状態を示すデータが様々な形で取得されている。 その一つが、車両の位置や挙動を収集するプローブデータである。プローブデータはカーナビ搭載車から情報を収集する仕組みで旅行速度を評価することが可能であり、渋滞状況診断、災害時の通行可能性の提供などが行われている。近年では、情報系企業によるスマートフォンを活用したサービスが提供されるなど、交通データが大量に収集・提供されている。その他は、車両やドライバーの運行管理に用いられるデジタルタコグラフのデータを活用すると、貨物車プローブ、バスプローブ、タクシープローブなど様々なデータが存在する。 本研究は、愛知県豊田市における各種交通データ(プローブデータ)の活用可能性を明らかにすることを大きな目的として進める。豊田市は自動車関連産業が盛んな企業城下町であり、大規模事業所周辺を中心に朝夕ピーク時における慢性的な交通渋滞が課題である。自治体は、道路整備をはじめとする渋滞対策を都市政策・交通政策の柱として推進しているが、その効果測定の際の交通現象の把握には膨大な費用を要するなどの課題もみられる。そこで、豊田市の交通特性を捉える際に活用できる交通データを明らかにするため、①各種交通データ(プローブ情報)の緒元・特性整理を行う。さらに、豊田市の特性を活かして交通状況を把握するため、②貨物車プローブを活用した道路渋滞状況の可視化を試みる。 2.既往研究・事例の整理 プローブデータの利活用に関する国の動き 2-1.平成26年6月に、IT総合戦略本部「官民ITS構想・ロードマップ」において、今後さらに検討すべき課題として交通データ利活用戦略が挙げられた。以下、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室「交通データ利活用戦略に向けた今後の方向について」を出典として、取組み内容を整理する。 ①官民協力によるデータの整備と公開(オープン化)【短期的具体的な取組み】 短期的には、災害対応等に加え、道路交通安全・円滑化に資するデータの利活用を進めるべく、具体的に対象とするデータを念頭に「民間保有データの利活用」と「政府保有データのオープン化」をセットで検討を進める。 1

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