中山間地域における高齢者モビリティ調査
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8-2. 今後のモビリティに関する意識 (1)運転者のやめ時に関する意識 • 前期高齢者は概ね80歳まで運転できると考えており、年齢の高まりと同様に運転できると思う年齢も増加している。 • 運転のやめ時を考えたことがある割合は概ね30%程度であり、年齢階級が高くなるにつれて運転のやめ時を考えたことがある割合が高くなる。 (2) 今後の移動手段の選択意向 自動車の運転をやめた後の移動手段の選択意向について要因を分析した結果、子供との同居世帯は「家族の送迎」を選択する傾向が確認された。また、バスやタクシー、福祉サービスを選択する要因としてバスの利用経験が最も影響している。この結果は、各地で実施されている公共交通サービスの情報提供・体験イベントを支持する結果であり、これらの施策により運転をやめた後の移動手段の選択肢を広げる可能性が示唆される。 一方、自動車の運転をやめた後の移動手段について「わからない」と回答した方々は、男性、前期高齢者、仕事や趣味娯楽活動を行っていないという傾向が抽出された。これらの結果を踏まえると、移動手段の対策のみではなく、比較的元気な前期高齢者が活躍しうる労働環境を創出することや、公共交通機関や施設の送迎を使って参加したくなる魅力的なイベントや活動などが求められる。また、これらの方々は、現在運行されている公共交通に関する情報、福祉サービスや行政サービス等の情報を認知していない可能性もある。今後は、期待されている公共交通の利便性を高めるために生活実態にあったサービスへ改編していくこと、各種移動手段やサービスに関する細やかな情報提供などが望まれる。 (3)電気自動車・小型モビリティへの意識 • 電気自動車に魅力を感じている割合は、全体の50%以上である。 • 旭地区・小原地区において魅力度が高い傾向にある。 • 小型モビリティ(トヨタ車体製コムス)について、所有(乗り換えやセカンドカーとして購入)への意向は9.1%、レンタルの意向は25.8%、購入もレンタルもしないと回答した割合は47.5%である。 (4)公共交通へ求めるサービス • 利用者の重要度は、安全性・運行時間・乗降場所・料金の順 • 非利用者の重要度は、安全性・運行時間・料金・乗降場所の順 • 回答者は自動車を運転している比較的元気な高齢者であるが,乗降場所への移動抵抗より安全性を重視している点は,中山間地域のモビリティを確保するための検討材料として有益な知見である。 (5)ボランティア輸送への意識 • 全体の約11%が、地域でボランティア輸送を運行できると回答している。 • 運行できると回答した割合が高い自治区もみられる。 94

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