当研究所では、目まぐるしく変化する社会的背景を踏まえ、社会からの要請に応えるべく活発な研究活動を推進し、研究成果を地方都市の課題解決や交通まちづくりに繋げていきます。
取り扱う研究としては、すべての人々の社会活動を支えるまちと交通の実現に向けた「まちと暮らしを支える交通」と、すべての人々の安全を支える交通の実現に向けた「交通の安全・安心」の2つの研究領域を対象とします。
また、実践的な研究を推進するために、特に重要と考える視点は、「地域を支える交通の実現」、「誰1人亡くならない交通の実現」、「山村共生をつくる交通の実現」など10方針として2つの研究領域に掲げています。
これらの「研究領域」「方針」に基づき実践的な研究を積み重ね、サスティナブルなモビリティ社会の実現を目指します。
- 2022
- 2021
- 2020
- 2019
- 2018
- 2017
- 2016
- 2015
- 2014
- 2013
- 2012
- 2011
- 2010
歩行者優先意識の定着促進に資する地域活動方策
山崎基浩
高齢運転者を対象とした経路探索 アルゴリズムの開発
楊甲
利用者の個人差を考慮した高齢者のMaaSに対する利用意向に関する調査研究
楊甲
コロナ禍が豊田市の都市交通に与える影響のモニタリング
三村泰広、山崎基浩、穆蕊、高桑俊康
豊田市駅前大型商業施設の開業による回遊行動への 影響に関する研究
加藤秀樹、大澤脩司
高齢ドライバーの人間特性と運転行動を考慮した危険事象の推定
山岸未沙子
これからの「生活道路」空間マネジメントに関する研究
三村泰広
歩車分離信号の効果に関する研究
穆蕊
歩行者優先意識の定着促進 に資する地域活動方策
山崎基浩
駅前大型店舗閉店に伴う 豊田市中心部の流動変化の把握
加藤秀樹
空間構造と利⽤者⼼理を踏まえた安全・安⼼な ⾃転⾞通⾏空間整備⽅策に関する研究
三村泰広
高齢運転者を対象としたテレマティクス自動車保険の社会受容性に関する実証的研究
楊甲
地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅に関する基礎的研究
三村泰広
リアルタイム情報に基づく平面交差点 信号制御システム最適化に関する研究
穆蕊
地方都市での MaaS導入が 高齢者に与える価値の多角的評価
鈴木雄
コロナ禍が豊⽥市の都市交通に与える影響のモニタリング
三村泰広
地域連携による高齢者MMの可能性検討~前期高齢者を対象とした地域連携MM~
山崎基浩
重度障がい者の外出を伴う余暇活動の企画・実行プロセスと交通配慮事項に関する研究
三村泰広
豊田市の公共交通乗り放題体験に伴う交通行動の変化に関する研究
石井真
過疎地域におけるコミュニティ交通の持続可能性に対する意識と取り組み
西堀 泰英
高齢者に対する施策の実施が健康寿命に及ぼす影響に関する研究
鈴木雄
コロナ時代の豊田の暮らしと交通
三村泰広
リアルタイム情報に基づく平面交差点信号制御システム最適化に関する研究
穆蕊
自転車通行空間利用率向上に向けた新たなアプローチの試みと地域への展開
三村泰広・坪井志朗
都市構造別にみる市街地内低未利用地の活用方法について
坪井志朗
豊田市都心の長期と短期の両面によるまちづくり活動の評価
西堀 泰英
交通事故オープンデータの活用に向けた地理情報システムにおける可視化・解析ツールの開発
楊甲
高齢者の「終活」MMツールの考察
山崎基浩
高齢者の財務的効率と生きがいを考慮した交通社会基盤変化の評価
三村泰広
豊田市における自動運転関連技術の社会実装を支援する基礎的研究
西堀泰英
電気自動車シェアリングの利用意識に影響を及ぼす要因分析
楊甲
豊田市におけるMaaS導入可能性に関する研究
石井真
バスプローブデータを用いた豊田市の道路渋滞分析に関する研究
楊甲
自転車の通行空間整備過渡期における道路政策のあり方に関する研究
坪井志朗
人口構成と交通動向を考慮した将来都市構造可視化シミュレーションツールの開発に関する研究
坪井志朗
豊田市都心における来訪者の回遊状況評価手法の開発
西堀泰英
農地転用動向によるスプロール地域の分析と評価に関する研究
坪井志朗
リアルタイム情報に基づく平面交差点信号制御システム最適化に関する研究
穆蕊
空間認知特性に着眼した高齢運転者が加害者となる出会い頭事故対策に関する応用的研究
三村泰広
高齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
西堀泰英
ヒヤリ体験調査の実施と活用に関する研究
加藤秀樹
次世代自動車(電動車両)の災害活用に関する研究
加藤秀樹
豊田市の高齢運転者の事故特徴を踏まえた事故対策に関する検討
楊甲
多様な地域を抱える地⽅都市における ⾃動運転導⼊のロードマップ提案
⻄堀 泰英
豊田市におけるバス機能を考慮した 新たなバス評価指標の提案
福本雅之
地区内道路の課題に関する基礎研究 ~ 歩行者保護に資する対策の検討 ~
山崎 基浩
地域バスを対象とした効果的なバス利⽤促進⼿法に関する研究
福本 雅之
次世代自動車のCO2 排出量算定における ビッグデータの活用に関する検討~ 車検証データに基づく自動車走行距離の推計 ~
加藤 秀樹
豊⽥市都⼼の課題を⼈の活動と意識から考える研究
⻄堀 泰英
人口構成と交通動向を考慮した 将来都市構造可視化シミュレーョンツールの開発に関する研究
坪井 志朗
都市機能集約と人口変動を考慮したアクセシビリティの観点からの都市構造評価
嚴先鏞
⾼齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
⻄堀 泰英
交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
楊甲
交通事故数予測モデルを踏まえた愛知県「三位一体」対策の提言
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金
無信号横断歩道での安全に 関する基礎研究 ~歩行者保護に資するソフト施策の視点から~
山崎基浩
⽴地適正化を⾒据えた豊⽥市の ⼈⼝動態に関する基礎的調査研究
⻄堀 泰英
中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向 に関する調査
安藤良輔、楊甲
豊田市におけるタクシーを活用した外出支援策に関する研究
福本雅之、加藤秀樹、西堀泰英
多様なモビリティの共存による 低炭素交通の実現 ~自動車CO2 排出量算定の改善に関する研究 ~
加藤 秀樹
⾃動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
⻄堀泰英
車両挙動を考慮した生活道路における高齢 運転者への助言型ISA 効果検証
楊 甲
立ち乗り型パーソナルモビリティの普及促進に向けた計画策定等業務委託
加藤秀樹/豊田市
平成28年度路面公共交通システム導入検討業務委託
西堀泰英/名古屋市
平成28年度 豊田市公共交通評価業務委託
福本雅之/豊田市
刈谷地区移動効率化ソリューション検討支援業務
樋口恵一/一般社団法人 中部経済連合会
(A)豊田エコ交通出前教室業務委託 (B)交通需要マネジメント関連施策業務委託
加藤透/豊田市
平成28年度猿投台地域予算提案事業 猿投台地区交通安全対策調査
西堀泰英/豊田市
(仮)歩行者通行空間整備計画作成業務委託
福本雅之/豊田市
平成28年とよたの交通事故作成委託
加藤透/豊田市交通安全市民会議
平成28年度豊田市交通事故データ調査委託
加藤透/豊田市
豊田市における貨物車の走行実態に関する基礎的研究(自主研究)
樋口恵一
豊田市TDM施策を評価する簡便な指標の研究
加藤透
乳幼児を伴う路線バス利用の際の障壁に関する研究
福本雅之
日報データによるタクシー利用特性に関する研究
福本雅之
多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現 ~ 次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討 ~
加藤 秀樹
自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
西堀 泰英
市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
山崎基浩
高齢者モビリティの選択要因と支援方策に関する研究(自主研究A)
樋口恵一
高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察
楊甲
県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
西堀 泰英
助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証
山崎基浩
高齢者のおでかけによるQOLの変化と中山間地域のまちづくり方策に関する研究
福本雅之・樋口恵一
交通データの情報収集と活用可能性に関する研究
樋口恵一
シームレスな移動を支援する極小パーソナルモビリティに関する研究
加藤 秀樹
豊田市でPHVを導入するメリットに関する実証的研究
楊甲
中山間地域における高齢者モビリティ調査
樋口恵一
走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
加藤秀樹
公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
福本雅之
交通事故の予防対策地点抽出に向けた研究
加藤秀樹
安全・円滑な自転車走行空間の実現に向けた総合研究
山崎基浩
ゾーン30の選定方法に関する研究
三村泰広
ICTを活用した速度提示に関する社会実験(2)
山崎基浩
ICTを活用した速度提示に関する社会実験 (1)
三村泰広
中山間地域における高齢者モビリティ調査
樋口恵一
走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
加藤秀樹
公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
福本雅之
スマートハウスを生かしたエネルギーマネジメントに関する基礎調査
加藤秀樹
道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
樋口恵一
通勤における自転車利用促進に関する研究
三村泰広
生活道路の安全性評価~交通事故・犯罪の発生件数に着目して~
樋口恵一
生活道路におけるISAに関する研究 (1-2)高齢運転者に与える車内助言型ISAの長期効果の計測
小野剛史
生活道路におけるISAに関する研究 (1-1)生活道路における電光掲示板による速度提示の効果計測
三村泰広
周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究
三村泰広
交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する研究
福本雅之
速度マネージメントに着目したエコドライブ普及施策の評価に関する研究
加藤秀樹
道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
三村泰広
道路利用者からの情報による渋滞状況把握手法に関する研究
柵木明夫
面的速度マネジメントの実現に関する総合研究
三村泰広
自転車利用時の交通安全に関する研究
研究分野
交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する基礎的検討
加藤秀樹
おいでんバス・地域バスの効率性分析
樋口恵一
面的速度マネジメントの導入効果に関する研究
三村泰広
鉄道(レールバス)廃線前後の行動・意識の変化
國定精豪
地域公共交通に関する研究②
山﨑基浩
地域公共交通に関する研究①
加知範康
障がい者の移動に関する研究
安藤良輔
環境・経済・社会による都市構造評価の枠組みと 豊田市を対象とした試算
加知範康
プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究
加藤秀樹
通勤における自転車の利用のあり方に関する研究
樋口恵一
豊田市の都市構造と交通システムの再検討に関する調査研究
安藤良輔
地方都市における企業TDMMMに関する研究
西堀泰英
速度マネジメントの実現に向けた研究
三村泰広
車両挙動および運転者意識分析に基づく公用車の安全走行に関する研究~ごみ収集車に着目して~
三村泰広
自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究
三村泰広
行動実態データに基づく障がい者のアクセシビリティ向上方策に関する研究
河合正吉
公共交通利用促進モデル事業「駅から自転車」実施報告書
國定精豪
交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
西堀泰英
現行法制度下における地域公共交通確保施策のあり方に関する研究
山﨑基浩
サービス享受度からみた公共交通の評価構造に関する研究
三村泰広
×
2022
歩行者優先意識の定着促進に資する地域活動方策
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
政策検討
研究題目または 報告書タイトル
歩行者優先意識の定着促進に資する地域活動方策
研究の背景・内容
【研究の背景と目的】
・ 致死率の高い「人対車両」事故の抑止をめざし、豊田市では平成28 年度から啓発施策として「歩行者保護モデルカー活動」を展開している。
・平成28 年度(受託)、29 年度(自主)に、ドライバーへのアンケート調査により同活動の評価分析を実施し、そこで得られた知見に基づき平成30 年度には無信号横断歩道での「能動的啓発活動」実証実験を実施(受託)した。
・豊田市ではその後「とまってくれてありがとう運動」はじめ歩行者優先運転の啓発施策を継続している。本研究ではその効果を検証するとともに「歩行
者を優先するクルマのまち豊田」のブランディングにつながる提言をめざす。
【研究内容と方法】
(1)歩行者優先運転の実態と地域比較
歩行者関連事故の実態およびJAF による歩行者優先運転の実態、地域特性指標を用いて、都道府県単位での地域比較分析を実施
さらに、豊田市、長野市、福井市、世田谷区で実施したアンケート調査結果から、地域毎の特徴を整理(一部科研費により対応)
(2)豊田市における施策の方向性
「クルマのまち」としてのブランドが確立している豊田市において、より効果的に歩行者を優先する運転行動を促すソフト施策の方向性を提示
研究結果・ 得られた知見等
本研究は JSPS 科研費JP20K04735 の助成により2023 年度も継続実施しており、一連の研究成果がまとまった段階で公表(2023 年12 月~2024年7月頃を予定)
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
本研究は JSPS 科研費JP20K04735 の助成により2023 年度も継続実施しており、一連の研究成果がまとまった段階で公表(2023 年12 月~2024年7月頃を予定)
所内の担当者氏名
山崎基浩(統括、調査、分析、まとめ)
協力先名
豊田市交通安全防犯課
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
本研究は JSPS 科研費JP20K04735 の助成により2023 年度も継続実施しており、一連の研究成果がまとまった段階で公表(2023 年12 月~2024年7月頃を予定)
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
無信号横断歩道での歩行者優先運転を促す能動的街頭啓発活動の効果、土木学会論文集D3 「政策と実践」特集号
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2022
高齢運転者を対象とした経路探索 アルゴリズムの開発
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
高齢運転者を対象とした経路探索アルゴリズムの開発
研究の背景・内容
高齢者運転支援対策として、安全運転支援システムを装備したセーフティ・サポートカーの普及が期待されている。ただし、新車への買い替え意向の低下、高齢者事故の特徴である出会い頭事故防止への対応の困難さ等が問題点である。高齢運転者にとって、事故発生リスクの高い道路状況を回避する経路の探索アルゴリズムを開発することが求められている。しかしながら、日本国では、高齢運転者を対象とした経路案内技術に関する研究や知見が極めて少ない現状にある。
本研究の目的は次の通りである。まず、高齢者による交通事故の削減を目指して、デジタル道路地図、交通事故情報及び高齢者のプローブデータなどを活用し、事故リスクが低い走行経路の探索アルゴリズムを提案する。また、インタビュー調査やアンケート調査を実施することで、構築した経路探索アルゴリズムの妥当性等を確認するとともに、高齢運転者を対象としたカーナビシステムの開発に対する基礎的な知見を得ることで、超高齢社会における安全な自動車利用に向けた提言を行う。
研究結果・ 得られた知見等
・既往研究のレビューを通じて、国内のカーナビ最新製品の運転支援情報提供内容を整理した。そして、日本国における交通事故リスクの評価手法について、高速道路、一般道路、細街路それぞれの道路区間を対象としたモデリング手法を把握した。また、自動車の走行経路を対象とした事故リスクの算定方法や高齢者の補償運転特性などを把握した。
・ 警察庁の公開した交通事故オープンデータを用いて、デジタル道路地図の「ノード」及び「リンク」を対象とした事故箇所の紐づけ方法を構築したうえ、自動車の走行経路を対象とした事故リスクの計算方法を提案した。
・WEBアンケート調査の実施を通じて、市販カーナビの問題点、事故リスクの低い経路探索に向けた要件、そして、高齢者への事故リスク情報の提供方法などを把握した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
<社会への貢献>
本研究では、デジタル道路地図、交通事故情報、交通規制、自動車プローブなどを踏まえた交通事故リスクを検討した結果は、高齢運転者を対象としたカーナビ開発のための参考資料として活用されることが期待される。
<研究特徴>
・ 新規性はデジタル道路地図、交通事故情報、高齢者のプローブデータの融合可能性を検討することである。
・ 独創性は高齢者を対象としたインタビュー調査やアンケート調査を通じて、その妥当性を確認することである
所内の担当者氏名
楊甲
協力先名
一般財団法人日本デジタル道路地図協会(研究助成金の提供者)
名古屋大学未来材料・システム研究所三輪富生准教授(共同研究者)
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
<今後の予定>
本研究の成果を取りまとめたものを国際ジャーナルAccident Analysis and Preventionなどに投稿する予定がある。
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
-
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2022
利用者の個人差を考慮した高齢者のMaaSに対する利用意向に関する調査研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
利用者の個人差を考慮した高齢者のMaaSに対する利用意向に関する調査研究
研究の背景・内容
高齢化社会が急速に進展しているなか、高齢者のモビリティに関する社会問題が顕著化しつつある。特に、交通利便性の低い中山間地域における運転免許を自主返納した後の移動手段の確保問題の検討は緊急かつ重要な課題となっている。中山間地域に居住している高齢者の移動手段を確保するための方策としては、欧米諸国において、普及が進んできたモビリティ・アズ・ア・サービス(以降、MaaSと称する)の導入が期待されている。なお、該当サービスを利用するため、キャッシュレス決済を使わなければいけないといった前提条件がある。また、利用者側の視点から、どのようなMaaSサービスが望ましいかに関する議論は極めて少なく、特に高齢者を対象としたMaaSの利用意向に関する調査研究はほとんどない。さらに、高齢者MaaS利用の課題として、デジタル・ディバイドや利用者の個人差が指摘されており、高齢者を対象に、MaaSの利用を円滑に促進させるため、これらの問題点を検討する必要がある。
本研究は高齢者を対象としたMaaSの受容性を向上させるための方策検討に向けて、デジタル・ディバイドの現状や解決策を整理するとともに、個人差を考慮したMaaSの利用意向の影響要因を把握することを目的とする。
研究結果・ 得られた知見等
国内の既往研究のレビューを通じて、高齢者のデジタル・ディバイドの実態や解決策を整理した。特に、高齢者を対象としたキャシュレス決済やスマートフォンの利用促進に向けた先進事例を整理した。
・ 国内で既に実施されたMaaS先進事例の報告資料(国土交通省)から、高齢者に関する課題を整理したうえ、高齢者にとって利用しづらい点を整理した。
・ 当研究所の自主研究によるWEBアンケート調査結果に適用できる利用者の個人差を考慮した選択行動分析モデルを構築し、愛知県豊田市民のMaaS利用意向の影響要因を把握した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
<社会への貢献>
本研究は高齢者を対象としたMaaS利用促進に向けた方策を検討するため、高齢者のデジタル・ディバイドの現状及び解決策、そして、個人差がMaaSの利用意向に影響を与える要因であると把握した結果は、地方自治体のMaaS事業を展開する際の参考資料として活用されることが期待される。
<研究特徴>
・ 先行研究による知見を踏まえた利用者側の視点から高齢者MaaSの利用意向の影響要因を調査する。
・ 「地方都市型」や「地方郊外・過疎地型」の両方を研究内容とする。
・ 利用者の個人差に着眼した利用意向の選択行動分析モデルを構築する。
所内の担当者氏名
楊甲
協力先名
名古屋大学未来材料・システム研究所 三輪富生准教授、工学研究科土木工学専攻博士後期課程学生 梁錦佳氏(共同研究者)
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
<今後の予定>
本研究の成果を取りまとめたものを国際ジャーナルTransport Policyなどに投稿する予定がある。
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
-
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2022
コロナ禍が豊田市の都市交通に与える影響のモニタリング
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査、解析、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
コロナ禍が地方都市の都市交通に与える影響のモニタリング
研究の背景・内容
コロナウィルスの影響が人々の想像を超えて長期化している。この変化がもたらした都市交通への影響は徐々に明らかになっている。例えば、ビジネス活動のサイバー空間への代替、それに伴う公共交通の利用減が報告されているが、この変化はコロナ禍前には戻らないであろうと言った懸念も併せて報告されている。R3年度の調査では、豊田市内主要道路における自動車交通量の減少傾向が見られている。この変化は交通事故の発生傾向に少なくない影響をもたらすことが予想されるし、それを踏まえた地方都市、豊田市における交通安全施策の方向性を議論する意義は少なくない。コロナ禍は地域における市民活動も様変わりさせている。当該活動の変化が住民の社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)に与える影響は容易に想定できる。このような背景の下、豊田市における都市交通へのコロナ禍の影響を多様かつ長期的観点から把握しておくことは、今後、コロナとの共存や克服を前提としたあるべき都市交通政策を打ち出すうえで重要である。本研究は、令和3年度に引き続き、コロナ禍が都市交通に与える影響をモニタリングすることで、将来にわたり生じようとしている都市交通上の課題を確認・整理し、With/Afterコロナ時代における豊田市の都市交通政策の方向性を提言しようとする。実施内容は以下のとおり。
(1)交通実態のモニタリング
(2)地域・イベント実態のモニタリング
(3)暮らしのモニタリング
(4)モニタリング結果を踏まえた豊田市の都市交通に対する提言
研究結果・ 得られた知見等
(1)交通実態のモニタリング
主に自動車交通の実態についてJATIC渋滞統計システムの活用を通じて整理した。結果、豊田市内でのコロナ禍における特定路線での渋滞発生傾向等を示した。また、豊田市内の交通事故実態について、愛知県警提供データ、警察庁オープンデータ等を活用し整理した。結果、コロナ禍において出会い頭事故、追突事故に特徴的傾向があることを示した。
(2)地域・イベント実態のモニタリング
市内の社会福祉法人ならびにR3意識調査回答者へのパネル調査結果を通じてイベント、市民参加の実態について整理した。結果、社会福祉法人が主催する活動数は概ね戻りつつあるものの、子育て関連の活動は停滞したままであること、市民活動への住民の参加頻度は減少しているもののこれも内容による違いがみられることを示した。
(3)暮らしのモニタリング
R3意識調査回答者へのパネル調査結果を通じて、活動時間、交通、希望居住地、中心市街地来訪の実態や、在宅勤務、利用交通手段の変化とその影響要因について整理・分析した。結果、在宅勤務実施者は当該日に外出を控える傾向にあること、公共交通以外の手段に転換した方の中でも、女性は戻る意思が低いことを示した。
(4)モニタリング結果を踏まえた豊田市の都市交通に対する提言
上記の結果を踏まえて、豊田市の都市交通に対する提言を行った。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・With/Afterコロナ時代の豊田市の都市交通政策の方向性にかかる基礎的知見を提供した。
・パネル調査データを活用した暮らしの時系列分析を実施することで、結果の因果関係(より確かな関係性)を捉えた。
所内の担当者氏名
三村泰広、山崎基浩、穆蕊、高桑俊康
協力先名
豊田市社会福祉協議会、株式会社マクロミル
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
なし
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
なし
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2022
豊田市駅前大型商業施設の開業による回遊行動への 影響に関する研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
豊田市駅前大型商業施設の開業による回遊行動への影響に関する研究
研究の背景・内容
・豊田市駅周辺 は、乗換等で通過するだけの移動が多 いことや、特定の店舗のみに立ち寄り駅周辺を回遊していないという現状があり 官民が協力して駅周辺の賑わいや回遊を創出するために、様々な施策やイベント等を実施してい る。
・一方で、豊田市駅周辺の大型商業施設であった
松坂屋豊田店が 2021 年 9 月 31日に閉店し、 2022 年 3 4 月にかけて、新たな商業施設がオープンした。
・
昨年度は、WiFi パケットセンサを用いて、松坂屋豊 田店の閉店が、駅周辺の回遊行動に与える影響評価を実施した が、 今年度も、引き続き、再オープンの影響評価を行った。
・さらに、 W iFi パケットセンサ に加えて、 KDDI Location Analyzer KLA で取得したデータ も活用して、来訪者の個人属性に関する分析も行った。
研究結果・ 得られた知見等
(1)WiFi パケットセンサデータ、および KLA データ を分析した結果、以下の知見が得られた。
・T FACE A 館の リニューアルオープン後、TM 若宮駐車場等、周辺施設の来訪者は回復傾向が見られる。ただし、来訪者の個人属性として は 、 20 40 歳代 が松坂屋閉店前より多くなった一方で、60 ・ 70 歳代 が 減少している可能性がある。
・また、 豊田市駅西側ペデストリアンデッキを起点とした回遊行動をみると、「新豊田駅・新とよパーク」や市駅東側の「ギャザ」や「喜多町2丁目交差点」への回遊は変化が見られなかった ことから、 T FACE A 館のリニューアルオープン が、通勤来訪者の回遊行動へ与えた影響や、豊田市駅の東西を跨ぐ回遊行動に与えた影響は、限定的と考えられる。
(2)以上 の 知見を踏まえ、 WEB アンケートにより 豊田市民等から、 豊田市中心部(駅周辺)で充実した時間を過ごすためのプランを得た。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・豊田市駅周辺の賑わいづくりや回遊促進 施策の検討に資する 客観的な 回遊行動データ と市民の主観的なプラン案 の収集
・
パケットセンサデータや歩行者交通量データ(パロッシーデータ)について、 BI (ビジネス・インテリジェンス)ツールを活用した データ共有方法を 検討
所内の担当者氏名
加藤秀樹、大澤脩司
協力先名
(共同研究者)
・山梨大学
名誉教授 豊木博泰 氏
・大阪工業大学
准教授 西堀泰英 氏
(協力先)
・
豊田市 都市整備部 都市整備課 、豊田市産業部商業観光課等
・豊田まちづくり株
式会社、豊田 市駅東開発株式会社、豊田市駅前通り南開発株式会社、豊田喜多町開発株式会社、豊田市駅前開発株式会社
・豊田市駅周辺地区エリマネ研究会、一般社団法人 TCCM 、豊田市美術館、豊田スタジアム、豊田市中央図書館、中心市街地の店舗等
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
・パケットセンサの新技術(Bluetooth パケット) により得られたデータ の 活用。
・2023 年度は、引き続き 、パケットセンサデータや各種データを活用したイベント時の来訪者の回遊行動の把握 について研究を実施する。
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
パケットセンサ等を用いた駅前大型店舗の閉店が来訪者の回遊行動に与えた影響関する研究、 第66 回土木計画 学研究発表会・ 講演集
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2022
高齢ドライバーの人間特性と運転行動を考慮した危険事象の推定
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
コロナ禍が豊田市の都市交通に与える影響のモニタリング
研究の背景・内容
高齢ドライバーが関わる交通事故の低減は重要な社会課題である。その対策の一つとして運転免許証更新時には、運転能力や技術水準をドライバー自信に把握させることを目的とした高齢者講習や認知機能検査が設けられている。しかし、その講習を担う現場の資源にはほとんど変化がなく、受講者の増加に対する負担増や効率化が課題となっている。そのため、運転免許証更新手続きに頼るばかりではなく、定期的に運転能力や技術を把握し、運転について見直す機会を設けることが重要であると考える。日常の運転の記録 運転モニタリング はその手段の一つ といえるが、一般のドライバーが運転モニタリングデータから運転の傾向を読み取ることは容易ではない。
本研究では、高齢ドライバーに関する様々なデータから運転傾向を把握するために、危険事象の発生可能性に着目し、人間特性データや運転行動データによる危険事象の推定を試みた。危険事象は危害を引き起こす可能性のある事象を指すが、急減速事例 (Rapid Deceleration Event: RDE) は加齢による機能変化と関連があり、交通事故の代替指標としても期待されていることから、本研究ではこれを危険事象の指標とした 。
分析には、名古屋大学 C OI の高麗 者 運転特性データベース D AHLIA DB) を使用した 。
D AHLIA DB に 登録されている高齢者のうち、人間特性データと運転行動データをもつ高齢者 84 名を分析対象とした。 R DE は、ドライブレコーダを用いて収集された運転モニタリングデータから抽出された。抽出の基準は、加速度と事象発生に関わる対象物の有無であり、強い急ブレーキに起因して抽出されたイベント記録から他車、歩行者、自転車、構造物、
信号などのきっかけがある事例を用いた。 人間特性データとしては、視覚機能や認知機能、運転に関する主観評価を用いた。運転行動データとしては、走行距離などの運転習慣や居住地の交差点数などの地域の情報を使用した。これらのデータを用いた回帰分析や構造解析を行い、 R DE に関連する要因の検討や発生可能性の推 定を試みた。
研究結果・ 得られた知見等
RDE と個人属性や認知機能、視覚機能、運転に関する意識、走行距離などの関連性を示し、各要因の成績を操作することによって、 R DE の発生可能性を推定することができた。
RDE を 交差点の標識の有無などで分類した構造解析により、要因間の関係性を視覚化し、発生水準が推論できる可能性を得た。
分析の過程で運転モニタリングデータを精査した結果、N aturalistic Driving Study を含む運転モニタリングの方法論に関する知見が得られた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
認知機能や視覚機能、アンケート結果など高齢者講習でも得られる情報から高齢ドライバーの R DE の発生可能性を推定した。
運転モニタリングの方法論に関する提案 。
所内の担当者氏名
山岸未沙子
協力先名
名古屋大学未来社会創造機構人間加齢特性研究室
D AHLIA DB の維持管理 青木宏文教授
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
RDE に関して、個体差を組み込んだ解析手法やデータ分布を考慮した解析手法についての再検討。
各分析から得られた知見を用いた具体的な利用方法の提案。
運転モニタリングデータの活用推進方策の検討。
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
なし
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2022
これからの「生活道路」空間マネジメントに関する研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
これからの「生活道路」空間マネジメントに関する研究
研究の背景・内容
多様な主体が利用する生活道路では,様々な主体の行動をいかに安全側へ促せるかが重要な視点となる.国土交通省,警察庁は,物理デバイスの導入を前提とする「ゾーン30プラス」の検討を進めているが,それは交通規制単独での実効性への懸念が背景にある.豊田市内でも住民が実効性の懸念からゾーン30の在り方に対しての対応を検討し始めている地区(井郷)もあるなど,居住者の身近な道路という観点からの空間整備の合意形成や維持管理を含めた議論もある.「みち」の在り方のダイナミズムのなかでも,いわゆる「生活道路の空間マネジメントの在り方」への希求が今まさに求められているのではないか.面的速度マネジメントなどの過去の成果を振り返りつつ,これからの豊田市におけるあるべき生活道路像を目指すための基礎的な検討を進めることは,意義がある.本研究は,これまでの生活道路対策,なかでも広く普及するゾーン30に主眼を置き,これからの豊田市における安全・安心かつ持続可能な「生活道路」空間マネジメントに関する基礎的な考察をすることを目的としている.
研究結果・ 得られた知見等
(1)生活道路空間の整備に関する既往研究の整理
特にゾーン対策を中心とする生活道路空間の整備に関する既往研究を整理した.結果,我が国ではゾーン30およびコミュニティゾーン整備に係る研究蓄積が多いこと,コミュニティゾーンを対象とした研究では住民参加,住民意識について分析したものが多い一方,ゾーン30を対象とした研究では蓄積が少ないことを示した.
(2)対策実施にかかるプロセスの把握
ゾーン30を事例にエリア指定,物理デバイスの導入にかかるプロセスの実態について,愛知県内の中核市の道路管理者・交通管理者へのヒアリングを通じて整理した.結果,整備目標年次(H28年末)までは警察発意の指定が多く,それ以降も継続的にエリア指定を行うのは住民発意の例が多いことを示した.
(3)生活道路に対する住民意識の把握
道路整備・管理に対する地方都市住民意識調査の結果を用い,生活道路に対する住民意識を把握した.結果,地方都市に住む住民は,生活道路の価値として,安全・安心,交通弱者の使いやすさ・通りやすさを重視している一方,これらの価値に対する意識の高さが,行政主導で維持管理すべきとする意向の高さと相関することを示した.
(4)生活道路空間マネジメントの在り方に関する考察
上記の成果を踏まえ,豊田市における「生活道路」空間マネジメントの在り方について考察した.
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
ゾーン30プラスといった新たな生活道路整備推進にあたっての参考資料を提供
所内の担当者氏名
三村泰広
協力先名
共同研究者:豊田工業高等専門学校山岡俊一教授
協力依頼先:愛知県警察交通部交通規制課,豊田市社会部交通安全防犯課,一宮市まちづくり部地域交通課,豊橋市建設部道路維持課,岡崎市市民安全部防犯交通安全課
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
ヒアリング
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
・三村泰広, 山岡俊一, 富永哲史, 地方都市における道路種別と地域性からみた道路維持管理の住民意識に関する研究, 土木計画学研究・講演集, Vol.65 , 2022
・三村泰広, ⼭岡俊⼀, 富永哲史, 地⽅都市の⽣活道路の価値に対する住⺠意識に関する研究:道路整備・維持管理における当事者意識の醸成に向けて, 土木計画学研究・講演集, Vol.66 , 2022
×
2022
歩車分離信号の効果に関する研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、解析、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
歩車分離信号の効果に関する研究
研究の背景・内容
(背景)
・歩車分離式信号(以下、歩車分離と略称)は歩行者が自動車に阻害されず、特に左折巻き込み事故の防止に効果が期待できる。「愛知県における持続可能な交通安全施設等の整備の在り方」(2021年3月発行、以下「愛交安」と略称):愛知県では歩車分離の整備により、横断歩道横断中事故が約63.6%減少した。今後も、整備数を大幅に増やしていく方針がある。豊田市交通安全計画第11次(2021-2026)でも、歩車分離の整備等を推進する方針が記載されている。
・一方、地元や住民は、歩車分離が安全になるものの、渋滞の発生や待ち時間の増加などが懸念されており、歩車分離の推進は進めにくい状況である。そのため、地元や住民の心配を解消し、歩車分離の推進をスムーズに進めることが課題となっている。
・「愛交安」を含めた既往研究では、二つ以上隣接している交差点への歩車分離導入効果の予測に関する研究はない。
(内容)
・2つ以上隣接している交差点(以下、交差点群と略称)に同時に歩車分離を導入すれば、一つだけに導入するより渋滞を解消できるという仮説を立て、豊田市内のある交差点群を対象に複数のシナリオを想定し、平均遅延時間を評価指標としてシミュレーションで検証する。
・対象となる交差点群は交通事故削減の観点から、豊田市内のすべての信号付き交差点のうち、歩行者通行量や過去の交通事故数、交差点の幾何条件などを考慮して選定する。
・シナリオについては、それぞれ、交差点群のうち1つにだけ歩車分離を導入するシナリオ、隣接している2つの交差点に歩車分離を導入する組み合わせのシナリオ、交差点群全体に同時に歩車分離を導入するシナリオに加えて、系統制御を考慮した2つの交差点の歩行者専用現示導入後現示順位による効果を想定した2つのパターンを組み合わせた計15のシナリオを想定する。自動車平均遅延時間を減少させる歩行者交通流量の限界条件を求めるため、歩行者交通流量を増加した検証も行う。
・効果評価については、自動車類や歩行者類それぞれについて、導入前後や交差点群に1つだけ、2つ以上導入した場合の平均遅延時間の変化を評価する。
研究結果・ 得られた知見等
検証結果について、歩行者が少ない場合に(調査した交差点の最多は186人/時間)、仮説が成立しないことが明らかになる。交差点群に導入する場合、一つずつ導入するよりも平均遅延時間の増加が多くなることが示された。一方で、各交差点歩行者交通流量が500人/時間を想定した検証結果からは、主道路と従道路の自動車交通流量比が低い交差点に歩車分離信号導入の必要がある場合、当該交差点が含まれる交差点群に歩車分離信号を導入することは当該交差点だけに導入する場合より平均遅延時間が少なく、交通の円滑化に寄与することが示唆された。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
(社会への貢献)
歩車分離を導入する際に、二つ以上の交差点を同時に導入することで渋滞を解消できるという仮説を検証した。歩行者流量が多い駅周辺などに、交差点群に歩車分離信号導入の検討が考えられる。
(技術の特徴)
ミクロシミュレーションを用いて、小規模交通ネットワークにおける歩車分離導入の効果を予測した。サイクルごとに交差点交通調査データを基にして、トリップごとに現況を再現するためのルート生成アルゴリズム(以下、現況再現アルゴリズムと略称)を構築した。
所内の担当者氏名
穆蕊
協力先名
愛知県警察本部交通規制課、豊田市市役所安全防犯課
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
・歩車分離の推進は困難であり、歩車分離に関する研究も少ないため、歩車分離導入効果の予測に関する研究が期待されている。
・上記の現況再現アルゴリズムの計算時間が長いため、アルゴリズムの改善を予定している。
関連論文(2022年) (当年報掲載ページ)
なし
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2021
歩行者優先意識の定着促進 に資する地域活動方策
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
歩行者優先意識の定着促進に資する地域活動方策
研究の背景・内容
【研究の背景と目的】
・致死率の高い「人対車両」事故の抑止をめざし、豊田市では平成28年度から啓発施策として「歩行者保護モデルカー活動」を展開している。
・平成28年度(受託)、29年度(自主)に、ドライバーへのアンケート調査により同活動の評価分析を実施し、そこで得られた知見に基づき平成30年度には無信号横断歩道での「能動的啓発活動」実証実験を実施(受託)した。
・豊田市ではその後「とまってくれてありがとう運動」はじめ歩行者優先運転の啓発施策を継続している。本研究ではその効果を検証するとともに「歩行者を優先するクルマのまち豊田」のブランディングにつながる提言をめざす。
【研究内容と方法】
(1)歩行者優先施策実施状況の整理
豊田市および国内外で実施されている人対車両事故対策についてハード・ソフト両面から体系的に整理
(2)歩行者優先意識調査の実施
ドライバーへのアンケート調査により歩行者優先意識を調査し、豊田市が取り組んでいる歩行者優先施策を評価
(3)歩行者優先意識調査の実施
ドライバーへのアンケート調査により歩行者優先意識を調査し、豊田市が取り組んでいる歩行者優先施策を評価
研究結果・ 得られた知見等
・豊田市の歩行者優先施策の認知は高まっており、ドライバーは意識の上では歩行者保護運転行動を心がけている人が増加していると推察される。
・ただし、交通事故削減にはつながっておらず、道路環境的な要因や歩行者の行動規範に訴求する対策も必要と考えられる。
・豊田市の交通安全をブランド化するためのキーワード整理
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・ドライバーの歩行者優先意識向上に資する知見および今後の対策を効果的に展開する方策の提示
所内の担当者氏名
主担当 山崎基浩(統括、調査、分析、まとめ)
協力先名
豊田市交通安全防犯課
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
・令和4年度には歩行者優先行動を促す「豊田市の交通安全ブランド」の構築に向け、豊田市交通安全防犯課とともに検討を進め、事故データ分析等により歩行者事故を削減するための実効的な方策を整理する
関連論文(2021年) (当年報掲載ページ)
無信号横断歩道での歩行者優先運転を促す能動的街頭啓発活動の効果、土木学会論文集D3 「政策と実践」特集号
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2021
駅前大型店舗閉店に伴う 豊田市中心部の流動変化の把握
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
調査、解析
研究題目または 報告書タイトル
駅前大型店舗閉店に伴う豊田市中心部の流動変化の把握
研究の背景・内容
(背景)
2021 年9 月30 日に豊田市駅に隣接する松坂屋豊田店が閉店し、豊田市中心部
の流動にどのような影響をもたらすのか等に関心が集まっている。また、豊田市役所
や駅周辺商業施設から、新技術を活用して賑わいや流動変化の評価を行うことに期待
が寄せられている。
(内容)
(1)Wi-Fi パケットセンサの追加設置
(2)Wi-Fi パケットセンサ等のビックデータの分析
(3)豊田市民を対象としたアンケート調査
研究結果・ 得られた知見等
(1)豊田市駅周辺を中心として、既設センサと合わせて43 基のパケットセンサを
設置した。
(2)WiFi パケットデータを用いた回遊行動の分析から、松坂屋豊田店の閉店の影響
として、豊田市駅西側の来訪・東西の回遊が減少するという影響がみられた。
(3)また、アンケート調査から、影響を受けた方は、どのような代替店舗を利用す
るかという観点から、2 つのグループに分けられることがわかった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・豊田市駅周辺の賑わいづくり施策の検討に資する回遊行動データの収集
・パケットセンサの新技術(Bluetooth パケット)の導入
所内の担当者氏名・ 担当者
加藤秀樹
協力先名
(共同研究者)
・山梨大学 名誉教授 豊木博泰 氏
・大阪工業大学 准教授 西堀泰英 氏
(協力先)
・愛知県都市・交通局交通対策課、豊田市産業部商業観光課等
・豊田まちづくり株式会社、豊田市駅東開発株式会社、豊田市駅前通り南開発株式会
社、豊田喜多町開発株式会社、豊田市駅前開発株式会社
・豊田市駅周辺地区エリマネ研究会、一般社団法人TCCM、豊田市美術館、豊田ス
タジアム、豊田市中央図書館、中心市街地の店舗等
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
2022 年度は、引き続き新店舗開店による回遊行動への影響について研究を実施す
る。
関連論文(2021年度)
ー
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2021
空間構造と利⽤者⼼理を踏まえた安全・安⼼な ⾃転⾞通⾏空間整備⽅策に関する研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、解析
研究題目または 報告書タイトル
空間構造と利用者心理を踏まえた安全・安心な自転車通行空間整備方策に関する研究
研究の背景・内容
自転車は,昭和40 年代の自転車の歩道通行を可能とする交通規制の導入以降,車両と
しての自転車の位置付けや通行空間が曖昧なままに道路基盤が整備され,自転車と歩行
者の交通事故の増加などの弊害が生じてきた.この解消に向け,警察庁及び国土交通省
では平成23 年以降,自転車の車両としての位置付け及び通行空間のあり方に関するガ
イドラインの作成や法改正等を実施してきた.しかし,実際にはガイドラインの指針か
ら推定される空間整備の内容と乖離した空間整備がなされている例が多い.通行空間の
適正利用阻害にもつながるこの原因として,ガイドラインにおける「暫定形態」という
位置づけでの整備を認めていることもあろうが,都市交通における自転車の位置づけは
都市より異なり,全国一律の方針がそぐわないということもある.また,そもそも車道
走行が前提となる自転車通行空間の利用において最も重要なキーワードは「安全・安
心」といった心理的要因である(坪井,三村他,2019).これらの観点を踏まえた空
間整備方策を提示していく意義は少なくない.
本研究では,過年度研究及び既往研究より明らかとなっている道路の空間構造や利用者
特性からみた通行空間別の自転車車道通行率(通行率の高さ=安心の高さ)及び,通行
位置別の事故の発生および被害程度(事故リスクの低さ=安全の高さ)を加味した,自
転車通行空間の評価モデルを構築し,豊田市に適用することで,安全,安心の観点から
みた適正な自転車通行空間の整備方策を提言した.
研究結果・ 得られた知見等
(1)通行空間別の自転車車道通行率の整理
より実際の条件に近いVR(Virtual Reality)を用いた手法により,構造的要因およ
び利用者特性からみた車道通行率推定モデルを構築した.また,当該モデルの解釈を通
じて,車道走行に影響を与える要因を特定した.
(2)通行空間整備による自転車事故発生状況の整理
豊田市を含む愛知県内の自転車通行空間における自転車交通事故の発生状況を整理し
た.
(3)自転車通行空間の評価モデルの構築
(2)の成果を通じて,自転車事故発生件数推定モデルを構築し,自転車通行空間の
整備が交通事故削減に与える影響について整理した.
(4)豊田市での適用および安全,安心の観点からみた適正な自転車通行空間の整備方
策の提言
(3)のモデルを豊田市の道路網に適用し,安全,安心の観点からみたよりよい自転
車通行空間の整備方策を提言した.
研究成果 社会への貢献, 報告,技術的特徴等
・豊田市における今後の自転車通行空間整備の方向性に資する成果を提供
・VR を用いた車道通行率推定の有効性を明示
・自転車事故件数推定のためのモデルを構築
所内の担当者氏名・ 担当者
三村泰広・坪井志朗
協力先名
嶋田喜昭教授,菅野甲明技術職員(大同大学),株式会社マクロミル(調査担当)
問題点・課題・今後の 研究予定・その他
・本研究の一部は,令和4 年度実施予定の自主研究(これからの「生活道路」空間マネジメントに関する研究)にて継続予定である.
