2021年度 研究成果報告会開催記録
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- 9 - は別の要因で、二種免許を取る際のハードの高さや時間外労働や休日が取りにくいような労働条件が影響しています。 全体として運転に関わる人材がどこでも不足している状況があるため、昔から互助による輸送といっていますが、自家用有償旅客運送という、緑ナンバーではなく、白ナンバーでの輸送に長い歴史があります。 通常の人材不足は、支払うお金はあるが、働く待遇や条件がよくないので、なかなか人が集まらないということですが、コミュニティ交通はそもそもボランティアに近い人材を集めようとしているので、常に人材不足が顕在化し、その解消は難しいのかなと思います。先ほど申し上げたように、事業モデルになっていないところがありますので、そこを改善しないと人材不足は長期的には解消しないだろうということです。 そこで、論点3、財源不足の策です。 運転やそれ以外の事業に携わる方々に適切な報酬を提供するには、そのためにかかる費用を利用者以外で負担する負担者を確保する必要があります。市町村、利用者、利用者以外の地域住民。助け合いでやるのであれば、普段利用しない方々も少し金銭的な支援をすることが考えられます。実際にそういう事例も存じ上げています。今回のアンケートあるいはヒアリングの中にそういう事例はなかったかと思いますが、検討してもいいかと思います。 あと、内部補助です。ほかの事業で黒字が出たら、その黒字分を使って輸送サービスを行うという話です。事業として組織を維持する意味では有効ですが、そもそもそういう負担のあり方がしかるべきかどうか、議論のあるところだと思います。 どのやり方で費用負担者を確保するにしても、このご時世、お金に余裕がある自治体はどこにもないはずですし、輸送対象者が増えるほど必要な財源も増える一方ですので、全体としてコンパクトな事業にする工夫が必要だろうと思います。輸送する対象者をできる限り絞り、かつ、地域も絞ること。そういう幾つかの工夫をすることで持続可能性が高まると思います。 大規模な輸送を行うのであれば、市町村と交通事業者がきちんと関与した輸送サービスを展開する必要があるだろうと考えます。 結局、コンパクトな事業を運転者が適切な報酬を得られる状況で行うことがコミュニティ交通の持続可能性を高める条件であろうと、ご研究を拝聴して感じた次第です。そのためには適切な人件費を支払う必要がありますが、それを誰がどのように負担するかは非常に重い問題です。継続してご研究いただくとともに、私も勉強したいと感じた次第です。 コメントは以上です。ご清聴ありがとうございました。(拍手) 司会:板谷先生、ありがとうございます。 では、鈴木さんからコメントに対する返答をお願いします。 鈴木:ありがとうございました。 研究成果を板谷先生に端的にまとめていただいたように思います。 論点1からいきますと、意義はまさにそのとおりで、本研究でまとめた結果です。 対象が一くくりにされているというご指摘はそのとおりかと思います。最初はいろいろな運行形態からいろいろな工夫を引き出したいという狙いがあり、運行のモードなどで分けようとも考えましたが、母数が全体で67ということもあって、それぞれが少なくなってしまったので、事例を押さえる程度になっています。今後、その一つ一つについて丁- 33 -

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