2021年度 研究成果報告会開催記録
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- 7 - まして、研究所のOBです。国内外の運輸政策に非常に詳しい先生です。 板谷:ご紹介ありがとうございます。流通経済大学の板谷と申します。10年ちょっと前、こちらで研究員をしていたとき、コミュニティ交通にあたる仕事をしていまして、当時、今も走っていますが、藤岡地域バス「ふじバス」のプランニングに関わりました。地域の方々と一緒に支所の方々と協力して計画を作って、これが走り始めたときには非常にうれしく思ったのを覚えています。そういう仕事をしていたこともあり、今回コメントの機会をいただいたと思っています。 論点3点ほどお話しさせていただきます。 まず1点目として、本研究の意義と課題をまとめました。 綿密なアンケートとヒアリングにより、コミュニティ交通の持続可能性に影響する要因を定量的に特定したことは非常に有用であると感じます。特に評価・改善、自治体計画への位置づけがコミュニティ交通持続のために極めて重要、最低限必要であることが非常に分かりやすく伝わってきました。また、総支出が少なく、かつ、1人あたり支出が多いと、持続可能になりやすいと。直感的に恐らくそうであろうと感じますが、この辺りもきちんと示したことは非常によかったと思います。 一方、恐らく狙ってやっておられるので、課題と書いていいかは分かりませんが、コミュニティ交通の対象を非常に広く扱い、定時定路線型とデマンド型では全く輸送形態が異なりますし、乗合、乗用、自家用車を使った有償輸送もかなり性格が違いますが、これらをまとめて分析しています。大づかみに状況を把握するには有用ですが、詳細な検討に関してはこれからさらに深めていく必要があると感じた次第です。 コミュニティ交通の重要性についてはすでにお話しいただいているとおりですが、改めて少し解説めいた話をさせていただきます。 コミュニティ交通の主な利用者は、自動車を運転できない、あるいは、自由に使える自動車を持っていない、送迎してくれる家族、それに類する方がいない、徒歩範囲に駅やバス停留所がない、こういう特徴のうちのいずれか、あるいは、複数に該当される方々かと思います。 こうした方々の人数はそんなに多いわけではありません。潜在的にはいるんでしょうが、これにすべて当てはまる方は相当少ないのかなと思います。また、こういう方々は遠慮がちで、あまり主張しな- 31 -

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