関連論文(2021年 度)
ー
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2021
高齢運転者を対象としたテレマティクス自動車保険の社会受容性に関する実証的研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
高齢運転者を対象としたテレマティクス自動車保険の社会受容性に関する実証的研究
研究の背景・内容
近年、交通事故防止に繋げようとして、自動車プローブデータに基づく先端的な情報通信技術を活用した新たな保険サービス(テレマティクス保険)が開発され、販売開始された。該当保険商品の多数はドラレコを搭載せず、利用者の走行距離や運転行動によって、保険料が変動するものである。このような自動車保険を活用することで、保険会社から運転行動の診断レポートが取得できる高齢者が自分の運転行動を自覚することは、高齢運転者のより一層の安全運転が確保できるなどの効果が予想される。今、大きな社会問題となっている高齢運転者による交通事故の予防対策になるのではないかとの議論が行われている。一方で、該当保険は大手損害保険会社のみに提供されているため、場合によって、格安自動車保険の利用者は、契約先を変更する必要がある。よって、経済的な負担になる可能性があり、高齢運転者は受け入れるかどうかは不明確である。
本研究はテレマティクス自動車保険の社会展開に向けた方策を検討するため、高齢者を含む運転者を対象に、インタビューやアンケート調査を通じて、その社会受容性を把握することを目的とする。
研究結果・ 得られた知見等
・先進的自動車保険(テレマティクス保険、ドラレコ特約付き保険)を利用している高齢者を対象としたインタビュー調査を実施することで、1)自動車保険が運転行動の改善につながる効果、2)自動車保険の利用に関する課題、3)自動車保険は高齢者の運転寿命を延ばす可能性等を把握した。
・ 先進的自動車保険の非利用者を対象としたアンケート調査を実施することで、テレマティクス保険、ドラレコ特約付き保険の利用意向に影響を与える要因を明らかにしたとともに、非高齢者と比較した高齢者利用意向の特徴も把握した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
<社会への貢献>
本研究は、高齢運転者を対象に、先進的自動車保険の利用状況の実態把握及び該当自動車保険の利用促進に向けた方策の検討を実施することで、近年、我が国で注目されている情報通信技術を活用した高齢運転者の安全運転対策に当たり、社会ニーズが高い研究といえる。本研究の調査結果は、高齢運転者が先進的自動車保険に買い替える際の参考資料として活用されることが期待される。
<研究特徴>
・ 競合関係があると考えられるドラレコ特約付き保険も研究内容とする。
・ 高齢運転者を対象とした先進的自動車保険の受容性を把握する。
・ 先進的自動車保険の利用意向を解析するための行動分析モデルを構築する。
所内の担当者氏名・ 担当者
楊甲
協力先名
公益財団法人三井住友海上福祉財団(研究助成金の提供先)
名古屋大学未来材料・システム研究所山本俊行教授(共同研究者)
豊橋技術科学大学蔡万里准教授、名古屋商科大学シンタン准教授(共同研究者)
楽天インサイト株式会社(インタビュー調査対象募集・アンケート調査の委託先)
問題点・課題今後の研究予定・その他
<今後の予定>
本研究の成果を取りまとめたものは日本保険学会の研究発表会、国際ジャーナルのAccident Analysis and Preventionなどに投稿する予定がある。
関連論文(2021年度)
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2021
地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅に関する基礎的研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
調査、解析
研究題⽬または 報告書タイトル
地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅に関する基礎的研究
研究の背景・内 容
少⼦⾼齢化の波は必⾄であり,それは特に豊⽥市をはじめとする地⽅都市の喫緊の課題である.この
問題は道路⾏政の在り⽅においても多⼤な影響をもたらす.例えば,⺠⽣費の増加分を補填するた
め,優先順位の低いとされる事業費を低減せざるをえないが,そこに緊急性のわかりづらい「道路イ
ンフラの更新費」が地⽅であるほど当てがわれやすいといった指摘がある(⽵本, 2020).財源の問
題以外にも乗⽤⾞交通量の頭打ち傾向(leveling off)の議論(兵藤, 2013),⾼齢⼈⼝が圧倒的とな
る⼈⼝構成の変化やコロナ禍を契機に広がりをみせるリモートワークなど,みちを使う「⼈」の⾏動
パターン変化の問題が予想される.このような状況が織りなす変⾰の影響は⼤きいものと考えるが,
そのわかりづらさ,変化のゆるやかさからか,地⽅都市⾏政において危機意識が醸成されず,それら
を踏まえたみちの在り⽅に関する議論が進んでいない可能性がある.
本研究は,「みち」に求められる価値や維持管理の在り⽅について,特に地⽅に住まう道路利⽤者側
の意識を紐解くことで,地⽅都市におけるこれからの「みち」の在り⽅について考察を⾏った.
研究結果・ 得られた知⾒等
(1)みちの価値
・みちに求める価値が⽐較的⾼いのは,「交通事故にあう危険性が低いこと」,「犯罪にあう危険性
が低いこと」といった安全・安⼼に関わるものであった.対照的に,求める価値が相対的に低いの
は,「空間ににぎわいがあること」であることを⽰した.
・みちに求める価値は道路種別による⼤きな違いはみられない⼀⽅,当該道路の所在する地域性や道
路環境,回答者の居住地,属性,使⽤交通⼿段による違いは顕著にみられることを⽰した.
・みちの在り⽅を住⺠らが「⾃分ごと」として捉えていくためのアプローチとして,安全・安⼼とい
った総論をきっかけに,地域性や居住地の⼈⼝構成なども踏まえつつ各論での調整を⾏うファシリ
テーションが有⽤であることを指摘した.
(2)みちの維持管理
・道路維持管理の重要性について,もっとも維持管理を⾏うべきと住⺠に考えられている道路は,中
⼼市街地の幹線道路であり,対照的に,維持管理の重要性が相対的に低いのは,中⼭間地域の幹線
道路であることを⽰した.また,中⼼市街地では幹線道路の維持管理の重要性が⾼く,郊外,中⼭
間地域では,⽣活道路の維持管理の重要性が⾼くなるといった意識の逆転が⽣じることを⽰した.
加えて,中⼼市街地や市街地に居住する回答者ほど,郊外,中⼭間地域の維持管理を重要と考えて
いないこと,中⼭間地域に居住する回答者は,特に中⼭間地域の道路の維持管理の重要性を⾼く考
えている傾向にあることを⽰した.
・道路維持管理の⽅法について,⾏政管理ならびに沿道企業・組織⽀援の受容性が⾼く,地域住⺠⽀
援ならびに道路利⽤者⽀援の受容性が低いことを⽰した.特にこの傾向は,費⽤的課題の予想され
るような中⼭間地域の道路ほど強く⽣じていることを⽰した.
・道路維持管理に対する住⺠意識に対して,属性,モビリティ,居住地域の道路環境が⾼度に有意に
影響を与える要因であり,居住地の影響は特に道路維持管理⽅法の受容性においてほとんど有意と
ならないことを重回帰モデルの構築を通じて明らかにした.また,当該分析の結果を通じて,沿道
企業・組織⽀援による道路維持管理が,まずもっての当事者意識を醸成する場として現実的な⽅向
性である点を指摘した.また,そのような取組みを進めるに際しては,⼥性や若年層の取り込み,
その組織化が有益である可能性がある点を指摘した.
研究成果・社会 への貢献,報告, 技術的特徴等
・豊⽥市における今後のみちづくりの⽅向性に資する成果を提供
・特に,空間特性や居住地特性を踏まえた利⽤者意識に関する知⾒を提供
所内の担当者⽒ 名
三村泰広
協⼒先名
⼭岡俊⼀教授(豊⽥⼯業⾼等専⾨学校),株式会社マクロミル(調査担当)
問題点・課題・ 今後の研究予 定・その他
・本研究の⼀部は,令和4 年度実施予定の⾃主研究(これからの「⽣活道路」空間マネジメントに関
する研究)にて継続予定である.
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2021
リアルタイム情報に基づく平面交差点 信号制御システム最適化に関する研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査、解析
研究題目または 報告書タイトル
リアタイム情報に基づいて平面交差点信号制御システム最適化に関する研究
研究の背景・内容
(背景)
これからのAI時代では、リアルタイム車群情報を獲得し、信号制御システムの変革が期待されている。前年度の自主研究では平面交差点に対して、リアルタイム情報に基づいた平均遅延時間最小化を目指す信号制御アルゴリズムを構築した。ただし、渋滞(予定青時間内に車群を処理できない)が発生した場合の対応方法について、さらなる検討が必要です。また、異なる交通流条件で、特に激しい交通流量が変化した場合、アルゴリズムの検証も必要になる。
(内容)
渋滞が発生した場合の対応方法を検討する。下記二つの対応方法を検討予定。①「交通密度によって交通流量を算出した上、最適な信号時間を再計算」(オリジナル)
②「青時間を2秒ずつ延長」(実在感応型信号の対応方法からの発想)
二つの視点から交通流量シナリオを想定し、検証を行う。一つ目は、前年度の通り、検証時間内一定の交通発生率を用いて、南北方向と東西方向の交通流量不変、増加と減少の組み合わせで全9パターン。二つ目は、検証時間内に南北方向と東西方向から発生した交通流量が不変で、10分あるいは20分の時間単位で交通発生率を増加または減少させて、全4パターン。そして、(1)伝統的な方法、(2)構築したアルゴリズムで、渋滞発生(予定青時間内車群を処理できない)場合の対応方法①、(3)(2)と同じ場合の対応方法②全三つの方法をシミュレーションによって検証を完成する。
豊田市に実在の東新町2の交差点で交通調査を実施し、交通流量とMODERATOで制御している信号時間のデータを用いて、構築したアルゴリズムと実際に行っているMODERATOの効果を比較し、検証する。
研究結果・ 得られた知見等
視点1の検証結果、交通流量が多いシナリオで、開発したアルゴリズムのパフォーマンスがよい。交通流量が多い東西方向の交通流量を増加させれば、アルゴリズムの処理能力が顕著に高くなる。
視点2の検証結果、全部のシナリオで、開発したアルゴリズムのパフォーマンスはよい。現示の需要率(飽和度)の比が大幅に変化させれば、伝統的な信号制御方法より開発したアルゴリズムの交通流処理能力が高くなる。
一定時間内の交通流量の利用ではなく、交通流の動的情報を利用するため、従来の研究より単純に渋滞の緩和ではなく、一定程度の渋滞の発生を回避できる。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
(社会への貢献)
構築した非線形モデルは、単独交差点のサービス水準を向上させることができると言える。特に、交通需要が多い場合において、その効果が顕著になるので、単独交差点への実用化を期待する。
(技術的特徴)
1秒ごとに信号制御の時間設定を更新できるアルゴリズムを開発した。リアルタイム情報に基づいた平均遅延時間最小化を目指す非線形計画モデルの計算結果によって、信号制御時間を決定する方法を提案した。想定した車群のリアルタイム情報を獲得する設備は、日本に広範囲で設置されている光ビーコンである。
所内の担当者氏名・ 担当者
穆蕊
協力先名
-
問題点・課題・今後の研究予定・その他
交差点の飽和度が1以上の場合、アルゴリズムの処理能力の改善を検討する予定。
関連論文(2021年度)(当年報掲載ページ)
穆蕊:単独平面交差点の遅延時間計算方法と伝統的な信号制御設計方法に関するレビュー、第63回土木計画学研究・講演集, CD-ROM, 2021
Rui Mu, Yasuhide Nishihori, Hideki Kato, Ryosuke Ando, Traffic Signal Optimization Models Minimizing Vehicles’ Average Delay in an Isolated Signalized Intersection, Volumn 14, Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies
穆蕊, 山崎基浩, 安藤良輔:リアルタイム情報に基づいた平面交差点信号制御アルゴリズムと検証、第19回ITSシンポジウム講演集,2021
Rui MU, Motohiro YAMAZAKI, Yasuhide NISHIHORI, and Ryosuke ANDO: Verification of Signal Control Using a Nonlinear Programming Model by Simulation: A Pre-research for Signal Control Based on Real Time Information, Proceedings of CICTP 2020-21, Dec., 2021
×
2021
地方都市での MaaS導入が 高齢者に与える価値の多角的評価
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
地方都市でのMaaS導入が高齢者に与える価値の多角的評価
研究の背景・内容
・2040年には、豊田市の65歳以上人口割合は29.6%に達すると推計
・MaaSといった新たなモビリティーサービスの活用による、交通サービス問題の解決に期待
・高齢者の移動手段確保が必要 高齢者のMaaS利用意向が高い(石井2020)
・豊田市の中山間地では、マイカー相乗りや、タクシー相乗り、コムス、自動運転などの導入が実施・検討。名鉄バスでは、定額で乗り放題のシニアパスがある
⇒MaaSの導入による高齢者の活動の広がりが期待される
研究結果・ 得られた知見等
乗り放題施策
・電車+バス+タクシーの乗り放題プランに対する購入意向モデルを構築した
→バス停や鉄道駅まで距離が長い人や歩行可能距離が短い人、バス電車タクシーのみの利用者で利用意向が示された。
→乗り放題プランに対する購入意向は購入金額が3万円/月の場合に大きく低下することがしめされた
→プラン利用意向のある人の外出や会話の促進がみられる結果であった
タクシーとバスの乗り継ぎ施策
・バスとタクシーの乗り継ぎプランに対する購入意向モデルを構築した
→現在の交通状況が「バス・電車のみ」の人や,自由に使える自家用車を保有していない人,階段の上り下りが困難な人で外出頻度が増加することが示された
→タクシーの割引率が大きくない場合でも,予約日や乗り継ぎ環境,乗り継ぎ時間の設定によっては,利用される可能性が示された
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
第66回土木計画学研究発表会(秋大会)にて研究成果の発表予定
所内の担当者氏名・ 担当者
鈴木 雄
協力先名
秋田大学 日野智 准教授
問題点・課題・今後の研究予定・その他
・新型コロナウィルスの蔓延により、当初予定していた乗車体験の実証実験が実施できなかった。
・実証実験対象者の絞り込みは終わっているため、来年度新型ロロナウィルスの状況をみて実証実験を開催する予定
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2021
コロナ禍が豊⽥市の都市交通に与える影響のモニタリング
研究分野
暮らしを⽀える交通
業務類型
調査、解析、政策検討
研究題⽬または 報告書タイトル
コロナ禍が豊⽥市の都市交通に与える影響のモニタリング
研究の背景・内 容
新型コロナウィルスの感染爆発(パンデミック)は,我々の暮らしを⼤きく変えている.令
和3 年に⼊りワクチン接種が進んだものの,ブレイクスルー感染と呼ばれる,ワクチンが
効果を発揮しづらい,感染⼒の⾼い変異株が広がりを⾒せている.このウイルスが今後,ど
のような形で終息していくのか⾒えない中で,この影響は豊⽥市に暮らす我々に対して短
期的なものにとどまらず,中⻑期的に様々な影響を与える可能性がある.例えば,⻑期的変
化を強いられた環境では新たな⾏動様式や意識の定着を⽣じさせることを予想させるが,
それによって新たに発⽣する及び将来的に確度⾼く⽣じうる都市交通上の課題は時々刻々
と変化していくことが予想される.このような背景の下,都市交通へのコロナ禍の影響を多
様かつ⻑期的観点から把握しておくことは,今後,⼈類がコロナ禍を克服したなかで,しな
やかにあるべき都市交通政策を打ち出すうえで重要ではないかと考える.
本研究は,現在様々な地域で⾏われている関連調査,成果を俯瞰しつつ,コロナ禍が豊⽥
市の都市交通に与えている,与えようとする影響をモニタリングすることで,そこで⽣じて
きた,⽣じようとしている都市交通上の課題を確認・整理し,地⽅都市の豊⽥市であるから
こそ⽣じる課題に対する政策等を提⾔しようとするものである.
研究結果・ 得られた知⾒等
(1)既往調査,研究のレビュー
国内外で実施されているコロナ禍の都市交通への影響に関する調査結果をレビューすると
ともに,豊⽥市の公共交通利⽤実態(おいでんバス),主要幹線道路における⾃動⾞交通量,
渋滞状況(JARTIC データ)結果を整理しつつ,豊⽥市の特徴について考察を⾏った.その
結果,全国同様,公共交通利⽤者の回復が鈍化していること,主要幹線道路の交通量が減少
傾向にあることが整理された.
(2)個⼈の⾏動・意識のモニタリング
個⼈の意識および⾏動の変化について,R2 年度の内容を参考としつつ,意識調査を実施し,
1)外出・活動等への影響,2)意識⾯への影響を把握した.結果,豊⽥市における買い物頻
度の将来的な減少予測,同居家族以外との会話頻度の低下などが明⽰された.
(3)事業者の実態および意識のモニタリング
事業所・物流の実態を把握するため,1)市内主要事業所に対して従業者通勤・業務移動の
状況,リモートワークの実施状況,売上傾向,⽣じた課題等,2)市内物流の多数を占める
トヨタ⾃動⾞の流通変化などの実態を把握した.結果,緊急事態宣⾔下における物流減少が
確認された.
(4)課題の影響程度を踏まえた豊⽥市に対する提⾔
(1)〜(3)の結果を踏まえ,課題の影響程度を踏まえた豊⽥市に⽣じる課題に対する政策
を提⾔した.
研究成果 社会への貢献, 報告,技術的特 徴等
・定量的データを⽤いて得られた各モニタリング結果から想定される課題について,その影
響程度を踏まえた対処すべき時期を明確化し,豊⽥市に⽣じる課題に対する政策および
その対応優先順位等を提⾔
所内の担当者⽒ 名・ 担当者
三村泰広・⼭崎基浩・鈴⽊雄・⾼桑俊康・穆蕊
協⼒先名
トヨタ⾃動⾞株式会社,豊⽥商⼯会議所,豊⽥市交通政策課,株式会社マクロミル
問題点・課題・ 今後の研究予 定・その他
本研究課題は令和4 年度も継続予定である.
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2020
地域連携による高齢者MMの可能性検討~前期高齢者を対象とした地域連携MM~
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
政策検討
研究題⽬または報告書タイトル
地域連携による高齢者MMの可能性検討
~前期高齢者を対象とした地域連携MM~
研究の背景・内容
【研究の背景と目的】
・令和元年度の研究では、高齢者自身の「終活と連動した交通行動計画」の可能性を考察し、MMツールのイメージを設計した。
・また、関連研究(下山地域での高齢者MM等)や既往資料から得られた知見の一つとして「男性高齢者の外出行動やコミュニティ活動への参加促進」という課題を整理した。
・そこで本年度は、男性の前期高齢者を対象として「家族あるいは地域ぐるみで取組む終活を考慮したMM」の実施に向けた枠組みを整理し、次年度以降に豊田市の交通政策としての展開に繋がるような提言を目指す。
【研究内容と方法】
(1)MMツールの製作
令和元年度に検討・設計したMM手法に基づき、調査票・動機付け情報等MMツールを制作
(2)地域連携MM実施のための枠組みと課題整理
社会福祉協議会や高齢者へのヒアリングに基づき,地域や家族が連携し取組む高齢者MM実施の枠組みおよび課題を整理
研究結果・ 得られた知⾒等
・高齢者クラブやサロンの参加者は女性や後期高齢者が大多数を占めており、前期高齢者へのアプローチは限定される。
・ヒアリング調査から、包括支援サービスに位置づけたMM実施の方針を検討したが、介護保険等の法に基づく活動への位置づけには解決すべき課題が多く残されている。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・高齢市民の公共交通への関心向上、利用実践の誘導
・高齢市民の免許返納を促す方策の一助となる
所内の担当者氏名
主担当 山崎基浩(統括、調査、分析、まとめ)
協⼒先名
豊田市社会福祉協議会、豊田工業高等専門学校
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・令和3年度の豊田市交通需要マネジメント関連業務におけるMM施策で、エコ交通をすすめる会事業所従業員を通じての展開実施を提案。
関連論⽂(2020 年度)
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2020
重度障がい者の外出を伴う余暇活動の企画・実行プロセスと交通配慮事項に関する研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
重度障がい者の外出を伴う余暇活動の企画・実行プロセスと交通配慮事項に関する研究
研究の背景・内容
・2016 年に障害者差別解消法が施行され、すべての国民が、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する取り組みの重要性が高まっている。マイノリティであるが故、これまで社会から見過ごされてきた方々として、重度障がい者がいる。本研究で対象としたいのは、完全介護が必要な重度障がい者の交通である。完全介護が必要な重度障がい者の交通を考える場合、障がい当事者の特性のみならず、介助者の同行が前提となる点を踏まえた交通配慮の検討が必要である。しかし、そもそも重度障がい者の外出特性に関する知見が極めて少なく、外出時の配慮すべき事項に加え、外出が障がい当事者の生活の質(QOL)に与える影響の大きさに関する学術的知見も見られない。本研究は、外出のノウハウを有する施設に協力いただき、重度障がい者の余暇活動のための「外出」実態とその計画・実行プロセスにおける課題を明らかにし、それを踏まえた重度障がい者の外出を伴う余暇活動のさらなる促進に向けた配慮すべき方向性を検討することを目的としている。
研究結果・ 得られた知⾒等
・豊田市障がい福祉サービス事業所ガイドに掲載される移動支援・生活介護の施設を対象に、施設の基本情報および利用者、利用者の外出を伴う余暇活動等についてWEB での入力フォームを通じて調査した。(42 事業所に送信、結果、8 施設から回答)結果、重症心身障害者(重心)が多い施設の傾向として、外出先の選定には「利用者の身体的負担」「外出先のトイレ等の施設状況」を考慮していること、外出前に「外出先で利用する通行経路を確認」しているケースが多いこと、移動中に「利用者の容態を確認」している傾向にあること、参加後に利用者が「笑顔が多くなった」「より活動的になった」「より発話するようになった」と回答したことなどが示された。
・重心の方の利用者割合が高く、かつ外出を伴う余暇活動に重心の方が参加したと回答された3 施設に対して、外出を伴う余暇活動の開始時期や余暇活動への参加状況、当該活動の実施の動機、外出先の選定プロセス、当該活動を行うにあたっての制約要因等に関する半構造化インタビューを実施した。結果、外出を伴う余暇活動は、単に個人や家族への「楽しさ」だけでなく、一般的経験の乏しい重心者に「経験の提供」を通じた社会とのつながりを創出していること、施設職員はさまざまな下準備、工夫を通じて利用者の良い思い出となることを演出しているものの、ハード的(特に駐車場、トイレ、食事、医療的行為の場所)、ソフト的(重心者への理解のなさ)課題が立ちはだかっていること、施設としての費用・人的サポート面の課題が外出機会の制約になっていること、医療的行為や安全面でのケアは必須であり、その点のサポートが重要になっていること、施設職員のモチベーションが総合的な満足度に通じていることなどが示された。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・本研究で明らかとなった重心者の外出を伴う余暇活動に関する先進的取り組みのノウハウや、一連のプロセスの理解と課題の抽出は、市内の生活介護等福祉サービスを実施する施設や介護者にとって参考となり、しいては重心者の生活の質の向上に大きく寄与するものと考える。
所内の担当者氏名
三村泰広
協⼒先名
神戸工業高等専門学校 小塚みすず准教授、田島喜美恵准教授
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・対象施設の少なさによる成果の一般性(コロナ禍により協力が得づらかった)
・施設が実施する余暇活動以外の実態の把握
関連論⽂(2020 年度)
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2020
豊田市の公共交通乗り放題体験に伴う交通行動の変化に関する研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
豊田市の公共交通乗り放題体験に伴う交通行動の変化に関する研究
研究の背景・内容
・公共交通を含めた様々な交通サービスのルート検索、予約、決済機能を統合した定額制MaaS(Mobility as a Service)に関して、豊田市民を対象としたアンケート調査により、月額8,000円の場合、約16%が「とても利用したい」と回答し、一定の需要が確認できた。
・豊田市においても持続可能な交通の仕組みとして定額制MaaSが機能する可能性があり、実際に豊田市内を公共交通乗り放題で移動する体験をしてもらう実証実験を実施した。
・調査モニター7名に2万円チャージした交通系ICカードを配布し、2020年9月の1か月間、豊田市内のバス・電車・カーシェアリング(Ha:mo)の乗り放題の体験をしてもらった。回数限定でタクシーも利用できる。
・調査モニターの交通行動調査や事後アンケート調査、インタビュー調査により、豊田市での公共交通乗り放題の有効性や課題を明らかにする。
研究結果・ 得られた知⾒等
・豊田市で公共交通乗り放題を体験した上で、便利だと感じた点として、「乗車回数を気にせず利用できる」ことが共通して挙げられている。公共交通利用が大きく増加したモニターについては、自宅から駅までが近く、通勤で利用していることや、雨の日や買い物など必要に応じてタクシーを使っている点も共通している。
・不便だと感じた点として、電車・バスの本数が少なく、待ち時間があることや、目的地まで乗り換えが必要で時間がかかることなどが挙げられている。
・調査結果をふまえると、公共交通乗り放題の利便性を享受するためには以下のような条件が必要だと考えられる。
①自宅から最寄り駅まで近い(10分以内程度)
②通勤で日常的に利用する
③目的地まで乗り換えがない
・以上より、駅周辺の住民で、職場まで電車やバスで通える層を公共交通乗り放題のターゲットにすべきであると考える。電車もバスも豊田市駅・新豊田駅から乗れば、乗り換え不要の場合も多いことから、特に豊田市駅周辺の住民が望ましい。また、今回の実験ではコロナ禍の影響で、プライベートでの移動は増えなかったが、最寄り駅まで徒歩10分程度であれば、プライベートでの移動にも乗り放題定額制を活用しやすいと考えられる。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・豊田市で公共交通乗り放題を体験してもらった上での調査より、豊田市で公共交通乗り放題の利便性を享受するための条件やターゲットについて考察したことで、豊田市でのMaaS導入の検討にあたり、研究成果を活用できる。
所内の担当者氏名
石井真
協⼒先名
(株)マクロミル(調査モニターの募集)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・今後の課題として、「自宅~最寄り駅までの徒歩10分程度以内の有職者」がどの程度の人数いるのかを試算し、潜在需要を把握することが必要である。また、今回の実証実験では対象から外している高齢者への影響の把握も求められる。
関連論⽂(2020 年度)
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2020
過疎地域におけるコミュニティ交通の持続可能性に対する意識と取り組み
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
過疎地域におけるコミュニティ交通の持続可能性に対する意識と取り組み
研究の背景・内容
【背景】
地域公共交通やボランティア等による「コミュニティ交通」が各地域で数多く取り組まれている。
コミュニティ交通を持続可能なものとするために、どのような意識で、どのような取り組みが行われているのか整理することで、今後の移動支援(モビリティを支える仕組み)問題を検討するための有効な知見を得ることができる。
【目的】
過疎地域におけるコミュニティ交通の現状について調査を行い、これらが持続可能であるために期待される仕組みと、地域への貢献を明らかにする。
研究結果・ 得られた知⾒等
地域公共交通や福祉輸送を調査した報告書の文献調査により、お金の問題だけでなく人手不足の問題も深刻なこと、旅客運送事業者以外の団体にとっては事故リスクも課題であることなどを把握した。
文献調査等を参考に抽出した127 事例に対してアンケート調査を実施し、67 の回答(回収率53%)を得た。その結果、5 年後の運行継続に対して人材確保・財源確保が困難な団体が4 割程度あることを確認した。人材や財源を確保できると回答した団体でも、人材は交通事業者任せ、財源は行政の補助金頼みの団体があった。
アンケートの回答を深掘りするため10 団体に対してヒアリングを行った結果、行政の補助金は今すぐに見直される状況ではない事例が多いこと、交通事業者の内部事情は把握されていない事例が多いことが分かった。また、行政以外の団体が自律した運営を行っている場合は、移動確保だけでなく地域全体の価値向上を意図した運営を行っていることが読み取れた。
アンケート結果を用いて人材や財源確保に影響する要因を分析した結果、運営の評価・改善や自治体計画への位置づけなど、運営側の「ひと」に関わる要素が多く関係することが明らかとなった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
人材確保だけでなく、運営側の「ひと」への対応が急務である。後者に対しては、一緒に運営に関わる仲間づくりや、相談できる人を外部に持つことも重要である。
また、持続可能性を担保するためのサービス改善を進める際には、環境づくり(機運醸成)を行うことも重要である。
所内の担当者氏名
主担当者:西堀泰英
担当者:鈴木 雄
協⼒先名
一般社団法人グローカル交流推進機構 土井勉理事長、田中厳研究員
大阪大学 辻寛特任助教
名古屋大学 福本雅之客員准教授
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金 山中千花様
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
財源は行政予算の範囲でねん出できるが、人材はそうはいかない。数年後の見通しがない地域が少なくないため人材確保対策は急務である。
関連論⽂(2020 年度)
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2020
高齢者に対する施策の実施が健康寿命に及ぼす影響に関する研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
高齢者に対する施策の実施が健康寿命に及ぼす影響に関する研究
研究の背景・内容
・平均寿命の延伸だけでなく,健康寿命の延伸が必要とされている.
・健康寿命の平均は都道府県により異なり,都市の特性や風習などが健康寿命に影響していることが考えられる.
・既存の研究では,外出や会話,交流が健康寿命に寄与していることが示されている.
・本研究では全国の中核市を対象に,高齢者の移動や健康施策の調査を行った.
・全国の中核市の健康寿命の算出を行い,バス運賃施策や都市特性の健康寿命への影響要因の分析を行った.
研究結果・ 得られた知⾒等
・多くの自治体で高齢者のための交通運賃施策や,健康施策が行われていた.交通系,福祉系,都市整備系の部署間の連携には一部課題がみられた.健康寿命の算出を行っている自治体はおよそ6 割であった.
・健康寿命に対して,男性では「バス無料施策ダミー」「高齢者の活発性」,女性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」が寄与している可能性が示された.
・平均寿命に対して,男性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」「都市サービス」,女性では「バス無料施策ダミー」「高齢者の活発性」「都市内交流」「都市サービス」が寄与している可能性が示された.
・健康寿命の増減に対して,男性では「バス無料施策ダミー」,女性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」「都市サービス」が寄与している可能性が示された.
・平均寿命の増減に対して,男性では「バス無料施策ダミー」「都市サービス」「1 人あたりたばこ税歳入」,女性では「バス無料施策ダミー」「都市内交流」「都市サービス」が寄与している可能性が示された.
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・バス運賃施策の内容によっては,健康寿命に寄与することの可能性が示された.
所内の担当者氏名
鈴木 雄
協⼒先名
全国中核市の交通系部署・福祉系部署
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・健康寿命への影響要因分析について,交通施策しか組み込めていない.福祉系の部署から得た健康施策の要因について組み込むことが課題.
・健康寿命への影響要因分析について,解釈が難しい変数が存在する.健康寿命への影響要因は複雑であり,要因の組み合わせなどによる影響も考慮する必要がある.
・健康寿命や平均寿命が5 年分しか算出できていない.施策の前後で健康寿命の変化を分析するべきであるが,データの制約上それができていない.
・今後は上記課題を踏まえつつ,健康寿命の影響要因を丁寧に分析する必要がある.
関連論⽂(2020 年度)
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2020
コロナ時代の豊田の暮らしと交通
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査、政策検討
研究題⽬または報告書タイトル
コロナ時代の豊田の暮らしと交通
研究の背景・内容
・新型コロナウイルスは、私たちの暮らしを大きく変えようとしている。このウイルスが今後、どのような形で終息していくのか見えない中で、この影響は豊田市に暮らす我々に短期的なものにとどまらず、中長期的に思いもよらない影響を与える可能性がある。本研究では、このコロナ禍により将来起こりうる都市交通への影響を調査し、「交通」の持つ意義も見据えながら、短期・中長期的に私たちで考えていくべき点について整理をした。
・都市交通は、人々の日々の暮らしと強く結びついており、その影響範囲はとても大きい。すべての影響を予想することは難しいことから、ここでは「交通」「都市」の観点について、現状・課題の整理とそれを踏まえた豊田市における都市交通のあり方を提案した。
・本研究では、本年9 月初旬に市民の皆様に対してコロナ禍での都市交通への影響に関する意識調査を実施し、多くの提案の根拠資料としている。
研究結果・ 得られた知⾒等
・豊田市におけるコロナ禍の都市交通の現状について、市民意識から把握しようとする豊田市及び名古屋市、豊橋市、岡崎市、上記以外の愛知県、愛知県中核市以外の中核市に居住する市民(マクロミル社モニター)を対象に意識調査(n=2,072、うち豊田市n=414)を実施した。加えて、関係各課等から受領した豊田市内の交通関連データの推移を踏まえ、課題を整理した。
・整理した課題を受け「交通」(例えば、自動車活用型MaaS(仮称)の導入)、「都市」(例えば、郊外居住のコントロール)など、それぞれの観点から7 つの提案を行った。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・豊田市市長への提言(2010.10.1)を始め、関係各課への情報提供を行い、コロナ禍およびコロナ後における政策判断の一助となった。
所内の担当者氏名
三村泰広、山崎基浩、西堀泰英、石井真、鈴木雄、坪井志朗、安藤良輔
協⼒先名
・豊田市都市整備部交通政策課(データ提供)
・株式会社マクロミル(意識調査実施)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・対象施設の少なさによる成果の一般性(コロナ禍により協力が得づらかった)
・施設が実施する余暇活動以外の実態の把握
関連論⽂(2020 年度)
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2020
リアルタイム情報に基づく平面交差点信号制御システム最適化に関する研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
リアルタイム情報に基づいて平面交差点信号制御システム最適化に関する研究
研究の背景・内容
(背景)
カメラ、感知器、V2V、V2Iによってリアルタイム車群情報を取得し、信号制御システムの変革が期待されている。前年度の自主研究は、平面十字交差点で平均遅延時間最小化を目指す非線形計画モデルを構築した。異なる交通流条件下、構築したモデルを検証する必要性がある。交通流が常に変化しているため、全ての交通状況を対応でき、かつ最適化を達する信号制御システムは期待される。
(内容)
異なる交通流条件下、構築したモデルを検証する。異なる特性を持つ交通流の組み合わせを設定して、複数の十字交差点の交通需要シナリオを想定する。伝統的な信号制御計算方法(モデル1)の計算結果と構築した非線形計画モデル(モデル2)の計算結果をそれぞれシミュレーションに導入して、想定したシナリオをシミュレーションする。シミュレーション時間、平均遅延時間と遅延時間の変動係数を評価指標として計算した。
リアルタイム情報に基づいた信号制御アルゴリズムを開発する。前年度に構築した平均遅延時間最小化非線形計画モデルを踏まえて、不足点を改良して新たな非線形計画モデルを提案する。リアルタイム情報に基づいて、提案した非線形計画モデルを用いて、1秒ごとに信号制御の時間設定を更新できるアルゴリズムを開発する。シミュレーションを通じて、交通流量比較的少ない交通需要シナリオを想定して、開発したアルゴリズムを検証する。
研究結果・ 得られた知⾒等
異なる交通流条件下、構築した非線形計画モデルの検証には、三つの評価指標の計算結果は下記の3点でまとめる。(1)シミュレーション時間の変化は少ない;(2)交通需要が多い場合には本研究で開発した非線形計画モデルにおける平均遅延時間は小さくなるが、交通需要が少ない場合に2つのモデルの結果はほぼ同じ。(3)遅延時間の変動係数において、交通量の増減を問わず、構築した非線形計画モデルの結果が生じる遅延時間の変動係数は小さく。特に、交通量が多い場合に減少率が高い。個々の車両の待ち時間のばらつきは大幅に小さくなる。
リアルタイム情報に基づいた信号制御アルゴリズムの検証には、比較的少ない交通需要の条件下、提案したアルゴリズムは検証の交差点を通過した全部車両の遅延時間の変動係数を大幅に下がる。車両の待ち時間の差異が小さくなる。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
(社会への貢献)
構築した非線形モデルは、単独交差点のサービス水準を向上させると言える。特に、交通需要が多い場合においてその効果は顕著である。そのモデルは単独交差点に対する実用化が期待されている。
(技術的特徴)
1秒ごとに信号制御の時間設定を更新できるアルゴリズムを開発する。設定した信号制御の時間はリアルタイム情報に基づいた平均遅延時間最小化を目指す非線形計画モデルの計算結果による決定する。本研究で想定した車群のリアルタイム情報を取得する設備は、日本に広範囲で設置されて、費用比較的安い光ビーコンである。開発したアルゴリズムの実証実験は期待されている。
所内の担当者氏名
穆蕊
協⼒先名
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問題点・課題・今後の研 究予定・その他
令和3年度に継続研究を予定(非線形計画モデルの整数解の解き方を究明する。複数な交通需要のシナリオを想定し、提案したアルゴリズムの検証を行う予定がある。また、様々な技術問題点を解決するのは期待されている。)
関連論⽂(2020 年度)
穆蕊・山崎基浩・西堀泰英・安藤良輔:シミュレーションにより非線形計画モデルを用いる信号制御の検証、第62回土木計画学研究・講演集, CD-ROM, 2020
穆蕊, 山崎基浩, 安藤良輔, 加藤秀樹:リアルタイム情報に基づいた平面交差点信号制御最適化アルゴリズム, 第18回ITSシンポジウム講演集,2020.
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2020
自転車通行空間利用率向上に向けた新たなアプローチの試みと地域への展開
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
自転車通行空間利用率向上に向けた新たなアプローチの試みと地域への展開
研究の背景・内容
・自転車は、昭和40 年代の自転車の歩道通行を可能とする交通規制の導入以降、車両としての自転車の位置付けや通行空間が曖昧なままに道路基盤が整備され、自転車と歩行者の交通事故の増加などの弊害が生じてきた。この解消に向け、警察庁及び国土交通省では平成23 年以降、自転車の車両としての位置付け及び通行空間のあり方に関するガイドラインの作成や法改正等を実施し、地方自治体ではそのガイドラインに従った対応を進めている。しかしながら、このような整備過渡期であるがゆえか、整備された空間を利用せず、これまでの慣習に従った通行を維持する自転車利用者も多いなど、利用と空間のギャップが生じている。
・2018 年度は、利用実態と教育実態から自電車通行空間の在り方に関する研究を進め、2019 年度は特にソフト面からの試みとして、「同調」といった社会心理学の知見を援用し、構造的課題がみられないにも関わらず利用されない自転車通行空間において、当該手法による利用率向上の影響を明らかにした。今年度も引き続き社会心理学・経済・政治学の知見を援用し、特に構造的課題がみられないにも関わらず利用されない自転車通行空間で、当該手法による利用率向上の影響を明示することを目的とする。なお、当初、新たなアプローチの地域活動への展開方法について、崇化館地区を対象に検討することも想定していたが、コロナ禍により調整が困難となり、今回実施を見送った。
研究結果・ 得られた知⾒等
・人の行動に動機を与える際に重要と言われるSocial Incentives (SI)(社会的動機、人は他人の行動が気になり、同じようにするか、より良い行動をしたいとする)に着眼し、「車道通行」のSI 情報-すなわち他者の通行実態-の提供が利用者の意識(行動意図)を変えさせるかどうかを比較的大規模なサンプル調査(n=840)を通じて検証した。結果、特に2 車線道路の車道混在では提示内容で有意差(p<0.01)があり、特にSI、罰則情報の提供が車道走行をさせる影響が大きいこと、専用通行帯の場合、高校生、若年層においてSI の効果が大きいこと、個人属性などの共変量の影響を踏まえても、情報提供内容は有意に車道走行意識に影響することなどを示した。
・自転車走行空間に当該空間の通行率を示した看板を設置し、直前週の車道通行率情報(SI)に加え、直前週の状況から通行率の改善がみられた場合、看板に「いいね!」マークを提示するReward(R)、直前週の情報と今週の情報を併記し、状況の進展を提示するProgress Monitoring(PM)の情報提供をした場合の利用者(n=2,040)の行動変容について実フィールドでの検証をした。結果、看板設置後の車道通行率が向上したこと、特に設置期間の後半になればなるほど車道通行率が上昇したことなどを示した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・構造的課題がみられないにも関わらず利用されない自転車通行空間において、利用率向上が科学的に確認された具体的施策を提言した。
所内の担当者氏名
三村泰広・坪井志朗
協⼒先名
大同大学工学部嶋田喜昭教授、菅野甲明技術員(共同研究)、株式会社マクロミル(意識調査実施)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
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関連論⽂(2020 年度)
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2020
都市構造別にみる市街地内低未利用地の活用方法について
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
都市構造別にみる市街地内低未利用地の活用方法について
研究の背景・内容
○背景
・人口減少、少子高齢化、中心市街地空洞化及び都市のスプロール化等を背景に、都市のコンパクト化、中心市街地の活性化が注目されており、各自治体の行政計画において、持続可能な都市構造を構築することを目的としている自治体が多い。
・将来的な都市構造を検討する中で、中心市街地のあり方、市街地周辺のスプロール地域の対応方法など、一つの立地適正化計画の中でもその地域に適した目標像を設定している。その中でも低未利用地(空き家・空き地・耕作放棄地等)の活用は人口減少社会においては必要不可欠である。
○目的
・本研究では、豊田市の低未利用地の傾向と現在の低未利用地の活用方法を整理した上で、新たな活用手法について知見を得ることを目的とする。
研究結果・ 得られた知⾒等
・立地適正化計画を策定している自治体の整理、立地適正化計画を策定している自治体への低未利用地に関するアンケート調査、豊田市での低未利用地の対策方向性や活用可能性について検討した。特に、空き家活用については、その分布状況から4 つのクラスターに分類し、それぞれの空き家活用方向性について提示した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・市街地内の低未利用地への対策や低未利用地を活用することは、今後多くの自治体が必要となると考える。現在の課題や対策内容、自治体自身が活用している事例を把握することで、将来的にこれらのことを考える自治体への参考資料となる。
所内の担当者氏名
坪井志朗
協⼒先名
立地適正化計画の居住誘導区域を策定している335 都市(アンケート調査)
豊田市定住促進課、農業委員会事務局(ヒアリング先)
愛知県都市整備局 都市基盤部 都市計画課(都市計画基礎調査の提供)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
本研究は日本学術振興会「若手研究」(2020.4~2023.3)の助成を受けて実施した。
関連論⽂(2020 年度)
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2020
豊田市都心の長期と短期の両面によるまちづくり活動の評価
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
豊田市都心の長期と短期の両面によるまちづくり活動の評価
研究の背景・内容
【背景】
・中心市街地におけるまちづくりの活動として、長時間を要する市街地開発や道路空間再編などの施策に加えて、小規模・短期間の社会実験やイベント実施などの小さな実践も盛んに行われている。まちづくりを進める上では、それぞれに対応する評価手法と、関係者が納得できる指標が必要である。
【目的】
・そこで、歩行者数や商業販売額、用途別建物配置、市街地開発等の長期的な変動の関係と、歩行者数及び歩行者流動と小さな実践等の短期的な変動の関係を分析し、市街地開発や小さな実践等のまちづくり活動を評価するための分析手法の妥当性や有用性を明らかにする。
・なお、新型コロナウィルス感染症の拡大により、豊田市中心市街地における小さな実践等のまちづくり活動が軒並み中止となったことから、新型コロナウィルス感染症の影響評価を行う。
研究結果・ 得られた知⾒等
・Wi-Fiパケットセンサー(WPS)データに機械学習の手法であるトピックモデルを適用し、データから「通勤・通学」「夜の飲食関連」「日中の活動」などの豊田市都心における人々の活動の特徴を抽出した。COVID19の影響により、特に「夜の飲食関連」の減少が大きいことを確認した。
・モバイル空間統計や歩行者通行量、WPSのデータを用いてCOVID19の影響を分析した結果、モバイル空間統計に比べて歩行者通行量やWPSの方がCOVID19の影響に敏感に反応することから、人手を把握する指標として適していることを確認した。
・長期的な変動について、歩行者数と建物用途別面積や電話番号件数、商業販売額等の関係を分析した結果、全体として明確な関係性は認められなかった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・本研究で使用するWi-Fiパケットセンサーデータをはじめとするビッグデータの分析にあたり、人工知能(AI)の一部、機械学習の手法であるトピックモデルや、時系列分析手法に含まれる状態空間モデル(ベイズ構造時系列モデル)など、新たな分析手法を活用した。
所内の担当者氏名
主担当者:西堀泰英
担当者;加藤秀樹
協⼒先名
・山梨大学 豊木博泰教授、早稲田大学 佐々木邦明教授、東京大学 嚴先鏞研究員、
・愛知県都市整備局都市基盤部都市計画課、豊田市産業部商業観光課、豊田まちづくり株式会社、一般社団法人TCCM、豊田市美術館、豊田スタジアム、中心市街地の店舗等
・本研究の一部は科研費(20K14856)の助成により行った。また、本研究は東大CSIS共同研究No.972の一部として実施した。
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・中心市街地の活性化を考える際、どのような状態を目指すのか、その状態を計測する適切な指標があるかを考える必要がある。
・ビッグデータを分析する新たな手法にチャレンジしたが、それらをまちづくりに生かす方法も検討する必要がある。
関連論⽂(2020 年度)
・西堀泰英、加藤秀樹、豊木博泰:トピックモデルによるWi-Fiパケットセンサーデータを用いた中心市街地の人出に対するCOVID-19の影響分析,第62回土木計画学研究発表会・講演集,Vol. 62,2020.
