2021年度 研究成果報告会開催記録
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- 4 - まず1つ目、ほかの人の利用率の情報を受けると、と考えます。 では、人の行動をどうやって変えるかというところですが、人の行動変容に関しては交通の分野でもさまざまな取り組みがされています。交通需要マネジメントやモビリティ・マネジメントは非常に有用な取り組みとされていますが、この研究では少し違った視点から人の行動変容についての取り組みを行っています。 注目したのは、アメリカの研究者が指摘した、人に行動の動機を与える3つのポイントです。 1つ目が、Social Incentives(SI)、社会的動機です。人は他人の行動が気になり、同じように行動するか、もしくは、よりよい行動をしようとするというものです。 2つ目がImmediate Reward(IR)、即応報酬です。人は将来の報酬に対しては反応しづらいが、直近の報酬には反応しやすく、直近の報酬が与えられた人の方は将来の行動も変化しやすいというものです。これは行動経済学でよくいわれる内容に関連するものかと思います。 3つ目がProgress Monitoring(PM)、前進の監視です。人は良くなっている現状を継続的にモニタリングすることで、より良い行動をしようとするというものです。この考え方の応用がモビリティ・マネジメントにもあります。この辺は関連性があるのではないかと思われます。 これらのポイントは海外で検証がなされていて、その有効性が確認されています。時間の関係で詳しくご説明いたしませんが、さまざまな分野でこの成果が見えているということです。 この3つの考え方で自転車の行動変容を促せないかと考え、以下の3つのアプローチを設定しました。 1つ目は、ほかの人の車道通行率の情報を提供すると、その情報を受けていない人よりも車道を通行しようとするのかということ。 2つ目は、こういうふうに改善しましたよという情報提供を続けることによって、車道の通行率が上昇するのではないかということ。 3つ目は、通行空間の利用率を実際にぐっと上げた場合、行動はどう変化するかということ。 利用しようとするようになるのかということについて検証しました。 - 38 -

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