山崎研究部次長、西堀主席研究員、鈴木研究員がポスター発表をしました
【山崎研究部次長、西堀主席研究員、鈴木研究員がポスター発表をしました】
山崎研究部次長、西堀主席研究員、鈴木研究員が、2020年12月19日(土)~20日(日)にオンラインと対面の併用でで開催された第十五回日本モビリティ・マネジメント会議において、ポスター発表を行いましたのでお知らせします。
(1)山崎研究部次長の発表論文
≪発表論文≫
山崎基浩、野田宏治、山岡俊一、廣中啓吾、黒谷和男、大冨有紀子:ICカード乗車券利用体験による高齢者のバス利用促進
≪論文の要旨≫
バス乗車会を通して「ICカード乗車券の利便性」「仲間との楽しいおでかけ」を体験することで、高齢者がクルマの代替交通手段としてのバスを認識し利用促進を図ることを目的とした取組みである。下山地域に居住する高齢者を対象とし「ふれあい地域サロン」単位でのグループ参加を募り6回の体験乗車会を開催し、6サロン57名の参加を得られた。約1ヶ月後に実施した事後調査では、ICカード乗車券が利用できる基幹バスを15名が利用しており、少ないながら2名の新規利用者の出現を確認できた。また意識の上ではICカード乗車券の利点について理解が深められたとともに「友人とのバス外出の楽しさ認識」「バス利用に対する自信の芽生え」が確認でき、高齢者のICカード乗車券利用を普及することや「楽しいおでかけ」の機会を提供することでバス利用の障壁を下げる可能性が示唆された。加えてデマンド型地域バス利用促進の課題や、効果的な免許返納促進の課題、中心市街地のまちづくり組織との連携課題などを整理した。
(1)西堀主席研究員の発表論文
≪発表論文≫
西堀泰英、楊甲、松尾幸二郎、樋口恵一、三村泰広、安藤良輔:高齢運転者に対する後付け安全運転支援装置に関する情報提供の工夫による利用促進効果
≪論文の要旨≫
高齢運転者の安全向上に向け、サポカーや後付け型の安全運転支援装置(以下、装置とする)の購入補助などの対策が行われている。過去に筆者らが行った調査の結果から、安全確認を慎重に行わないような「装置の利用により安全性向上に寄与する可能性がある人」が装置を有用と思わないジレンマの状況にあることがわかった。そうした人への普及を図るためには、購入補助などに加えて、装置利用を自分事として考えるような情報提供内容の工夫が求められる。本研究は愛知県豊田市の高齢者クラブの集会で、装置や購入補助制度に関する情報提供とともに、装置利用を自分事と考えてもらえるよう、ジレンマの状況に関する調査結果を提示するなど、内容を工夫した情報提供の効果を確認するための調査を行った。その結果、情報提供を工夫した群では装置を利用したいと思う割合が大きく、利用したいと思う理由に違いが認められるなど、工夫の効果が示唆された。
(3)鈴木研究員の発表論文
≪発表論文≫
鈴木雄、日野智、高橋明日香:バス運賃低廉化と訪問施設での過ごし方の情報提供による利用意向の変化に関する研究
≪論文の要旨≫
秋田県男鹿市の路線バスにおいて実施された1乗車200円の定額運賃および1ヵ月2,000円乗り放題運賃の運賃施策を対象に調査を行った。これらの路線バス運賃施策実施時に、訪問施設へ行くためのバス時刻表、訪問施設への移動時間、運賃割引額、訪問施設での滞在時間、訪問施設周辺で利用できる店舗、帰宅時間など、個人に合わせた行動プランの提供を行った。その結果、多くの人でバス利用意向や、施設訪問意向が増加する結果となった。このことから、過疎地におけるバス利用促進のためには、個人個人にあった個別の情報提供によるマネジメントが重要であることが示唆された。これらの詳細な情報提供により、運賃割引額が大きい人や、比較的若い人で特に利用意向が増加する傾向が示された。その一方で、乗り換え時間なども詳細に記載したため、乗り換えを有する人では利用意向が減少することも示された。