・西堀泰英、嚴先鏞:中心市街地の変化が歩行者通行量に及ぼす影響の分析,CSIS DAYS 2020,2020.
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2020
交通事故オープンデータの活用に向けた地理情報システムにおける可視化・解析ツールの開発
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
交通事故オープンデータの活用に向けた地理情報システムにおける可視化・解析ツールの開発
研究の背景・内容
交通安全対策を検討・評価するため、事故データを活用することが有用である。一部の自治体は事故のデータベースを構築し、通学路の歩道整備等の安全対策を実施するために活用している。生活道路の事故対策検討を支援するため、公益財団法人交通事故総合分析センターが生活道路事故データをメッシュ図(500m)として提供している。但し、事故箇所が把握できない点がある。2020年4月から、各都道府県の警察担当者が事故原票データ(位置情報を含む)を同様なフォーマットで公開する方針が閣議決定されたため、事故データのより一層の利活用が期待される。
このため、本研究は交通事故オープンデータの利活用に向けて、事故データを可視化・解析する地理情報システム上で使えるプラグインツールを構築するとともに、事故データの分析に適用する機械学習等の分析手法をPython言語で実装することを目的とする。
研究結果・ 得られた知⾒等
・都道府県の交通事故マップの公表等の最新動向(2020年6月時点)を整理するとともに、都道府県の県警が公開している事故原票データの内容確認及び活用方法(交通事故オンラインマップの構築等)を検討した。
・交通事故原票データに含まれた事故属性の組み合わせによるローカル地理情報システムのQGIS上で稼働できる集計・分析ツールを構築した。
・警察庁が公開した交通事故オープンデータを整理するとともに、公開している交通事故データの活用方法を検討した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
<社会への貢献>
本研究の実施を通じて、低コストのオンラインGISツールの構築技術を習得し、研究所独自で豊田市の交通事故オンラインマップの迅速な構築が可能となる。また、構築した交通事故データの集計・分析ツールの活用を通じて、道路管理者が交通事故箇所の空間分布状況を簡易に把握できるようになる。
<研究特徴>
本研究は交通事故オープンデータに適用するため、オープンソースな開発言語OpenLayersやPyQGISでWeb GISやローカルGISツールを構築したため、該当ツールの導入コストは安価で、開発したものは優れた拡張性を持つ。
所内の担当者氏名
責任者・担当者:楊甲
協⼒先名
日本名古屋大学 工学研究科 三輪富生准教授・施展華氏(共同研究者)
中国西南交通大学 交通運輸・物流学院 曹鵬准教授・殷鴻博氏(共同研究者)
豊田市役所 地域振興部 交通安全防犯課(ヒアリング先)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
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関連論⽂(2020 年度)
・施展華・楊甲・三輪富生・安藤良輔:オープンデータを用いた乗用車対貨物車衝突事故の空間的分布に関する基礎的研究、東京大学空間情報科学研究センター年次研究発表大会CSIS DAYS 2020 (11月20日~21日).
・H. B. Yin, J. Yang, P. Cao, R. Ando. A QGIS Plugin for Visualizing Open Traffic Accident Data Using PyQGIS, 東京大学空間情報科学研究センター年次研究発表大会CSIS DAYS 2020 (11月20日~21日).
・J. Yang, T. Yamamoto, R. Ando. The impact of mandating a driving lesson for elderly drivers in Japan using count data models: Case study of Toyota City, Accident Analysis & Prevention, vol. 153, Article ID: 106015, 2021.
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2019
高齢者の「終活」MMツールの考察
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
政策検討
研究題⽬または報告書タイトル
高齢者の「終活」MMツールの考案
研究の背景・内容
【研究の背景と目的】
今後急速に進むであろう「自家用車依存の生活を送ってきた世代」の高齢化および少子高齢化かつ核家族化の浸透を背景に、高齢者のモビリティ確保が重要な課題となっている。また高齢福祉分野では、高齢者が自ら残された人生を如何に過ごし最期を迎えるのか、あるいは死後の周囲への配慮などを自分自身で計画する「終活」が注目されている。
高齢者のモビリティ確保という交通課題においても、このような「終活」の一環として高齢者自身が考えることが、具体的な行動変容に繋がるのではないかと考えた。そこで「安全な自家用車利用(運転)」「代替交通手段の確保」の2視点から、高齢者を対象とした効果的なMM(モビリティ・マネジメント)手法の検討を行う。令和元年度は基礎的な文献調査を実施するとともに、効果的なMMツールの構築を試みた。
【研究内容と方法】
(1)少子高齢社会における交通問題・課題の整理
既往研究・調査等のレビューにより、高齢者の社会活動における課題を整理し、MMツール考案のための検討資料として整理
(2)高齢者へのヒアリング
下山地域で実施したIC乗車券を用いたバス利用促進MM(豊田市からの受託研究)の実施と併せて、参加者へのヒアリング結果から高齢者の交通実態・意識等を整理
(3)終活MMツールの作成
課題等を踏まえて、次年度に実施するMMツールのイメージを構築し試作するとともに、実施方法など一連のMMシステムとして整理
研究結果・ 得られた知⾒等
●既往研究およびヒアリング調査から、家族や地域ぐるみによる高齢者の安全なモビリティ確保が有効(あるいは必要)であることを把握
●また、男性高齢者の公共交通利用促進が課題であり、終活やモビリティ確保に関する検討において時間的な猶予のある前期高齢者の男性を対象とすべきであると考え、MMツールを構築
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
●高齢市民の公共交通への関心向上、利用実践の誘導
●高齢市民のADAS装備車への買い換え促進
所内の担当者⽒名・ 担当者
主担当 山崎基浩(統括、調査、分析、まとめ)
協⼒先名
豊田市社会福祉協議会、豊田工業高等専門学校
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
●第15回JCOMMおよび第62回土木計画学研究発表会(秋大会)での発表を予定
関連論⽂(2019 年度)
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2019
高齢者の財務的効率と生きがいを考慮した交通社会基盤変化の評価
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
高齢者の財務的効率と生きがいを考慮した交通社会基盤変化の評価
研究の背景・内容
(背景)
世界でも類を見ない少子高齢化の進む我が国では、社会保障負担の世代間格差の是正のためにも高齢者がいかに健康に長く活動できる環境を効率的(低コスト)に整えていけるかという点が重要になっている。これは豊田市においても例外ではない。上記の一般的議論として、定年の延長、年金受給年齢の引き上げ、医療制度改革などがあるが、他方で、高齢者の継続就労を支え、医療費の低減を図るための社会基盤の方向性に関する議論がある。社会基盤を含め都市のバックグラウンドは都市によって多様であり、それぞれの都市が活動的な高齢者を支える社会基盤のあり方もまた多様である。そして、我が国が直面する超高齢化社会にフォーカスし、高齢者の心身機能の変化や活動水準の変化をその置かれている環境の影響を定量的に見定めながら、健康に長く活動するための「社会基盤」を自治体がいかに「効率的」に整えていけるかという観点からみた具体的な方向性に関する議論が重要である。
(目的)
本研究は、多様な都市が高齢者の活動維持・健康寿命の増進を効率的に高めるうえにおいて、どのような社会基盤が望ましいかを、全国都市の社会基盤整備状況と、そこに住む高齢者の実態分析を通じて明らかにするとともに、本成果を踏まえた豊田市の社会基盤の目指すべき方向性を明示することを目的とする。
(方法)
・高齢化が進展する都市の社会基盤の特徴整理
・健康都市などの先進的取り組みを行っている都市の社会基盤の考察
・高齢化率の高い都市の社会基盤から見た類型化
研究結果・ 得られた知⾒等
・高齢世帯になると食料費・保健医療費の支出割合が増加、交通・通信費、教育費の支出割合が減少
・老人医療費は都市型、住宅地・核家族型で高く、過疎地域型、住宅地・二世帯型で低い
・高齢者の外出頻度は大都市であるほど多く、後期高齢者でその傾向がより顕著
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・地方自治体の政策において重要なポイントとなるのは、当該政策の経済的妥当性と、公的妥当性の議論であると考える。効率的な行政運営が求められるなかでは、いかに政策的妥協点を見出すかといった観点からの成果が重要である。それは、政策の経済性、頑健性、複眼性(多角的視点)を踏まえた、ある種の包括的合理性を判断できるような成果が求められると理解する。この観点から本研究の成果は一定の有用性が期待できると考える。
所内の担当者⽒名・ 担当者
三村泰広
協⼒先名
・NPO法人福井地域環境研究会
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・成果の豊田市への具体的対策提言への結びつけ
関連論⽂(2019 年度)
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2019
豊田市における自動運転関連技術の社会実装を支援する基礎的研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
豊田市における自動運転関連技術の社会実装を支援する基礎的研究
研究の背景・内容
h:moの低速無人回送(走行)の実現を見据えた取り組みが始まるなど、自動運転関連技術は過疎地域等における移動手段の確保に資することが期待されている。低速無人走行の社会実装に資する課題を検証するため、公道での低速走行の課題検証、および、過疎地域における自動運転関連技術の導入を見据え、自動運転車等の導入に必要となる環境の必要整備量(距離)の評価等を行う。
研究結果・ 得られた知⾒等
・市街地における公道での低速自動運転車両の課題検証は、実証実験が中止となったため十分な評価はできなかった。ただし、実証実験に向けた練習走行時の走行ログ等から、低速自動運転車両に対する無理な追い越しや車間距離の状況を把握することができた。
・自動運転車等の導入に必要となる環境(3Dマップ、磁気マーカー、通信インフラ等)の整備量の検討では、自動運転車の活用が期待される中山間地域である旭地区を対象に一定条件の下で検討を行った結果、全住民に自動運転車を利用可能とするためには約150kmの整備が必要であると試算した。また、整備優先度を効率的な方法で評価した結果、住民の4割をカバーするのに必要な整備量は41kmであると試算した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・市街地での低速自動運転車両の走行に向けた課題整理のための知見を得ることができた。
・自動運転の活用が期待される中山間地域において、自動運転の導入に必要となる道路環境の整備量を明らかにするとともに、優先順位を評価する方法を検討した。
所内の担当者⽒名・ 担当者
・西堀泰英、石井真
協⼒先名
・豊田市企画政策部未来都市推進課、名古屋大学未来社会創造機構、東京大学空間情報科学研究センター
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・低速自動運転車両の公道実験が中止となったため十分なデータが得られず限られた分析しかできなかった。今後も豊田市における自動運転の実証実験が行われる際は、連携してデータの収集や分析を進めていくことが重要である。
関連論⽂(2019 年度)
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2019
電気自動車シェアリングの利用意識に影響を及ぼす要因分析
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
電気自動車シェアリングの利用意識に影響を及ぼす要因分析
研究の背景・内容
最近、自動車関連メーカーやカーシェアリング事業者は電気自動車(以下、EVと称する)とシェアの特性を活用したビジネスモデルの構築に乗り出した。特に、最近で普及を始めた地方部の観光地におけるEVシェアリングの事例が多数みられて、超小型EVだけでなく、乗用車型EVの事業も展開されている。これは自動車関連メーカーとカーシェアリング事業者はEVやシェアリングサービスを後押している一方、利用者にとって受け入れるかどうかは不明瞭である。また、このような新たなシェアリングサービスは従来のガソリン乗用車のシェアリングサービスにどのような影響を与えているかも不明瞭である。
本研究では、利用者側の視点からEVシェアリングの社会受容性を把握するとともに、従来のガソリン乗用車のシェアリングに影響を及ぼす効果を明らかにすることを目的とする。本研究で実施した調査結果は、日本国におけるカーシェアリング事業を推進するための参考資料として活用できるようにする。
研究結果・ 得られた知⾒等
・研究文献のレビューを通じて、EVシェアリング事業について、国内だけでなく、海外の最新動向も整理した。
・一般市民を対象としたカーシェアリングの利用意識に関する既往研究による知見を整理した。そのうち、ガソリン乗用車、超小型EV、乗用車型EVそれぞれに関する研究文献を分けて整理した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
<社会への貢献>
本研究で整理したEVシェアリングの海外・国内の先進事例は、自動車関連メーカーやカーシェアリング事業者が参考できる基礎資料となる。
<研究特徴>
本研究ではカーシェアリング事業について、使用車両のガソリン乗用車、超小型EV、乗用車型EVの違いに着眼したことは研究特徴といえる。また、本研究では、シェアリング事業の活用場面で全般ではなく、地方部の観光地を中心とした内容を検討することは最新の研究動向を反映していることは研究特徴といえる。
所内の担当者⽒名・ 担当者
責任者・担当者:楊甲
協⼒先名
楽天インサイト株式会社(WEBアンケート調査の委託先)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
<問題点>
本研究はEVシェアリング利用意識について、一般市民を対象としたアンケート調査を予定したが、所内会議で調査目的・内容等に関する多数の指摘があり、担当者はアンケート調査票を再検討した。これによって、業務遂行の進捗状況は予想よりやや遅れた結果となった。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
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2019
豊田市におけるMaaS導入可能性に関する研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
豊田市におけるMaaS導入可能性に関する研究
研究の背景・内容
・公共交通を含めた様々な交通サービスのルート検索、予約、決済機能を統合し、定額制でモビリティサービスを実現するマルチモーダル型MaaS(Mobility as a Service)事業に関して、豊田市民を対象としたアンケート調査により、豊田市における需要、求められるサービスの組み合わせ・価格水準を明らかにし、豊田市における導入可能性を検討する。
・豊田市では、超小型電気自動車のシェアリング(Ha:mo)が事業化されており、カーシェアリングも含めた交通サービスを統合した定額パッケージを検討するなど、豊田市の特徴を活かしたサービスモデルを検討する。
・アンケート調査で確認された需要を基にMaaS事業の収益シミュレーションを実施する。
・交通事業者へのヒアリング等を通じて、導入にあたっての課題を明らかにする。
研究結果・ 得られた知⾒等
・電車・バス・タクシー・カーシェアリング等のルート検索・予約・決済機能を組み合わせて定額制で提供するマルチモーダル型MaaSに対して、最も条件の良いプランでは、豊田市民の約16%が「とても利用したい」という利用意向を示している。
・自家用車非保有層だけでなく、自家用車保有層も同等の利用意向を示している。
・定額制のマルチモーダル型MaaSを利用した場合、約半数は自家用車の保有台数を維持したいと考えている一方、約半数は自家用車の保有台数を減らしたいと考えている。
・免許返納した場合の利用意向は現状よりも高くなっており、人口構成の高齢化に伴い、ニーズが高まることが考えられる。
・利用者はマルチモーダル型MaaSの価格は月額1万円以下の水準を求めている。
・一方、交通事業者としては月額1万円以下の価格水準では事業として厳しいという意見が大半であり、価格水準の検討やモビリティ以外のサービスとの組み合わせによる収益化、自治体からの補助金の仕組みなど、事業性を成立させるための検討が別途必要である。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・豊田市におけるMaaS事業検討にあたり、需要に関する基礎的資料として活用できる。
・豊田市MaaS検討委員会において、調査結果の報告を行った。
所内の担当者⽒名・ 担当者
石井真・西堀泰英
協⼒先名
豊田市都市整備部交通政策課・企画政策部未来都市推進課
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・本年度の研究でマルチモーダル型MaaSに関して豊田市民に一定の需要があることが確認できたが、実際に対価を払ってサービスを利用するほどの需要がどの程度あるのかは明確ではない。
・次年度の研究では、交通系ICカードを用いてMaaSを疑似体験する実証実験を通して、利用者の需要の程度や交通・消費行動の変化等を検証する。
関連論⽂(2019 年度)
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2019
バスプローブデータを用いた豊田市の道路渋滞分析に関する研究
研究分野
暮らしを支える交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
バスプローブデータを用いた豊田市の道路渋滞分析に関する研究
研究の背景・内容
豊田市では「移動円滑化」の実現に向けて、道路整備等のハード対策や、交通需要マネジメントのようなソフト対策を進めている中、対策効果に対する簡易的な指標を用いた評価手法が求められている。研究所の先行研究は、バスプローブデータを用いた道路渋滞の簡便的な評価指標を構築し、トヨタ自動車の稼働有無や天候による影響を明らかにしたが、当該評価指標を用いて円滑化施策効果の評価までに至らない問題点がある。また、豊田市ではおいでんバスのプローブデータが蓄積されており、道路渋滞状況やバス路線運行の信頼性などの分析にも活用できることが期待されている。
本研究では、長期間にわたるおいでんバスのプローブデータ等を用いて、バス運行ルートに含まれる道路区間別の旅行時間や速度の平均値やそれらの変動を把握することで、豊田市の道路渋滞分析を行うことを目的とする。なお、本研究の結果を踏まえ、豊田市で実施した道路円滑化の対策を評価するための簡易的な指標を提案する。
研究結果・ 得られた知⾒等
●研究文献のレビューを通じて、バスロケデータの利活用について、国内だけでなく、海外の研究動向を整理した。
●おいでんバスロケデータをさらに活用するため、バスルートや停留所の位置情報を研究所が保有しているデジタル道路地図に電子化した。
●おいでんバスロケの生データが解析できるPython言語の分析ツールを開発したため、バスロケシステムの管理会社が運用しているサーバーに蓄積したバス車両の位置情報データを迅速に解析することは可能となった。
●豊田市内での道路渋滞箇所である豊田大橋、久澄橋、山室橋を対象としたバス停留所間の旅行時間を分析するための手法を提案した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
<社会への貢献>
構築した豊田市内で道路渋滞を把握するための分析手法は、現在で用いられた日本道路交通情報センター(JARTIC)の渋滞情報と比較して、入手コストは安く、主な道路区間のカバー率も低くないため、実務上で使用できれば、道路渋滞対策を評価するための関連費用が節約できる。
<技術的特徴>
本研究で用いた混合正規分布は通常の正規分布と比較して、道路区間の混雑状態や非混雑状態それぞれにおける旅行時間の分布が表現できるため、実務上で道路区間の旅行時間分析に適切な解析手法を構築した。
所内の担当者⽒名・ 担当者
責任者・主担当者:楊甲 担当者:山崎基浩
協⼒先名
豊田市役所都市整備部交通政策課(おいでんバス時刻表の提供者)
中国西南交通大学交通運輸と物流学院 曹鵬准教授(共同研究者)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
本研究ではバス乗降者数のデータを用いた分析にまだ及ばないことや、代表的な停留所にバスの到着時刻信頼性への分析はまだあらいことがあるため、今後の課題として引き続き取組んでいく予定がある。
関連論⽂(2019 年度)
Estimating Travel Time of a Road Bottleneck Using Bus Probe Data: Case Study of Toyota City, Japan・・・P.〇〇〇
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2019
自転車の通行空間整備過渡期における道路政策のあり方に関する研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
自転車の通行空間整備過渡期における道路政策のあり方に関する研究
研究の背景・内容
2018年度の利用実態と教育実態から自電車通行空間の在り方に関する研究の追加調査を実施するとともに、自転車の車道通行について構造的課題がみられないにも関わらず利用されない自転車通行空間において、社会心理学の知見を援用し、利用率向上の影響を把握することを目的とする。内容は下記の通りである。
1,走行実態・意識の影響要因の把握(追加調査)
2,自転車通行空間の整備と利用のギャップに関する整理
3,利用率が低い自転車通行空間における社会心理学的アプローチの適用
4,自転車通行空間の適正利用に向けた政策課題の検討
研究結果・ 得られた知⾒等
【走行実態・意識の影響要因の把握(追加調査)】
学生を対象に実施している自転車講習会前後で自転車の走行実態や意識の変化を把握するために、交通流調査やアンケート調査を実施した。自転車講習会によって、歩道の車道寄りを通行する自転車が増加したことや青色矢羽根の空間を通行しない理由として、「道路が良くない」や「怖い・危険だから」と回答している生徒が多く、自転車が安全に車道を通行することができる道路を整備することが必要であることを指摘した。
【自転車通行空間の整備と利用のギャップに関する整理】
物理的乖離、回避容易性、歩行者衝突回避、車両危険性、の4視点から自転車通行空間の評価を行い、安全に通行できるにも関わらず車道利用の低い道路区間について整理した。
【利用率が低い自転車通行空間における社会心理学的アプローチの適用】
心理学的アプローチとして同調(集団状況で、他の成員が一致して自身と異なる主張をするとき、その主張に引きずられる現象)実験を行い、車道通行率向上について一定の効果を確認した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
自転車の車道通行を促す方法について、関係各課に対して情報提供を行う。
(豊田市建設企画課、交通安全防犯課、学校教育課、交通安全学習センター)
所内の担当者⽒名・ 担当者
三村泰広、坪井志朗
協⼒先名
大同大学 嶋田教授、菅野技術補助員(共同研究者)
国土交通省(自転車ネットワーク計画策定自治体一覧の提供)
豊田市建設企画課、交通安全防犯課、学校教育課(ヒアリング)
交通安全学習センター(自転車講習会の講習者)
朝日丘中学校、豊田東高校、豊田西高校(自転車講習会の講習先及び対象学校)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
三井住友海上福祉財団の研究助成を受け、研究を継続実施する。
内容としては、バンドワゴン効果(多数派と報じられた情報に意見が引きずられる現象)について検証する予定。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
講習会スタイルによる自転車教育の効果に関する研究(第60回土木計画学・秋大会)
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2019
人口構成と交通動向を考慮した将来都市構造可視化シミュレーションツールの開発に関する研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
人口構成と交通動向を考慮した将来都市構造可視化シミュレーションツールの開発に関する研究
研究の背景・内容
・地方都市においては、市街地の拡散、急激な人口減少、高齢者人口の増加が懸念されており、健康で快適な生活や持続可能な都市経営の確保が重要な課題となっている。行政計画において目標とする将来像は描かれており、各地域に適した将来像に向けた事業・計画も進行している。しかし、目標とする将来像を構築していくには、行政のみならず、様々な分野の専門家、地元住民、民間企業が協力し合い、共通した将来都市構造のイメージを持つ必要がある。
・これらの課題に対応するために、平成26年に立地適正化計画のガイドラインが示され、都市全体の構造を見直し、『コンパクトシティ・プラス・ネットワーク』の考え方の基、持続可能な都市構造の構築を目的としている自治体が多い(豊田市は2019年3月策定)。
・都市将来像を交通動向や都市計画の分野から分析を行ったうえで、様々な将来都市構造を可視化できる「将来都市構造可視化シミュレーションツール」の開発を行い、地域特性を考慮したコンパクトシティを検討することで、将来像として共通した都市構造を持てる仕組みを模索することを目的とする。
研究結果・ 得られた知⾒等
○人口増加を目標とする地域や現状の人口を維持する地域等を設定し、将来都市構造を検討できる「将来都市構造可視化シミュレーションツール」を開発した。
○人口集約をシミュレーションし、行政計画の人口目標値や公共交通利用目標値を達成する将来都市構造シナリオを設定し、可視化した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
〇開発したツールを用いて、公共交通周辺への人口集約や土地区画整理事業内の人口集約なども検討することができ、それらの条件を組み合わせることで様々な将来都市構造を可視化し、検討することができる。
所内の担当者⽒名・ 担当者
坪井志朗
協⼒先名
豊田市都市計画課、中京都市圏総合都市交通計画協議会(データ提供)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
本研究は日本学術振興会「研究活動スタート支援」(2018.10~2020.3)の助成を受けて実施した。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
豊田市を対象とした行政計画を参考にした将来都市構造の検討・・・
Examination of the Future Urban Structure Considering Population Trend and Person Trip : A Case Study of Toyota City・・・
将来都市構造を検討するための将来像可視化シミュレーションツールの構築について・・・
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2019
豊田市都心における来訪者の回遊状況評価手法の開発
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
豊田市都心における来訪者の回遊状況評価手法の開発
研究の背景・内容
昨年度の研究から、都心での歩行者量の増加は駅周辺のエリアで認められるが、都心全体への波及には至っているとは言えない状況にあることも確認した。都心関連部局等との意見交換を通じて、人の流れの見える化へのニーズが確認され、都心で行われる各種イベント等の活性化策が歩行者の回遊実態に与える影響を把握できれば、回遊促進につながる要因や回遊を促す仕掛け等を提案できる可能性がある。
本研究では、都心来訪者の回遊実態を把握し、活性化策等によるにぎわい状況を評価する手法を開発することを目的とする。
研究結果・ 得られた知⾒等
・豊田市中心市街地の20か所にWi-Fiパケットセンサー(WPS)を設置し、ラグビーワールドカップ2019開催中の人の動きをはじめとして、都心内の人の動きのデータを収集する体制を構築した。
・来訪者が都心に留まる時間で評価する方法は、滞在時間の平均値ではなく、数時間以上の長時間滞在者の量や割合で評価するべきであることが明らかとなった。
・WPSを用いることで、来訪者の量、流動、滞在時間の評価が可能なことを確認した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・WPSで把握した結果を、中心市街地にかかわる様々な主体に提供した。(主な提供先:豊田市産業部商業観光課、豊田市都市整備部都市整備課、ツーリズム豊田、まちなか宣伝会議、豊田市駅東開発)
・ラグビーワールドカップ2019開催時の人の動きを速報としてまとめ、TTRIのホームページを通じて発信した。
所内の担当者⽒名・ 担当者
・西堀泰英、加藤秀樹
協⼒先名
・山梨大学豊木博泰教授、早稲田大学佐々木邦明教授
・豊田市産業部商業観光課、豊田市生涯活躍部文化振興課、TCCM、豊田まちづくり、ツーリズムとよた、豊田市美術館、豊田スタジアム、中心市街地の店舗等
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・本研究で設置したWPSは次年度も継続して活用し、人の動きの把握に活用する。
・WPSで得た情報を活用し、まちづくりへの活用をさらに広げるための分析手法や分析ツールの整備が課題である。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
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2019
農地転用動向によるスプロール地域の分析と評価に関する研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
農地転用動向によるスプロール地域の分析と評価に関する研究
研究の背景・内容
・近年、中小都市において、モータリゼーションの発達やロードサイドショップの立地により、都市のスプロール化、中心市街地の空洞化、人口の低密度化・広域化等による財政負担の増加、CO2排出量の増加等といった問題が懸念されている。
・また、豊田市行政計画では、2030年まで人口増加を想定し、立地適正化計画では人口増加の受け皿として市街化調整区域の鉄道駅周辺を新市街地区域として設定しており、今後も都市の拡大が予想される。
・郊外開発によって、生活利便性が向上する市民もいる一方、農地の減少や中心市街地の空洞化に拍車をかけることになり、持続可能な都市構造を構築する上で、都市の郊外化を未然に防ぐことは必要不可欠な項目である。
・本研究では、豊田市の土地利用状況の整理、農地転用動向の整理を行い、現況について把握した上で、市街化調整区域の農地転用に影響を与える要因について分析し、農地転用が起こる可能性が高い地域について把握する。
研究結果・ 得られた知⾒等
土地利用状況の推移
・市街化区域内の「建物用地」は増加傾向であったが、2006年以降は横ばい傾向、市街化調整区域では2006年を境に、「田」の減少傾向、「建物用地」の増加傾向が顕著になっており、市街化区域内の開発が一定まで進んだことで、市街化調整区域の開発に移行したと考えられる。
農地転用動向の把握
・農地転用動向を整理し、その特徴を把握した。住宅立地を目的とした市街化調整区域での農地転用では、4条許可(自らが農地を農地以外にする農地転用)よりも5条許可(農地を農地以外にする際に権利の移転を伴う農地転用)が多く、特に分家住宅の立地を目的とした農地転用が多い。
住宅立地を目的とした農地転用の要因分析
・農地転用件数を目的変数とした負の二項回帰分析を行い、農地転用に影響を与えている要因の把握や農地転用が起こる可能性が高い地域を可視化した。農地転用の特徴として、市街化区域縁辺部から徐々に都市が広域化するのではなく、市街化調整区域内にある駅や拠点周辺から開発が広がっていくことが推測される。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・農地転用が起こる可能性が高い地域について、農地転用を防ぐ観点と農地転用を許容する観点から、今後の対策について考察した。
・農地転用が起こる可能性が低い地域にも関わらず、多くの農地転用が起こっている地域について、その背景や原因について考察した。
所内の担当者⽒名・ 担当者
坪井志朗
協⼒先名
豊田工業高等専門学校 佐藤雄哉准教授、佐藤真寛氏(共同研究)
豊田市農政課(農地転用データの提供)
農林水産省(農地テータの提供)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・本研究で設置したWPSは次年度も継続して活用し、人の動きの把握に活用する。
・WPSで得た情報を活用し、まちづくりへの活用をさらに広げるための分析手法や分析ツールの整備が課題である。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
愛知県豊田市における農地転用動向から見たスプロール地域の特徴・・・
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2019
リアルタイム情報に基づく平面交差点信号制御システム最適化に関する研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
リアルタイム情報に基づく平面交差点信号制御システム最適化に関する研究
研究の背景・内容
・新技術(AI、V2I、V2V)の発展とともに、現在の平面交通信号制御システムの変革が期待されている。近年、様々な新技術を活用して、平面交差点各流入レーンの車群の長さを計測する研究がある。また、その情報を利用して信号制御システムを最適化する研究もある。
・これまでの信号制御最適化に関する研究では、現実のデータを用いた単純な信号制御最適化アルゴリズムの評価は困難である。また、信号サイクルと各現示時間の計算モデルとアルゴリズムのメリットとデメリットのとりまとめは少ない。
・本研究ではまず、伝統的な信号制御設計方法に関する文献に加えて、近年注目されている自動観測、V2I、V2Vなどの先進技術によって自動車車群情報を獲得し、平面交差点信号制御システム最適化する関係文献を調査する。
・そのうえで、平面交差点信号制御システムを評価するためのモデルとアルゴリズムを構築し、その検証のため、信号制御単独十字交差点をシミュレーションする。
・構築したシミュレーションを用いて各モデルとアルゴリズムを試行し、シミュレーション結果を比較する。その結果から、代表的なモデルとアルゴリズムのメリットとデメリットを取りまとめる。
研究結果・ 得られた知⾒等
・リアルタイム情報によって、信号制御システムの最適化モデルとアルゴリズムを開発するためのシミュレーションを構築した。
・シミュレーションを通じてモデルとアルゴリズムを検証した。
・利用するリアルタイム情報はシミュレーションから獲得できるため、精度は100%で、情報の更新時間を1秒とすることができ、さらに設定によって0.1秒とすることも可能である。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
社会への貢献:
・交通状況に柔軟に対応する平面交差点信号制御最適化システムを開発することで、交通渋滞の緩和に寄与することができる。
・流出交通量最大化、平均待ち時間最小化、渋滞・滞留長最小化など様々な指標の最適化を評価できるアルゴリズムを開発する準備。
技術的特徴:
・数学モデルを利用し、単独信号交差点の制御から始めて、最終的には、リアルタイム情報に基づく道路ネットワークレベルの信号制御システムを開発する。
・ミクロ交通流シミュレータの二次開発。
所内の担当者⽒名・ 担当者
穆蕊
協⼒先名
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・構築したシミュレーションでは、車両流入の確率が二項分布に従うことを仮定している。今後は、交通実態調査データを用いてほかの分布を試行する予定である。
・平均待ち時間最小化、流出交通量最大化、渋滞・滞留長最小化の数学的な関係を究明し、この三つの目標のトレードオフを考慮した上で、最適化解を求める。
・将来において、全道路に光ビーコンを設置され、車両の流入時間と速度が獲得できる状況を想定して、その情報を利用する信号制御システムを開発する。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
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2019
空間認知特性に着眼した高齢運転者が加害者となる出会い頭事故対策に関する応用的研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
空間認知特性に着眼した高齢運転者が加害者となる出会い頭事故対策に関する応用的研究
研究の背景・内容
(背景)
高齢運転者は、無信号交差点における出会い頭事故の多さが特徴として知られる。この原因として、認知機能、特に視力に起因する能力の低下が関与しているものとされている。無信号出会い頭事故においては、視認性の観点からカメラやレーダーが主流となっているASV(先進安全自動車)単独による解決に課題が予想されるなかで、交差点空間のあり方について政策論的観点から議論を重ねることが重要である。
(目的)
本研究は、出会い頭事故への関係性が予想される高齢運転者の無信号交差点における空間認知特性について実験室実験を通じて明らかにし、高齢運転者の空間認知特性からみた無信号交差点における対策案の検討を試みた。
(方法)
・2018年度に構築した事故予測モデルから出合い頭事故の加害者になりやすい無信号交差点を選定
・実験条件の統制及び被験者の安全性確保のため、選定した空間のVR映像を作成。映像は360度カメラにより現地状況を撮影
・被験者は高齢者29名(73.4±3.9歳)、非高齢者14名(34.3±12.7歳)の計43名。被験者は高齢者クラブ等を通じて募集
・交差点通過時の注視挙動等の傾向をアイトラッキング技術を活用することで把握。具体的には、注視位置・注視時間(ヒートマップ)、注視範囲(垂直・水平挙動の範囲)を計測。また、脳活動も併せて計測
研究結果・ 得られた知⾒等
・高齢運転者は周辺のハザードを適切に知覚しないまま交差点に接近してしまう可能性が高いことがわかった。この原因について特定が重要でありつつも、高齢者には特に交差点付近での補助的な情報提供が有用である可能性が示唆された。
・視力が低い群は交差点接近時というハザード知覚が重要視される状況においてその能力低下を補償するため視線を多く動かしている可能性が示唆された。また下半身が俊敏な人ほど多くの情報収集を行っている可能性が示唆された。これより、視機能だけでなく、下半身の敏捷性も運転適性を判断する上で重要である可能性が伺えた。
・女性は停止時に周辺のハザードを適切に知覚しないまま交差点に進入する危険性が示唆された。これより原因の特定が重要だが、女性に対して交差点停止時により確認を促す施策・対策が有効である可能性が伺えた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(技術的特徴)
〇高齢運転者の空間認知特性について、360度カメラによるVR(ヴァーチャル・リアリティ)映像を作成し、視線挙動を取得できるVRヘッドセットを用いた調査としたことで、実験条件の統制及び被験者の安全性確保を図った。
所内の担当者⽒名・ 担当者
三村泰広・安藤良輔・楊甲
協⼒先名
・大同大学 樋口恵一 講師
・タカタ財団(助成)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
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2019
高齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
高齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
研究の背景・内容
(背景)
高齢運転者の交通事故対策としてサポカーの普及が待たれるが、高齢者は車の買い替えに積極的でない傾向がある。使用中の車両に後付けが可能な安全運転支援装置(後付けADAS:ここでは警報型後付け安全運転支援装置)が注目を集めている。後付けADASは、サポカーが浸透するまでの高齢運転者対策における切り札と言える。
(目的)
昨年度に実施した研究で残された課題である後付けADASの長期的な効果の検証と、研究で得られた成果を豊田市の高齢運転者に発信するとともに後付けADASの普及促進を図ることを目的とする。
(方法)
後付けADASの長期的な効果を検証するため、昨年度の公道実験参加者を対象に、約4か月間の公道実験を実施した。1か月程度の警報を発しない期間を含む実験期間の走行データを取得し、時系列的な急減速回数の変化を分析した。
また、後付けADASの普及促進については、豊田市でも高齢運転者への後付け安全運転支援装置への補助制度が創設されるなどの状況を踏まえ、普及促進のための情報発信の方法について検討を行った。高齢者クラブの会合等において、後付けADASの説明を行うとともに、情報発信の方法(自分の運転を振り返る情報発信のタイミング)を変えることで、後付けADASの利用意向の差を確認するための調査を行った。
研究結果・ 得られた知⾒等
・警報型後付け安全運転支援装置を高齢運転者に貸与する公道実証実験により、前方衝突警報や車線逸脱警報等の警報を発することで、高齢者の運転行動を長期的に変える効果が認められた。具体的には、警報開始後の急減速回数の減少効果を長期的に確認することができた。
・高齢運転者への警報型後付け安全運転支援装置等の情報発信を通じて、情報提供の方法によって利用意向を持つ人の割合に差がある(p=0.07)ことが確認できた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・今後、本研究で着目した装置だけでなくサポカーの購入補助等の導入が予定されているが、サポカーへの買い替えに踏み切れない高齢運転者に対する選択肢の一つとして警報型後付け安全運転支援装置が有効であることを示すことができた。
・装置等の普及促進に向けては、製品の周知や補助制度に加えて、情報発信の方法を工夫することでより効果が高まる可能性があることを示すことができた。
所内の担当者⽒名・ 担当者
・西堀泰英、楊甲
協⼒先名
・豊田市地域振興部交通安全防犯課、豊田市生涯活躍部市民活躍支援課、豊田市高齢者クラブ連合会、西山長寿会、平井町ことぶきクラブ、あしたの会、竜松会、幸海クラブ、グリーンクラブ、公道実験に参加いただいた井郷地区・猿投台地区・若林地区の高齢運転者の皆さま
・豊橋技術科学大学 松尾幸二郎助教、大同大学 樋口恵一講師
・本研究の一部は公益財団法人三井住友海上福祉財団の研究助成により行われました
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・高齢運転者の交通安全に対する世間の関心の高まりを受け、政府の高齢運転者に対する安全対策の充実が進められる中、本研究で着目した警報型後付け安全運転支援装置は一般利用者向けの補助メニューには含まれていない。しかし、先進技術による安全運転支援を実現する有用な選択肢の一つであり、今後も機会を見つけて情報を発信していく。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
・西堀、楊、三村、安藤他:後付け安全装置に対する意識と効果からみた交通安全対策のジレンマ、第十四回日本モビリティ・マネジメント会議
・西堀、楊、三村、安藤他:警報型後付け安全装置による高齢運転者の運転行動変化、公益社団法人自動車技術会2019年秋季大会学術講演会予稿集
・西堀、楊、三村、安藤他:警報型後付け安全装置の高齢運転者に対する効果及び普及方策に関する基礎的研究、第 60 回土木計画学研究発表会・講演集
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2019
ヒヤリ体験調査の実施と活用に関する研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、解析
研究題⽬または報告書タイトル
ヒヤリ体験調査の実施と活用に関する研究
研究の背景・内容
【研究の背景】
研究所では、平成26年度に豊田市内の全小学4年生とその保護者を対象としたヒヤリ体験調査を実施し、調査結果を学校での交通安全教育に活用していただくと共に、ヒヤリ体験に基づく歩行者の死亡事故リスクは予防対策地点の選定に活用できる可能性をみいだした。また、豊田市役所の交通安全行政にも一部活用しているところである。
しかし、推定した歩行者の死亡事故リスクと実際の死亡事故の比較検証は、約1年間という短い期間に発生した事故でしか行われておらず、さらなる検証が必要である。また、死亡事故リスクの考え方を行政担当者に十分理解していただくまでに至っておらず、さらなる啓発活動が必要である。さらに、平成26年度の調査から5年が経過しており最新データへの更新が必要となっている。
【研究の内容】
歩行者死亡事故の優先対策地点の選定根拠に資する死亡事故リスク推計手法の有用性の検証を進めるとともに、交通安全行政での活用促進を目的として、以下のことを実施した。
・死亡事故リスクと実死亡事故の追加検証
・小学4年生とその保護者を対象とした新たな交通安全調査
・交通安全行政への死亡事故リスクの活用に関する普及啓発
研究結果・ 得られた知⾒等
・豊田市内で発生した死亡事故地点とヒヤリ体験に基づき予測した死亡事故が発生するリスクの高い地点とを比較した結果、事故類型が人対車両の死亡事故に関しては、対策地点の優先順位付けに有効であることを確認した。
・新たに交通安全調査を実施し、豊田市内の9,739地点(4年生の指摘:5,298地点、保護者の指摘:4,441地点)のヒヤリ体験発生地点を特定できた。また、調査結果をもとに、死亡事故が発生する可能性の高いワースト地点ランキング、及び、学校区別のヒヤリマップを作成した。
・調査結果を各小学校にフィードバックするとともに、豊田市役所の交通安全行政の担当者と共有した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
顕在化していない死亡事故リスクへの予防対策を可能にするという点で、地域・学校での交通安全活動、交通安全行政に貢献できる。
所内の担当者⽒名・ 担当者
加藤秀樹
協⼒先名
豊田市学校教育課、豊田市校長会、
豊田市内の小学校、豊田市内の小学4年生と保護者
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
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2019
次世代自動車(電動車両)の災害活用に関する研究
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
調査、政策検討
研究題⽬または報告書タイトル
次世代自動車(電動車両)の災害活用に関する研究
研究の背景・内容
【研究の背景】
駆動用バッテリー等を搭載している次世代自動車(ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車)には、複数の電化製品を同時に使用できる100Vコンセントをメーカーオプションで装備できるものがあり、災害時の非常用電源として活用が期待されている。豊田市においても、ハイブリッド車に100Vコンセントを取り付けるメーカーオプションに対して補助金を支給している。
ただし、災害時の有用性に関しては、様々な意見があり、どのような災害の状況・場面で、どんな活用ができるのか等の具体的な整理は行われていない状況である。一方で、平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、日本ではこれまで起こらないとされていたブラックアウトが北海道全域で発生した。インターネットのWEB掲示板では、停電時、次世代自動車をどのように活用したのかに関して多くの書き込みがあり、情報共有されている。
【研究の内容】
そこで本研究では、今後の災害での次世代自動車の活用や備えのあり方を提案することを目的として、以下のことを実施した。
・北海道胆振東部地震での次世代自動車活用やその後の対応に関するヒアリング
・WEB掲示板の情報に基づく大規模停電時の次世代自動車活用事例の整理
・次世代自動車を保有する北海道地震被災者へのインターネットアンケート調査
研究結果・ 得られた知⾒等
・ヒアリングの結果、震災時、レンタカーは返却されるのみで利用されていないこと、一方、行政の公用車はフル稼働していることがわかった。さらに、震災後、自治体と自動車メーカー及び販売店が、電動車両を使用した電力供給に関する協定を締結していること、協定を有効に活用するための仕組みが必要であることがわかった。
・WEB掲示板の情報収集の結果、自家用乗用車に搭載された100Vコンセントが、災害停電時に、スマートフォン・携帯電話の充電をはじめ、様々な電化製品を使用するために活用されていたことがわかった。
・被災者を対象としたインターネットアンケートの結果、電動車両を携帯電話・スマートフォンへの充電に活用できた方が保有者の約60%に達した一方で、約30%が電化製品を使用しなかったこと、電気ポットや炊飯器の使用は10%程度であったこと等がわかった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
調査結果を豊田市役所と共有し、災害時の電動車両の活用について議論を継続している。
所内の担当者⽒名・ 担当者
加藤秀樹
協⼒先名
トヨタレンタリース札幌、札幌市 環境局 環境都市推進部 環境計画課、
北海道 環境生活部 環境局 気候変動対策課、医療法人はまなす
豊田市環境政策課、豊田市未来都市推進課、豊田市防災対策課
株式会社マクロミル
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
令和2年度も本研究を継続実施する。
関連論文(2019年度) (当年報掲載ページ)
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2018
豊田市の高齢運転者の事故特徴を踏まえた事故対策に関する検討
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
豊田市の高齢運転者の事故特徴を踏まえた事故対策に関する検討
研究の背景・内容
事故特性は地域によって異なると言われており、豊田市における高齢運転者による事故対策を検討するためには、その特徴を明らかにする必要がある。しかしながら、全国・愛知県と比べた豊田市の高齢運転者による事故の特徴は十分に明確になっていない。また、高齢運転者による交通事故対策を検討するため、長期間にわたる事故件数の時間的な変化や地区別における空間的な特徴を把握することも不可欠である。
これらの研究背景を受けて、本研究では豊田市における高齢運転者の事故・違反特性を踏まえ、高齢運転者による交通事故の低減対策を検討するための知見を得ることを目的とする。このため、本研究では研究文献調査を実施し、豊田市における高齢運転者事故特徴の分析、交通事故件数の推計モデルの構築、事故対策の検討の三本柱で研究を推進した。
研究結果・ 得られた知⾒等
■豊田市における高齢運転者事故特徴
平成25~29年の交通事故データを用いた分析結果では、事故内容をみてみると、全国と比較して、死亡事故の割合が高いことや、愛知県と比較して、死亡事故や重傷事故の割合が高いことが分かる。また、事故類型をみてみると、全国、愛知県を比較して、正面衝突や車両単独の割合が高いことが分かる。
■高齢運転者による交通事故件数の時間的な変化
高齢運転者の交通事故件数を推定するための時系列モデルの分析結果から、交通事故件数に影響を与える要因は65才以上の人口数や月間の違いである。一方で、高齢運転者講習の見直しによる効果がないことが確認できた。
■高齢運転者による交通事故件数の空間的な特徴
豊田市の都市化地域を対象に、500mメッシュを分析単位とした事故件数推定モデルの分析結果から、従業者数が多くなることや総道路の延長密度が高くなることや交差点次数が高くなることによって、高齢運転者による事故件数が多くなる傾向があることが確認できた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
■本研究の特徴
