アジア交通学会国際会議の論文最高賞を受賞
当研究所と名古屋大学森川・山本・三輪研究室の共同研究として、電気自動車のシェアリングの利用意向に関する研究論文が、第15回アジア交通学会国際会議の論文最高賞(八十島義之助賞)を受賞しました。アジア交通学会とは、アジアの諸国における産官学の専門家が交通問題に関する議論、研究、人的交流を広く活性化させることを狙いとして、1994年に設立された学会です。アジア交通学会の国際会議は、アジア地域において、土木計画学に関するレベルが最も高い国際会議のひとつです。本研究の一部は令和4年度名古屋大学未来材料・システム研究所共同利用・共同研究の助成によって実施したものです。また、研究成果の一部は、研究論文筆頭著者の名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻の王越(WANG, Yue)氏が当研究所で行ったインターンシップによるものです。なお、本研究で用いたWEBアンケート調査データは当研究所の先行自主研究(令和元年度 電気自動車シェアリングの利用意識に影響を及ぼす要因分析)において、収集されたものです。
【発表論文】
Y. Wang, M.L. Jiang, T. Yamamoto, J. Yang, M. Yamazaki. Potentials and Obstacles of Promoting Electric Vehicle Sharing Services for Tourists in Japan’s Non-urban Destinations. Asian Transport Studies (in Press)
【論文概要】
本研究は、環境負荷の非常に少ないEV共同利用システムの利用意向に影響を及ぼす要因を明らかにし、観光地でのシステム導入促進に向けた方策を提案することを目的として実施しました。本研究から得られた成果を次に示します。まず、車依存、EVへの好み、費用対効果追求の潜在要因を考慮したハイブリッド選択モデルを用いて、地方部観光地への移動手段選択行動の影響要因を把握しました。次に、上記で提案・把握した潜在要因や利用者の個人差を考慮した混合ロジットモデルを用いて、地方部観光地における車両共同利用に関する車種(超小型EV、EV乗用車、ガソリン乗用車)選択行動への影響要因を把握しました。最後に、上記の分析結果を踏まえて、地方部観光地におけるEV共同利用システムの利用促進の方策を提案しました。具体的に、利用者を対象とした金銭的インセンティブプログラムの導入を通じた利用料金の引き下げ、地方部観光地への移動手段の転換などが挙げられます。