2021年度 研究成果報告会開催記録
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- 5 - かりました。 ここまでお伝えしたのは単純な集計結果であって、どこを走るかはその人の持っている背景、男性なのか女性なのか、どういう種類の自転車を使っているか、そもそも自転車のリスクをどう感じているのか、そういったところから回答結果が変わることが予想されます。 そこで、それらの影響を踏まえた上でもSI情報や罰則情報を提供すると車道通行意識が向上する アンケートで行っています。これら6つの自転車通行空間の画像を見せて、「この写真だったら、どこを自転車で走りますか。歩道側を走りますか。車道側のこの辺を走りますか」と聞きます。対象は3つの群に分けます。 1つ目の群は画像だけ見せて、「どこを通りますか」と聞きます。これは制御群、コントロール群として用意した群です。 2つ目の群がSI群です。Social Incentives、ほかの人の車道通行率の情報を伝えた場合にどうなるか見る群です。具体的には、写真に加えて、「事前の調査では61%の方が『車道を走行する』または『主に車道を走行する』と回答しました」という文面を付けます。事前の調査というのは写真ごとの制御群の回答結果です。それをSI群に提供し、その情報により行動が変わるのかを見ます。 もう1つ比較対象として、罰則情報群。違反時の罰則の情報を写真とともに伝えます。 この3つの群で傾向を見たところ、時間の関係上、概略だけお伝えしますが、特に真ん中の写真のような空間において、SIの情報や罰則情報を提供すると、より車道側を走りたいという意図をつくることができるという結果になりました。SIの情報よりも罰則のほうが効いています。 学生の利用状況を改善したいことから、もう少し詳しく年齢ごとに傾向を見てみますと、専用通行帯といわれる塗りつぶしのエリアが整備されている多車線の道路において、特に高校生など若い年齢層においてSIの効果が大きい、つまり、ほかの人の行動状況を伝えると、より効果を発揮することが分- 39 -

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