まずは、高齢運転者の事故について、全国・愛知県と比較することを通じて、豊田市の特徴を明らかにした。そして、高齢運転者の交通事故件数に影響を与える要因を解明するため、豊田市を対象地域として、時系列解析モデル及び空間経済計量モデルを構築した。さらに、豊田市の交通事故特徴を踏まえ、高齢運転者による交通事故対策の検討を行った。
■社会への貢献
本研究は豊田市を対象地域として、高齢運転者による交通事故の単純集計にとどまらず、様々な分析視点から事故特性を把握したため、豊田市における高齢運転者による事故低減対策を検討するための参考資料となる。
所内の担当者⽒名・ 担当者
主担当:楊甲(総括、高齢運転者事故特徴分析、時系列モデル構築、対策検討)
担当:嚴先鏞(交通事故件数の空間的な特徴分析)
協⼒先名
豊田市役所 総務部 庶務課(豊田市人口統計データの提供者)
名古屋大学未来材料・システム研究所 山本俊行教授(共同研究者)
公益財団法人交通事故総合分析センター(交通事故集計ツールの提供者【有料】)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
■研究の課題
本研究では、高齢運転者による交通事故件数を推定するための時系列モデルを構築した際、65才以上の免許保有者数データを入手できず、65才以上の人口データを用いて分析を行った。また、交通事故原票データから、高齢運転者の年齢を把握できないため、70才以上の高齢運転者を対象とした分析ができなかった。これらの問題点から、本研究による知見では限界がある。
■今後の予定
本研究の成果はInternational Choice Modelling Conference 2019やアメリカTRB年次大会等に投稿予定。
関連論⽂(H30 年度)
Examining the Environmental, Vehicle and Driver Factors Associated with Crossing Crashes of Elder Drivers Using Association Rules Mining P.〇〇〇
Examining the Important Factors Affecting the Decision to Cease Driving by Elder Drivers: Case Study of Toyota City, Japan P.〇〇〇
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2018
多様な地域を抱える地⽅都市における ⾃動運転導⼊のロードマップ提案
研究分野
暮らしを⽀える交通
業務類型
調査、政策検討
研究題⽬または報告書タイトル
多様な地域を抱える地⽅都市における⾃動運転導⼊のロードマップ提案
研究の背景・内容
・⾃動運転の導⼊に向けては、導⼊過程の道標となるロードマップの検討が求められる。⾃動運転は、都市交通の様々な課題に対応できる可能性と、新たな問題を引き起こす可能性がある。そのためロードマッは、⾃動運転の技術的課題のみならず都市交通政策課題への対応や、現在の交通⼿段との調和を図りつつ作成する事が重要である。
・地⽅都市の中でも多様な地域を抱える豊⽥市を念頭に置き、豊⽥市において⾃動運転技術の導⼊を進めるための準備として、ロードマップを検討する。ロードマップでは、⾃動運転技術導⼊に関する5W1H(なぜ、だれが、いつ、なにを、どこで、どのように導⼊するのか)を明確化する。
研究結果・ 得られた知⾒等
・豊⽥市の住宅団地(五ケ丘地区)と⼭村部(旭地区)を対象として、多様な地域を抱える豊⽥市で⾃動運転移動サービス導⼊に向けた事前準備を検討した。
・対象地域の現状から導⼊の必要性や求められる交通システムを⽰し、導⼊対象範囲、段階的導⼊の姿、導⼊にあたっての各主体の役割、導⼊に向けた検討の進め⽅などを提⽰した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・⾃動運転移動サービスの必要性(なぜ)を検討するため、パーソントリップ調査データ等を⽤いて、対象地域の移動実態の⾯から⾃動運転移動サービスの貢献できる場⾯を検討した。
・国内外の⾃動運転やMaaS の導⼊に向けた議論等を参照し、それらの導⼊にあたっての⾃治体の役割等も踏まえた検討を⾏った。
所内の担当者⽒名・ 担当者
責任者・主担当者:⻄堀 泰英
協⼒先名
豊⽥市企画政策部未来都市推進課、トヨタ⾃動⾞株式会社、名古屋⼤学未来社会創造機構、株式会社M-easy
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・本研究の対象地域には、多様な地域のひとつである都⼼が含まれていない。都⼼における検討は、連携を予定していた実証実験の開始が想定より遅れたため、本研究の対象から外した。今後、検討していくことが求められる。
関連論⽂(H30 年度)
⻄堀、福本:タクシー事業の⼈材確保と時代の変化への対応状況、⼈と環境にやさしい交通をめざす全国⼤会論集2019
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2018
豊田市におけるバス機能を考慮した 新たなバス評価指標の提案
研究分野
暮らしを⽀える交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
豊田市におけるバス機能を考慮した新たなバス評価指標の提案
研究の背景・内容
⚫ 豊田市においては基幹バス・地域バスを対象とした公共交通評価の仕組みがあり、①収支率、②沿線人口あたり利用者数(地域バスは高齢者人口あたり利用者数)の2つの定量評価指標によって評価を行っている。
⚫ しかしながら、広大な市域を抱える豊田市においては、一口に基幹バスと言っても、人口集中地区を走行するものから中山間過疎地域を走行するものまで、路線の状況が全く異なり、同一の評価指標で評価を行うことに無理がある。
⚫ 平成28年度にはおいでんバスにICカードが導入されたため、今まで把握が困難であったODデータの分析が容易となっており、収支率・利用率以外の評価指標を構築することが可能な状況となっている。
⚫ ドライバー不足から名鉄バスの2路線の撤退が予定されており、基幹バスネットワークの効率化が求められる中で、現在のバス利用の状況を定量的に把握する必要性も高まっている。
⚫ 平成32年度に次の公共交通評価が行われる予定であるため、それに反映させることを目指して、バス機能を考慮した新たなバス評価指標の提案を行う。
研究結果・ 得られた知⾒等
⚫ ICカードデータを用いて以下の可視化を行った。
⚫ 便別・区間別の通過人員をグラフにより可視化することで、非効率な運行となっている区間や便を特定し、路線やダイヤの見直しの基礎資料となるデータの整理方法を検討した
⚫ 具体的な路線再編に活用することを想定し、集計方法、結果の見方を提示した
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
⚫ ICカードデータから利用者OD、利用状況を可視化することにより、バスネットワークの見直しに活用することが可能となった
所内の担当者⽒名・ 担当者
福本雅之
加藤秀樹
協⼒先名
豊田市交通政策課
株式会社ユニトランド
株式会社ユニリタ
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
本研究で得られた知見を踏まえ、今後予定されている豊田市のバス評価の改善提案を行うことが求められる
関連論⽂(H30 年度)
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2018
地区内道路の課題に関する基礎研究 ~ 歩行者保護に資する対策の検討 ~
研究分野
暮らしを⽀える交通
業務類型
調査、解析、政策検討
研究題⽬または報告書タイトル
地区内道路の課題に関する基礎研究
~ 歩行者保護に資する対策の検討 ~
研究の背景・内容
【研究の背景と目的】
地域住民の生活に密接した地区内道路(主に市町村道であり、生活道路として機能)整備の課題は、より安全にアクセス機能を持たせることが主となる。豊田市はじめ地方都市では、主に地域住民からの「要望」に基づいた整備(維持・管理含む)がなされていることからも、地域住民の役割が重要であることが窺える。
一方、地域住民によるソフト的な安全対策として「交通安全立哨活動」が定期的に実施されている。豊田市では歩行者保護に重点を置いた交通安全啓発施策が展開されており、昨年度の研究においてドライバーアンケート調査から「地域の知人による立哨」「謝意メッセージ」など、効果的な啓発方法の可能性が示唆された。
以上を踏まえ、本年度は「地域の交通安全対策」にについて、ハード対策を併せて課題を整理しながら「地域住民によるソフト施策の提言」を目指し、効果的な安全立哨活動についての検討に取り組んだ。なお豊田市交通安全防犯課からの委託研究と併せて実施している。
【研究内容と方法】
(1)歩行者保護に資する施策の整理路側でのドライバーに対する情報提供・注意喚起方策、住民参加による対策など、ハード・ソフト両面から事例収集しながら整理する。
(2)効果的な啓発実証実験の企画
H29 年度自主研究成果を踏まえ、地域住民や地域企業の交通安全立哨活動を想定した実証実験を企画する。
(3)実証実験の実施と評価〔一部委託研究として実施〕
実証実験を実施し、効果を計測し過年度調査で示唆された知見を検証する。
(4)課題整理と市民への展開方策の検討〔一部委託研究として実施〕
実験結果を踏まえ課題を整理し、効果的な啓発手法の全市展開方策を検討する。
研究結果・ 得られた知⾒等
・ハード・ソフト両面からの具体的な歩行者保護対策を整理。
・無信号横断歩道においてドライバーに対し「歩行者保護行動に対する謝意」を伝えるプレートを作成し、実証実験を実施。
⇒ 謝意プレートを用いた立哨活動による一定の効果を確認。
少人数の立哨活動でも、能動的な態度で謝意を伝えることが重要と推察。
効果の継続は限定的で定期的な活動が必要。
・謝意プレート等を利用した“能動的な”立哨活動方法の提案。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
・歩行者保護運転の普及を効果的に促進するために、地域住民による立哨活動を活かした具体的な啓発方法を提言。
所内の担当者⽒名・ 担当者
主担当 山崎基浩(統括、調査、分析、まとめ)
協⼒先名
豊田市 地域振興部 交通安全防犯課
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・第 14 回JCOMM での発表を予定。
関連論⽂(H30 年度)
歩行者の安全に配慮した運転に関するドライバー意識(第57 回 計画学)
×
2018
地域バスを対象とした効果的なバス利⽤促進⼿法に関する研究
研究分野
暮らしを⽀える交通
業務類型
調査
研究題⽬または報告書タイトル
地域バスを対象とした効果的なバス利用促進手法に関する研究
研究の背景・内容
・豊田市においては12 地区・14 系統の地域バスが運行されているが、公共交通評価において設定された評価指標をクリアできないものが全体の半数にあたる7 系統あるなど厳しい状況であり、この傾向は運行開始以来続いている
・一部の地域バスにおいてはタクシー活用施策への切り替えの検討が始まっているが、地域バスとして存続する場合には、現在の公共交通評価の枠組みの中で、地域で自己評価目標を立案し、それを達成することが求められ、自発的な利用促進の取り組みが求められる
・本研究では、地域バスの利用促進施策を地域自らが行う際、より効果の大きい方策について検討し、今後も地域バスを運営し続けていく協議会の取り組みに資する知見を得ることを目的とする
研究結果・ 得られた知⾒等
・座学やチラシ配布といった従来多く行われてきた利用促進施策ではなく、バス乗車体験によって参加者に強く働きかけることにより、実際の利用につながる効果が大きいのではないかという仮説を検証するため、保見地域バスにおいて、住民を対象とした体験乗車会を実施した。
・体験乗車会実施から3 ヶ月程度経過した後、参加者がその後にバスを実際に利用しているかを把握するための追跡調査を行った。
・その結果、1)体験乗車会参加者14 名のうち、少なくとも5 名が体験乗車会後にバス利用を行っていることがわかった、2)そのうち2 名については、反復しての利用を行っていることがわかった
・以上のことから、体験乗車を実施することは被験者に対して強くバス利用を印象づけると共に、バス利用に伴う不安感を払拭する効果があると考えられ、バス利用促進手法として効果的であることが示唆された。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・地域バスの利用促進策として体験乗車が有効であるとの仮説を検証することができた
所内の担当者⽒名・ 担当者
福本雅之
協⼒先名
保見地域バス運営協議会
豊田市猿投支所
株式会社オーワ(保見地域バス運行受託者)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
本研究で得られた知見を踏まえ、他の地域バスにおいても同種の取り組みを行うことが利用促進施策として有効であると考えられる
関連論⽂(H30 年度)
×
2018
次世代自動車のCO2 排出量算定における ビッグデータの活用に関する検討~ 車検証データに基づく自動車走行距離の推計 ~
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
次世代自動車のCO2 排出量算定におけるビックデータの活用に関する検討~車検証データに基づく自動車走行距離の推計~
研究の背景・内容
低炭素社会の実現に向けて、日本全体のCO2 排出量の2 割弱を占める運輸部門が担う役割は大きい。近年では、多様な次世代自動車(HEV, EV, PHV, FCV)が市販されるようになり、これらの普及による低炭素交通の実現が期待されている。しかし、多くの自治体でCO2 削減目標と実績値には大きな乖離が生じており、これは、各種施策の定量的な効果評価が不十分だったためと考えられる。
そこで、次世代自動車の先行的な大幅普及を目指す豊田市の施策支援の観点から、平成28 年度は、ハイブリッド車購入時の自治体による補助金の普及拡大効果の定量的評価を行った。平成29 年度は、次世代自動車普及効果を反映できていないCO2 排出量算定の方法の改善に着目し、既存の統計資料をベースにした自動車の排出原単位の整理を行い、日本全体の自動車CO2 排出量と整合性を担保した車種別CO2 排出原単位の提案を行った。
本年度は、自治体ベースでより現実に近い自動車CO2 排出量を得るために、オープンデータ(車検証データ)を活用した自動車走行距離の推計方法について検討した。
研究結果・ 得られた知⾒等
・ 本研究で提案した自動車走行距離の推計法について、営業用バス走行距離を用いて、自動車輸送統計調査(バス全数アンケート)の統計値と比較検証した結果、車検証データの走行距離データ欠損値や異常値を取り除くことで、精度の高い走行距離推計法となることを確認した。
・ 貨物車の年間走行距離の分布から、車両総重量が大きいほど、走行距離が長くなること、14t を超えるような大型貨物車では、10 万キロを超えるような車両も約17%も存在することが分かった。
・自家用乗用車において、愛知県排出量を車両台数で按分し各自治体の自動車CO2 排出量を算定する場合、各自治体の走行距離の違いによって、最大8.7%過大評価される自治体、逆に19.8%過小評価される自治体があり、走行距離を考慮した算定方法が必要であることを明らかにした。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・豊田市施策への直接的な貢献:自動車CO2 排出量算定方法の改善
・オープンデータ・ビックデータの活用:MOTAS※の活用。
※ 自動車登録検査業務電子情報処理システム(車検証の統計データが提供さ
れる)
所内の担当者⽒名・ 担当者
加藤秀樹
協⼒先名
一般財団法人自動車検査登録情報協会(個別統計データの提供)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
個別統計データは有料で提供されるため、各自治体が独自にデータを入手し走行距離を推計するには経済的な負担が大きい可能性がある。そのため、自治体別の自動車走行距離データを提供できる仕組みを提案する必要がある。
関連論⽂(H30 年度)
×
2018
豊⽥市都⼼の課題を⼈の活動と意識から考える研究
研究分野
都市空間を⽀える交通
業務類型
調査、政策提言
研究題⽬または報告書タイトル
豊⽥市都⼼の課題を⼈の活動と意識から考える研究
研究の背景・内容
・豊⽥市の都⼼では、歩⾏者通⾏量の⾃動計測装置(パロッシー)や、フリーパーキングの利⽤実態データなどが収集されている。これらのデータを組み合わせて活⽤することで、都⼼でのひとの流動が把握できる可能性がある。
・本研究では、都⼼の⼈の活動や意識を把握(⾒える化)し、そこからにぎわい創出に向けた課題を抽出し、対策を提案する。
研究結果・ 得られた知⾒等
・都⼼来訪者の意識調査結果から、都⼼の満⾜度には、来訪の便利さや魅⼒的な店舗、安全で楽しく歩ける美しい街並みなどが影響していることを確認
・⻑期的な歩⾏量の分析からは、豊⽥市駅周辺で⻑期的に増加する⼀⽅、駅から離れた場所では⻑期的に減少していることを確認
・KiTARA 開業後に特に休⽇において駅東側の歩⾏者の量や空間的に広がっていることを確認
・歩⾏量によるイベントの評価からは、Jリーグ試合⽇は夜の試合⽇に⽐べて昼の⽅が歩⾏者量の時間的な集中が少ないことを確認
・駐⾞場の利⽤実態からは、都⼼全体での駐⾞場容量は充⾜しているが、特定駐⾞場への集中が起こっていることを確認
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・各種データから得られた知⾒から都⼼の課題を整理し、対策を提案した。
・課題①都⼼の魅⼒向上による来訪者増 → 都⼼来訪⼿段の利便性維持・向上、都⼼全体での多様な店舗の誘致や公共空間整備など、これまでの取り組みをより⼀層推進していくことを提案
・課題②⾃動⾞以外の⼿段への転換 → 公共交通版の都⼼来訪コスト⽀援制度の導⼊可能性検討を提案
・課題③駐⾞場利⽤の分散 → ⾮混雑駐⾞場のさらなるPR や経路誘導、予約制導⼊検討、中⻑期的視点でのフリーパーキングのあり⽅検討などを提案
・課題④駐⾞場利⽤者が滞在しやすい環境整備 → 都⼼での活動を担保する打⽌め料⾦の検討を提案
所内の担当者⽒名・ 担当者
責任者・主担当者:⻄堀 泰英
担当者:嚴 先鏞
協⼒先名
豊⽥市企画政策部企画課、豊⽥市産業部商業観光課、豊⽥市都市整備部都市整備課、豊⽥市都市整備部交通政策課、豊⽥市美術館、豊⽥まちづくり株式会社、国⼟交通省中部地⽅整備局
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
データの制約から⼈の流動を⼗分に把握できなかったことから、⼈の流動を把握するデータを得るための⽅法を引き続き検討し、得られたデータに基づいて流動を把握する⽅法の構築を⽬指す。
関連論⽂(H30 年度)
なし
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2018
人口構成と交通動向を考慮した 将来都市構造可視化シミュレーョンツールの開発に関する研究
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
人口構成と交通動向を考慮した将来都市構造可視化シミュレーションツールの開発に関する研究
研究の背景・内容
・我が国の地方都市では拡散した市街地で急激な人口減少が見込まれる一方、大都市では高齢者の急増が見込まれる中で、健康で快適な生活や持続可能な都市経営の確保が重要な課題となっている。
・この課題に対応するためには、都市全体の構造を見渡しながら、住宅及び医療、福祉、商業その他の居住に関連する施設の誘導と、それと連携した公共交通に関する施策を講じることにより、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援することが必要である。
・コンパクトシティを目標とし、構築していくには、行政のみならず、様々な分野の専門家、地元住民、 民間企業が協力し合い、共通した将来都市構造のイメージを持つ必要がある。
・都市将来像を交通動向や都市計画の分野から分析を行ったうえで、様々な将来都市構造を可視化できる「将来都市構造可視化シミュレーションツール」の開発を行い、地域特性を考慮したコンパクトシティを検討した。
研究結果・ 得られた知⾒等
・豊田市の現状人口や100m メッシュ人口を基に、将来推計人口を算出し、 100mメッシュ将来推計人口分布を構築した。
・豊田市のPT 調査や将来推計人口を基に、将来推計 PT を算出し、 100m メッシュ将来推計 PT を構築した。
・VBA Visual Basic Application )を用いて、将来的に目標とする将来像を検討できる「将来都市構造可視化シミュレーションツール」を開発した。
・「将来都市構造可視化シミュレーションツール」を用いて、将来的に目標とする都市構造のシナリオを作成し、持続可能な都市構造を可視化し、検討した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・豊田市の行政計画において、2040 年を目標として、将来人口を豊田市全域で420,000 人と設定している一方 で、人口問題研究所が算出している将来推計人口では 408,866 人と算出されており、 11,134 人の差がある ことを示した。
・豊田市の将来推計PT を算出し、人口減少・高齢化に伴い、 PT 数が減少することを示した。
・将来都市構造可視化シミュレーションを用いて、人口を増加する地域や維持する地域を検討し、コンパクトな都市構造を構築した。
所内の担当者⽒名・ 担当者
坪井志朗
協⼒先名
豊田市都市計画課(データ提供)
中京都市圏総合都市交通計画協議会(データ提供)
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
日本学術 振興会の研究活動スタート支援(期間: 2018 年 10 月~ 2020 年 3月)の研究助成を受け、研究を継続実施する。
来年度の予定
・「将来都市構造可視化シミュレーションツール」を用いて、行政関係者、専門家等にヒアリングを行い、豊田市の特徴を活かした将来都市構造を検討する
関連論⽂(H30 年度)
Development of the Planning Support System for a Compact City inConsideration of the Developmen t Potential
行政計画の目標とする将来都市構造の可視化に関する研究
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2018
都市機能集約と人口変動を考慮したアクセシビリティの観点からの都市構造評価
研究分野
都市空間を創出する交通
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
都市機能集約と人口変動を考慮したアクセシビリティの観点からの都市構造評価
研究の背景・内容
・公共交通網の再編や既存施設の廃止を伴う都市機能の集約は、地域によっては利便性の低下につながる場合もあり得るため、都市機能の分布と交通網に基づいたアクセシビリティの現況を定量的に把握し、将来の計画を評価することが必要である。
・本研究では、近年の立地適正化計画の拠点のような都市機能の地理的な集約による複数の都市機能の利用を考慮してアクセシビリティを評価し、アクセシビリティの低下を防ぐための対策を検討することを目的とする。
研究結果・ 得られた知⾒等
・病院、銀行、スーパーマーケットの3 つの施設を対象都市、最寄り施設までの平均距離と巡回距離を比較した結果、都心から離れた山間部のみならず、都心の周辺部でもギャップが大きい場所が存在しており、実際に複数の施設を利用する際には不便を感じる可能性がある。
・全人口の半分が公共交通による移動でも約36 分以内の地域に居住している。自家用車による移動は便利であるものの、公共交通による利用が不便である地域は、居住地の48.9%を占め、約44%の人口が居住している。
・公共交通が相対的に不便である地域の中では、「路線網による不便」の地域がほとんどであり、路線網の調整による利便性の向上が考えられる。また、「施設分散による不便」がある可能性が高い地域は、山村部のバス路線の近くに多く分布している。
・施設の重要度を分析した結果、郊外部の周辺に他の店舗がない立地では、公共交通利用不可人口と移動時間増加の最大値が大きく、交通結節点では、移動時間増加の総和が大きい。バス路線の重要度分析結果、多くの施設を経由し、かつ都心まで乗り換えせずにアクセスできる路線の利用者が多い。また、代替路線がない路線の場合、廃線による影響が大きい。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・複数の施設の利用を考慮したときのアクセシビリティに基づき、 地域別にアクセシビリティの確保のための課題を「公共交通網による連結が必要である地域」、「施設の集約が必要な地域」に区分し、対策の方向性を提案した。
・それぞれの施設集約地点とバス路線が豊田市全体の利便性に貢献している程度を定量化することにより、意思決定者が施設や公共交通網の再編における決定の際に、基礎データとして活用できる。
・提案した利便性指標に基づき、持続的なモニタリング及び将来の政策の評価に活用することにより、根拠に基づいた計画に寄与できる。
所内の担当者⽒名・ 担当者
責任者・主担当者:嚴 先鏞
協⼒先名
豊田市企画政策部都市計画課、豊田市都市整備部定住促進課
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
バスの運行頻度や乗り換えなど現実的な公共交通利用パターンを反映すること、複数の目的におけるアクセシビリティが住民の交通手段の選択や外出行動に与える影響を分析すること、ライフサイクルによる様々な移動パターンを考慮することが課題として挙げられる。
関連論⽂(H30 年度)
日常生活において複数の目的を持つ移動の利便性評価
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2018
⾼齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
研究分野
交通の安全・安⼼
業務類型
調査、政策検討
研究題⽬または報告書タイトル
⾼齢運転者を対象とした後付け型ADAS の多様な効果に関する研究
研究の背景・内容
・地⽅都市では⾼齢者でも⾃動⾞に依存する場⾯が多く、⾼齢運転者の交通安全確保が課題である。
・サポカーの名称でADAS の普及促進に取り組まれているが、新⾞やその中でも⽐較的グレードの⾼い⾞種に限定されている。ADAS が広く浸透するにはまだ時間を要する可能性がある。
・後付けADAS が発売されているが、⾼齢者に対する効果や⾼齢者の意識などは不明確である。
・そこで、後付けADAS による⾼齢運転者の効果や意識を把握するとともに、後付けADAS の普及⽅策を検討する。
・本研究では、⾼齢運転者に実際に後付けADAS を体験いただく実証実験と、後付けADAS 利⽤者等への意識調査を⾏う。
研究結果・ 得られた知⾒等
・⾼齢運転者に実際に後付けADAS を体験いただく実証実験の結果、警報回数や急減速回数が減少する変化がみられ、⾼齢者にも効果があることを確認した。
・後付けADAS 利⽤者のうち「有⽤と思わない」⼈が後付けADAS による交通事故抑⽌経験がある⼈が多いというジレンマがあることを確認した。
・普及⽅策として、運転免許更新時講習等の場を活⽤した情報発信、運転に対する意識を踏まえた周知、配偶者等からの提案、魅⼒的な製品の充実、⾏政等の取り組みなどを提案した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・後付けADAS の効果や普及⽅策を提⽰したことで、新⾞への買い替えが進みにくい⾼齢運転者の安全運転を⽀援する切り札としての後付けADAS を導⼊することの意義を明確化した。
・後付けADAS の普及⽅策として、本⼈だけでなく近親者からのアプローチについても検討した。
所内の担当者⽒名・ 担当者
責任者・主担当者:⻄堀 泰英
担当者:楊 甲
協⼒先名
・実証実験の実施にあたり、豊⽥市交通安全防犯課、市⺠活躍⽀援課、井郷地区⾼齢者クラブ連合会、猿投台地区⾼齢者クラブ連合会、若林地区⾼齢者クラブ連合会、愛知県トラック協会中部トラック総合研修センターの協⼒を得た。
・本研究の推進にあたっては、近隣交通安全研究会、⾼齢者モビリティ研究会、モービルアイ活⽤に関する研究会において、研究会メンバーの豊橋技術科学⼤学松尾助教、⼤同⼤学樋⼝講師、国⼠舘⼤学寺内教授を始めとする出席者各位からは有益な助⾔をいただいた
・本研究の⼀部は、三井住友海上福祉財団の研究助成により⾏った。
問題点・課題・今後の研 究予定・その他
・後付けADAS の⻑期的な効果の確認や、機種による評価の違いを検証するため、2019 年度も引き続き研究を継続して実証実験を⾏う。
関連論⽂(H30 年度)
・なし
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2018
交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
研究分野
交通の安全・安心
業務類型
解析
研究題⽬または報告書タイトル
交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
研究の背景・内容
第8次豊田市総合計画の中で、厳しさを増す財政状況は豊田市が抱える脅威の一つとして明示されている。このため、実施する政策の妥当性の判断や、実施した政策評価を効率的・効果的に行える「仕組み」が求められている。この「仕組み」の実現に向けて、様々なビッグデータを統合的に管理するデータプラットフォームの構築が有用である。また、当研究所では、交通安全に係わる様々なビッグデータを蓄積している中で、これらのビッグデータをさらに活用することを通じて、豊田市における交通事故削減に貢献することが求められている。
これらの研究背景を受けて、本研究では豊田市における交通安全に係るビッグデータを更に活用するため、豊田市と研究所双方がデータを共有するための効果的なデータプラットフォームの構築を試みることを目的とする。このため、本研究では、文献調査、基礎データの整理、データプラットフォームの構築及びその活用方法の三本柱で研究を推進した。
研究結果・ 得られた知⾒等
■基礎データの整理
本研究は、愛知県警から受領した交通事故データ、研究所独自で調査したヒヤリハットデータ、そして、自主研究による自動車の急減速データを地理情報システムに集約した。それに加えて、豊田市の外環状線+α地域の速度規制データ、豊田市全域のデジタル道路地図データなども集約した。
■データプラットフォームの構築
本研究では、公益財団法人交通事故総合分析センターが構築した交通事故分析システムを参考しながら、国土地理院が公開しているオープンデータを用いて、交通事故件数の集計・可視化ツールを独自で開発した。この可視化ツールは事故属性の組み合わせによって、100m、250m、500mメッシュを対象単位として事故件数を可視化する機能を備える。また、交通事故位置をプロットする機能も備える。
■データプラットフォームの活用方法
本研究では、交通安全に係わる様々なビッグデータを活用することを念頭に入れて、まずは豊田市全域の250mメッシュを集計単位として、生活道路における交通事故件数の推定モデルを構築した。そして、市区町村のオープンデータを用いて、分析対象の交通安全性を評価するための総合指標である「交通安全力」を構築した。これらの指標を用いて、交通事故対策に関する方策提案を行った。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
■本研究の特徴
本研究では、交通安全に係わるビッグデータの最新動向を整理したうえ、フリーソフトウェアのQGISを用いて、研究所が保有している様々なビッグデータを集約した。これらのデータを用いて、地区別の交通安全性を評価するための評価指標(事故件数、一人当たりの事故件数等)が簡単に作成できる。
■社会への貢献
本研究では、構築したデータプラットフォームを活用し、豊田市地区別や市区町村の交通安全性を評価するための評価指標が作成できる。これらの結果を踏まえ、交通事故対策を検討する知見を提示することは可能である。また、本研究で構築したデータプラットフォームは豊田市のみならず、豊田市以外の地方自治体にも活用できる。
所内の担当者⽒名・ 担当者
主担当:楊 甲(総括、文献調査、QGIS可視化ツールの開発)
担当:三村泰広(市区町村を対象とした「交通安全力」総合指標の構築)
担当:坪井志朗(豊田市地区を対象とした生活道路の事故件数推定モデルの構築)
協⼒先名
豊田市役所 地域振興部 交通安全防犯課(ヒアリング調査先)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
本研究成果の一部はアメリカTRB年次大会等に投稿予定。
関連論⽂(H30 年度)
Analysing Household Vehicle Ownership in the Japanese Local City: Case Study in Toyota City P.〇〇〇
速度規制標識が無い生活道路における助言型ISAの速度抑制効果検証 P.〇〇〇
生活道路に着目した交通事故予測モデルの検討 P.〇〇〇
Developing a Timely and Simple Method to Evaluate the Effect of Transportation Demand Management Campaign in Toyota city, Japan P.〇〇〇
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2017
交通事故数予測モデルを踏まえた愛知県「三位一体」対策の提言
研究分野
交通安全
業務類型
調査、解析
委託者
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金
業務の概要
(1)交通事故数予測モデルに関する整理
(2)愛知県の交通事故特徴の整理
(3)予測モデル用の指標の収集
(4)交通事故数予測モデルの構築
(5)愛知県既往対策方針の整理
(6)交通事故数予測モデルを踏まえた愛知県における「三位一体」対策の提言
技術的特徴・付帯的成果
交通死亡事故の特徴について、事故データ解析、社会指標によるモデル構築を通じて整理し、その特徴を踏まえた愛知県において優先的に推進すべき対策を第10次愛知県交通安全計画の中から選定
所内の担当技術者氏名・担当者名
三村 泰広
楊 甲
今後の予定
平成30年度、本事業成果の活用に向けて関係機関へ調整していく予定
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2017
無信号横断歩道での安全に 関する基礎研究 ~歩行者保護に資するソフト施策の視点から~
研究分野
交通安全
業務類型
調査、解析、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
無信号横断歩道での安全に関する基礎研究
~歩行者保護に資するソフト施策の視点から~
研究の背景・内容
【研究目的】
豊田市が取り組む「歩行者保護モデルカー活動」で掲げられている「横断歩道での歩行者優先」に着目し、無信号横断歩道での停止行動の実態および自動車ドライバーへのアンケート調査結果から同活動を評価するとともに、歩行者保護運転の促進を目的とした啓発施策の課題と今後の方向性を探る。
【研究内容と方法】
(1)無信号横断歩道における交通の実態整理
横断中の交通事故なと、件数の減少幅が小さく、死亡・重傷事故につながりやすい人対車両事故の実態を整理するとともに、豊田市交通安全防犯課が実施している現地調査結果から、無信号横断歩道での歩行者保護運転の実態を整理する。
(2)横断歩道における交通事故対策
「人」「車両」「道路」の3要素に着目しながら、横断歩道における交通事故対策を整理する。
(3)交通安全啓発における視点
社会心理学やマーケティング学の視点での既往研究をレビューするとともに、交通安全啓発施策における考え方を整理する。
(4)より効果的な歩行者保護啓発に向けて
Web調査によるドライバーへのアンケート調査から、より効果的な歩行者保護施策の課題と方向性を整理する。
研究結果・ 得られた知見等
・ 事業所に属さない層に対する啓発の必要性
・歩行者として「止まってもらった」ことを経験する機会を創出する啓発・教育施策の必要性
・横断歩行者妨害など歩行者保護違反の深刻さを伝える啓発の重要性
・地域住民・企業による立哨活動で、横断歩道での停止を促すことの効果
・路側・道路のハード対策と併せた啓発施策の展開の必要性
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
歩行者保護運転を効果的に促進する啓発活動の提言
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当 山崎基浩(統括、調査、分析、まとめ)
協力先名
豊田市 地域振興部 交通安全防犯課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
平成30年度に受託研究と併せて具体的な施策の試行に取り組むことを予定。
関連論文(H29年度) (当年報掲載ページ)
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2017
⽴地適正化を⾒据えた豊⽥市の ⼈⼝動態に関する基礎的調査研究
研究分野
環境・総合
業務類型
政策検討
研究題目または 報告書タイトル
⽴地適正化を⾒据えた豊⽥市における⼈⼝動態に関する基礎的調査研究
研究の背景・内容
・⽴地適正化計画を策定すること等により居住を誘導する取り組みが数多く⾏われている。都⼼などが含まれる居住誘導区域への居住推進という政策ニーズと、居住者のニーズの間には、地価の⾼さなどのギャップが存在する。そのため、その実現は容易ではないと懸念される。
・ 豊⽥市を対象に、新規居住場所の違いによって世帯と⾏政のそれぞれにどのようなメリット・デメリットがあるのかを費⽤の⾯から総合的かつ定量的に評価することを⽬的として、豊⽥市の⼈⼝動態と都市を取り巻く状況を分析・整理するとともに、居住地の違いによる世帯の家計や⾏政の財政に及ぼす影響を検証した。
研究結果・ 得られた知見等
・豊⽥市は「ゆるやかな居住誘導」(第8次総合計画)を⽬指しているが、スプロール的な宅地化が続いているとの報告もあることを確認した。⼀⽅、市外への転居理由のひとつに地価が⾼いことが指摘されており、過去数年の地価の推移をみても上昇基調にある。拠点周辺の⼟地が、地価などの⾯で転居希望者のニーズに合致するかどうかが居住誘導を進める上での鍵となることを確認した。
・ 居住地の違いによる世帯の家計や⾏政の財政に及ぼす影響を検証し、居住誘導区域において⾃動⾞を保有せず公共交通利⽤を前提とした暮らしを選択することは、評価をさらに⾼めることを確認した。
・その結果を踏まえ、「ゆるやかな居住誘導」を推進する施策の⽅向性として、1)居住誘導区域における鉄道利便性の確保、2)都⼼居住を増やすための促進費を提案した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・他都市の例で⽴地適正化計画の策定の際に住⺠から反発にあう例があることから、本研究では、すでに住まいを構えている⼈ではなく、新規居住者へのアプローチを考える(集約ではなく拡⼤の抑制)。
・都市構造の評価では都市や地域全体を対象とする研究が多いが、実際に居住するのは⼈(世帯)であることから本研究では世帯に着⽬する。
・⽴地場所の違いによる検証を、経済的な指標を⽤いて「家計の⽀出」や「⾏政の歳⼊及び歳出」を⽤いて評価する。
・本研究は以上の点に特徴がある。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者・主担当者:⻄堀 泰英
協力先名
豊⽥市企画政策部都市計画課
豊⽥市市⺠部資産税課
豊⽥市都市整備部開発審査課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
今後の課題として、政策実施の検討の際にさらなる検証が必要となる場合は、より詳細なデータを使⽤することが望ましい。
本研究では対象にしていないが、2022 年に⼤部分が期限を迎える⽣産緑地の動向を注意深く⾒守る必要がある。
関連論文(H29年度) (当年報掲載ページ)
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2017
中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向 に関する調査
研究分野
環境・総合
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向 に関する調査
研究の背景・内容
経済発展が急激に進んでいる中国では、スマートシティの建設及び道路高度化技術を活用した活用して様々な都市交通施策が進められている。また、中国の規制が比較的緩やかのため、日本で考えられないようなデマンド交通システム(滴滴打車ほか)によるサービスや新しいPMV(Person Mobility Vehicle)の発売等の新技術・新手法の活用がある意味で世界をリードしている側面もある。日本では、中国の先進的な取り組みについての情報が極めて不足している。
そこで、本調査研究は、中国におけるITSはじめとする最新技術を活用するスマートシティの現状と自動運転等最新の動向を把握することを目的として、今後の日本まちづくりの参考とすると同時に、日本の交通イノベーションの推進における課題整理にも役に立つ基礎資料とする。
研究結果・ 得られた知見等
■現地調査
中国の都市における交通まちづくりの現状と将来について、交通取締・事故対策、交通系ビッグデータの活用方法、交通系シェアリングビジネスの最新動向を把握し、日本にとって参考となるものを整理した。
■アンケート調査
2017年末~2018年初めに中国の自家用車利用者を対象とした自動車利用実態及び自動運転等交通イノベーションに関する意識調査を実施し、2016年度に当研究所が実施した日本国民を対象とした調査結果との比較を通じて、中国と日本の国民意識の違いを把握した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
■社会への貢献
中国の都市における交通まちづくりの現状の中で、ITSによる違反の取締り及び事故対策、交通系ビッグデータの活用現状、交通系のシェアリングビジネスの現状などの先進的な取組みを整理し、報告書として取りまとめた。
■調査的特徴
本調査では、インターネットやWechat等のSNSによる資料収集による調査のターゲットに絞り込んだ上で、中国語を精通している研究員は対象都市となる4箇所(南京市、西安市、深圳市、合肥市)を訪れて、関係者を対象にヒアリング調査を行い、最新情報を収集した。
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当者 安藤良輔(総括、現地調査、アンケート調査)
担当者 楊 甲(現場調査に向けての事前情報収集、現地調査)
協力先名
南京市:南京大学甄峰教授ほか;西安市:長安大学趙祥模副学長、恵飛准教授ほか;深圳市:清華大学深圳研究院繆立新教授ほか;合肥市:合肥工業大学の張衛華教授ほか
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■課題
本研究では、中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向を把握した上で、日本にとって参考となる内容を整理したが、調査内容の性質から日進月歩の変化の現状から一過性的な調査に止まらず、継続的に調査を続ける仕組みを検討する必要がある。
■今後の予定
・土木計画学研究発表会、交通工学研究発表会等に投稿予定
関連論文(H29年度) (当年報掲載ページ)
安藤良輔、楊甲。中国深圳市における電気自動車シェアリングの現状、交通工学、53巻2号(2018年4月号)(掲載決定)
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2017
豊田市におけるタクシーを活用した外出支援策に関する研究
研究分野
公共交通
業務類型
調査、解析、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
豊田市におけるタクシーを活用した外出支援策に関する研究
研究の背景・内容
これまで当研究所では4 カ年に渡ってタクシーを研究テーマとして取り上げてきた。その中で、タクシー事業の生き残りの方向性に関する検討や、デジタル日報の分析ノウハウの蓄積といった成果を上げてきているが、具体的なタクシー活用方策について検討するには至っておらず、またデジタル日報から入手できるデータの限界も明らかになっている。
そこで本研究では、これらの成果と課題を踏まえ、豊田市においてタクシーを活用した公共交通施策を展開するための提案を行うための知見を得ることを目的とする。そのために、①タクシー利用に関する実態を詳細に把握すること、②地域バスの代替
手段をはじめ、移動制約者の外出支援策へのタクシー活用可能性に関して検討すること、③自動運転技術の導入による無人タクシーの導入可能性に関して検討すること、の3 つを実施する。
研究結果・ 得られた知見等
①タクシー利用者アンケート調査および高齢住民アンケートの結果から明らかになったことは、現在の高齢者のタクシー利用や通院や買い物といった必需性の高い移
動が中心であるが、今後は予防介護の観点から、趣味娯楽といった自由目的での外出を支援する仕組みが必要であり、その際、自家用車からの転換を促すためには、利用者の運賃負担を現状の半額程度まで下げる必要がある。
②一般の乗用タクシーを活用した地域公共交通確保の仕組みとその可能性について検討した結果、移動の需要密度が低い状況では、距離制運賃を補助する等して乗用タクシーを地域公共交通として活用することが期待できる。豊田市の地域バスを対象に、乗用タクシーへの代替を想定した収支シミュレーションを行った結果、運行経費が2 割~7 割削減できる路線が存在する。距離制運賃で運行する乗用タクシーへの代替が適した地域特性として、移動需要が少なく、迂回率の大きい非効率的なバス路線となる地域が適している。
③郊外部や中山間地における移動手段を確保するための、自動運転タクシーの可能性について検討を行った結果、タクシー事業者へのヒアリング結果から、自動運転に対する期待は大きい反面、今後の制度変更の見通しや自動運転を活用したタクシー事業の可能性等が不透明な状況にあり、身動きが取りづらい状況にあることが確認できた。また、現時点における自動運転タクシーの事業の費用面からの想定では、事業を成立させることは難しいと判断される。実証実験等を積み重ねるなどして、自動運転タクシーの事業像を具体化していくことが重要だと考えられる。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・乗用タクシーの活用については、豊田市の鞍ケ池バスを乗用タクシーへ代替する際
の運用方針を提案し、平成30 年2 月から鞍ケ池地域タクシーとして実証実験が開
始されている。
所内の担当者氏名・ 担当者
担当:福本雅之(第1 部)
担当:加藤秀樹(第2 部)
担当:西堀泰英(第3 部)
協力先名
名鉄東部交通株式会社、豊栄交通株式会社、株式会社オーワ、第一交通産業株式会社、
株式会社三ヶ森タクシー、有限会社光タクシー、大阪阪神タクシー株式会社、水戸市
市長公室交通政策課、富士見市建設部交通・管理課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
・鞍ケ池地域タクシーの実証実験に関して、実験の評価に関する調査を豊田市交通政
策課から受託予定
関連論文(H29年度) (当年報掲載ページ)
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2017
多様なモビリティの共存による 低炭素交通の実現 ~自動車CO2 排出量算定の改善に関する研究 ~
研究分野
環境・総合
業務類型
調査、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
多様なモビリティの共存による 低炭素交通の実現 ~自動車CO2 排出量算定の改善に関する研究 ~
研究の背景・内容
・低炭素社会の実現に向けて、日本全体のCO2 排出量の2 割弱を占める運輸部門が担う役割は大きい。近年では、多様な次世代自動車(HEV、EV、PHV、FCV)が市販されるようになり、これらの普及による低炭素交通の実現が期待されている。
・ しかし、多くの自治体でCO2 削減目標と実績値には大きな乖離が生じており、これは、各種施策の定量的な効果評価が不十分だったためと考えられる。
・そこで、昨年度(平成28 年度)は、次世代自動車の先行的な大幅普及を目指す豊田市の施策支援の観点から、ハイブリッド車購入時の自治体による補助金の普及拡大効果の定量的評価を行った。
・本年度(平成29 年度)は、次世代自動車普及効果を反映できていないCO2 排出量算定方法の改善に着目し、愛知県や日本全体の自動車CO2 排出量と整合性を担保した車種別CO2 排出原単位を用いる等の提案を行った。また、LCA の観点にも着目し、次世代自動車のバッテリー等の製造・廃棄に関する情報を中心に資料のレビュー、ヒアリングを行った。
研究結果・ 得られた知見等
次世代自動車普及による自治体(市町村別)の自動車CO2 排出量の削減効果を反映できる排出量算定の方法として、以下のように乗用車の車種を細分化する方法を提案した。
・従来手法の車種:軽乗用車、小型乗用車、普通乗用車
・本研究で提案する車種:軽乗用車、車両重量を200kg 毎に区分した次世代自動車以外の乗用車、車両重量を200kg 毎に区分した次世代自動車の乗用車
・全国、または、都道府県別のエネルギー消費量統計に基づくCO2 排出量と、提案手法に基づくCO2 排出量が一致するように、カタログ燃費に拡大係数を乗じ細分化した車種毎にCO2 排出原単位を設定した。
・従来手法と提案手法を用いて、豊田市の乗用車CO2 排出量を比較した結果、提案手法では1.6%の減少となった。
・豊田市の車両重量別ハイブリッド車保有率を算出した結果、豊田市の保有車両数の約4 割を占める車両重量1,400~2,000kg クラスでHV 率が7.7~20.2%と低いことから、この重量クラスに該当するミニバン等で次世代自動車を普及させることで、自動車CO2 排出量の削減が期待できるとの知見が得られた。
・自動車メーカーが実施・公表するLCA 手法について、具体的な方法は公表されておらずLCA 評価機関である社団法人産業環境管理協会による第三者認証を受けて実施している。次世代自動車へのバッテリー搭載量の増加は、「廃車」時よりも「素材・部品・自動車製造」時のCO2 排出量が増加をもたらすとの知見が得ら
れた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
本研究で提案する自動車CO2 排出量の算出手法は、次世代自動車の普及施策の効果を反映できるという点で、自治体のCO2 排出量算定に有用である。
・豊田市の次期交通まちづくり行動計画(2021~)での導入を念頭に、2018 年~2019 年で豊田市と協力しながら本手法の導入を進める。
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当者:加藤 秀樹
協力先名
一般社団法人産業環境管理協会、豊田市環境政策課、豊田市交通政策課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
課題:自動車のCO2 排出量に影響を与える主要因として、CO2 排出原単位(g-co2/km/台)の他に、年間走行距離(km/台)があげられる。今後は、自治体(市町村)別の年間走行距離の特性を反映した方法を検討する必要がある。
関連論文(H29年度) (当年報掲載ページ)
・Wide-spreading situations and factors of HEVs in Japan
・ハイブリッド車普及状況の地域的特性に関する研究
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2017
⾃動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
研究分野
環境・総合
業務類型
調査、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
⾃動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
研究の背景・内容
・現在の社会は様々な問題を抱えている。都市交通に関係するものに限定しても、
進展する⾼齢化、それに伴い増加する⾼齢者の交通事故、拡⼤する低密度市街
地、交通不便地域のモビリティ確保など、枚挙に暇がない。こうした問題や課
題に対するソリューションのひとつとして、⾃動運転の実現が期待されている。
・⾃動運転に関する様々な検討の成果を幅広く情報収集し、それらから得た知⾒
を踏まえて⾃動運転時代の社会像(ビジョン)を提⽰した。その中で、特に豊
⽥市の特徴を考慮した⾃動運転を活⽤した交通システムの検討も⾏った。
研究結果・ 得られた知見等
・ビジョンでは、⾃動運転が社会に普及する段階別の都市交通の姿を描いた。具
体的には次のような姿を描いた。
・⾃動運転の導⼊領域・導⼊の姿
・交通の姿
・都市・地域の姿
・ライフスタイルの姿
・もたらされる効果
・特定条件下の⾃動運転導⼊の姿(⾼速バスを基軸としたシステムを含む)
・⾃動運転の普及に向けた課題
・以上の内容を描くのに際し、国内外を問わず幅広い情報収集を⾏い、現在の⾃
動運転を巡る情勢を整理した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・⾃動運転やその普及する姿に対しては、様々な意⾒や想定がある。⾃動運転に
ついても、賛成意⾒だけでなく反対意⾒も多数存在する。そうした中で、⾃動
運転が実現した社会の姿を⽰すことで、議論のきっかけを作ることが重要と考
える。本研究は、その議論のための素材を提⽰するため、⾃動運転に関連する
様々な情報を収集、検討し、まだ⾒ることのできない⾃動運転が導⼊・普及し
た将来の姿を描いた。
・⾃動運転と都市交通の関係についての本格的な検討は、我が国ではこれからと
いう状況の中で、その姿を提⽰することを試みた。
・本研究の特徴は、様々な異論や反論がある中で、筆者らが⽬指すべきと考える
⾃動運転が普及した都市交通の姿を提⽰したことにある。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者・主担当者:⻄堀 泰英
担当者:福本 雅之
協力先名
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問題点・課題・今後の研究予定・その他
課題:⾃動運転を取り巻く環境は⽇々変化している。本報告書が完成した時点か
ら情報は古くなる。常に最新の情報と照らしながら参照する必要がある。
今後の予定:地域での⾃動運転導⼊の姿をより具体的に描くことに取り組む。
関連論文(H29年度) (当年報掲載ページ)
Yasuhide Nishihori: Public-relations considerations for the creation of acceptance
of autonomous vehicles - A study based on drivers’ free comments about
autonomous vehicles in Japan -, ITS World Congress 2018. (Submitted)
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2017
車両挙動を考慮した生活道路における高齢 運転者への助言型ISA 効果検証
研究分野
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
車両挙動を考慮した生活道路における高齢運転者への助言型ISA 効果検証
研究の背景・内容
生活道路における交通安全対策の重要度が高まる中で、近年欧州で技術開発が進むISA(Intelligent Speed Adaptation)は、日本においてもその効果に期待が寄せられていた。当研究所は、生活道路における助言型ISA の対策導入・推進にあたっての知見を得るため、助言型ISA が高齢運転者を含む一般ドライバーに与える影響について、多視点から様々な研究分析を実施したが、これまでまだ検討できていない重要な視点としては、速度標識無の生活道路、速度規制変化点において、高齢者を対象に、助言型ISA の速度抑制効果検証などが挙げられる。
そこで、本研究は、速度標識無の生活道路、速度規制変化点において、高齢運転者を含む一般ドライバーの速度規制遵守の実態を把握するとともに、助言型ISA の情報提供による高齢運転者の速度抑制効果を検証することを目的とする。
研究結果・ 得られた知見等
■速度標識無の生活道路における助言型ISA の速度抑制効果
高齢運転者に適用した助言型ISA の速度抑制効果について、速度規制無の生活道路において、非高齢者と異なり歩道整備状況・沿道の住宅立地状況に関わらず、高齢運転者に対する助言型ISA の速度抑制効果があることが確認できた。
■速度規制変化点での助言型ISA の速度抑制効果助言型ISA による速度規制低下点における速度超過率の変化について、高齢者
では5 箇所のうち、4 箇所が低下で、1 箇所が上昇である。このことから、速度規制低下点における高齢運転者を対象とした助言型ISA による速度抑制効果があるといえる。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
■技術的特徴
先行研究の成果と課題を踏まえ、公道実証実験での速度低下などの影響を十分に取除けていない問題点を改善するため、走行中の自動車の車両挙動(例えば、低速走行、一時停止、交差点での右左折)を考慮し、助言型ISA の速度抑制効果を計測しているものである。
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当者:楊 甲(研究全般)
協力先名
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問題点・課題・今後の研究予定・その他
■研究の課題
速度標識無の生活道路における助言型ISA の速度抑制効果を検証した際、道路区間長、被験者の個人差、走行場所の偏りなどの影響が考慮できていないため、これらの要素を分析視点に取り入れる研究を今後検討する必要性があると考える。また、速度規制変化点での助言型ISA の速度抑制効果を検証した際、分析対象となった速度規制変化点の数が少なく、成果の信頼性に課題があり、対象地域を広げるなどの研究が必要となる。
■今後の予定
本研究の成果は2018 年度に開催するアメリカTRB 年次大会、日本ITS シンポジウム等に論文を投稿する予定がある。
関連論文(H29年度) (当年報掲載ページ)
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2016
立ち乗り型パーソナルモビリティの普及促進に向けた計画策定等業務委託
研究分野
環境・総合
業務類型
調査、解析
委託者
豊田市 都市整備部 交通政策課
業務の概要
① 平成28年度実証実験のまとめ
・豊田市が平成28年度に実施した実証実験の概要整理
・エコフルタウンでの体験試乗と公道走行ツアーのアンケート結果整理
② 規制緩和申請に向けた実験計画の作成
・実施内容の検討
・歩行者密度と幅員の関係整理
・他のパーソナルモビリティを用いた実験の検討
・安全支援装置の導入検討
技術的特徴・付帯的成果
立ち乗り型パーソナルモビリティの公道走行実験における規制緩和に向けて、規制緩和申請の根拠となるデータ収集を目的とした実験計画を提案
担当技術者氏名・担当者
責任者:山崎基浩(統括)
主担当者:加藤秀樹(概要/アンケート結果の整理・実験計画の作成)
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2016
平成28年度路面公共交通システム導入検討業務委託
研究分野
公共交通
業務類型
調査、解析
委託者
名古屋市住宅都市局都市計画部交通企画課(中央復建コンサルタンツ株式会社とのJV)
業務の概要
本業務は、リニア中央新幹線の開業を見据え、都心部の魅力向上を図るため、都心全体の連携強化や回遊性向上に繋がる新たな路面公共交通システム(LRTやBRT等)の導入可能性を判断するために検討を行う。また、「なごや交通まちづくりプラン」に位置づけた「賑わい交流軸」における望ましい道路空間のあり方について検討を行う。
当研究所は、JVの中で「新たな路面公共交通システムの需要予測に係るバス利用者数の変化推計」を分担して実施する。
技術的特徴・付帯的成果
・PT調査データ、バスの利用実績データ(停留所別の乗降者数)など、それぞれ異なる種類のデータを融合し、バス利用トリップのOD表の作成や、それに基づくバスの利用者数の変化を推計した。
・また、推計結果を踏まえ、今後の検討にあたっての需要予測等の課題や対応方策を検討した。
所内の担当技術者氏名・担当者
主担当者:西堀泰英
担当補助:楊甲
問題点・課題・今後の予定・その他
バス利用者数の変化をさらに精度良く推計するため、バスの利用実態(OD)を直接的に把握するための調査の実施が求められる
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2016
平成28年度 豊田市公共交通評価業務委託
研究分野
公共交通
業務類型
解析、会議運営
委託者
豊田市 都市整備部 交通政策課
業務の概要
(1)定量的評価データの整理と指標値算出
基幹バスおよび地域バスの評価に必要な定量的データを整理・集計し、定量的指標値を算出
(2)地域バスの目標立案支援のためのワークショップ実施
新評価手法に基づく今後5年間に各地域バス運営協議会が実施する取組内容の検討作業を支援。協議会メンバーを対象とするワークショップを実施し、今後5年間の取組内容を取りまとめた「目標シート」作成に必要となる具体的な目標、評価指標、取組内容についての意見収集等を実施
(3)地域バスの目標立案支援のための目標シート作成補助
全地域バス運営協議会が作成した「目標シート」について、技術・知識的な面からアドバイス
(4)地域バスの目標シート修正支援のためのワークショップ等の実施
評価会議の意見を踏まえ、協議会メンバーを対象とするワークショップ等有効な手段を用いて、協議会の意見のとりまとめ等を行い「目標シート」最終版の完成を支援
(5)とよたおいでんバスの目標シート作成補助
とよたおいでんバス(全12路線)の「目標シート」作成作業について、技術・知識的な面からアドバイスを行うなど検討の補助
(6)評価会議等資料作成補助
算出した定量指標と各路線の「目標シート」とを合わせ評価調書を作成する。また公共交通評価会議および利用促進会議資料を作成する際の補助
技術的特徴・付帯的成果
・収支率、利用率の2つの観点から基幹バス、地域バスの状況を評価
・地域バスについては、各運営協議会において目標立案をする仕組みを提案
・各地域バスの目標立案支援のためのワークショップを開催
担当技術者氏名・担当者
業務担当責任者:安藤良輔(総括)
主担当:福本雅之(データ整理・分析)
問題点・課題・今後の予定・その他
・地域バスの利用実態分析を容易とするため、地域バスの利用状況報告様式について統一するよう提案
・H29年度に地域バス担当者を対象とした研修の実施を提案
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2016
刈谷地区移動効率化ソリューション検討支援業務
研究分野
交通円滑化
委託者
一般社団法人 中部経済連合会
業務の概要
■実証実験 企画支援(発注者からの相談や生じる作業に適宜対応)
主に、検証項目となる交通実態の把握方法および被験者を対象とした意識調査の項目などに関する相談を想定。状況に応じて実施手順や実施内容の相談にも応じる。
なお、本業務では報告書の作成は行わず、打合せ等の実績を整理する。
技術的特徴・付帯的成果
・渋滞のメカニズム、評価方法等に関する学術的なエビデンスを提示
・次世代自動車のあり方検討に向けた実証実験を提案(コムスの隊列走行実証)
担当技術者氏名・担当者
業務担当責任者:安藤良輔
主担当 :樋口恵一
問題点・課題・今後の予定・その他
次年度(H29)に実施される社会実験における評価ならびに、コムスの隊列走行調査の支援を行う予定。
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2016
(A)豊田エコ交通出前教室業務委託 (B)交通需要マネジメント関連施策業務委託
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査、解析、会議運営
委託者
豊田市 都市整備部 交通政策課
業務の概要
(A)長期的なエコ交通意識の醸成、高齢者の移動手段の確保を目的に、
①小学生向け出前教室を開催
②高齢者向け出前教室を開催
③講師を担当する交通ボランティアのセミナーを開催
(B)エコ交通普及活動(TDM施策)推進のため、
①豊田エコ交通をすすめる会を運営
②モビリティマネジメント(以下、MM)実践WGを企画・運営
普及啓発WGを企画・運営
技術的特徴・付帯的成果
<主な活動結果>
(A)①小学校8校(受講者734名)で出前教室を開催
②高齢者クラブ2団体(受講者37名)で出前教室を開催
③交通ボランティアセミナーを企画、2回(受講者12名)開催
(B)①豊田エコ交通をすすめる会総会を2回、優秀活動表彰式を1回開催
②MM実践WG(参加3社)を4回開催し、MMアンケートを推進・分析
普及啓発WG(参加6社)を4回開催し、一般市民向けイベントを企画
担当技術者氏名・担当者
業務担当責任者、主担当者:加藤透(統括・調査・分析・編集等)
担当者:樋口恵一(情報収集、事務局業務支援等)
問題点・課題・今後の予定・その他
<今後の予定>
エコ交通普及活動を効率的に進めるため、豊田エコ交通出前教室は高齢者向けに、
エコ交通普及活動はMM実践WGに、それぞれ重点を置いて進めていく。
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2016
平成28年度猿投台地域予算提案事業 猿投台地区交通安全対策調査
研究分野
交通安全
業務類型
調査
委託者
豊田市役所 猿投支所
業務の概要
本業務は、猿投台地区において、地域の交通安全への対策を考えるために、地区内交通の現状・過去の事故・住民の意識等を検討する材料となる資料を作成し、地区における具体的な交通安全対策を検討する材料を提示することで、交通安全上の課題を整理し、地域で取り組む交通安全対策を提言する材料とする。本業務の内容は以下のとおりである。
1)打ち合わせ協議
2)道路交通事故発生状況等の現況整理
3)安全対策の提示
4)地域住民への意識調査用帳票の作成・同調査集計
5)対策に向けての方針取りまとめ
技術的特徴・付帯的成果
・猿投台地区の現状把握や安全対策の提示を、地域住民によるまち歩きの結果や、地域会議での議論や意見、地域住民への意識調査の結果等を踏まえて行うことで、より現地の状況に即した内容とすることができた。
・地域住民の意識調査を中学生も対象として行う事により、中学生の問題意識や大人(運転者)たちへの要望等を把握することができ、それを住民への啓発資料等に盛り込むことができた。
担当技術者氏名・担当者
主担当者:西堀泰英
担当者 :加藤透
担当補助:川澄奈美
問題点・課題・今後の予定・その他
■今後の予定
猿投台地区では平成29年度以降にゾーン30が導入される予定である。
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2016
(仮)歩行者通行空間整備計画作成業務委託
研究分野
交通安全
業務類型
解析
委託者
豊田市 建設部 土木課
業務の概要
1 豊田市における歩行者交通安全対策検討の必要性の整理
歩行者が被害にあう交通事故の発生状況などを踏まえ、歩行者交通安全対策の必要性を整理
2 小学校区単位での交通死亡事故リスクの高い路線の抽出
道路リンクに交通死亡事故リスクの値を与えることで、各小学校区単位での交通死亡事故リスクの高い道路を抽出
3 歩行者交通安全対策候補路線の交通状況等の整理
交通死亡事故リスクの高い道路および歩行者交通安全対策候補路線の道路幅員・道路形状・車両交通量・歩行者交通量・車両旅行速度等の交通状況について整理
4 歩行者交通安全対策実施必要路線の特定
交通安全対策が求められる路線(区間)を特定し、特定に至った危険要因、望ましいと考えられる対策方針メニュー、当該区間の交通状況等について一覧表に整理
5 市全域を対象とした路線図の作成
得られた結果を小学校区単位および全市単位で視覚的に把握できるように路線図化
6 歩行者の安全な通行空間整備に係る計画の取りまとめ
市道上のものに対して道路改良系の安全対策を実施する区間の整備優先度、対策メニュー、事業費(概算値)を整理した「(仮)歩道(歩行者通行空間)整備計画」を取りまとめ
技術的特徴・付帯的成果
・死亡事故リスクを用いた客観的な優先順位付け指標の提案
・平成26年度の自主研究で調査したヒヤリハット情報の活用
・DRMを用いた市内全道路を対象とした歩道整備優先順位付け
担当技術者氏名・担当者
業務担当責任者 西堀泰英(総括)
主担当 福本雅之(データ整理・分析)
問題点・課題・今後の予定・その他
平成29年度以降も、通学路整備推進会議等に関連する業務が発生する可能性がある。
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2016
平成28年とよたの交通事故作成委託
研究分野
交通安全
業務類型
解析
委託者
豊田市交通安全市民会議
業務の概要
平成28年の豊田市交通事故データ(豊田警察署、足助警察署)を整理し、市民等外部向けの冊子「とよたの交通事故 平成28年版」を作成した
技術的特徴・付帯的成果
平成28年の豊田市交通事故データを整理し、交通事故発生状況をグラフ化の上、解説する冊子を作成した。昨年度の冊子から以下の改善を行った。
・バタフライチャートを帯グラフに統一
・経年推移を示すグラフは期間を平成17年~最新年に統一
・豊田市の交通事故発生概要はできる限り最新年単年に統一
・交通関係指標に免許自主返納者数を追加
担当技術者氏名・担当者
業務担当責任者:西堀泰英(統括)
主担当者:加藤透(分析、編集)
担当者:川澄奈美(交通事故データの整理、集計、グラフ作成)
問題点・課題・今後の予定・その他
<課題と対応>
豊田警察署から入手する豊田市交通事故データの中に豊田市とみよし市の区別ができないものがある。来年度は豊田警察署にデータ提供依頼する際、両市を区別するように調整する。
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2016
平成28年度豊田市交通事故データ調査委託
研究分野
交通安全
業務類型
解析
委託者
豊田市社会部交通安全防犯課
業務の概要
(1)平成27年の豊田市内の交通事故データの整理し、交通事故データベース(平成23~27年)を作成
(2)交通事故マップ(小学校区別、平成23~27年)の作成
技術的特徴・付帯的成果
(1)交通事故データベース(平成23~27年)を作成した。
(2)小学校区(75校区)別に事故地点マップを作成した。昨年度と比較して、寺部小学校区の範囲を更新した。
(3)豊田市所有の交通事故データについて(公財)豊田都市交通研究所が使用する業務を明確にし、今後継続的に使用できる承認を得た。
担当技術者氏名・担当者
業務担当責任者:西堀泰英(統括)
主担当者:加藤透(分析、編集)
担当者:川澄奈美(交通事故データベース、マップの作成)
問題点・課題・今後の予定・その他
<課題と対応>
小学校区75校区のほか、中学校区28校区のマップ作成の要望があった。
その進め方について来年度の委託仕様書に織り込み検討する。
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2016
豊田市における貨物車の走行実態に関する基礎的研究(自主研究)
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
豊田市における貨物車の走行実態に関する基礎的研究(自主研究B)
研究の背景・内容
近年の物流業界を取り巻く環境は、ドライバー不足が深刻化を増している。さらに長距離トラックの交通事故が相次いで発生したため、国土交通省はドライバーの労務管理の指導をより一層厳しくている。この様な状況を打開するためには貨物車の稼働率(生産性)の向上及び適切な賃金体系の構築が欠かせないが、様々な時間ロス(例えば、積込や荷卸しの順番待ちや納品遅れを防ぐための早発、渋滞や一般道路を利用など)がドライバーの労働環境の悪化を誘発している。
そこで本研究では、まず、昨年度収集した貨物車プローブデータを活用して道路通行時の走行実態を明らかにする。次に、豊田市を南北に縦断する貨物車トリップに着目して効率的な配送及び都市内交通環境改善に資する知見を得る。
研究結果・ 得られた知見等
・豊田市内を通行している貨物車の通行経路について、道路種別・道路幅員別の集計を行った結果、概ね広幅員の道路を通行しているが、一部5.5m未満の道路の通行実績が確認された。
・また、運行を開始する時間帯のピークは6時台(次のピークは15時台)であり、朝の交通混雑の時間帯と貨物車の運行開始時刻が重なっているが確認された。
・豊田市北部から市南部および南西部へのトリップを想定し、費用便益マニュアル(国土交通省)を用いて混雑時における一般道から高速道路への転換便益の試算を行った結果、短距離での高速利用でも運送事業所側のメリットがあることを明らかにした。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・短距離での高速道路利用における運送事業者側の便益の試算結果が、一般道路における渋滞緩和・交通事故低減に繋がり、ドライバーの労務時間の問題解決にも繋がる有益な取組みとなるため、愛知県トラック協会主導のもと国土交通省道路局との協議が設定された。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者:加藤透
主担当:樋口恵一
協力先名
愛知県トラック協会、名古屋東部陸運・ユーネットランス(昨年度デジタコデータ提供)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
愛知県トラック協会と連携して、高速道路の有効活用に向けた協議・社会実験等を進める予定
関連論文(H28年度) (当年報掲載ページ)
貨物車プローブの都市内統合による渋滞評価の試み-豊田市におけるケーススタディ-,第53回36回交通工学研究発表会論文集
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2016
豊田市TDM施策を評価する簡便な指標の研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査、解析
研究題目または 報告書タイトル
豊田市TDM施策を評価する簡便な指標の研究
研究の背景・内容
豊田市は交通渋滞緩和のため、道路ネットワーク整備に代表されるハード対策及びTDM等のソフト対策を実施している。しかし、TDM等のソフト対策はハード対策に比べ効果が小さく、平休日、時刻、天候、主要企業休日などの外部要因変化の影響を受けその効果を適正に評価することは難しい。
TDM施策の改善を進めるには対策立案、実施、評価、改善、つまりPDCAを回す必要があり、対策効果をタイムリーに評価することは非常に重要である。
本研究では、外部要因変化の影響を排除したTDM施策の効果を低コストで、タイムリーに評価することを目的に、毎日、同区間を同時刻に走行する路線バスをプローブとして道路交通状況を示す指標を導き出すことを検討する。
研究結果・ 得られた知見等
おいでんバスのプローブデータから算出した区間(1)所要時間は、目視確認にて「渋滞あり(2)」と判定した日と「渋滞なし」と判定した日の平均の差の検定にて有意であり道路交通状況の変動を確認する指標として使用できる。
(1)渋滞が頻繁に発生する橋の1つで「森町~豊田本町のバス停を含まない区間」
(2)久澄橋を挟んだ西向きの渋滞長が挙母町4丁目交差点から加茂川橋西交差点
まで(649m)ある時「渋滞あり」と判定
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
期間が1日から1ヶ月と限定的なTDM施策による道路交通状況の変動を評価するため、平休日、時刻、天候、主要企業休日などの外部要因変化による変動量の定量化を試みた。
交通量が増え所要時間が大きくなると予測した雨天、主要企業稼動の条件でも晴天、主要企業非稼動と同程度の所要時間になる日があり、本研究にて外部要因と考えた平休日、時刻、天候、主要企業休日以外の条件により所要時間が変動していると推察した。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者・主担当者:加藤透(調査・分析・まとめ)
担当者 :楊甲(プローブデータ解析)
協力先名
豊田市都市整備部交通政策課(株式会社セネック)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
おいでんバスのプローブデータから算出した区間所要時間は道路交通状況の変動を評価することはできるが、TDM施策の効果は短期的な道路交通状況により評価するものではなく長期的な道路交通状況や公共交通利用者数等で評価するのが正しいとも考えられる。
本研究で確立したおいでんバスのプローブデータから算出する毎日、同時刻の特定区間の所要時間を活用する方法を検討する。例えば、バス到着時刻の日間バラツキを明確にし、バス利用に対する信頼性を向上すること等である。
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2016
乳幼児を伴う路線バス利用の際の障壁に関する研究
研究分野
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
乳幼児を伴う路線バス利用の際の障壁に関する研究
研究の背景・内容
交通バリアフリー法の施行以来、路線バスにおけるベビーカーの利用環境についてハード的に改善がなされてきたが、空間的に制約の大きい路線バスにおいてベビーカーを利用することには依然として大きなバリアが存在している。特に、ベビーカーでは、その取り扱いに関する規定が曖昧であるという問題が存在しており、ベビーカー利用者の路線バス利用には大きな障壁がある。
また、ベビーカーによるものに限らず、乳幼児を伴う公共交通利用には、子供が泣き出すなどによって、他の利用者の迷惑になるかも知れないという心理的な不安感も存在する。
そこで本研究では、地方都市における乳幼児連れの路線バス利用の実態を把握し、利用しやすい環境を整備するための基礎的な知見を得ることを目的とする。
研究結果・ 得られた知見等
(1)子育て世代の交通行動とバス利用
・普段バスを利用している人であっても、子供を連れての外出時にバスを利用するという回答割合は半数程度に留まっており、バスを習慣的に利用していても子連れでのバス利用には抵抗感が大きいと言うことがわかった
・一方で、毎回バスを利用して外出するという回答も16%程度存在していることから、日常的に子供を連れてバスに乗っている人も存在していることがわかった
・子供の誕生によってバス利用から他の交通手段に転換した人の多くが自家用車への転換となっていることがわかった
・こうした人に、バスの利用環境が十分に整っていればバスを利用し続けたかどうかを質問した結果、自動車へ転換した人の転換を食い止めることは困難であるが、家族の送迎や徒歩・自転車に転換した人はバス利用を継続する意向が少なからずあったことがわかった
・一方で、子供が産まれたことによって新たにバス利用を行うようになった人も存在することがわかった
(2)子供連れでのバス利用への不安
・子育て世代と一般バス利用者を比較した際、バス利用への不安感が大きく異なった項目は、「バス停でバスを安全に待つことが出来ないこと」、「乗り降りするときにバスとバス停の間に段差があること」、「バスが混雑しているかもしれないこと」、「自分が乗り降りすることに時間がかかってしまうかもしれないこと」の4項目において顕著であった
・他の項目においては、一般利用者と子育て世代との間に不安感の大きな差異はあまり見られなかった
(3)子供連れでのバス利用環境整備の重要性
・子供連れでのバス利用環境整備の重要性については、属性によって大きく重要度が異なるという項目はなかったが、「周囲の利用者への意識啓発」や「事業者への教育」については、子育て世代でバスをよく利用する人ほど重要とは考えない傾向が見られ、直感的な理解と逆の結果となった
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
地方都市における路線バスを対象とした乳幼児連れ利用環境の改善に向けての基礎データとなる
所内の担当者氏名・ 担当者
担当者 福本雅之(全般)
協力先名
名城大学 松本幸正教授・鈴木茂廣教授、中京大学 向井希宏教授、福山大学 宮崎由樹講師
問題点・課題・今後の研究予定・その他
研究成果をH29年度日本福祉のまちづくり学会で発表する予定である
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2016
日報データによるタクシー利用特性に関する研究
研究分野
公共交通
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
日報データによるタクシー利用特性に関する研究
研究の背景・内容
近年、タクシー業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、こうした状況を改善するため、国はタクシー車両数の削減や運賃の値上げによって需要に見合ったタクシーの供給量に近づけ、運転手の労働環境を改善することと、魅力的なタクシーサービスの実現によって利用を増加させることを目指した施策を行っている。
しかしながら、こうした取り組みを行う際の課題として、タクシーの利用実態に関する詳細なデータがほとんどないことが挙げられる。このため、タクシーが当該地域においてどのような移動を担っているのか、他の公共交通機関と比較してどういった利用特性を持っているのかということはあまり議論されていない状況にある。
本研究では、愛知県豊橋市を対象地域として、対象地区内のタクシー事業者2社から提供を受けたデジタル日報データを分析することで、地方都市におけるタクシー利用の特徴について分析し、タクシー利用に影響を及ぼす要因について明らかにすることを目的とする。
研究結果・ 得られた知見等
(1)地域の状況とタクシー利用の関係
・迎車あり利用について重回帰分析を行った結果、タクシーの乗車数は人口や高齢化率に影響を受ける一方で、郊外部になるほど減少する傾向にあることがわかる。また、鉄道駅から離れるほど利用が減少する傾向にあることがわかった。
(2)天候とタクシー利用の関係
・迎車の有無に関係なく、雨天時には晴天時よりも利用が増加する傾向がある
・降雨時には、晴天時よりも乗車地点を問わず全体的に利用は増加する傾向にある
・降雨時には晴天時に比べて短距離のタクシー利用が増加していると考えられる
・降雨時であっても、雨量が増えるほど平均よりも利用が多くなるような傾向が見られる
・降雨時にタクシー利用が増加する地区の分布は、迎車あり利用は中心部から半径5km程度の地域で全般的に増加、迎車なし利用は、豊橋駅の南部などを中心に、中心部に近いエリアでは増加していないところで目立つ
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・流し営業のない地方都市におけるタクシーの利用実態について分析しており、既往研究では行われていない分野を開拓している
・天候の変化によるタクシー利用への影響について定量的に分析を行った類例のない研究である
所内の担当者氏名・ 担当者
担当者 福本雅之(全般)
協力先名
国土交通省中部運輸局、愛知県タクシー協会、名城大学 松本幸正教授、豊橋技術科学大学 松尾幸二郎助教
問題点・課題・今後の研究予定・その他
・デジタコデータには利用者の属性情報が存在せず、分析も限定的であったため、H29年度にはこれを補完するデータ収集を行い、さらなる分析を実施する予定である
・研究成果をH29年度土木計画学研究発表会(春大会)で発表する予定である
関連論文(H28年度) (当年報掲載ページ)
・松尾幸二郎,福本雅之:デジタル日報データを用いた地域公共交通としてのタクシー活用策の検討~愛知県豊橋市を対象として~,査読なし,ESTRELA,No.266,pp.16-21,2016
・福本雅之, 松尾幸二郎, 松本幸正, 山下隆道:デジタル日報データによるタクシー利用の実態把握と公共交通施策への活用に関する研究,査読あり,交通工学論文集(特集号), Vol.3, No.2, pp.B_61-B_66,2017
・福本雅之, 松尾幸二郎, 松本幸正:地方都市におけるタクシー利用特性の分析~愛知県豊橋市の例~,査読あり,交通科学, Vol.47, No.2, pp14-20,2017
・佐々木幸一,松尾幸二郎,福本雅之,杉木直:豊橋市内タクシー交通における福祉券利用実態の分析~デジタル日報データを用いて~,査読なし,平成28年度土木学会中部支部研究発表会講演概要集,pp.423-424,2017
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2016
多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現 ~ 次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討 ~
多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現 ~ 次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討 ~
環境・総合
業務類型
解析、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
多様なモビリティ共存による低炭素交通の実現
~ 次世代自動車の普及施策とその効果に関する検討 ~
研究の背景・内容
環境モデル都市である豊田市が、CO2排出量削減の中期目標を達成しようとした場合、種類は問わず、次世代自動車を早期に大量普及させる必要がある。
本研究は、次世代自動車普及施策の策定支援に関する知見を得ることを目的とし、愛知県内の市町村を対象として次のことを実施した。
・次世代自動車の普及状況の整理
・普及施策の動向の整理
・ハイブリッド車購入補助金による普及効果の検討
・ハイブリッド車普及要因の検討
研究結果・ 得られた知見等
・全国47都道府県の中で、愛知県は最も次世代自動車(ハイブリッド車)が普及している県であり、豊田市はその普及を牽引している自治体である。
・愛知県内の市町村が実施してきたハイブリッド自動車に対する購入補助金は、ハイブリッド車の普及を促進したとの結論は得られなかった。
(購入すべき購入層が購入していた)
・ハイブリッド車の普及要因として、世帯年収の影響が大きい。ハイブリッド車を購入するポテンシャルの高い世帯の年収は700万円以上と考えられる。
・潜在的に次世代自動車を購入するポテンシャルを持った購買層ではなく、その周辺にいる購買層をターゲットとした施策の提案
(補助金受給者の世帯年収基準の設定)
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
社会への貢献
・次世代自動車普及施策の策定支援を念頭に置いた検討
技術的特徴
・オープンデータの活用:
次世代自動車の普及要因に関して、これまでは、アンケートベースの消費者選好調査に基づく研究が中心であったが、現在、ハイブリッド車がある程度普及していることから、本研究では、統計データに基づく検討を行った。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者(担当内容) :山崎基浩(統括)
主担当者(担当内容):加藤秀樹(解析・検討)
協力先名
・中部国際空港株式会社 商業事業部 施設活用グループ
・豊田市 環境部 環境政策課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■課題
次世代自動車普及施策の策定支援に向けた行政との連携
■今後の予定
・自動車技術会2017年春季大会での報告
・第30回国際電気自動車シンポジウム(EVS30)での報告
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2016
自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
自動運転普及がもたらす都市交通への影響調査
研究の背景・内容
自動運転は、交通事故の削減、渋滞の解消、環境負荷の低減、高齢者等の移動支援、運転の快適性の向上など、様々な面で期待されている。その自動運転が都市交通の一部として普及するには、社会が受容することが必要であり、そのためには国民の理解を促進することが重要と指摘されている。
本研究は、自動運転時代の社会像を提示することを目的として、2ヶ年で行う。1年目は、自動運転の光と影の整理や、自動運転の機能を構成するADASの導入による交通事故削減効果や導入意向、および自動運転に対する人々の評価を把握し、基礎的知見を得る。また、自動運転を取り巻く現状として行政の取り組みや、自動運転の実現に向けて解決すべき社会的な課題についても概観する。
研究結果・ 得られた知見等
・目まぐるしく変化する自動運転を取り巻く状況を、できるだけ最新の情報により整理することで、現在の自動運転の姿を概観した。
・自動運転の光と影、すなわちメリットやデメリットを整理するとともに、国内外で行われた15事例の意識調査の結果を整理し、ほとんどの結果で自動運転に対して半数程度が賛成あるいは肯定していることを把握した。
・Webアンケート結果から、ADASや自動運転に対する意識等を把握するとともに、ADASの交通事故削減効果およびADASの普及に向けた方策に関する検討や、自動運転の受容性に影響する要因と普及に向けた方策を検討した。
・自動運転について議論する上で避けることのできない諸問題について、倫理に関する問題と法的な問題を概観した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・自動運転について、特に都市交通や社会的観点からみた問題や、人々の意識、自動運転を取り巻く行政の動き等を整理し、それらについて2016年度現在の状況を概観できる資料を取りまとめた。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者・主担当者:西堀 泰英
問題点・課題・今後の研究予定・その他
今後の予定:自動運転時代の社会像の具体化、そのための自動運転の普及のための課題整理や、自動運転の普及と都市の関係に焦点を当てた研究の推進をはかる。
関連論文(H28年度) (当年報掲載ページ)
Yasuhide Nishihori, Ryosuke Ando : The study of the effects and social perception of ADAS in Japan - Focusing on Advanced Emergency Braking System -, ITS World Congress 2017.(submitted)
Yasuhide Nishihori, Jia Yang, Ryosuke Ando, Takayuki Morikawa : Understanding Social Acceptability for Diffusion of Autonomous Vehicles in Japan Using Internet-based Survey Data, Proceedings of Eastern Asia Society for Transportation Studies (EASTS), 12 , 2017. (submitted)
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2016
市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
研究分野
交通安全
業務類型
解析
研究題目
市街地での規制速度遵守を促す環境整備に関する研究
研究の背景・内容
当研究所では、交通安全分野における重要な研究課題の一つとして「面的速度マネジメントの実現を目指す」ことに取り組んできた。道路交通において規制速度遵守を促すためには、現状の最高速度規制が適当であるのか、さらにはいかなる速度規制が適切であるのか、その考察が必要である。警察庁は平成21年度に最高速度規制に関する新たな基準に基づいた規制速度見直しを各都道府県警に通達した。以降、都道府県警や自治体によってこれが推し進められているが、一律の基準によって設定した規制速度を地域毎の細やかな実態に照らし合わせて点検することに意義はあると考えられる。すなわち、速度規制の実効性を高めるための環境整備を指南する知見が期待される。
そこで、これまでに蓄積した基礎資料・実証実験データを活用し、現状の最高速度規制設定基準を踏まえて、より実効性のある環境整備のあり方に関する知見を得ることを目的として、現状の走行速度実態と道路特性・地区特性の関係を明らかにする。具体的には、主に平成26,27年度に実施した助言型ISA実証実験データを用いて速度超過状況を整理し、速度超過の多寡と道路および地域特性の関連を整理し、具体的な区間を例示しながら対策方針の提言を試みる。
研究結果・ 得られた知見等
(1)規制速度設定に関する現状と議論
・「最高速度」違反を伴う事故は少ないものの、その致死率は高く、重大事故の削減においては規制速度の遵守を促すことは非常に重要な課題である。
・政府の検討においては、平成21年度に設定された「基準速度」の考え方に基づいた規制速度の見直しが進められている。
(2)一般道路における実勢速度と特徴
・一般道路では50km/h規制道路よりも40km/h規制道路の方が実勢速度との乖離が生じやすい傾向にある。
・乖離が大きい区間の多くは郊外の補助幹線道路であり、沿道に農地が拡がっているなど見通しがよい区間であるという特徴を持つ。
(3)生活道路での道路環境要因と個人差を考慮した助言型ISAの効果
・最大超過速度が大きくなる要因として、道路幅員と歩道の有無が寄与していることが明らかとなった。
・カラー舗装・狭さくは最高速度の抑制に影響を与える要素である。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
規制速度と実勢速度の乖離が大きい区間での対策の方向性提言
所内の担当者氏名・ 担当者
主 担 当 山崎基浩(統括、実験運営、調査、分析、まとめ)
研究補助 楊 甲(マップマッチングによるリンクデータ整備)
協力先名
共同研究者:豊橋技術科学大学 松尾幸二郎、杉原暢
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■データ活用の可能性
・一時停止状況などの走行実態収集の可能性検証
関連論文(H28年度) (当年報掲載ページ)
■助言型ISA利用による規制速度の遵守意識変化に関する考察(ITSシンポジウム2016)
■金銭的インセンティブ施策および個人属性が各種ISA受容性に与える影響の分析(土木学会論文集D3, Vol.72, No.5)
■スマートフォンによる助言型ISAの高齢者への効果と受容性(第11回日本モビリティ・マネジメント会議)
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2016
高齢者モビリティの選択要因と支援方策に関する研究(自主研究A)
研究分野
環境・総合
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
高齢者モビリティの選択要因と支援方策に関する研究(自主研究A)
研究の背景・内容
本研究では、高齢ドライバーの免許返納の問題において、①免許更新時の診断結果が、運転能力の確認材料として有効に活用されていない。②自動車を利用してきた高齢者は日常生活の中で公共交通等を利用したことがない。③高齢ドライバーの運転継続に関する判断は公安委員会や自動車教習所や専門医に委ねられ、社会全体で高齢者のモビリティを支える(考える)仕組みが整っていない、ことを問題提起とした。
そこで、自身の身体能力や運転能力を知る機会である免許更新(高齢者講習)時をターゲットに、免許更新時の診断結果を活用した高齢ドライバーの運転特性を分析する。また、安全・快適な高齢者モビリティ社会の実現に向け、行政・公安・自動車学校・交通事業者を巻き込んだ連携方策について、社会への実装を目指した検討を行う。
研究結果・ 得られた知見等
・高齢者講習結果を活用して運転特性を分析した結果、75歳を超えるとブレーキ反応時間が遅くなること、一時停止交差点で停止できていない高齢者は水平視力や動体視力が悪い、運転頻度が低い、ブレーキ反応時間が遅いことなどを明らかにした。
・顧客の購買心理プロセスを説明するAISCEAS(アイシーズ)モデルのプロセスに併せて、公共交通の情報提供サービスの課題を整理し、本研究の試行結果を踏まえて公共交通への「注目」「関心」といったプロセスをサポートすることの必要性を明らかにした。
・免許更新時の高齢者講習結果は、受動的な講習であり、自身の運転継続への参考として活用するまでには至っていない。今後は、自身の運転能力を評価する能動的な講習へのシフトチェンジが求められる。
・自動車からの卒業を意識した生活の想像・他の移動手段の利用経験を促すためにも、他業種・他分野の連携が必要であり、これらのサービスを有機的に機能させる社会システムへの変革が望まれる。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
今後の高齢者モビリティを考えるうえでの重要なポイントとして、『高齢者自身が上手く自動車と付き合っていくこと』、『自動車の安全運転技術を含めて様々なサービスを有機的に機能させる社会システムへの変革が必要であること』を示した。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者:山崎基浩
主担当:樋口恵一
補助 :加藤秀樹(高齢者講習)加藤透(出前教室)
協力先名
トヨタ中央自動車学校、豊田市役所交通政策課・交通安全防犯課、豊五会、あさひ元気会、三井住友海上福祉財団(研究助成)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
高齢者講習結果を活用し、高齢ドライバーの運転特性等を分析していく予定
関連論文(H28年度) (当年報掲載ページ)
高齢ドライバーのブレーキ反応時間に関する分析―高齢者講習の運転適性診断結果を活用して―,日本人間工学会東海支部2016年研究大会
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2016
高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察
研究の背景・内容
少子化、高齢化が進んでいる日本では、2016年における65才以上の高齢者人口は3,461万人であり、総人口に占める割合が27.3%に達して、今後も、高齢者人口割合が引き続き増加することが推計されている。高齢者人口が増加すれば、高齢ドライバーが関わる事故も増加すると予想されるため、これからの高齢社会では、高齢運転者の事故削減対策が重要な課題となる。また、地域の違いにより、高齢運転者の事故特性が異なることが想定されるため、豊田市における高齢運転者の事故削減対策を検討するには、その特徴を把握することが求められる。
そこで、本研究では、平成21~25年の5年間に、豊田市で起した交通事故データを用いて、高齢運転者の事故特性及び、事故発生時の法令違反特性を明らかにすることを通じて、高齢運転者の事故防止や違反防止に資する知見を得ることを目的とする。
研究結果・ 得られた知見等
■高齢運転者が関与する交通事故
非高齢運転者と比較した違反特徴は、安全不確認の割合(53.1%)が高くなっていることや、違反無の割合(17.0%)が低くなっていることや、法令違反の有無に影響を与える要因としては、道路形状、年齢階級、天候、時間帯、運転車種の順に重要な説明変数として順位付けがなされたことが分かった。
■高齢運転者が加害者となる交通事故
非高齢運転者と比較した違反特徴は、安全不確認の割合(62.0%)が高くなっていることや、不注意の割合(20.9%)が低くなっていることや、無信号交差点事故で「安全不確認」と「出会い頭事故」との関連性について、乗用車と比較して、軽トラックを運転している運転者による事故では、出会い頭事故の割合が約8%と高くなっていることが分かった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
■社会への貢献
本研究の成果は豊田市における高齢運転者の事故削減対策を検討するための有益な基礎資料となる。
■技術的特徴
機械学習分析方法(決定木モデル、アソシエーション分析)を高齢運転者の事故分析研究領域に取り入れたことにより、高齢運転者の事故特性及び、事故発生時の違反特性に関する認識を深堀できる。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 西堀泰英(統括)
主担当者 楊甲(分析、まとめ)
担当者 樋口恵一(補助分析)
協力先名
豊田市社会部交通安全防犯課(分析用事故データの提供)
三井住友海上福祉財団(研究助成)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
・交通工学研究発表会に投稿予定
・第12回東アジア交通学会(EASTS)の国際会議に投稿済(査読結果待ち)
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2016
県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究
研究の背景・内容
交通事故死者数は、状態別では歩行中が最も多く、中でも高齢者の割合が大きい。コンパクトなまちづくりが進展すると、都市内を歩く高齢者が増加し、高齢者が関連する事故の増加が懸念される。
運転者意識への対策は、地域の名をとって「○○走り」などと言われるローカルルールが存在するなど、対策は地域性を十分に考慮しているとは言えない。
そこで、超高齢社会における交通安全対策を考えるヒントを得るため、地域で異なる運転者の意識への対策による交通安全の推進可能性を検証し、県民性を考慮した新しい交通安全対策の方向性を探ることを目的とする。
研究結果・ 得られた知見等
・ドライバー約1,500人に対するWebアンケート調査結果から、交通ルールに対する認知度やルールの実践状況が、十分に高いとは言えない状況が確認できた。
・高齢者が起こしやすい交通事故に着目し、それらの事故と様々な指標との関係を分析した結果、高齢者の交通安全対策としては、ADAS等の先進的なシステムによる予防安全対策を行うことや、全般的な交通安全対策として交通マナーの向上が求められることを指摘した。
・愛知県の事故発生状況に焦点を当て、交通事故類型や発生場所等の面から見た愛知県の交通事故の特徴を分析した。その結果、幾つかの特徴が明らかとなったが、愛知県が交通事故死者数ワースト1から脱するために必要なことは、人口あたりの交通事故死者数を3/4程度に抑える必要があることを確認した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
■社会への貢献
・高齢社会に向けた交通安全対策を提案した。
■技術的特徴
・交通事故データや都道府県単位の様々な社会経済統計データを用いて、高齢者の交通事故等について様々な角度からの分析を行った。
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当者 西堀 泰英
協力先名
大同大学工学部建築学科土木・環境専攻 嶋田喜昭教授
問題点・課題・今後の研究予定・その他
本研究では、データ収集の制約等から都道府県単位のデータを用いたが、そのためにきめ細かな分析ができず、十分な知見を得ることが困難であった。県別の運転者の意識は、JAFのデータを活用できたことでいくつかの知見を得ることができたが、本研究で行ったWebアンケート調査では全国で1,500足らずのサンプルを集めたものの、都道府県単位では十分な数にはならず、有効な成果を得ることができなかった。
また、ITARDAの委託集計により交通事故データを入手したが、費用の制約のために集計項目を限定することや、詳細なクロス集計を行うことが可能なデータが入手できず、この面でも満足の行く分析を行うことができなかった。交通事故データベースを開放し、多くの参加者により様々な分析が行われることが、我が国の交通安全に寄与すると考える。
関連論文(H28年度) (当年報掲載ページ)
第37回交通工学研究発表会に投稿予定
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2015
助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証
研究分野
交通安全
業務類型
解析
研究題目
助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証
研究の背景・内容
面的速度マネジメントの実効性担保策の一つとしてISAの研究を進める中で、一時的な助言型ISAの効果については挙動や意識の変化など計測できたが、継続的な効果については計測できていない。そこでH25年度から3カ年で、生活道路における助言型ISAが高齢運転者を含む一般ドライバーに与える影響について、一定期間のフィールド実験を通じて把握し、対策導入・推進にあたっての知見を得る。
本年度は最終年度にあたり、H26年度末から引き続き28名の被験者による実験を実施した。昨年度実験の20名の被験者と合わせた分析をおこなうとともに、本年度被験者の21名を占める高齢者に着目し、「高齢者へのISA効果と受容性」および「道路環境とISAの効果」という視点からとりまとめた。
研究結果・ 得られた知見等
(1)高齢者への効果と受容性
・高齢者はISA機能を稼動させていない状態においても、比較的速度遵守に心がけており、それは走行データにも表れている。
・ ISA機能の情報提供により、規制速度遵守率は高齢者・非高齢者とも高まる。特にインセンティブを付与した群の遵守率向上は大幅である。
・高齢者は助言型ISAの経験によって変容した行動が、非高齢者よりもその後も継続する傾向にある。特に補助幹線道路のような比較的規制速度の高い道路では、高齢者はインセンティブに拠らず遵守率は高まり、機能をOFFにした後も効果が継続する傾向にある。
・意識の上では高齢者・非高齢者とも30キロ規制道路で「最高速度を意識するようになった」という傾向が強い。
・高齢者は機器の操作を忠実に実行しようとするが、それが負担につながっている。また、操作に不慣れなことに起因する「不具合」を多大に感じている。これらのことから、なるべく操作が容易な車載機の開発が望まれる。
(2)沿道土地利用等道路環境からみたISA効果
・一定の区間長、幅員、低層土地利用の地域での導入効果が見込まれる。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等
(1)生活道路における助言型ISA機器の導入推進のための基礎的知見を得た。
(2)インセンティブ付与による普及の可能性や高齢ドライバーへの効果、受容性を提示し、社会システム改変に訴求することができた。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任・主担当者 山崎基浩(統括、実験運営、調査、分析、まとめ)
担 当 者 楊 甲(LOGデータ整理、マップマッチング)
担 当 者 川澄奈美(被験者対応・データ整理)
協力先名
共同研究者:豊橋技術科学大学 松尾幸二郎、中京大学向井希宏・菅野甲明
アプリ開発:(株)マップマスター
被験者募集:トヨタすまいるライフ(株)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■データ活用の可能性
・ISAアプリデータを活用し、速度遵守を促す道路環境整備のあり方を研究テーマとして進める。ISA研究会は継続し、議論の場とする。
関連論文(H27年度) (当年報掲載ページ)
■Acceptability of ISA Based on a Field Experiment and a SP Survey : Analyses from a Standpoint of Traffic Calming(EASTS)
■助言型 ISA および速度遵守インセンティブプログラム (IPNS) が 生活道路におけるドライバーの走行速度に与える影響 ~フィールド実験に基づく考察~(交通工学論文集特集号)
■スマートフォンによる 助言型ISAシステムの評価(第51回土木計画学研究発表会)
■インセンティブ施策がISA受容性に与える影響の分析(第51回土木計画学研究発表会)
■規制速度の明示化による速度順守意識の差異と加齢による影響の検討(日本人間工学会東海支部)
■交通事故発生時の死亡・重傷率分析に基づくISA導入効果の推計~愛知県交通事故データを用いて~
(ITSシンポジウム)
■スマートフォンを用いた助言型ISAシステムの開発と効果検証
(第10回日本モビリティマネジメント会議)
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2015
高齢者のおでかけによるQOLの変化と中山間地域のまちづくり方策に関する研究
研究分野
公共交通
業務類型
政策検討
研究題目または 報告書タイトル
高齢者のおでかけによるQOLの変化と中山間地域のまちづくり方策に関する研究
研究の背景・内容
地域社会と積極的に関わりをもつ高齢者や、普段の外出頻度が多い高齢者ほど健康寿命が長いといわれている。この理由は、外出によって人とふれ合ったり、社会活動に参加したりするという、外出を伴う活動により、心身の機能が活性化するためだと考えられる。健康で文化的な生活を長く送ることは、生活の質に大きく影響をおよぼすため、高齢者の生活において外出を伴う活動が持つ意味は大きいと考えられる。
本研究では、外出を伴う活動を「おでかけ」と定義し、その構成要素が、①社会活動のへの参加機会と②移動環境の2つであると考え、この両者が高齢者の生活の質に与える影響について検討する。
研究結果・ 得られた知見等
・愛知県北設楽郡を対象に、2008年度と2015年度に住民を対象として実施した移動実態に関するアンケート調査の結果を用いて、郡内住民の移動状況の変化を分析した結果、公共交通利用群・自家用車利用群ともに移動の頻度が減少していることが明らかになった。
・豊田市石野地区を対象として実施したヒアリング調査結果を用いて、高齢者の『就労意向・地域振興への協力意向』と『生きがい』との関係性を分析した。その結果、地域振興への協力意向は就労意向との相関性が低く、「未来に対する積極的・肯定的姿勢」と「自己存在の意味の認識」が高いことが明らかとなった。
生活の質に繋がる『趣味娯楽などの楽しみ』について分析した結果、年齢が高まるにつれて楽しみの数か減少し、その活動場所も自宅や近所が多くなる傾向が確認された。後期高齢者に絞った分析では、楽しみの数が多い人ほど日常生活動作能力及び生きがいが高い結果となった。一方、地区外での趣味娯楽活動は、日常生活動作能力の高さには影響しているものの、生きがいには影響していない。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・北設楽郡の分析結果は、北設楽郡公共交通活性化協議会に提供し、同協議会が実施する公共交通施策に活用される予定である。
・地域での共助による移動サービスは、具体的な取組みが提示されれば「未来に対する積極的・肯定的姿勢」「自己存在の意味の認識」の高い方からご協力頂ける可能性がある。(昨年度の調査では運転手として21名の方、運行計画や管理に10名の方が協力できると回答)
所内の担当者氏名・ 担当者
担当者 福本雅之(北設楽郡)
担当者 樋口恵一(豊田市中山間地域)
協力先名
・北設楽郡公共交通活性化協議会(愛知県北設楽郡設楽町・東栄町・豊根村)
・石野を変える会(豊田市石野地区)
・中京大学心理学部向井研究室
問題点・課題・今後の研究予定・その他
・研究成果を活かすためには地域のフォローが必要であり、共助による移動サービスを具体的に展開する中で当事者の生きがいとの関連性を分析していきたい。(豊田市石野地区)
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2015
交通データの情報収集と活用可能性に関する研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
交通データの情報収集と活用可能性に関する研究
研究の背景・内容
近年の情報通信技術等の発展により、リアルタイムな交通状態を示すデータが様々な形で取得されている。その種類は、自動車企業や電気系企業による自動車プローブ情報を活用したサービスや、情報系企業によるスマートフォンを活用したサービスなど、交通系のプローブデータが大量に収集・提供されている。またバスやトラックの運行管理などで用いられるデジタルタコグラフの緯度経度情報など、市場に出回っていないプローブ情報も数多く存在している。
本研究では、豊田市における交通データの活用可能性を明らかにするため、(1)各種交通データ(プローブ情報)の緒元・特性整理、(2)貨物車プローブの収集・渋滞交差点の旅行速度の集計分析を行う。
研究結果・ 得られた知見等
・自治体等が購入できる交通データは、各社仕様が異なるため利用目的やデータ規模に応じた選択が必要。さらに、交通以外のデータ・保険などとセットになったサービスも展開され始めている。しかし、購入に際して様々な制約条件がある。
・豊田市の物流事業者を対象としたアンケート調査結果から、小規模事業所ではドライバーの拘束時間に『道路の渋滞』が最も影響しているという意識を明らかにした。一方、中規模・大規模事業所では、『積込みの時間』や『荷下ろしの時間』への課題意識が高まる。また、過去の渋滞状況などを閲覧できる地図情報は、全ての事業所が「利用したい」と回答した。
豊田市の大規模物流事業者2社から先行的にプローブデータを収集して集計した結果、豊田市南部の通過が多い傾向にある。渋滞交差点を対象とした交通状況の可視化では、朝ピーク時に全流入方向の15%で旅行速度が算出できた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1)市販のプローブデータは複雑な利用制約がある中で、豊田市内を走行する貨物車プローブを活用して市内の道路交通状況の可視化を試み、実測調査の代替性を示すことができた。
(2)愛知県トラック協会や物流事業者に対してデータの活用可能性を明示すことができた。
『産業都市という地域特性を活用した新たな道路交通状況の調査法』の構築に向けて運輸事業との連携が期待される。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 :西堀泰英
主担当者:樋口恵一(調査・分析・まとめ)
担当者 :楊甲(プローブデータの集計)
協力先名
愛知県トラック協会豊田部会
問題点・課題・今後の研究予定・その他
貨物車の走行特性分析、年間を通した交通状況の分析は次年度実施予定。
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2015
シームレスな移動を支援する極小パーソナルモビリティに関する研究
研究分野
環境・総合
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
シームレスな移動を支援する極小パーソナルモビリティに関する研究
研究の背景・内容
日本の地方都市では高い自動車依存、公共交通の衰退、移動手段として高齢者も自家用車を手放せないという現状がある。本研究では、現状を打開する方策の一つとして、乗り物を携帯し公共交通を利用するという新たな視点から、携帯型の極小型パーソナルモビリティ(以下、極小PM)に着目した。
若い高齢者のときから、PMや公共交通の利用に慣れておくことで、自動車運転ができなくなっても、自立した移動を行う期間を増やせると想定し、その基礎的な検討として、豊田鉄工株式会社が開発中の極小PMを用いて試乗会を実施し、高齢者を対象に、極小PMの受容性評価、受容性の高いターゲット像の把握を行った。
また、PMをアクセス・イグレスの両方で活用する方法の1つとして、公共交通への持ち込みを検討し、バス会社へのヒアリング調査を実施した。
研究結果・ 得られた知見等
・シニアカーには「高齢者にみられたくない」という利用抵抗があると言われているが、デザイン性のよいシニアカーを開発することで、これらの抵抗を払拭することができ、シニアカー規格の極小PMが、健常高齢者の移動手段選択肢の1つとなりうることを明らかにした。
・短距離移動でも自動車を利用している高齢者で極小モPMの購入意向が高く、かつ、積極的に自動車利用を減らしたいと考える方は65歳~69歳で多いことから、若い健常高齢者が極小PMの普及ターゲットであり、公共交通と連携したPM普及が自動車を運転できなくなった後の自立した移動につながる可能性を明らかにした。
・バスへの持込について、袋に収納すれば現状ルールでも手荷物として持ち込める可能性が高いが、そのまま持ち込むことはできない。車内での固定方法や占有状況を確認し、バス事業者へルールの変更の働きかけを行った。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・将来、極小PMと公共交通の連携、さらに高齢者への普及が実現できれば、過度な自家用車依存の低減、公共交通の利用活性化、高齢者が加害者となる自動車事故の低減、高齢者の自立した移動の延長に貢献できる。
・地元企業(豊田鉄工(株))と研究所の連携・協力
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者・主担当 加藤 秀樹(調査、分析、まとめ)
担当者 樋口 恵一(調査、分析)
協力先名
・豊田鉄工株式会社 開発部
・国立研究開発法人国立環境研究所 地域環境研究センター
・名鉄バス株式会社 豊田営業所
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■課題
・普段利用していない公共交通と極小PMを連携した利用イメージが沸きにくいことから、日常の移動選択肢の1つとして理解されるためには、様々な活用方法を具体的に提案してゆく必要がある。
・現状では、公道走行可能なシニアカー(歩行補助車)としての認定を受けた極小PMの開発が間に合わなかったため、今後、現実的な普及に向けて、公道走行可能な極小PMの開発を急ぐ必要がある。
■今後の予定
・第29回世界電気自動車学会(EVS29)での報告
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2014
豊田市でPHVを導入するメリットに関する実証的研究
研究分野
環境・総合
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
豊田市でPHVを導入するメリットに関する実証的研究
研究の背景・内容
低炭素社会の実現に向け、次世代自動車の導入が必要である。特にマイカーへの依存性が高い地方都市では、次世代自動車の導入によりCO2排出量の大幅な削減効果が期待できる。また、次世代自動車の燃費改善効果により、従来のガソリン車と比べてランニングコストの節約効果も期待できる。
そこで、本研究は地方都市である豊田市を研究地域として、PHVの実走行のプローブデータや第5回中京都市圏パーソントリップ調査データを用い、PHVの導入メリットとしてのCO2排出量削減効果及びランニングコスト節約効果を検証した。
研究結果・ 得られた知見等
(1)全ての乗用車をPHVに買い換えると仮定すると、豊田市全域でCO2の削減総量は平日536トン/日、休日617トン/日であり、休日は平日に比べて大きい削減総量が得られた。
(2)PHVの導入により、平日、休日共に概ね63.0%のCO2削減効果が得られた。また、豊田市の中心部では、平日、休日共に他の地域に比べて高いCO2削減率が得られた。
(3)一方、ランニングコスト削減額を見ると、藤岡以外の旧町村地域では、平日、休日共に500円以上のコストを削減でき、旧豊田市地域に比べて経済的なメリットが大きくなった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
技術の特徴
(1)実走行プローブデータを用いたPHVの電費・燃費の推計式を作成した。
(2)カーナビプローブデータを用いた経路探索技術を、パーソントリップ調査データに適用し、豊田市民の自動車利用移動に関するより詳細な情報を把握した。
社会への貢献
(1)CO2削減効果の地域特性分析は、豊田市でのPHV普及推進方策検討に活用できる。
(2)ランニングコストの節約額分析は、PHV購入検討に有益な基礎資料となる。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 楊甲(データ分析、評価、まとめ)
担当者 加藤秀樹(自動車利用移動データの整理)
協力先名
トヨタ自動車株式会社技術統括部
株式会社ナビタイムジャパン(委託先:経路探索による情報付加)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点:得られた実証住宅電力消費データが11世帯と少なかったため、豊田市全域での世帯属性を考慮できる世帯電力消費パターンのモデル化が困難であった。そのため、研究立案当初に予定したスマートハウスとPHVの連携まで踏み込まず、深夜電力での充電を仮定したPHVの導入効果について評価した。
関連論文(H26年度) (当年報掲載ページ)
・パーソントリップデータを用いた豊田市と名古屋市で世帯の自動車保有行動に関する比較研究、・・・P○○○
・プローブデータを用いたPHVの電費・燃費推計式の作成に関する研究、・・・P○○○
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2014
中山間地域における高齢者モビリティ調査
加藤秀樹
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
中山間地域における高齢者モビリティ調査
研究の背景・内容
(1) 中山間地域は、少子高齢化が進み限界集落を抱えている。そのため地域の存続・最低限度の生活を確保するため様々な支援事業が展開されているが、そうした中山間地域のモビリティの実態を十分に把握できていない。
(2) 昨年度実施した地区特性の整理結果を踏まえて、小原・旭・石野の3地区を対象に生活実態・移動実態を把握するアンケート調査を実施。
(3) 地区内・地区間の差、高齢者全般の現状を明らかにし、「生活実態」「今後のニーズ」などを踏まえたモビリティ確保の方向性を提案する。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 被験者の約7割が自動車を運転しており、概ね80歳まで運転するとの意向である。日常生活について、地区別に以下の様な実態を明らかにした。
旭地区:買物・通院ともに『足助』に向かう傾向
小原地区:通院は地区内、買物は藤岡+市外
石野地区:買物・通院ともに分散
(2)非運転者と比較して運転者の平均活動量が有意に多い。(運転する範囲別の活動量に有意な差はみられない。)
(3)自動車の運転をやめた後の移動手段について「わからない」との回答が多い。その要因として、男性・前期高齢者・仕事や趣味娯楽活動を行っていないという傾向が抽出された。
(4)日常生活の実態を踏まえた公共交通サービスの改善が望まれる。(現在のサービスが生活実態と合っていない状況が見受けられる)
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
豊田市の中山間地域に関連する調査を横断的に整理し、対象地域における日常生活の実態と今後のモビリティ確保策の方向性を確認できる有益な基礎資料となる。(ex:公共交通基本計画の見直し、各支所のサービス検討材料など)
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当者(担当内容):樋口恵一(全般)
担当者 (担当内容):福本雅之(補助)
協力先名
豊田市都市整備部交通政策課、社会部猿投支所・旭支所・小原支所、市民福祉部介護保険課、中京大学心理学部
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
・分析結果は支所や地域に報告する予定
・今後の調査協力者などを中心に、外出とQOL、中山間地域における交通まちづくりの方策などを継続的に研究
■学会等での発表予定
・土木計画学研究発表会春大会、日本福祉のまちづくり学会、WCTRに投稿予定
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2014
走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
研究分野
環境・.総合
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
研究の背景・内容
大幅な運輸部門からのCO2削減を達成するためには、車両単体の燃費改善に加えて、市民がスマートドライブを理解し、広く実践する必要がある。
本研究テーマでは、市民の関心が高いと考えられる「交通安全」に関連し、「速度の出し過ぎ抑制」の視点から、これまでに、ゾーン30や高速道路での速度抑制による燃費改善効果等を明らかにしてきた。
本年度は、交通安全の推進を中心とするスマートムーブの提案を目的として、これまでに検討できていなかったゾーン30以外の一般道を対象とした「速度の出し過ぎ抑制」によるスマートドライブ効果を定量的に解析した。
なお、本研究は、科学研究費助成事業の研究課題として、平成24年度から平成26年度まで実施され、本年度は最終年度にあたる。
研究結果・ 得られた知見等
(1)「5km/h抑制で、燃料を7.3%改善」という最高速度抑制と燃費改善率の関係を、エコドライブ講習会のデータを用いて一般化した。なお、講習会データとして、ひょうごスマートムーブ推進コンソーシアムが平成25年度に実施したエコドライブ講習会データを用いた。概ね、規制速度+5~10km/hで走行している一般道(規制速度40-50km/h)でのデータである。
(2) ふんわり加速は、渋滞の原因になるとも言われているが、適正よりも遅い加速を行った場合、エンジンのエネルギー変換効率の観点からも、効率悪化も招くことがあり、渋滞の多い豊田市では積極的に推奨するべきではない。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1) 交通安全の推進は、環境面からも推奨されることを明らかにした。
(2) 一般道(規制速度:40-50km/h)での最高速度抑制効果(5km/h抑制で、燃費7.3%改善)を、定量的に評価した。
(3) 一般的に推奨されているふんわり加速の悪影響の可能性について、自動車工学の観点から科学的な考察を行った。
(4) 3年間の研究成果をとりまとめ、交通安全の推進を中心とするスマートムーブとして提案を行った。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 加藤秀樹(分析、まとめ)
協力先名
・独立行政法人国立環境研究所 地域環境研究センター 近藤美則 主任研究員
・筑波大学大学院 システム情報系 鈴木勉 教授、同修士課程 佐藤祥路 氏
・ひょうごスマートムーブ推進コンソーシアム(事務局:ひょうご環境創造協会)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の課題
・本研究で提案するスマートドライブを広く展開する。
■今後の予定
・第23回環境自治体会議(いこま会議)での発表
関連論文(H26年度) (当年報掲載ページ)
・ITSを活用したエコドライブ社会実験における走行状況に応じたCO2削減要因の分析・・・P○○
・ANALYSIS OF FUEL ECONOMY IMPROVEMENT IN THE ECO-DRIVING PILOT PROGRAM WITH ITS・・・P○○
・An Analysis on Diffusion of Plug-in Hybrid Electric Vehicles in Japan・・・P○○
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2014
公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
研究分野
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
研究の背景・内容
地方都市(「流し」が行われていないような中規模都市)を対象として、①現状(運行実態、配備車両数、乗務員数など)を分析するとともに、②タクシーを活用した地域公共交通施策・取組に関する先進事例を整理した上で、③それらタクシーの資源と利点を活用して(地域公共交通として)何が実現できるのか、検討する。
調査期間は2ヶ年を予定しており、今年度は昨年度実施した事業者アンケートの分析によるタクシー事業の実態分析と、タクシーを活用した地域公共交通サービスの可能性検討を実施した。
研究結果・ 得られた知見等
クラスター分析によってタクシーの営業許可単位である交通圏の事業環境を分類し、H25年度に実施したアンケートによって得られたタクシー経営者の意識の関連について分析した。その結果、①事業者の規模を示す保有台数は事業環境と関係があり、事業環境が厳しいほど小規模な事業者が多い傾向にあること、②市町村の交通政策には、名古屋、都市地域(小)において関心が薄いこと、③事業環境と交通課題の認識状況には関係性があまりないが、今後の事業展望には影響が見られること、④経営者の事業展望と、交通政策への関与、地域の交通課題の認識状況には関係があり、拡大志向の事業者ほど政策の関与や交通課題の認識をしていること、が明らかとなった。
タクシー関係者からなる「公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する研究会」を開催し、上記分析結果を話題提供したほか、タクシーを活用した新たな地域公共交通サービスの方向性について検討し、タクシーの市場拡大という観点から整理を行った。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
豊田市をはじめとする地方都市におけるタクシーを活用した公共交通施策の実施に活用できる
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当者:福本雅之(全般)
担当者 :樋口恵一(補助・分析)
協力先名
国土交通省中部運輸局旅客第2課、愛知県タクシー協会、名古屋タクシー協会、(一社)三重県タクシー協会、岐阜県タクシー協会、商業組合 静岡県タクシー協会、(一社)福井県タクシー協会
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
・TRANSED2015(Lisbon)、土木学会論文集D3に投稿予定
・土木計画学研究発表会(春大会)で発表予定
関連論文(H26年度)
福本・山崎・樋口:中部地方におけるタクシー事業者の現状把握、土木計画学研究・講演集、Vol.49、CD-ROM(124)、2014
福本・樋口:地域公共交通としてのタクシーの位置づけと活用可能性に関する研究、日本福祉のまちづくり学会第17回全国大会概要集、CD-ROM(GⅠ1B-2)、2014
福本・山崎・樋口:タクシーの事業環境と経営者の意識に関する分析、土木計画学研究・講演集、Vol.50、CD-ROM(101)、2014
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2014
交通事故の予防対策地点抽出に向けた研究
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
交通事故の予防対策地点抽出に向けた研究
研究の背景・内容
交通事故の予防対策検討において、ヒヤリハットデータの活用が考えられる。そのデータを継続的・効率的に蓄積するため、平成24年度にWebアンケートシステムを開発し、豊田市において市民参加型のヒヤリハット地点調査を実施した。平成25年度には、リスクアセスメントの考え方を導入したヒヤリハット地点のハザード定量化について検討し、豊田市内の企業の従業員を対象としたヒヤリハット調査や通学路緊急合同点検結果の入手によるデータ蓄積にも努めてきた。
本年度は、豊田市の全域を対象とした予防対策地点の抽出のためのデータ作成を目的として、保険会社の保有する交通事故データのデータベース化を行った。また、豊田市内の全小学4年生とその保護者を対象としたヒヤリハット調査を実施した。
研究結果・ 得られた知見等
・保険会社の保有する交通事故データについて、2014年9月~12月の4ヶ月間に処理された事故のデータベース化を行った。
・市内全小学校75校、及び、関係機関の協力を得て、市内全小学校4年生とその保護者を対象としたヒヤリ調査を実施し、4,135部の調査票を配布し3,577部を回収という高い回収率(86.5%)が得られた。
・4年生・保護者を合わせ12,560地点のヒヤリ地点を特定し、リスクアセスメントの手法を用いて指摘地点に危険度の指標を追加した。また、交通事故の予防対策を検討するための情報(位置、状況、危険度等)をデータベース化した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・小学校区別の紙媒体ヒヤリマップ、及び、全市域と小学校区別のWEB版ヒヤリマップを作成し、各小学校の交通安全指導等に活用するためのフィードバックを行った。
・ヒヤリ調査の成果を用いた交通安全対策の実施について、市の関係課に対して活用提案を行う。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 加藤秀樹、福本雅之(調査、分析、まとめ)
協力先名
豊田市内全小学4年生とその保護者、豊田市内全小学校
豊田市校長会、豊田市学校教育課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■課題
・保険会社の保有する交通事故データの活用可能性について検討を行う。
・行政の具体的な交通事故の予防対策において、対策地点・対策路線の選定、優先順位付け手法の提案等で、研究成果を活用し支援する。
■今後の予定
・土木計画学研究発表会秋大会での報告
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2014
安全・円滑な自転車走行空間の実現に向けた総合研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査、解析
研究題目または 報告書タイトル
安全・円滑な自転車走行空間の実現に向けた総合研究
研究の背景・内容
改正道路交通法施行により、自転車の「車両」としての通行位置・通行方向が明確にされた。しかしながらわが国の多くの道路空間は自動車中心の整備がなされてきたため、自転車利用における安全は十分に確保されていない。
これまで進めてきた『エコ通勤促進』に主眼を置いた研究により、自転車利用促進の重要な課題として走行空間整備の重要性が指摘されてきた。また、自転車利用者が車道走行を選択する要因として挙げられる「路側帯幅員・歩道幅員・歩行者交通量・大型者交通量」の現状を鑑みると、既存道路空間の有効活用により安全で円滑な自転車走行空間を確保できる可能性がある。
そこで本研究では既存の道路空間(路肩や歩道など)の有効活用の可能性検討を主目的に、通行空間の評価を試みた。まず、PT調査結果や過年度の研究成果から自転車交通の現況を把握したうえで対象地区を選出した。評価の視点としては自歩道の有無や走行空間の実行幅員に着目し、対象地区内の道路整備の実態を調査し図面上に整理した。
さらに交通事故やヒヤリハットの発生状況と照らし合わせながら、安全で円滑な自転車走行ネットワーク確保の課題を整理した。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 豊田市内で自転車トリップが多い地区は、三河豊田駅を含む小ゾーンである(PT調査より)。そこで同駅周辺を対象地区として選定。
(2) 対象地区の道路は路側線無し20%、歩道無し66%、幅員4~8mが60%という現状。交通事故は歩道のある補助幹線道路と生活道路との交差部や、歩道の無い生活道路どうしの交差部で比較的多く発生。
(3) 駅周辺で歩道整備が断続的に途切れる区間での安全確保が課題。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
平成26年度に豊田市が策定した「豊田市自転車利用環境整備計画」を踏まえて、今後の整備における既存道路空間の有効利用の方向性を提言。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者・主担当(担当内容):山崎基浩(総括、評価視点整理、とりまとめ)
担 当 者 (担当内容):樋口恵一(調査、データ分析)
協力先名
豊田市都市建設部建設企画課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
・「豊田市自転車利用環境整備計画」を踏まえ、豊田市における自転車走行空間整備の新たな視点を考察し、H28年度以降の研究を展開。
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2014
ゾーン30の選定方法に関する研究
三村泰広
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
ゾーン30の選定方法に関する研究
研究の背景・内容
交通安全の向上を目指して、ゾーン30などの面的な速度抑制対策が各地で進められている。しかし、その際の対象地域の選定方法に関しては「幹線道路等に囲まれた地区」というルールはあるものの、都市内の何処を対象とするのかという点について、明確なルールは存在しない。結果として、「対策が効果的な地域」ではなく、「対策を導入しやすい地域」が選択されているような事例も散見される。H25年度より土地利用、都市施設配置、人口分布等を説明変数として、面的な交通安全対策の必要な地域を明らかにする研究を進めているが、重要な要素のひとつと考えられる道路ネットワークや通過交通などの影響は考慮できていない。本研究では、この「道路ネットワーク」を考慮することにより、より適切なゾーン30導入箇所の選定方法を提案する。
研究結果・ 得られた知見等
・豊田市等をケーススタディエリアとして、周辺土地利用の影響、道路ネットワーク、道路構造を考慮した交通事故発生レベル予測モデルを十分な精度で構築した。
・構築した一般線形モデル、一般化線形モデルでは有意となる変数の傾向が異ななり、道路ネットワークの変数は一般化線形モデルで特に有意となることがわかった。
・いずれのモデルでも総人口が最も有意な指標であることがわかった。また、歩行者自転車事故は他の事故とその発生要因が異なる(商業、第2種居住地域などが効く)
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・近年我が国において急速に広がりつつあるゾーン30などの整備推進において論理的バックグラウンドを与えることができ、様々な調整の場で有効に活用されることが期待できる。
・当該方法で用いたデータはすべて我が国において整備される一般的データであることから、どのような地域に対しても応用が可能である。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 三村泰広(調査、分析、まとめ)
協力先名
公益財団法人タカタ財団(助成)、岡山大学、大同大学、福岡大学
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・当該モデルはあくまで豊田市を事例に作成されたものであるので当該手法の一般化、精度向上に向けた様々な地域でのモデルの適用と調整を考慮していく必要がある。
■今後の予定
・費用便益分析等の実施
・土木学会論文集、World Conference on Transport Researchへの投稿
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2014
ICTを活用した速度提示に関する社会実験(2)
山崎基浩
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
ICTを活用した速度提示に関する社会実験
(2)助言型ISAの長期効果の計測およびインセンティブプログラムの効果検証
研究の背景・内容
面的速度マネジメントの実効性担保策の一つとしてISAの研究を進める中で、一時的な助言型ISAの効果については挙動や意識の変化など計測できたが、継続的な効果については計測できていない。そこでH25年度から3カ年で、生活道路における助言型ISAが高齢運転者を含む一般ドライバーに与える影響について、一定期間のフィールド実験を通じて把握し、対策導入・推進にあたっての知見を得る。
本年度は、H25年度に開発した助言型ISAアプリをスマートフォンに導入し、これを20名の被験者に貸与し5ヶ月間の実証実験を行った。また、本実験ではドライバーの能動的な速度遵守意識醸成のための知見を得る目的で、インセンティブプログラムの有効性の検証を併せて実施した。
研究結果・ 得られた知見等
(1)走行速度の変化
・助言型ISAにより、2割程度の速度遵守効果(規制速度以下で走行した距離の割合から解析)が得られた。特にゾーン30における効果は比較的高い。しかし機能を解除した後の継続効果は顕著に認められない。
・インセンティブを付与した被験者群の速度遵守率は比較的高く、インセンティブプログラムの有効性が示唆された。
(2)速度遵守に対する意識変化
・実験後の意識調査により、実験参加によって速度遵守意識がやや向上した可能性が示唆された。
(3)助言型ISAの受容性と機器評価
・生活道路を対象とした場合、助言型ISAの受容性は比較的高い。また自発型(強制型だがドライバーが任意に解除可能)は一定のインセンティブにより受容される可能性が示唆された。
・スマートフォンの活用は普及には効果的だが稼動操作面で煩雑さが指摘された。インセンティブ摘要者は機器からの情報提供に過敏となり、機器精度にこだわる傾向が認められた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1)生活道路における助言型ISA機器の導入推進のための基礎的知見を得た。
(2)インセンティブ付与による普及の可能性を提示し、社会システム改変に訴求することができた。
所内の担当者氏名・ 担当者
責 任 者 安藤良輔(統括)
主担当者 山崎基浩(実験運営、調査、分析、まとめ)
担 当 者 三村泰広(調査、分析)
協力先名
共同研究者:豊橋技術科学大学 松尾幸二郎、中京大学大学院 菅野甲明
アプリ開発:(株)マップマスター
被験者募集:トヨタすまいるライフ(株)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・スマホ操作の簡便化、カーナビ等へのビルドインなどが、特に高齢ドライバーらへの普及促進すると考えられる。
■今後の予定
・引き続き、29名の被験者による第2期の実験を実施中(H27年7月終了予定)。本年度の20名と併せた分析を行う。
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2014
ICTを活用した速度提示に関する社会実験 (1)
研究分野
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
ICTを活用した速度提示に関する社会実験
(1)速度連動型電光掲示板のゾーン30導入効果の検証
研究の背景・内容
ゾーン30の整備推進が進む中で、その実効性担保策の更なる推進が求められている。海外等に目を向けると、生活道路においてITS技術により車両の速度超過と連動する電光掲示板(Dynamic Speed Display Sign以下、DSDS)等を用いた自動速度提示が積極的に実施されている。効果が確認される事例も散見されるなか、わが国での適用に向けた議論の重要性が増している。昨年度より、(公財)豊田都市交通研究所、豊田工業高等専門学校、(株)キクテックは、共同でDSDSに関する基礎研究を進めている。本研究は複数のゾーン30(公道)におけるDSDSを適用し現在3社で進めている共同研究の成果をベースに、マイクロ波で計測された速度超過を知らせるDSDSを公道上(豊田市、刈谷市)で実施することにより、効果検証等わが国のゾーン30におけるDSDS導入に向けた基礎的知見と課題を整理する。
研究結果・ 得られた知見等
(1)運転挙動調査
・DSDSの設置で、150mを超える区間に渡って2~5kmの速度抑制が図られる。
・DSDSの表示内容には「ゾーン30」、「速度OK」という表示を加える方が全体的な速度抑制効果が期待できる。
・撤去後1ヶ月程度は速度抑制効果がある程度持続する。
(2)住民意識調査
・DSDSは概ね意識面でも速度抑制効果を発揮しているとともに、機器そのものも好意的に捉えられている。
・「ゾーン30」を表示するパターン2の方が受容性が高い。
・同一地点における今後の継続的な設置希望も強く、効果次第ではさらなる整備についても要望が見受けられる。
・高齢者はそもそも速度遵守意向が高いためDSDSによって自身の行動変化には大きく寄与しないものの、他車の速度遵守・安全走行の促進においてDSDSの効果を大きく期待している。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1)ゾーン30でのDSDS導入推進のための基礎的知見を得た。
(2)愛知県ITS推進協議会を通じて、当該システムを広く自治体にアピールした。またその結果、平成27年度に刈谷市でのDSDSの恒常的設置に繋がった。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 三村泰広(調査、分析、まとめ)
担当者 山崎基浩(調査)
協力先名
豊田工業高等専門学校、株式会社キクテック(以上、WYS研究会)、愛知県ITS推進協議会、愛知県警察交通部交通規制課、豊田市都市整備部交通政策課、社会部交通安全防犯課、猿投支所、刈谷市都市整備部都市交通課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・整備箇所の地域条件を考慮した成果を得るために、様々な条件下での公道実験を行う必要がある。
■今後の予定
・土木計画学研究発表会春大会での報告
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2013
中山間地域における高齢者モビリティ調査
研究分野
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
中山間地域における高齢者モビリティ調査
研究の背景・内容
(1) 中山間地域は、少子高齢化が進み限界集落を抱えている。そのため地域の存続・最低限度の生活を確保するため様々な支援事業が展開されているが、そうした中山間地域のモビリティの実態を十分に把握できていない。
(2) 中山間地域(藤岡・小原・足助・下山・旭・稲武・松平・石野など)の実態及び行政・民間企業が実施している事業や支援内容の把握、モビリティに対するニーズ調査を2カ年で実施し、生活サービスを踏まえた地域モビリティ確保の方向性を取りまとめる。
(3) 本年度は、中山間地域を対象に実施された各種調査をレビューし、地域の実態整理と対象地区の選定を行った。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 各部局(愛知県・豊田市)が実施している調査を横断的に整理
(2) 対象地域の中で最も高齢化が進んでいるのは「旭地区」、集落機能が衰退している町丁を多く抱えているのは「小原地区」である。
(3) 旭支所、小原支所、猿投支所を対象にヒアリング調査を実施した結果、高齢者の移動実態・生活実態を把握しておらず、今後、連携して進めたいとの要望などが挙がった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
中山間地域の実態を明らかにするための調査は、各分野で様々実施されている。本研究は、それらの調査を横断的に整理しているため、豊田市の中山間地域における移動実態と生活サービスなどの実施状況を確認できる有益な基礎資料となる。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):山﨑基浩(総括)
主担当者(担当内容):樋口恵一(全般)
担当者 (担当内容):福本雅之(補助)
協力先名
豊田市都市整備部交通政策課、社会部猿投支所・旭支所・小原支所
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
・ヒアリングを行った3地区を対象に実態調査を行う。
■学会等での発表予定
・土木計画学研究発表会に投稿予定
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2013
走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
研究分野
環境・.総合
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
研究の背景・内容
スマートドライブは、高い即効性と費用対効果を持つ運輸部門のCO2排出量削減対策として期待されており、効果の検証、支援システムの開発・評価、普及啓発方法等の研究が広く実施されている。
車両単体の燃費改善が進む一方で、先駆的なCO2削減目標を達成するためには、市民がスマートドライブを理解し、広く実践する必要がある。
そこで本研究では、市民の関心が高いと考えられる「交通安全」、「電動車両(ハイブリッド車、電気自動車)」、「豊田市での実例」の視点から、スマートドライブの効果を定量的に示し、市民に説得力のあるスマートドライブを提案することを目的とした。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 時速30km制限による速度・CO2の変化に関する検討
・10モード及び豊田市ゾーン30地区の実走行データを用いた検討の結果、CO2排出量は約3%削減できる可能性が示唆された。これは、年間でCO2を約1t削減できるポテンシャルに相当した。
(2) 電動車両のスマートドライブ効果に関する検討の結果、EV、HEVにおいても、ガソリン車と同等以上の効果があることが示された。
(3) 日常走行における燃費改善要因の解析
・カタログ燃費達成率の高い参加者の走行特性から、高速道路を70~80km/hで、加減速を少なく走行することが、高い燃費の要因であることを明らかにした。
・最も燃費改善効果の高い参加者は、無駄なアイドリングを止めた効果が大きいことを明らかにした。また、走行時の燃費改善効果が高い参加者は、早めのアクセルオフ実施による効果が大きいことを明らかにした。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1) スマートドライブは、環境・交通安全の両方の側面から推進できる。
(2) EVやHEVなどの次世代自動車においても、ドライバーの運転方法によって燃費や電費が改善する余地があり、高いCO2削減目標の達成を後押しするツールとして期待できる。
(3) 豊田市で実施した社会実験のプローブデータを活用し、日常走行で実践された効果的なスマートドライブ方法を明らかにした。今後、市民に説得力のあるスマートドライブの提案につなげる。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 加藤秀樹(調査、分析)
協力先名
・独立行政法人国立環境研究所 地域環境研究センター 都市大気環境研究室
主任研究員 近藤美則氏(電動車両のスマートドライブ試験)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の研究予定
・本研究は、科学研究費助成事業の研究課題として、平成24年度から平成26年度まで実施され、本年度(平成25年度)は2年目にあたる。最終年度である来年度は、「豊田市でのケーススタディ」において、車群全体への効果評価を実施する。
関連論文(H25年度) (当年報掲載ページ)
Comparative measurements of the eco-driving effect between electric and internal combustion engine vehicles
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2013
公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
研究分野
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
研究の背景・内容
地方都市(「流し」が行われていないような中規模都市)を対象として、①現状(運行実態、配備車両数、乗務員数など)を分析するとともに、②タクシーを活用した地域公共交通施策・取組に関する先進事例を整理した上で、③それらタクシーの資源と利点を活用して(地域公共交通として)何が実現できるのか、検討する。
調査期間は2ヶ年を予定しており、今年度は既往研究、既存のデータの収集、整理および事業者アンケート調査を実施した。
研究結果・ 得られた知見等
中部地方(愛知県・岐阜県・三重県・静岡県・福井県)のタクシー事業者を対象としたアンケート調査を実施し、中部地方のタクシー事業の現状及び経営者の意識を調査した結果、地域によって交通問題に対する認識や事業展望への経営者の意識などに違いがあることが分かった。
また、関係者からなる「公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する研究会」を開催し、アンケート調査の追加分析の方向性として、事業者の規模や交通圏別の分析を行うこと、「乗合」ではない公共交通としてのタクシー活用について検討することなどが議論された。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
豊田市をはじめとする地方都市におけるタクシーを活用した公共交通施策の実施に活用できる
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 :山﨑基浩(総括)
主担当者:福本雅之(全般)
担当者 :樋口恵一(補助・分析)
協力先名
国土交通省中部運輸局旅客第2課、愛知県タクシー協会、名古屋タクシー協会、(一社)三重県タクシー協会、岐阜県タクシー協会、商業組合 静岡県タクシー協会、(一社)福井県タクシー協会
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
・土木計画学研究発表会(春大会)に投稿予定
・福祉のまちづくり学会に投稿予定
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2013
スマートハウスを生かしたエネルギーマネジメントに関する基礎調査
研究分野
環境・.総合
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
スマートハウスを生かしたエネルギーマネジメントに関する基礎調査
研究の背景・内容
2010年から実施されている豊田市低炭素社会システム実証プロジェクトでは、実証用住宅として67棟のスマートハウスを分譲し、太陽光発電の活用によって、住宅単体でCO2排出量を70%以上削減することを目標に実証実験を行っている。実証用住宅では、収集した各種データをもとに、生活者の低炭素行動を支援するとともに、プラグインハイブリッド車(PHV)が貸与され、移動手段としてだけではなく、蓄エネ装置としての活用を模索している。
そこで、本調査では、交通まちづくりの視点からみたスマートシティのあり方を提案するという長期的な視野で実証実験に参画し、実証実験で得られる各種データを活用して、PHVやEVの普及と活用、交通行動全般に与える波及効果の評価等につながる具体的な研究テーマ選定と実施を目的とした。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 既往研究のレビューから、電力消費行動とPHV利用交通行動の両方をセットで分析することは、他に例をみない新規性があることがわかった。
(2) 「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」に一般会員として参画し、実証住宅(第1期10戸)で収集した各種データの提供を受けた。
(3) テーマ内容の具体化を検討し、「スマートハウスと連携したPHVの効果的活用に関する提案」を実施することとした。
(4) 第5回中京PTデータの提供を受け、具体的なテーマに沿ったデータの整理方法を検討した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
国内外のスマートシティの違いを明確にして、豊田市の特徴であるスマートハウスとPHVの取組みに重点をおき、スマートシティのあり方を検討することとした。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 加藤秀樹(調査、具体化検討、まとめ)
担当者 柵木明夫(調査)
協力先名
豊田市 都市整備部 交通政策課、豊田市 企画政策部 都市計画課
トヨタ自動車株式会社 技術統括部
名古屋大学 エコトピア科学研究所 山本俊行教授、五島市 商工振興課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点:パーソントリップデータ、実証住宅データの入手が遅れた。
■今後の予定
平成26年度までの2ヶ年で、具体化したテーマである「スマートハウスと連携したPHVの効果的活用に関する提案」に関する研究を、引き続き実施する。
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2013
道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
研究分野
交通安全
業務類型
調査、政策検討
研究の背景・内容
近年、すべての障がい者の移動のための社会基盤のあり方が問われているが、知的障がい者の移動のために合理的配慮がなされた整備や支援体制の構築方法について、科学的な知見はほとんど見られない。特に、知的障がい者の特徴である適応力・判断力の弱さからくるコミュニケーション能力の低さは、道路交通環境下で深刻な課題を生じさせている可能性がある。
そこで本研究では、知的障がい者の道路交通環境下における交通コミュニケーション能力の実態とその影響要因を明らかにし、交通コミュニケーション能力を応用した知的障がい者のための社会基盤整備の方向性を示す。
(1) 交通コミュニケーション能力を起因とする道路交通環境下での課題事象の把握
(2) 道路交通環境下の交通コミュニケーション能力の測定
(3) 交通コミュニケーション能力を応用した道路交通環境整備の方向性
研究結果・ 得られた知見等
(1) 相手からの意思疎通(注意)には対応できるが、自ら相手に意思疎通(注意)を試みることは難しく、突発的変化にあまり対応できない。また、交通空間的課題を原因に外出を抑制させる教育方針が多く、単独での外出はあまり教育していない。
(2) 交通コミュニケーション能力として、「総合能力」、「能動的意思疎通能力」、「突発的変化への対応能力」の3視点に集約化され、介助者の教育方針は「総合教育量」、「外出促進型教育」、「外出抑制型教育」の視点に集約化された。
(3) 対人・対車・対物でのコミュニケーション能力を測定した結果、対人と対物では仮説の通り、知的障がい者は対向者がいても自ら避けない傾向、道が塞がれていると悩んでしまう傾向がみられた。一方で対車では、仮説としていた『車を気にせず渡ってしまう』という状況はみられず、慎重に横断する傾向がみられた。また交通コミュニケーションの実態は、アンケート結果と同様、合併症が影響している。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1) 総合能力、能動的意思疎通能力、突発的変化への対応能力の3つは、特定の個人属性や日常生活能力によって差が生じること、さらに上記能力は交通行動の実現に影響を与えている。
(2)介助者の教育方針の現状として、知的障がい者の個人属性、日常生活能力によって教育の内容に違いがみられ、多様な交通行動の実現に関係している。
(3)これらの成果を踏まえ、知的障がい者の交通コミュニケーション能力を応用した道路交通環境整備の方向性として「個人属性を加味したサポート体制の構築」「外出抑制型教育から外出促進型教育への転換支援」「合理的配慮がなされた道路交通環境整備の実施」を提言した。
所内の担当者氏名・ 担当者
主担当者 三村泰広(調査、分析、まとめ)
担当者 樋口恵一(調査、分析)
協力先名
公益財団法人エコロジー・モビリティ財団(助成),豊田市福祉保健部障害福祉課、NPO法人まほうのランプ、社会福祉法人輪音・さくらの杜、豊田市青少年相談センターパルクとよた、愛知教育大学付属特別支援学校
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の課題
・被験者を増やした交通コミュニケーション能力の検証、サポート策の有効性検証
■今後の予定
・都市計画学会、日本福祉のまちづくり学会での発表
関連論文(H25年度) (当年報掲載ページ)
・Ryosuke Ando, Yasuhide Nishihori, Yasuhiro Mimura, AN ANALYSIS ON MOBILITY OF PEOPLE WITH DISABILITIES IN A JAPANESE LOCAL CITY, Selected Proceedings of the WCTR 2013 Rio conference,2013
・三村泰広,単独行動の可否が知的・精神障がい者の日常生活活動に与える影響に関する基礎的研究,日本福祉のまちづくり学会 福祉のまちづくり研究 第15巻第3号,2013.
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2013
通勤における自転車利用促進に関する研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
通勤における自転車利用促進に関する研究
研究の背景・内容
(1) 事業所ベースでの自転車通勤促進は、なかなか進まない。一方、自転車通勤を考えている人もいるが、実行する人は少ない。また、エコ通勤など期間限定の取り組みでは、継続的な転換へつなげるのは難しく、如何に継続させるかが課題となっている。
(2) 自転車通勤をより身近に感じてもらい、楽しく自転車通勤を継続できる仕組みとしてSNSを利用したコミュニティを構築し、その仕組みの有効性や自転車通勤に対するモチベーションなどの変化を明らかにする。また、安全意識の向上方策や自転車走行位置の実態把握や安全対策の有効性などの安全面に関する知見を確認する。
(3) 9/1~11/30の期間、23名が参加(自転車通勤転換者16名、既実施者7名)、①走行データ記録②コミュニティへの参加③交通安全講習会・最終ヒアリングへの参加④Webアンケート、を依頼。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 促進・継続について
・転換者16名中13名が今後も自転車通勤を継続する意向を示し、うち3名が週3日以上実施すると回答した。
・コミュニティを通じて、自転車通勤実施意欲が向上したと回答した参加者が9名おり、「一緒に取り組んでいる仲間がいると感じられ励みになった」「Facebookを楽しく閲覧できた」などの意見も聞かれた。
・健康増進や交通渋滞からの解放だけでなく、ストレス解消や景色を楽しむなどの新たなモチベーションが確認できた。
(2) 安全意識・行動について
・調査期間の後半になるにつれ歩道の走行ルールを遵守するモニターが増加し、歩道での歩行者優先など弱者を守るルールや事故につながる危険行為に関するルールの重要性が増加した。交通安全講習会や安全に関する情報提供など今回のモニター調査参加による効果と考えられる。
・車道選択者12名は車道が危険と感じると歩道に逃げ、歩道選択者9名は車道走行を心がけているものの歩道・車道の通りやすさを確認し歩道が広ければ歩道を選択する傾向にあることが確認できた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1) SNSを利用したコミュニティを構築し様々な情報を提供することは、自転車通勤に対するモチベーションの低下を防ぎ、自転車通勤の継続に有効であることが確認できた。
(2) 安全意識の向上には、体験型の講習会の影響が最も高いが、定期的な情報提供も意識向上に寄与した。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(総括)
主担当者 小野剛史(企画・調査・分析・まとめ)
担当者 樋口恵一・加藤秀樹(調査・分析・まとめ)
協力先名
チラシ作成:豊田共栄サービス(株)
被験者募集:豊田エコ交通をすすめる会の事業所
問題点・課題・今後の研究予定・その他
道路環境に関する交通安全の懸念も多かったことから、道路管理者と連携しながら自転車通勤の促進を進めていきたい。
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2013
生活道路の安全性評価~交通事故・犯罪の発生件数に着目して~
樋口恵一
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
生活道路の安全性評価~交通事故・犯罪の発生件数に着目して~
研究の背景・内容
日常の生活圏で起こりうる危険事象は交通事故と犯罪に代表され、これらの抑止が安全・安心なまちづくりに欠かせないキーワードである。この交通事故と犯罪の発生要因は共通する部分があると予想されるが、対策の現状としてはそれぞれ別々の視点から実施され、逼迫する財政問題などを背景に安全・安心なまちづくりを効率的に達成できる方法論が期待されている。
そこで本研究では、各危険事象が起こりうる要因分析として、①小学校区を対象としたマクロ的な分析、②町丁目(大字)の地区特性(道路交通指標・地理的条件・都市計画指標)を基にした危険事象の発生要因分析を実施し、安全・安心な交通まちづくりを効率的に遂行するための視点(要因)を明らかにする。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 小学校区別の単位面積あたりの事故と犯罪の件数に高い相関関係がみられた。
(2) の要因明らかにするため、地区特性(道路延長、用途地域、施設、人口、世帯数、児童数、外国人居住者)を媒介にした重回帰分析を行った結果、有意となった説明変数で危険事象の発生に最も影響している要因は「工業系用途地域面積」であり、豊田市の地域特性が表れる結果となった。
(3)若園小学校区でも工場の周辺で事故と犯罪が多発している傾向。(分析中)
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1) まちづくり活動の基盤とのなる小学校区単位を対象に、交通事故と犯罪の両面を踏まえた危険事象の発生要因を明らかにすることができた。
(2)これまで異なるセクションで施行されていた交通安全と防犯に関して、新たな切り口での要因分析結果を提示することができ、安全・安心なまちづくりを遂行するための基礎資料を提供した。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 樋口恵一(調査、分析、まとめ)
担当者 三村泰広(補助)
協力先名
豊田警察署
豊田市社会部交通安全防犯課
豊田市社会部地域支援課
若園小学校区自主防犯組織
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・犯罪発生箇所データを入手することが困難であり、道路の状況を踏まえた詳細
な要因分析を実施することが難しかった。
・安全安心な地域づくりに対する地域のニーズは高く、危険事象が発生しうる
道路空間や箇所を明らかにするための方法論の構築が望まれる
■今後の予定
・都市計画学会での発表
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2013
生活道路におけるISAに関する研究 (1-2)高齢運転者に与える車内助言型ISAの長期効果の計測
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
生活道路におけるISAに関する研究
(1-2)高齢運転者に与える車内助言型ISAの長期効果の計測
研究の背景・内容
面的速度マネジメントの実効性担保策の一つとしてISAの研究を進めている。短期的な助言型ISAの効果については、挙動や意識の変化など計測できたが、長期的な効果については計測できていない。
そこで、長期的な効果についてフィールド実験を通じて把握し知見を得ることを目的とする。3年計画の1年目は助言型ISA機器を作成した。また、2年目の実験にむけ、被験者募集等の準備を実施した。なお、3年目は評価を実施する予定である。
研究結果・ 得られた知見等
・作成したISAアプリの検証を行い、実験に向けた課題等を抽出し、今後の改修の必要性について整理した。
・平成25年6月より実施予定のフィールド実験の被験者の募集や端末の選定・購入等を行った。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
汎用性が比較的高いAndroid版のスマートフォンのアプリで助言型ISAアプリを作成した。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(総括)
主担当者 小野剛史(アプリ開発、被験者募集等、まとめ)
担当者 三村泰広(補助)
協力先名
アプリ開発:株式会社 トヨタマップマスター
被験者募集:トヨタすまいるライフ株式会社
平成24年度の関連研究のとりまとめ:愛知工科大学ITS研究所
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・アプリの作動範囲が限定されているため、将来的には豊田市全域に広げたい
・アプリ改修後の検証が必要
■今後の予定
・6月よりフィールド実験を実施
・端末等へのインストール等が必要
関連論文(H25年度) (当年報掲載ページ)
・三村泰広,尾林史章,小野剛史,中谷周平,安藤良輔,小塚一宏,小沢愼治,高齢運転者における生活道路での強制型・助言型車載速度制御の受容性, 第47回土木計画学研究・講演集(CD-ROM),2013
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2013
生活道路におけるISAに関する研究 (1-1)生活道路における電光掲示板による速度提示の効果計測
研究分野
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
生活道路におけるISAに関する研究
(1-1)生活道路における電光掲示板による速度提示の効果計測
研究の背景・内容
ゾーン30の整備が進む中で、その実効性担保策の推進が求められているが、既存のハンプや狭さくなどの実効性担保策が振動、騒音の懸念により箇所によっては、設置そのものや、望ましい形状での整備が難しい場合がある。そこで、海外で検証が進む車両の速度と連動する様々な電光掲示板(Dynamic Speed Display Sign以下、DSDS)の速度超過抑制効果を実験フィールドで検証するとともに、当該効果が運転者の個人属性や能力とどのような関係性を持つのかを分析する。
研究結果・ 得られた知見等
(1)運転挙動調査
・何も無しに比べ、 DSDSやパトランプ警告、標識の設置は広範囲に渡って走行速度を有意に低下させた
・標識のみの速度に対して有意差があったのは、文字を用いたDSDSのみであり、それは特に提示箇所の下流側であった
(2)運転意識調査
・電光掲示板は最高速度規制標識よりその存在を気付かせやすく、より多くの方にその内容を正確に伝えた(特に文字DSDS)
・電光掲示板は最高速度規制標識より速度抑制効果が期待できるとの印象を与えた
・多くが電光掲示板の設置に賛成の意向を示している一方で、規制標識より設置に対する反対意見があり、それは、景観上の課題や夜間等の光害の影響であった
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1)ゾーン30でのDSDS導入推進のための基礎的知見を得た。
(2)愛知県ITS推進協議会を通じて、当該システムを広く自治体にアピールした。またその結果、平成26年度に予定される豊田市、刈谷市での実証実験計画を行った。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 三村泰広(調査、分析、まとめ)
担当者 小野剛史(調査)
協力先名
豊田工業高等専門学校、株式会社キクテック(以上、WYS研究会)、中部トラック総合研修センター、愛知県ITS推進協議会、愛知県警察交通部交通規制課、
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・公道での試験ではないため、限定的な成果である
■今後の予定
・豊田市、刈谷市での実証実験の実施
・土木計画学研究発表会春大会での報告
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2013
周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究
研究分野
研究分野
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究
研究の背景・内容
ゾーン30の推進を背景に面的速度抑制対策箇所の優先順位決定を支援する方法論の必要性が高まっている。安全対策箇所の選定においては、交通事故の発生実態などが重視されることが多いが、地域によっては交通事故の発生箇所データの入手が困難であったり、交通事故の発生原因と発生箇所の因果関係はデータ制約等もあり明瞭となることはほとんどないなどの課題がある。特に延長当たりでみると発生件数が少ない生活道路では、特にその理論的根拠が不十分となる。
本研究では、安全性の担保が求められる周辺土地利用状況と生活道路として必要とされる理想的性能からの乖離程度という視点から対策箇所を選定し、面的な速度抑制対策の導入すべき箇所の選定をいくつかのケーススタディ地域で実施し、当該手法の意義と適用範囲の限界を明示する。
研究結果・ 得られた知見等
・周辺土地利用状況について、安全、安心な土地利用という観点から、既往研究の整理とデータ検証を通じて適切な評価指標を選定することができた。
・生活道路の理想性能として走行速度抑制性能、交通事故抑制性能という観点から、周辺土地利用同様の方法で評価指標を選定することができた。
・選定された評価指標について主成分分析による総合得点化を試み、一定の成果を得ることができた。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
・近年我が国において急速に広がりつつあるゾーン30などの整備推進において寄与率の低さなどから精度的課題はやや残るものの、一定の論理的バックグラウンドを与えることができ、様々な調整の場で有効に活用されることが期待できるものといえる。
・当該方法で用いたデータはすべて我が国において整備される一般的データであることから、どのような地域に対しても応用が可能である。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 安藤良輔(統括)
主担当者 三村泰広(調査、分析、まとめ)
協力先名
公益財団法人タカタ財団(助成)、岡山大学、大同大学
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・当該モデルはあくまで豊田市を事例に作成されたものであるので、現時点では豊田市と類似する都市構造を有する地域に限定的に適用するべきである。
・当該手法の一般化、精度向上に向けた様々な地域でのモデルの適用と調整を考慮していくとともに、道路幅員データなどデータ整備上の制約で分析から除外した指標の代替指標の検討などが必要である。
■今後の予定
・費用便益分析等の実施
・土木計画学研究発表会春大会での報告
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2013
交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する研究
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する研究
研究の背景・内容
交通事故の予防対策の観点から、ヒヤリハット地点の活用が求められており、継続的、効率的なデータの蓄積、蓄積データの活用手法の構築が必要となっている。
本年度は、ヒヤリハット調査を通じて交通事故の予防対策の観点から、対策を優先的に検討すべき地点を効率的に抽出するための手法について検討した。具体的には、リスクアセスメントの考え方を用いて、交通事故統計を参考に指摘事象の危険度を把握する方法論を構築した。この手法を用いて豊田市およびみよし市内に事業所を持つ企業の従業員を対象としたヒヤリハット調査を実施し、豊田市およびみよし市の危険地点とその危険度について把握した。
研究結果・ 得られた知見等
(1)リスクアセスメントの考え方を用いて、ヒヤリハット事象を発生頻度と事象の重篤度から分類する方法論を構築した。なお、重篤度については、道路形状と事故類型から交通事故となった場合の死亡率を用いて判定することとした。
(2)上記の考え方を用いたヒヤリハット調査を企業の従業員約1600名を対象とした調査を実施し、1283地点のヒヤリハット状況を収集。昨年度構築したWEBアンケートシステムを用いて地図データ化を行った。
(3)実際の事故とヒヤリハット指摘の道路形状、事故類型の傾向には違いがある(実際の事故と比較して、交差点内、カーブにおける指摘が多い、車両相互の正面衝突の指摘が大幅に多く、追突の指摘が大幅に少ないなど)ことが明らかになった。
(4)地点の分布は小島プレス工業の事業所近辺が多く、全体の24.3%が小島プレス工業の事業所1km以内で指摘されている。
(5)常時重篤度の高いヒヤリハット事象が指摘されている19箇所を抽出し、事故の予防対策メニューの提案を行った。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
交通事故の潜在危険箇所について把握し、豊田市をはじめとする関係機関へ情報提供できる
小島プレス工業をはじめとする豊田市内に事業所を持つ企業の交通安全への取り組みに協力することができる
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 :安藤良輔(総括)
主担当者:福本雅之(調査・分析)
担当者 :加藤秀樹(補助)
協力先名
小島プレス工業株式会社
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・偏りのないデータ採取方法の検討
■今後の予定
・土木計画学研究発表会での発表
・土木学会論文集への投稿
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2012
速度マネージメントに着目したエコドライブ普及施策の評価に関する研究
研究分野
環境
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
速度マネージメントに着目したエコドライブ普及施策の評価に関する研究
研究の背景・内容
エコドライブの方法として、特に、規制速度を超えるような最高速度を抑制する速度マネージメントの効果に着目し、地域の交通状況に合致したエコドライブ方法とその効果を定量的に評価することを目的とした。具体的なケーススタディによって市民に説得力のある成果を発信し、エコドライブの広い普及に寄与することを目標とする。
研究結果・ 得られた知見等
(1) 速度マネジメントの各種手法、大型トラックのスピードリミッター義務化の効果について既往研究のレビューを行い、エコドライブ普及施策について検討を行った。
(2) 評価対象路線の選定、及び、現状の走行状態(走行速度(規制速度との乖離)、加減速の方法)の把握のために、プローブデータを解析するプログラムを作成した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
実走行に基づいた説得力のあるエコドライブの理論構築と提案
所内の担当者氏名・ 担当内容
責任者 :安藤良輔(統括)
主担当者:加藤秀樹(調査、分析)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■その他
・本研究は、科学研究費助成事業の研究課題として、平成24年度から平成26年度まで実施される研究の1年目にあたる。
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2012
道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
三村泰広
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
研究の背景・内容
知的障がい者の特徴である適応力・判断力の弱さからくるコミュニケーション能力の低さは、特に歩道、横断歩道、交差点といった道路交通環境下で安全面における深刻な課題を生じさせている可能性がある。本研究は、特に知的障がい者にとって課題となる道路交通環境下における交通コミュニケーションについてその実態を明らかにし、それを応用した知的障がい者のための社会基盤整備の方向性を示すことを目的としている。
研究結果・ 得られた知見等
(1)道路交通環境下における一般的危険事象として、歩行者横断中が全体の73%と多いこと、夜間は特に自動車からみて右から左に横断する歩行者と事故することが多いこと、自動車対歩行者事故の自動車は直進中が79%と圧倒的に多いこと、自転車対歩行者事故の被害は歩行者が圧倒的に大きいこと、事故時の自転車は一時停止などの交通法規を遵守しない割合が自動車に比べて非常に多いことなどを整理することができた。
(2)歩道・車道および、公共交通の交通コミュニケーション能力が主に起因すると考えられる課題を既往研究の整理やヒアリング等を通じて整理し、調査票を作成した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
豊田市における障がい者福祉、交通政策に活用。特に道路交通環境整備時に知的障がい者のコミュニケーション能力に関して考慮すべき点があることを明示できる。
所内の担当者氏名・ 担当内容
責任者 :安藤良輔(統括)
主担当者:三村泰広(調査、分析、まとめ)
担当者 :樋口恵一(調査、分析)
協力先名
エコロジー・モビリティ財団(助成)、横浜国立大学(中村文彦教授)、豊田市福祉保健部障がい福祉課、社会福祉法人輪音、NPO法人まほうのらんぷ
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・当初予定していた意識調査を今年度中に実施することができなかった。
■今後の予定
・福祉のまちづくり学会への投稿など
関連論文(H24年度) (当年報掲載ページ)
介助者の同行状況からみた知的障がい者の日常生活能力と交通行動上の課題に関する研究・・・P○○
高齢身体障がい者の交通行動特性に関する研究・・・P○○
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2012
道路利用者からの情報による渋滞状況把握手法に関する研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
道路利用者からの情報による渋滞状況把握手法に関する研究
研究の背景・内容
(1)豊田市で「渋滞箇所」と言われる地点の中には、センサスやVICS等のデータが存在しないような街路がある。このような渋滞箇所への対策は、市民が感じる渋滞の低減につながると考えられ、その実態(渋滞状況)を把握する必要がある。その1つとして、プローブデータの可能性について調査を実施。
(2)現状のVICSデータに対して、カープローブデータによる道路カバー率が、どの程度の増加が見込めるかをヒアリング調査。(ITS Japan「プローブ共通基盤分科会」活動メンバーにヒアリング)
研究結果・ 得られた知見等
<仮説>特定箇所の渋滞状況を把握する場合、無作為なFloating Carプローブデータでは、統計処理のためのデータ量を確保できない。
<背景>平成23年度に豊田市内で収集した270台分のプローブデータから、特定箇所(主に国道や県道)・特定日(平成23年の11月の第3日曜日、8~13時)のデータ抽出を試みたところ抽出率は4%と低かった。
<ヒアリング結果>
(1)活動メンバーはカーナビゲーションシステムを扱うで会社で、道路幅員5.5m以上の道路を対象としているが、3ヶ月間の収集データによると、VICSに対してプローブデータでカバーされる道路のアップ率は、数%であることがわかり、仮説を裏付ける結果であった。
(2)プローブデータ収集可能型ナビ車載器(トヨタのG-BOOK、ホンダのインターナビ等)の市場普及率とデータ収集年数でアップ率が変わるが、現状では、特定箇所のデータ収集には、大きな期待はできないことが裏付けられた。
所内の担当者氏名・ 担当内容
責任者 :山﨑基浩
主担当者:柵木明夫(調査・整理)
担当者 :小野剛史(整理)
協力先名
ITS Japan「プローブ共通基盤分科会」
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・プローブデータによって、何を明らかにするか?
特定箇所の渋滞を定量的に把握する場合には、プローブデータよりも、GPS簡易集計システムのような簡易な調査の方が経済的にも有効な手段
■今後の予定
・自主研究として、引続き携帯電話プローブ(LTE技術)の可能性について調査
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2012
面的速度マネジメントの実現に関する総合研究
研究分野
交通安全
業務類型
政策検討
研究題目または 報告書タイトル
面的速度マネジメントの実現に関する総合研究
研究の背景・内容
平成24年9月にゾーン30及び空間整備を伴った面的速度マネジメントが豊田市の桜町周辺で実施される。これまでの議論を踏まえ、実際の効果について科学的視点から明らかにしていくことが望まれている。他方、面的速度マネジメントの実効性を高めていくためには、空間からのアプローチに加え、速度決定要因となりうる車両側の側面や人的側面からの新たな視点からの提案が必要である。平成23年度は車両側からのアプローチとしてISA(Intelligent Speed Adaptation)、人側からのアプローチとして、立哨による速度提示活動の効果について検証を進めてきた。平成24年度はこれらについて更なる展開を進めるものである。
研究結果・ 得られた知見等
(1)カラー舗装の整備は、注意喚起挙動を多くすることがわかった。特にその傾向は高齢運転者に対して顕著であった。
(2)今回豊田市で導入されたゾーン30は、その認知面で大きな課題があった一方で、導入された各種対策は、個人属性間で差があるものの、一定の好意的評価が得られていることがわかった。
(3)映像・音声型ISAは生活道路における平均速度やアクセルストロークを有意に低下させるとともに、その受容性も強制型ISAより高いことがわかった。この傾向は高齢運転者により顕著に現れることがわかった。
(4)速度提示型立哨活動は多くの自治体で速度提示活動に興味はあるものの、実際の実施においては課題が多いだろうと考えていること、しかしながら、豊田市の17%の自治区では積極的な実施を希望していることがわかった。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1)ゾーン30の導入効果について様々な視点から明らかにするとともに、導入が望まれている地域を明示したことで導入推進における基礎的知見を得た。
(2)ドライビングシミュレータを用いることで、精度の高い成果を出すことができた。
(3)速度提示立哨活動の自治区活動としての普及可能性について定量的に示すことができ、政策推進における判断材料を提供した。
所内の担当者氏名・ 担当内容
責任者 :安藤良輔(統括)
主担当者:三村泰広(調査、分析、まとめ)
担当者 :小野剛史(調査、分析)、樋口恵一(調査、分析)
協力先名
愛知工科大学ITS研究所(共同研究)、中京大学心理学部向井希宏研究室(共同研究)、タカタ財団(助成)、豊田市都市整備部交通政策課、豊田市社会部交通安全防犯課、豊田市社会部地域支援課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・ゾーン30における面的視点での効果検証が不十分である。
・フィールド実験によるISA効果の検証が求められる。
・自治区活動実態の背景整理が不十分である。
■今後の予定
・土木学会論文集への投稿など
関連論文(H24年度) (当年報掲載ページ)
生活道路における自動車への速度提示活動の効果とその普及に向けた課題・・・P○○
運転者の性格からみた生活道路におけるISAの効果分析・・・P○○
運転者の安全意識からみた生活道路入口部の空間構成に関する研究・・・P○○
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2012
自転車利用時の交通安全に関する研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
通勤における自転車利用のあり方に関する研究
研究の背景・内容
出勤目的での自動車分担率が8割を超え自動車への依存度が高い豊田市では、出勤時間帯であるにおける交通渋滞緩和が大きな都市交通課題の一つとなっている。このような背景の中、筆者らはエコ通勤のひとつとして自転車通勤の促進に取り組んでいる。
自転車通勤の促進に関する過去の調査では、経済性や健康等のメリットの他に快適性や安全性を確保することが重要であることがわかっている。快適性や安全性を確保するためには、自転車利用環境整備などのハード対策や意識改革などのソフト対策を行う必要があるが、これらの対策を実施する上で利用者の意識を把握しておく必要がある。そこで、特にソフト対策の検討に資する基礎資料とすることを主な目的として、通勤者を対象とし自転車利用者などの安全意識(自転車走行位置や交通ルール、保険加入状況など)の実態や運転挙動、周囲からみた自転車利用者に対する意識などをアンケート調査により把握した。
その結果、自転車利用者の安全意識や実態だけでなく、お互いに影響を与え合う立場の歩行者や自動車からみた自転車に対する意識についても把握できた。
研究結果・ 得られた知見等
(1)歩道がある2車線の道路の写真を見せ、どの位置を走行するか確認したところ、歩道を走行する人がほとんどであり、自転車は車道走行が原則であることの意識がまだ浸透されていないことが確認できた。
(2)自転車が歩道走行時に歩行者を優先すると認識している自転車利用者は約8割いたが、自転車を邪魔とか怖いと感じている歩行者は9割を超えており、歩道走行時の歩行者優先があまり遵守されていない現状が確認できた。
(3)自転車を邪魔と思うことがある人・時々ある人は、歩行者とクルマとも9割を超えていた。一方、自転車側も、歩道走行時に歩行者や車道走行時のクルマに注意をしている人は7~8割程度おり、注意しているにもかかわらず、邪魔と思われている現状が確認できた。自転車が安全に走行できる空間がまだ整備されていない状況では、クルマ・自転車・歩行者それぞれが、安全で心地よく道路を使えるよう、お互いに思いやりを持って行動することが重要である。
(4)保険の加入率は16%と低く、TSマーク保険などの周知徹底が必要である。
(5)自転車通勤促進には自転車レーンなどの道路整備が必要なことが確認できた。
(1)歩道がある2車線の道路の写真を見せ、どの位置を走行するか確認したところ、歩道を走行する人がほとんどであり、自転車は車道走行が原則であることの意識がまだ浸透されていないことが確認できた。 (2)自転車が歩道走行時に歩行者を優先すると認識している自転車利用者は約8割いたが、自転車を邪魔とか怖いと感じている歩行者は9割を超えており、歩道走行時の歩行者優先があまり遵守されていない現状が確認できた。 (3)自転車を邪魔と思うことがある人・時々ある人は、歩行者とクルマとも9割を超えていた。一方、自転車側も、歩道走行時に歩行者や車道走行時のクルマに注意をしている人は7~8割程度おり、注意しているにもかかわらず、邪魔と思われている現状が確認できた。自転車が安全に走行できる空間がまだ整備されていない状況では、クルマ・自転車・歩行者それぞれが、安全で心地よく道路を使えるよう、お互いに思いやりを持って行動することが重要である。 (4)保険の加入率は16%と低く、TSマーク保険などの周知徹底が必要である。 (5)自転車通勤促進には自転車レーンなどの道路整備が必要なことが確認できた。
(1)自転車安全啓発用の冊子(みんなが心地いい交通を考える本)を作成し、豊田市内の主要施設に配布
所内の担当者氏名・ 担当内容
責任者 :國定精豪
主担当者:國定精豪(企画・調査・分析・まとめ)
担当者 :山﨑基浩・小野剛史(分析・まとめ)
協力先名
愛知工業大学(伊豆原浩二教授、加藤大貴(4回生)アンケート配布・入力等)
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題・今後の予定
・単純集計からの分析であり、自転車通勤者のみの意識当についてもクロス集計する必要がある。
・豊田市駅周辺の自転車ヒヤリハットも収集しており、整理・分析を進めている。
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2012
交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する基礎的検討
加藤秀樹
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する基礎的検討
研究の背景・内容
交通安全対策として、交通事故の予防対策の実施が求められている。そこで本研究では、予防対策を優先的に検討すべき地点を効率的に抽出するための基礎的検討を目的とした。はじめに、市民が危険と感じている地点を収集することができるWEBアンケートシステムを構築し、豊田市内を対象にWEBアンケートを実施し、ヒヤリハット地点とその地点の状況を把握した。また、アンケート結果を予防対策に活用するための基礎的検討を行った。
研究結果・ 得られた知見等
(1)豊田都市交通研究所のホームページサーバ内に、地図上の位置情報を収集できるWEBアンケートシステムを導入した。
(2)このシステムを用いて、豊田市内403箇所のヒヤリハット地点とその状況を収集し、結果速報をホームページ上に公開した。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1)本システムは小島プレス工業株式会社高岡工場にて従業員の安全教育に活用されている。
所内の担当者氏名・ 担当内容
責任者 :安藤良輔(統括)
主担当者:加藤秀樹(調査、分析)
担当者 :川澄奈美(地図作成)
協力先名
小島プレス工業株式会社高岡工場、愛知県交通安全協会豊田支部、豊田市都市整備部交通政策課、豊田市社会部交通安全防犯課、豊田市建設部調査課、豊田市建設部道路維持課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■問題点・課題
・調査結果の交通安全施策への貢献
・継続的なアンケート実施の検討
■今後の予定
・土木計画学研究発表会での発表
・土木学会論文集への投稿
関連論文(H24年度) (当年報掲載ページ)
市民プローブを活用した交通安全評価に関する研究・・・P○○
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2012
おいでんバス・地域バスの効率性分析
研究分野
公共交通
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
おいでんバス・地域バスの効率性分析
研究の背景・内容
公共交通を評価する視点は、アクセシビリティや利用満足度などの受給者側の視点、公共交通整備率や利用者数、運行補助金額などの供給者側による視点など様々である。バスの効率性は一般的に収支率で評価されるが、路線配置の効率性や運営に関する効率性などが相互に影響していることが考えられる。特に自治体がバス路線の計画・運営を行っている様な路線は、これらの要因を加味した総合的な評価が必要であると考えられる。
そこで本研究では、以下の3つの効率性を設定し、おいでんバス(基幹バス)・地域バス毎に、相対的に効率性を評価することができるNetwork DEAを用いて、個別路線の効率性を評価する。
①路線効率性(入力値:路線長・バス停数、出力値:沿線人口)
②運行効率性(入力値:運行経費・車両台数、出力値:延運行時間)
③集客効率性(入力値:運行本数・①②の出力値、出力値:日平均利用者数)
研究結果・ 得られた知見等
(1) 基幹バスの様に採算性がある程度確保されている路線については、細分化した効率性の分析が有効である。
(2) 地域バスの様な高齢者を中心とした生活の足として運営している路線については、一様に「効率性」という概念で評価することは難しく、全体的な底上げを図る必要がある。
研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む
(1) 段階相互の関係性を保ちつつ、それぞれの段階での効率性を評価。
(2) 扱うデータは多次元多入力が可能なうえ、路線毎の効率性・改善量を算出することができる。
(3) 得られた成果は今後、豊田市の公共交通基本計画見直しやバス評価等に活用していく予定。
所内の担当者氏名・ 担当内容
責任者 :山﨑基浩(総括)
主担当者:加知範康(全般)
担当者 :樋口恵一(補助・分析)
協力先名
豊田市都市整備部交通政策課
問題点・課題・今後の研究予定・その他
■今後の予定
・効率性の要因分析を行い、各路線の改善点を提示
・土木学会などでの発表、査読付き論文への投稿
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2011
面的速度マネジメントの導入効果に関する研究
研究分野
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
面的速度マネジメントの導入効果に関する研究
研究報告の概要
本研究は大きく以下の2視点から研究を進めている。まず、面的速度マネジメントの導入に関連する評価指標の事例収集を行い、その指標をベースにシミュレーションによる効果予測を実施することを試みた。次に、速度制御の人側からのアプローチである立哨活動に併せて実施した速度提示活動の効果およびその推進にあたっての課題について報告した。次いで、速度制御の車両側からのアプローチであるISAについて、ドライビングシミュレータを用いた実験結果について報告した。
主な成果・技術的特徴
(1)豊田市中心部における面的速度マネジメントを評価するためのマイクロシミュレーションモデルを構築した。
(2)立哨活動に併せた速度提示活動は運転者の走行速度を有意に低下させるだけでなく、運転者にも受け入れられる対策であることがわかった。
(3)情報提供型ISAによる効果を高齢群・若者群で検証したところ、特に若者群で顕著な反応がみられた。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):安藤良輔(統括)
主担当者(担当内容):三村泰広(調査、分析、まとめ)
担当者 (担当内容):加藤秀樹(調査)、小野剛史(調査、分析)、
樋口恵一(調査、分析)
協力先名
・愛知工科大学ITS研究所(共同研究)、
・愛知県警豊田警察署
・豊田市社会部交通安全課、豊田市猿投支所
・井郷地域井上自治区、井郷地域天道自治区
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■問題点・課題
・マイクロシミュレーションモデルの精度向上
・立哨活動の普及に向けた取り組み
■今後の予定
・土木学会論文集への投稿
・交通工学研究会、ITSシンポジウムへの投稿
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2011
鉄道(レールバス)廃線前後の行動・意識の変化
研究分野
公共交通
業務類型
調査
報告書タイトル
鉄道(レールバス)廃線前後の行動・意識の変化
研究報告の概要
猿投駅から西中金駅間のレールバス(以下鉄道という)が平成16年4月1日
廃線となり、現在その地域にはおいでんバスや地域バスが走行するようになった。その鉄道の廃線前後の「住民の意識や行動の変化」と「鉄道とバスの違い」を、この地域にお住まいの方々の意見からあきらかするためにアンケート調査を実施した。なお、アンケート調査を実施したのは、名鉄三河山線の末端駅となる猿投駅を中心とする地区(猿投地区)、現在とよたおいでんバスさなげ・足助線、旭・豊田線、地域バスの乗り継ぎ拠点となっている旧広瀬駅を中心とする地区(石野地区)、足助地区の3地区である。
(1) 鉄道運行(約8年前)時と廃線後の地域(沿線)住民の意識や交通行動の変化を確認するとともに、その意識や行動の変化に地域差があるかを検証した。
(2) 一般的にみた鉄道とバスに対する意識の違いについて確認するとともに、その意識の違いに地域差があるかも検証した。
主な成果・技術的特徴
(1)アンケート調査を実施する前に各地区において、各地区の代表者の方にヒアリングした結果に基づき、3地区(猿投地区、石野地区、足助地区)それぞれの仮説をアンケート調査の結果から検証した。
(2)3地区の住民の意識や行動の変化を知ることで、その地区における今後の公共交通のあり方の提言するための基礎的知見を得ることができた。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):山﨑基浩(総括)
主担当者(担当内容):國定精豪(全般)
補 助 (担当内容):加知範康(アンケート設計協力)
協力先名
猿投地区(井上自治区)
石野地区(石野を変える会、3自治区)
足助地区(足助支所、4自治区)
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■今後の予定
・アンケート結果(報告書)を協力いただいた地区の方(代表)へ報告する。
・外部への発表に向け、報告書をベースとして、論文や発表資料として更に分析
を進める。
■外部論文投稿/発表予定など
・豊田まちと交通勉強会(H24.6)発表を予定している。
・土木計画学研究発表会(H24秋大会)での発表、土木学会論文集D3への投稿
を予定している。
×
2011
地域公共交通に関する研究②
研究分野
公共交通
業務類型
調査、政策検討
研究題目または 報告書タイトル
自治体主導型公共交通の経営・運営の実務課題に関する研究
~自治体バス運行における事業者の役割と契約のあり方~
研究報告の概要
自治体バス運行において、専門的なノウハウを有する運行事業者からの企画提言は十分になされているとは言えない状況にある。そこで本研究は、効果的・効率的運行を実現するために望ましい自治体と交通事業者の関係、契約形態を探ることを目的として、既往研究・調査等から自治体バス契約形態の実態を類型整理したうえで、豊田市の担当部署に対するヒアリング調査等に基づき、同市が自治体バス(基幹バス・地域バス)運行において導入した契約手法の現状を整理しながらその問題・課題を抽出整理する。
主な成果・技術的特徴
豊田市交通政策課へのヒアリング調査を踏まえて、同市が導入したインセンティブ契約の問題・課題を以下のように整理した。
■当初見込んだ「見積」の適正さ(プロポーザルの仕組みの問題)
プロポーザル時に運行事業者に大きなリスクを背負わせている。年度毎の協定を結ぶのであれば、前年度の実績を踏まえて年度毎に目標を設定するような仕組みも検討の余地はある。
■対象とする「収入」の捉え方
回数券販売と収入の捉え方を、整理する必要がある。インセンティブ契約におけるマイナス差額の算出には「みなし収入」を適用するのであれば、差額がプラスとなった場合にも適用すべきでる。
■見込との差額が生じる理由の明確化
見積額と実績値の差額が生じた場合、その理由を明確にする必要があるが、そのための仕組みが不在である。収入の差額が事業者の努力によるものなのか、社会情勢の動向による外的要因によるものなのか、明らかにする仕組み不在では、真にインセンティブ契約として機能するものではない。
■事業者が「努力」する余地と機会
事業者は、プロポーザル時に営業努力する点をアピールする。実際に具体的な提案がいくつもなされているが、これらの進捗をチェックする仕組みが不在である。
所内の担当者氏名・ 担当者
責 任 者(担当内容):山﨑基浩(全般)
主担当者(担当内容):同上
協力先名
豊田市都市整備部交通政策課
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
今後の予定
・平成22年度に導入し、事例が10路線となり1回目の年次協定更新が行われたことから、対象事業者(3者)へのヒアリングを実施する。
外部論文投稿/発表予定
・ヒアリング結果を用いて再整理し、第45回土木計画学研究発表会(春大会)(京都大学)にて発表予定。
×
2011
地域公共交通に関する研究①
研究分野
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
バスの生み出す価値概念の整理と自治体主導型バス評価への適用
~バスの価値に関するアンケート調査~
研究報告の概要
本研究では、豊田市が実施する公共交通評価における3段階のチェックのうちチェック3の「『沿線住民』『利用者』『行政』それぞれの立場から当該バス路線の『必要性』」について、『沿線住民』『利用者』を対象として、その必要性を「バスを必要とする人はだれか」「バスを必要とするときはいつか」という視点から調査するための質問項目を含むアンケート調査票を設計し、実際のとよたおいでんバス(小原・豊田線、藤岡・豊田線、川口・飯野線)と地域バス(おばら桜バス、ふじバス)沿線の住民を対象に調査を実施し、その結果を基本集計するとともに、現在と将来のバスの必要性とその変化について分析した。
主な成果・技術的特徴
(1) 現在バスを必要としている割合は10代、70代以上で高い
「現在必要」と回答した割合が最も高いのは10代で約8割、次いで70代以上で約73%であった。その他は40~60代が約45%、20~30代が約35%であった。10代が高いのは通学で、70代以上が高いのは日常の生活の足として必要としているからだと考えられる。
(2) 50代が「現在必要ない→将来必要」に変化する割合が最も高い
「現在必要ない」と回答している人が「将来は必要」と回答する割合は10~50代になるにつれて約55~93%まで増え、60~70台以上で若干減少した。
(3) 将来の必要性の評価の考慮
(1)(2)より「現在必要ない」から「将来必要」に変化する割合が最も高い50代を例に取ると「現在必要」は約44%とそれほど高くないが「現在必要ない」と考える約56%のうち約93%が将来は「必要」に転換すると考えられ、将来の必要性を考慮すると評価結果は大きく変わると考えられる。
所内の担当者氏名・ 担当者
責 任 者(担当内容):山﨑基浩(総括)
主担当者(担当内容):加知範康(全般)
補 助(担当内容):國定精豪(調査票設計)
協力先名
豊田市都市整備部交通政策課、猿投支所、藤岡支所、小原支所
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
今後の予定
・簡便な分析にとどまっている項目の詳細な分析を進める。
・本研究で設計したアンケート調査票の項目を踏まえ、豊田市が平成24年度に実施を予定している公共交通評価のためのアンケート調査の項目に提案を行なう。
外部論文投稿/発表予定
・第45回土木計画学研究発表会(春大会)(京都大学)「沿線住民の意識に基づく地域公共交通の利用価値とオプション価値の分析」
・上記の発表でのコメント等を踏まえ修正を加え、土木学会論文集D3(査読有)へ投稿予定
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2011
障がい者の移動に関する研究
研究分野
総合・その他
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
障がい者の移動に関する研究
研究報告の概要
本研究は、障がい者の移動実態を踏まえ、障がい者をはじめとする交通弱者の移動支援の方向性を探ることを最終的な目的としている。これまで3年度にわたり、様々な研究を進めてきている。平成23年度は大きく以下の2つの目標で研究を進めた。
1)障がい者PT調査の自由記入欄等の分析を深め、移動状況を明らかにする。
2)課題が大きい対象(知的精神障がい者、高齢障がい者)に絞り込み、研究を継続する。
主な成果・技術的特徴
(1)自由記述からみた障がい者の抱える課題についてテキストマイニングの手法により定量的に明らかにした。
(2)特に単独行動可否の視点から知的・精神障がい者の交通行動特性を整理した。
(3)知的障がい者が抱える交通基盤上の課題をヒアリング調査から明らかにした。
(4)高齢障がい者の交通行動特性について、特に非高齢障がい者との比較から明らかにした。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):安藤良輔(統括)
主担当者(担当内容):三村泰広(調査、分析、まとめ)
協力先名
NPO法人まほうのらんぷ
社会福祉法人輪音
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■問題点・課題
・交通行動特性を明らかにしたに過ぎず、それを踏まえた具体的提案にまでつながっていない。
■今後の予定
・本成果の一部を2012年度日本都市計画学会学術研究論文発表会、
第15回福祉のまちづくり学会全国大会へ投稿予定
関連論文(H23年度) (当年報掲載ページ)
単独行動可否からみた知的・精神障がい者の交通行動特性に関する基礎的研究
・・・・・・・・・・P.198
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2011
環境・経済・社会による都市構造評価の枠組みと 豊田市を対象とした試算
研究分野
環境
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
環境・経済・社会による都市構造評価の枠組みと豊田市を対象とした試算
研究報告の概要
本研究では、豊田市における様々な既存計画を低炭素社会の実現という視点から検証するために、都市構造の変化を分析するための土地利用モデルと組み合わせた都市構造評価システムの構築に向けて、1)環境・経済・社会のトリプル・ボトム・ラインの視点からの都市構造評価の枠組みを整理し、2)豊田市を対象とした試算を行った。
主な成果・技術的特徴
(1) 環境・経済・社会による都市構造評価の枠組み整理
持続可能な都市構造の検討に必要と考えられる環境・経済・社会のトリプル・ボトム・ラインとして、それぞれCO2排出量、道路・上下水道維持費、生活環境質(QOL)から都市構造を評価する枠組みを整理した。QOLについて別途実施された既存調査を使い、年齢・世帯構成・性別に価値観を表す重みを推定した。
(2) 豊田市を対象とした試算
(1)で整理した枠組みを豊田市に適用し、土地利用モデルを組み込む前の試算として、豊田市の総合計画に示されている都心及び地域拠点を参考に設定したいくつかの拠点に人口を集約した場合の試算を行なった。
所内の担当者氏名・ 担当者
責 任 者(担当内容):安藤良輔(総括)
主担当者(担当内容):加知範康(全般)
協力先名
名古屋大学大学院環境学研究科 林・加藤研究室
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
今後の予定
土地利用モデルに用いた、豊田市が目指す多核ネットワーク型都市構造実現に向けた各種施策の実施による都市構造変化のシミュレーション結果を環境・経済・社会(Triple Bottom Line:TBL)の視点から評価し、豊田市の既存計画の問題点を解決するための課題を整理し、交通課題のみならず、土地利用・まちづくり全般を重視した政策を提言する。
外部論文投稿/発表予定
・ 第47回日本都市計画学会学術研究論文発表会(弘前大学)
・ Transportation Research Board (TRB) 92nd Annual Meeting(Washington, D.C.)
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2011
プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究
研究報告の概要
(1) プローブデータを用いた交通安全性の評価に関する文献、事例等を、以下の項目に分け調査を行った。
・プローブデータを活用したヒヤリハット発生地点(危険箇所)の推定方法
・エコドライブと交通安全
(2) 危険個所抽出手法の妥当性の検討
プローブデータの解析による危険箇所抽出の考え方を構築し、事故データにより示される傾向との関連性を考察することにより、安全性評価手法の妥当性を検討した。
(3) エコドライブの交通安全面からの評価
プローブデータから、エコドライブの実践と安全運転行動との関連性について検討を行うとともに、事故低減の要因とエコドライブの関係についてのアンケートから、エコドライブと交通安全の関係把握を模索した。
主な成果・技術的特徴
(1) プローブデータの解析による危険箇所抽出手法について、モニター毎に危険と判断される「通常と異なる加速度」について異なる値を設定することで、全てのモニターに一定の加速度閾値を用いるよりも、検出率と的中率の両方で高い値が得られることを明らかにした。
(2) また、エコドライブを心がけ燃料消費率が小さいドライバーは、追突回避や急な飛び出しの接触回避のための急ブレーキが想定されるヒヤリハットの発生頻度も低くなる可能性が示唆された。
(3) また、エコドライブを推進している事業者を通じてトラックドライバー、
運行管理者にアンケートを実施し、エコドライブには「急ぐことをしなくなり、結果的に、安全確認ができるようになる。」という良い影響があることがわかった。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):安藤 良輔
主担当者(担当内容):加藤 秀樹
担当者 (担当内容):小野 剛史
協力先名
豊田市都市整備部交通政策課
一般社団法人交通工学研究会
トヨキンクリーンセンター株式会社
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■ 問題点、課題
・死亡重傷事故、事故類型別の事故に限定した危険箇所の抽出手法の提案
・アンケートの自由解答欄の解析を進め、エコドライブ交通安全につながる要因についてさらなる検討を行う。
■今後の予定(発表、投稿予定)
・第45回土木計画学研究発表会(6月)
・第32回交通工学研究発表会(9月)
関連論文(H23年度) (当年報掲載ページ)
プローブデータを用いたヒヤリハットと燃料消費量の相関に関する基礎的研究
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2010
通勤における自転車の利用のあり方に関する研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
通勤における自転車の利用のあり方に関する研究
研究報告の概要
本研究では、エコ通勤施策の一つである自転車通勤を促進する上での課題として、『費用面』・『設備面』・『その他(雨天時)』の3つを設定し、それぞれの課題への対応策(自転車通勤促進策)について、通勤を行う従業員と通勤を管理する事業所(9事業所)を対象にアンケート調査を実施し、自転車通勤促進策の受容性と現状の通勤管理の課題を明らかにした。
また、事業所独自で行うエコ通勤への取り組みに活用できるように本研究の成果を事業所にフィードバックし、今後の促進策の施行過程(合意形成)や自転車通勤への転換意識などをパネル調査していきながら、マイカーから自転車通勤への転換要因を詳細に分析できる研究へと発展させたいと考えている。
主な成果・技術的特徴
(1) 従業員調査結果
・現在自転車通勤を行っている要因として「渋滞」への問題意識が影響
・通勤手当の改変や自家用車抑制策には、「環境」への問題意識が影響
・自転車通勤への転換が見込める対象者は、通勤距離が10km以内の方で、
『費用面』のサポートが有用
(2) 事業所調査結果
・エコ通勤として「自転車」を促進している事業所は4事業所、従業員が多い
事業所は「公共交通への転換」、従業員が少ない事業所は「相乗り」を促進
・自転車促進策については「自転車通勤手当の拡充」の受容性が高い
(3) 自転車通勤促進に向けての知見
・従業員と事業所双方にとって受容性が高い自転車通勤促進策は「通勤手当の拡充・エコ通勤報奨金の支給」
・通勤手当の制度内容の周知を徹底することで、促進策を講じなくても自転車通勤に転換する可能性
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):山﨑基浩(総括)
主担当者(担当内容):國定精豪(企画、調整)
担当者 (担当内容):小野剛史(調査・分析)
樋口恵一(調査・分析)
協力先名
協力先名 アンケート調査協力:「豊田市エコ通勤をすすめる会」会員事業所 9事業所
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■ 今後の展開
・ 調査結果をフィードバックし、事業所の意見調査
・ 自転車通勤の促進を検討している事業所などに働きかけ、促進策の展開における合意形成過程や転換要因などを調査
■ 外部論文投稿/発表予定
① 第7回日本モビリティ・マネジメント会議にて発表予定
② 第46回土木計画学研究発表会(秋大会)にて発表予定
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2010
豊田市の都市構造と交通システムの再検討に関する調査研究
研究分野
環境/その他
業務類型
政策検討
研究題目または 報告書タイトル
豊田市の都市構造と交通システムの再検討に関する調査研究
研究報告の概要
既存計画を低炭素社会実現という視点から再検討し、その上で実現に向けた諸方策のパッケージングとロードマップの作成を目指すべく、豊田市における様々な既存計画を整理した上で、これからの低炭素社会の実現に向けた提案を検証するための土地利用・交通分析モデル等についての既存する研究成果をまとめて今後の研究に用いるべきモデル等の検討を行った。
主な成果・技術的特徴
1) 豊田市における様々な既存計画を整理
総合計画、都市計画マスタープラン、公共交通基本計画、都心交通ビジョン、環境モデル都市アクションプラン等が掲げる豊田市の将来像を1)計画相互の整合性,2)各計画のタイムスケジュール、などの点から整理した。
(2) 土地利用・交通分析モデルの検討
適用実績があり、一般ユーザーがパソコン上で使えるパッケージソフトとして提供されているオープンソースの既存土地利用・交通モデルを対象に、先に述べた検証の視点に基づき豊田市の既存計画の再検討の可能性を検討した。
所内の担当者氏名・ 担当者
責 任 者(担当内容):安藤良輔(総括)
主担当者(担当内容):加知範康(既存計画の整理、立地モデルの検討)
担 当 者(担当内容):李昂(既存計画の整理、交通モデルの検討)
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■問題点・課題
・ 検討した既存の土地利用モデルは、居住地の選択と就業地の選択が別々に行われる構造になっており、居住地と就業地と選択を連動させるようにモデルの構造を変更する必要があると考えられる。
■外部論文投稿/発表予定
・ 李昂,他:世帯転居の意思決定過程に関する意識構造分析,土木計画学研究・講演集Vol.43,No.330,2011年5月.
関連論文
・Li, A., Sasaki, K., and Nishii, K.: A study of modeling household residential location choice behavior focusing on agglomeration, Proceedings of Infrastructure Planning, Japan Society of Civil Engineers, Vol.41, No.312, Nagoya, 2010.6
・Kachi, N., Togawa, T., Suzuki, Y., Kato, H., Hayashi, Y.: A method for identifying retreat and re-concentration residential areas toward sustainable urban structure based on triple bottom line, The 12th World Conference on Transport Research, Lisbon, USB(2568), 2010.7
・Li, A., Sasaki, K., and Nishii, K.: Modeling household residential location choice behavior focusing on agglomeration, Journal of International City Planning, The International Symposium on City Planning 2010, pp.939-948, 2010.8
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2010
地方都市における企業TDMMMに関する研究
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査、その他
研究題目または 報告書タイトル
地方都市における企業TDM/MMに関する研究
研究報告の概要
豊田市では、平成6年度から継続的にTDM(Transportation Demand Management:交通需要マネジメント)施策に取り組んでいる。
平成20年に「事業所が主体的にエコ通勤に取り組む」ことを目指した「豊田市エコ通勤をすすめる会」(以下、すすめる会)を設立し、産官の共働によりエコ通勤を推進し、豊田市内の道路交通混雑の緩和や公共交通の利用促進、環境負荷の軽減を図ることを目指した活動に取り組んでいる。
平成20年から継続して取り組んでいるすすめる会の活動を継続的に展開し、その中で、参加事業所がエコ通勤を実践するための効果的な情報提供方法や情報内容、会の運営手法を探りつつ、TDM/MMの推進に資する知見を得ることを目的とする。
なお、本研究は豊田市の受託業務等と一体的に実施するものである。
主な成果・技術的特徴
(1)第6回~第9回の計4回のすすめる会を開催し、豊田市エコ通勤プロジェクト「ecommute」や今後の進め方等について議論を行なった
(2)エコ通勤に関する特別講演会を開催し、エコ通勤のPRおよびエコ通勤に対する認識の向上を図った
(3)通勤手当に関する既往の文献をレビューし、通勤手当の変更によるエコ通勤を推進するための課題について考察した
(4)エコ通勤プロジェクト「ecommute」を展開し、広く市民に向けたエコ通勤のPRを図った
(5)エコ通勤に関する市民意識調査を実施し、市民意識からみたエコ通勤促進に向けた課題を整理した
(1)第6回~第9回の計4回のすすめる会を開催し、豊田市エコ通勤プロジェクト「ecommute」や今後の進め方等について議論を行なった (2)エコ通勤に関する特別講演会を開催し、エコ通勤のPRおよびエコ通勤に対する認識の向上を図った (3)通勤手当に関する既往の文献をレビューし、通勤手当の変更によるエコ通勤を推進するための課題について考察した (4)エコ通勤プロジェクト「ecommute」を展開し、広く市民に向けたエコ通勤のPRを図った (5)エコ通勤に関する市民意識調査を実施し、市民意識からみたエコ通勤促進に向けた課題を整理した
責任者 (担当内容):山﨑基浩(総括)
主担当者(担当内容):西堀泰英(企画・調査・すすめる会運営)
担当者 (担当内容):國定精豪、加知範康(企画・調査・すすめる会運営)
協力先名
豊田市交通政策課、豊田商工会議所、「豊田市エコ通勤をすすめる会」の参加事業所(事務局を含む計24事業所)
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■今後の予定
・すすめる会事業所に提出を依頼している「目標管理シート」を活用し、すすめる会の活動を継続していく
■外部論文投稿/発表予定
・「豊田市エコ通勤をすすめる会の取り組み -エコ通勤推進組織の活動と運営課題-」を第6回日本モビリティ・マネジメント会議(2010.7開催)にて発表予定。
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2010
速度マネジメントの実現に向けた研究
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
速度マネジメントの実現に向けた研究 報告書
研究報告の概要
ブキャナン・レポートで提示された道路の段階構成、居住環境地域などの考え方は、世界中の都市・交通計画に大きな影響を与えた。わが国においても、計画を立てる際の思想的背景となっている。しかし、わが国の都市の現実を見ると、計画論と現実との間に大きな乖離が見られる。これにより安全性や生活環境に大きな問題を抱えている地区が無数にある。この一因として、道路の“計画上の段階構成”が“速度の段階構成”と乖離している点が挙げられる。本研究は、“計画上の段階構成”と“速度の段階構成”が整合した計画論、ITSなど新たな技術を用いた“21世紀の日本型ブキャナン・レポート概念の開発提案”を目的としている。
今年度は、速度マネジメントの具体的な考え方を整理し、さらに、昨年度からの継続研究である速度マネジメントの受容性や実行性担保、制度・費用面の課題などに関する調査研究を進めた。
主な成果・技術的特徴
(1) 速度マネジメントの概念と具体的な考え方
データの一般的な入手可能性などに留意しつつ、幹線系道路重視型や生活道路重視型などの視点から速度マネジメントの具体的な考え方を整理した。
(2) 速度マネジメントの受容性に関する事例分析
他地域の先進事例の視察を通じて、行政、警察さらには住民・ドライバーといった多角的な視点から速度マネジメントの受容のための諸課題を整理した。
(3) 速度マネジメントの実行性担保のための基礎分析
速度マネジメントの実行性担保に関する国内外の事例について収集・整理することで、速度マネジメントの実行性を担保する空間構成のあり方について提言を行った。
(4) 制度・費用面の文献調査
速度マネジメント実現のための制度の活用や費用について既往研究や関係機関へのヒアリング等を通じて整理した。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):安藤良輔(総括)
主担当者(担当内容):三村泰広(調査・分析・報告書作成)
担当者 (担当内容):河合正吉、稲垣具志、李昂(調査)
アドバイザー :太田勝敏
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■今後の予定
・平成22年度の成果を踏まえて、平成23年度の自主研究(速度マネジメントの導入効果に関する研究)を進める。
・研究成果の一部を「6th Extraordinary ICTCT Workshop in Tokyo-Chiba, Japan, May 26th – 28th 2011」にて報告予定
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2010
車両挙動および運転者意識分析に基づく公用車の安全走行に関する研究~ごみ収集車に着目して~
研究分野
交通安全
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
車両挙動および運転者意識分析に基づく公用車の安全走行に関する研究~ごみ収集車に着目して~ 報告書
研究報告の概要
生活道路の安全性を考慮するうえで、特に大型車両の流入抑制は重要な視点であるが、車両によってはその特性上、定期的・不定期的に生活道路に侵入せざるを得ない状況が生じている。その典型としてごみ収集車がある。我が国で主にごみ収集車によって回収される家庭および事業所から排出される一般ごみの量は、近年減少傾向にあるものの未だ5,200万トン(平成21年度環境白書)にも及び、ごみ収集行動に大きな影響を与えていると考えられる。
これまで効率的回収のためのルート設定についての研究は数多くみられるが、その走行安全性をいかに担保していくべきかという視点からの研究はほとんどみられない。昨年度、豊田市のごみ収集車の一般的な走行挙動をドライブレコーダデータの解析を通して整理した。今年度は、車両の走行安全性を考慮したごみ収集計画のために、どのような環境において走行挙動を変化させる要因につながるのか、運転者はどのような意識で運転しているのかなど、運転者の安全走行を支援するための基礎的知見を得ることを目的とする。
主な成果・技術的特徴
(1) 急加減速発生時の周辺環境データベース構築とその分析
ごみ収集車の生活道路における走行特性について積載するドライブレコーダのデータの解析を通じて特に衝撃の発生頻度、発生時の走行挙動、走行状況を整理した。全体的に車両間の差が大きいこと、ごみの排出量が発生頻度を増加させる可能性があることなどが明らかとなった。
(2) ごみ収集車ドライバーの意識調査分析
運転者がどのような要因によって安全運転を行うのかについて、「運転者の性格」、「走行時の環境」、「車両の状態」などの潜在要因が影響しているとする共分散構造モデルを構築することで、特に、ごみ排出量に関連がある「走行時の環境」の影響度合いを明らかにした。その結果、ごみ収集時においてごみの量の多さが安全運転を阻害している構造が示された。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):安藤良輔(総括)
主担当者(担当内容):三村泰広(調査・分析・報告書作成)
担当者 (担当内容):河合正吉、稲垣具志、李昂(分析)
協力先名
豊田市環境部清掃業務課および清掃施設課、豊田市総務部庶務課
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■課題
・意識調査分析結果における他地域での事例を踏まえた一般化
■今後の予定
・第31回交通工学研究発表会に投稿
関連論文
・三村泰広、稲垣具志、安藤良輔:ドライブレコーダデータからみた生活道路におけるごみ収集車の走行特性分析,交通工学研究発表会論文報告集,No.30,CD-ROM
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2010
自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究
研究分野
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究 報告書
研究報告の概要
現在、特に地方都市で自治体が交通空白地域解消、廃止代替など市民の生活の足を支援する目的で運行するバス(以下、自治体バス)の多くは、地域の社会的基盤の一つとして位置づけられつつある。しかし、近年の深刻な財政状況の中では、その経済的負担は自治体によっては非常に大きなものとなっている。経済的負担に対する抜本的解決策が期待されている中で、バス運行のための財源を工面するため自治体が行っている様々な努力、特に運賃以外の財源も含めた実態について明らかにしておくことは、今後の自治体バスの運営に対して示唆を与えるものと考える。
このような現状に基づき、特に、地方都市における自治体バスの運行財源において、運賃以外の運行財源に注目しつつ、その獲得状況ついて全国の自治体に対して意識調査を実施した。本研究ではこの結果について整理し、自治体バスの運行に関する基礎的資料を提供する。
主な成果・技術的特徴
(1) 平成23年1月現在、自治体バスを運行している自治体は全体の約7割を占めており、その多くは1~5路線程度となっている。またその運行目的は「交通空白地域の解消」や「高齢者等交通弱者の対応」が特に多く、「市町村合併後の対応」および「観光振興」が特に少ない。この運行目的と路線数の多さは、当該目的の重要性と関連している。
(2) 自治体バスの収支率は0.5未満の自治体が全体の86%、1未満では98%となるなど各自治体は財源的に厳しい状況下に置かれている。収入の内訳は運賃収入を得ている自治体が最も多く、ついで都道府県からの補助金、国からの補助金が多い。そのほか、車両広告を得ている自治体は比較的多いものの、それ以外の広告や寄付金を獲得している自治体はほとんどない。
(3) 自治体バスの収支状況による自治体比較をしたところ、収支率は支出よりむしろ収入の獲得如何によって影響を受けていること、収支率が高い自治体ほど様々な種類の財源を獲得していること、運行に直接関わる「運行委託費」などの支出は収支状況による自治体間の差はほとんど見られないが、「設備投資」や「広報費」などでは、収支率の比較的高い自治体において計上している自治体が多い。
(4) 自治体バスの収支状況によって自治体の収支に対する満足意識は差がないものの、努力意識は収支状況がよい自治体ほど高い。また収支率が低い自治体ほど、現在の対策の実施状況や今後の対策の重要性を低く意識する傾向がある。収支状況間で意識差が大きいのは、現時点では「補助金の獲得」であり将来の重要性では「広告収入の獲得」でいずれも収支状況がよいほどその意識が高くなる。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):山﨑基浩(総括)
主担当者(担当内容):三村泰広(調査・分析・報告書作成)
担当者 (担当内容):國定精豪、稲垣具志(調査・分析)
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■今後の予定
・第43回土木計画学研究発表会に投稿
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2010
行動実態データに基づく障がい者のアクセシビリティ向上方策に関する研究
研究分野
交通安全
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
行動実態データに基づく障がい者のアクセシビリティ向上方策に関する研究
研究報告の概要
(1) 障がい者の移動ニーズとアクセシビリティに関する詳細分析
・ニーズと実態のギャップが大きい移動目的の果たす意義の整理と明確化
・各移動目的における交通行動実態と課題の把握
(2)障がい者の移動に関する空間的実態の把握
・移動距離から見た障がい者の外出状況
・移動を制約する要因の明確化
・施設配置と移動の課題
(3)障がい者のアクセシビリティ向上のための支援方策への展開に向けた実態の整理と課題
・現在の移動支援制度に関する実態整理と検討課題
主な成果・技術的特徴
(1)ニーズの概念を再整理したうえで、移動上の海部台を明確にした
(2)障がい者の移動を空間的にとらえて整理分析を行った
(3)障がい者のアクセシビリティ向上のための支援策について状況の把握をおこなった。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容)安藤良輔
主担当者(担当内容):河合正吉
担当者 (担当内容):安藤良輔、三村泰広、稲垣具志、昂
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
平成23年度においても、継続し、アンケート調査の内容お分析を試みる。特に、こえまでに分析の十分ではない、自由記述の内容、アクティビティダイヤリーの内容などを重点的に行う。
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2010
公共交通利用促進モデル事業「駅から自転車」実施報告書
研究分野
交通円滑化
業務類型
調査、その他
研究題目または 報告書タイトル
公共交通利用促進モデル事業「駅から自転車」実施報告書
研究報告の概要
(1)実験の背景にある「エコ通勤」の促進
(2)「エコ通勤」の手段の一つとして自転車を端末交通として提供
(3)イグレス利用「駅から自転車」に着目した自転車利用
(4)将来的に事業所が自ら実施するためにサポート
※本実験は「豊田市エコ通勤をすすめる会」事務局として実施
主な成果・技術的特徴
(1)エコ通勤の促進をサポートできる仕組みの検証
・事業所と協力して、今までになかったイグレス利用ができる自転車を鉄道
やバスの端末交通手段として提供するとで、エコ通勤促進をサポートした。
・前年度の実験(アクセスとイグレスの組み合わせ)と違い、イグレス利用
をメインで実施しため、企画時の想定どおり、それぞれの参加者の利用率
が高く、効率的に活用された結果となった。
(2)事業所自らが今後実施するためのサポートの実施
・業所の管理を想定して、事業所の管理者から従業員の利用者を募集しており、
今後事業所自らが実施する場合につながる仕組みで実施できた。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):國定精豪
主担当者(担当内容):國定精豪(総括、企画、調整)
担当者 (担当内容):加知範康(アンケート調査)
協力先名
愛知県地域振興部交通対策課(株式会社 都市研究所スペーシア)
「豊田市エコ通勤をすすめる会」
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■今後の展開
今回実施した事業の成果や器具などを有効に活用し、多くの事業所にこの仕組みを広め、自転車を活用することによる「エコ通勤」の促進を目指す。
■外部論文投稿/発表
①公共交通利用促進モデル事業成果報告会(愛知県主催2011.3開催)で実施
結果を発表
②『イグレス交通手段としての自転車活用「駅から自転車」によるエコ通勤に
ついて』を第6回日本モビリティ・マネジメント会議(2011.7開催)にて発表予定。
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2010
交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
研究分野
環境/その他
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
平成22年度 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
平成22年度 交通イノベーション・産業イノベーションの実現化に向けての基礎調査
これまで、特に高齢者や障がい者の、短距離の移動手段の確保に貢献するため、電動車いすやシニアカーといった乗り物が実用化されている。また、近年、コンパクトかつ省エネルギーや交通安全に配慮した、いわゆるパーソナルモビリティ(PMV:Personal Mobility Vehicle)の開発が様々なメーカーで行われ、その一部が商業施設等において活躍している。
しかしながら、現行の法制度上、公道での使用が認められていないために広く社会で実用化されるには至っていない。また、PMVが安全かつ円滑に走行するためには、その受け皿としてどのような都市施設(インフラ)が必要になるかについても、明らかにされていない。
そこで本研究では、平成21年度に開始した研究の2ヵ年目として、PMVの社会への導入に向けて、①PMVの市民への周知を通じた、②PMVに対する市民意識(受容性)の把握、および、③PMVの導入事例調査、を行った。それらの結果を踏まえ、④PMV導入に向けた法制度・インフラのあり方の提案を行った。
主な成果・技術的特徴
(1)PMVに関する情報発信に向けたパネルを作成した
(2)PMVに対する市民の意識に関する調査を行い、試乗体験はPMVに対する試乗意欲や購入意欲の向上に肯定的な影響を与えるとともに、運転操作に対する意識に肯定的な影響を与えること等を明らかにした
(3)PMVに関する先進的な活用事例に関する調査を行い、観光目的や警備目的での活用事例、および、自治体での取組状況を把握した
(4)PMV導入に向けた法制度・インフラのあり方について提案した
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):安藤良輔(総括)
主担当者(担当内容):西堀泰英(企画・調査・分析)
担当者 (担当内容):李昂(調査・分析)、河合正吉(調査・パネル作成)、
加知範康(調査・分析)
協力先名
豊田市交通政策課、トヨタ自動車株式会社
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■外部論文投稿/発表予定
・「立ち乗り型パーソナルモビリティの受容性に関する研究」を自動車技術会2011春季大会(2011.5開催)にて発表。
・「パーソナルモビリティに対する市民意識」を第43回土木計画学研究発表会(2011.5開催)にて発表。
・「Acceptability of Personal Mobility Vehicles to Public in Japan: Results of Social Trial in Toyota City」をSubmitted to International Conference 2011 on Spatial Planning and Sustainable Development, No.70.(2011.7開催)で発表予定。
・「立ち乗り型パーソナルモビリティ・ビークル 操作と搭乗者の態度評価に関する考察」を第31回交通工学研究発表会(2011.9開催)に投稿。(査読中)
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2010
現行法制度下における地域公共交通確保施策のあり方に関する研究
研究分野
公共交通
業務類型
調査
研究題目または 報告書タイトル
現行法制度下における地域公共交通確保施策のあり方に関する調査研究 報告書
研究報告の概要
現在、多くの自治体では主に乗合バスという運行形式によって地域の生活交通を確保しているが、自治体は国が整えた法制度を有効に活用し地域公共交通サービス確保を行っているのだろうか。地域住民はどのように参画しているのか、公共交通会議では実質の議論がなされているのか、など、自治体の地域公共交通検討の現状を把握することは、今後の地域公共交通サービス確保において有効な基礎資料となると考えた。
そこで本研究では、全国の自治体を対象としたアンケート調査を実施し、この結果を用いて2010年度時点での法制度下で自治体が展開する地域公共交通サービス確保の検討の実態を概観しながら課題を整理し、そのあり方を探った。
主な成果・技術的特徴
(1) 自主研究⑤「自治体バスの運賃以外の収入に関する調査研究」と併せて、全国の自治体を対象としたアンケート調査を実施。2011年1月時点の全市区町村である 1,750 自治体に宅配メール便で配布し、郵送または E-Mail によって回収した。その結果、1,006自治体から回答が得られた(回収率は 57.5 % )
(2) 自治体の地域公共交通施策展開の拠となるべき公共交通計画の策定状況は、策定済みの自治体は 35% 、策定中は 7% であった。また、評価・改善の仕組みを整えている自治体は60%程度。地域の公共交通サービス確保を、目標を持って計画的に展開していく体制は未だ充分に整っていないと言える。
(3) 地域住民が中心となって地域公共交通サービス確保の検討を行う組織の存在は「住民主体の組織は存在しない」という回答が 82% にのぼる。地域公共交通を「地域で創り守り育てる」ためには、住民あるいは利用者の参画が必須であるが、充分な体制は整っていない。
(4) 地域公共交通施策を担当する職員数は、約40%の自治体が「1人未満」であった。自治体は地域公共交通施策に充てることのできる職員の工数が限られる中で、外部の専門家による支援を受けずに行政職員のみで対応している状況にある自治体が多々存在する。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者・主担当者 (担当内容):山﨑基浩(総括・調査・分析・報告書作成)
担当者 (担当内容):三村泰広、國定精豪、稲垣具志(調査・分析)
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■今後の予定
・地域公共交通確保の体制は、自治体の規模や特性に左右されると考えられ、今後、より詳細な分析を行っていく。
・第43回土木計画学研究発表会に投稿。
関連論文
山﨑基浩,三村泰広,稲垣具志,國定精豪:自治体における地域公共交通サービス確保の検討の実態,土木計画学研究・講演集Vol.43,CD-ROM,2011.
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2010
サービス享受度からみた公共交通の評価構造に関する研究
研究分野
公共交通
業務類型
解析
研究題目または 報告書タイトル
サービス享受度からみた公共交通の評価構造に関する研究 報告書
研究報告の概要
地方都市においてバスや鉄道をはじめとする公共交通への公的資金を投入することが一般的になりつつある現在、自治体はその妥当性についてどのような判断材料を持って検討すべきかが課題となっている。一般に、政策の妥当性や方向性の判断材料として使われるのは施策に対する住民の満足度や期待度などの評価結果であることが多い。しかし、これらの指標は主観に基づく評価結果であるため、その評価を下す背景にあるものを適切に扱う分析が行われるべきである。本研究の目的はこのような課題意識の下、個人の背景とサービス享受度が住民の評価意識とどのような因果関係を持っているか豊田市でのケーススタディを通じて明らかにしようとするものである。
まず、公共交通の政策評価について一般的傾向を把握する。次に、個人の背景を構成すると考える各指標と公共交通の政策評価の関係性について明らかにする。次に公共交通のサービス享受度と政策評価の関係性について、特に「サービスへの可達性」と「サービスの相対利便性」の観点から明らかにする。最後に共分散構造分析による個人の背景と公共交通のサービス享受度を踏まえた公共交通の評価構造モデルを構築し、それぞれの公共交通評価につながる影響関係を明らかにする。
主な成果・技術的特徴
(1) 豊田市の公共交通に関する満足度は他の社会基盤整備と比べても低い状況にある。一方で期待度は他の社会基盤整備と大きな差はなく、一層の政策的努力が求められていることが窺えた。
(2) 個人の背景と公共交通の評価の関係性をみた結果、公共交通の評価は単に個人そのものの特性だけでなく、むしろ状況によっては個人をとりまく環境にも大きく影響を受けることが示された。
(3) 公共交通サービスへの可達性とその評価の関係性をみた結果、特に満足度において駅、基幹バス、地域バスなどが重複して近接する場合に評価が高くなる傾向が窺えた。
(4) 公共交通サービスの相対利便性として自動車との所要時間差と評価の関係性をみた結果、満足度は差が大きいサービスの相対利便性が低い場合でも大きな差が現れない一方で、期待度はサービスの相対利便性が低いほど公共交通に期待をかけない評価を下す傾向が窺えた。
(5) 共分散構造分析による公共交通の評価構造モデルを構築した。その結果、個人の背景が最も公共交通の満足度に影響を与えることがわかった。一方で他の社会基盤の満足度は公共交通の満足度に与える影響が小さいことがわかった。
所内の担当者氏名・ 担当者
責任者 (担当内容):山﨑基浩(総括)
主担当者(担当内容):三村泰広(調査・分析・報告書作成)
担当者 (担当内容):國定精豪、稲垣具志(分析)
協力先名
豊田市総合企画部企画課、豊田市都市整備部交通政策課
問題点・課題・今後の予定・その他(研究内容・遂行過程・今後への提案・外部論文投稿/発表予定など)
■今後の予定
・日本都市計画学会第46回学術研究論文発表会に投稿
研究部長
山崎 基浩 Motohiro Yamazaki
学位・資格/博士(工学)、技術士(建設部門:都市及び地方計画)
専門研究分野
交通工学、交通計画、交通政策評価、モビリティ・マネジメント
これからの研究について
交通政策に関わる実務者の視点に立った研究に努めてきた。今後さらに一歩踏み込んで、具体的政策に直結する研究成果が求められている。加えて市民・利用者の視点を大事にしたい。例えばモビリティ・マネジメント。決して上から目線ではなく、自分が利用者であれば何が心に響くのか、真摯に分析・考察し政策へのアイディアを導き出す姿勢が肝要と考える。
近年の主要実績
- ●成功するコミュニティバス(共著)、学芸出版社
- ●土木計画学(共著)、オーム社
- ●鉄道と地域発展(共著)、勁草書房
研究部 次長
三村 泰広 Yasuhiro Mimura
学位・資格/博士(工学)・技術士(建設部門:道路)専門研究分野
交通工学(交通安全・交通弱者対策等)これからの研究について
我が国は高齢化などの社会構造の大きな変化に直面しています。このような大きな「変化」は様々な形で私達の生活に影響を与えることが予想されています。このような荒波の「現場」の最前線で、理想と現実の妥協点を見出しながら、いかにして「前に」進むべきかの道標を示すことが、我々の最大の役割であり、その成果の導出に全力を尽くしたいと考えています。
近年の主要実績
- ●三村 泰広、樋口 恵一、中村 陸、戸村 良、吉田 慎治、楊 甲、安藤 良輔、(2021)ヘッ ドマウントディスプレイを用いた高齢運転者の無信号交差点での空間認知に関する研究、交通工学論文集、7-2,A_68-A_77
- ●Yasuhiro Mimura, Ryosuke Ando, Keiichi Higuchi, Jia Yang, (2020) Recognition on trigger condition of autonomous emergency braking system,Journal of Safety Research,72, 239- 247
- ●三村 泰広、樋口 恵一、安藤 良輔、楊 甲、(2019)高齢運転者の運転能力と不安感の関係、土木学会論文集D3,75-5,p. I_1103-I_1112
主幹研究員
加藤 秀樹 Hideki Kato
学位・資格/博士(工学)、公害防止管理者(大気第1種)、 JSAEエンジニア((公社)自動車技術会)専門研究分野
交通安全対策(交通工学)、環境工学、自動車工学これからの研究について
本研究所の使命として交通施策に直結する研究成果が求められており、私は、これからも、交通課題の解決につながる実践的な研究を目指していきます。また、急速に発展する科学技術に広く関心を持ち課題解決への応用を模索すること、さらに、価値観の変化や課題の本質を独自の視点で捉えて考えることを重視しています。
近年の主要実績
- ●タテシナ会議「児童分科会」の主管として活動
- ●「豊田市ヒヤリハット体験マップ」を公開、他都市に展開
- ●「地域タクシー」の提案と豊田市での導入支援
- ●土木学会誌の編集委員として活動(2020年5月~2022年8月) 〔関連著書(共著)〕羽藤英二[監修]、村上亮、中居楓子、中島崇(土木学会編集委員会)[編集]、(2023)復興を描く、公益財団法人土木学会
- ●WiFiパケットセンサによる人流分析、電動車両の災害活用、電動車両・エコドライブのCO2削減効果等 〔関連論文〕西堀 泰英, 加藤 秀樹(他3名)、(2022)Wi-Fiパケットセンサーデータを用いたコロナ禍における中心市街地の人々の活動分析、交通工学論文集、Vol.8, No.2、p. B_53-B_62
- ●加藤秀樹(2021)停電災害における車載コンセントの活用実態に関する研究- 北海道胆振東部地震でのブラックアウトを事例として -、自動車技術会論文集、Vol.52、No.1、pp.203-207
- ●石河 正寛, 加藤 秀樹(他5名)、(2022)自動車検査証の個別統計を用いた全国地域別乗用車CO2排出量の試算、交通工学論文集、Vol.8、No.5、p. 1-10
- ●Hideki Kato(他4名), (2016) The eco-driving effect of electric vehicles compared to conventional gasoline vehicles, AIMS Energy, Vol.4, No.6, pp.804-816
研究員
新谷 英樹 Hideki Aratani
役職/主任研究員(トヨタ自動車(株)からの出向)専門研究分野
在留外国人の交通安全事情ひとこと
自動車運送業における運転手不足に特定技能ビザの新たな追加。日本国内で、外国人の運転手が増えることが予想されます。一方、1990年の入管法の改正により、豊田市などでは運転手として、既に活躍されている日系人の方は少なくありません。彼らのこれまでの経験(課題、苦労)を、これからの外国人運転手に生かすことはできないか、そんなことを考えています。山岸 未沙子 Misako Yamagishi
役職/主席研究員学位・資格/博士 (人間環境情報)
専門研究分野
交通心理学、加齢工学、運転行動分析ひとこと
人々の安全・安心なモビリティを目指して、高齢ドライバーの特徴や運転状況に着目した研究に携わってきました。道路上の人や交通環境、交通手段などの様々な要素から、リスクや安全性の推定を試み、交通事故低減や地域の交通安全に資する研究に取り組んでゆきたいと考えています。大澤 脩司 Shuji Osawa
役職/主任研究員学位・資格/博士(工学)
専門研究分野
交通計画学、防災工学、観光周遊行動分析ひとこと
安全・安心・快適なまちづくりを目指して、道路網の耐災害性の評価や災害時の食料備蓄、津波避難等をテーマとした研究に携わってきました。また、GPSや各種センサから取得されるデータを活用した観光周遊行動分析にも取り組んできました。これらの経験を活かし、持続可能なモビリティ社会の実現に資する研究に取り組みたいと考えています。鈴木 渉 Wataru Suzuki
役職/研究員学位・資格/博士(工学)
専門研究分野
都市交通計画、交通行動分析、公共交通ひとこと
私はこれまで、人々の行動やまちの基盤となる交通について、人々の習慣性や多様性に着目した交通行動分析に取り組んできました。これまでの経験をベースとして、まちと暮らしを支える交通の実践的なテーマに幅広く取り組み、地方都市の課題解決や交通まちづくりに資する研究に取り組んでいきたいと考えています。村上 滉一 Koichi Murakami
役職/研究員補学位・資格/修士(工学)