2021年度 研究成果報告会開催記録
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- 6 - も出てきましたが、評価・改善を実施していない場合、収支率が低すぎる場合、利用者1人あたりの総支出が少ない場合は持続が困難となっています。 利用者1人あたりの支出が少ないほうが人材も財源も確保できるのではないかと考えていましたが、逆の結果になっています。この結果について詳細を見ると、利用者1人あたりにたくさん支出している団体は、利用者が少なくて、よりコンパクトな運営をしている傾向があります。利用者1人あたりの総支出ではなく、コンパクトな運営ができているかどうかが持続可能に関わってくるのだろうと思われます。 5年後の人材確保については、人口減少が大きい場合、人口密度が高すぎる場合は持続困難となっています。人口密度が高すぎる都市は小さな団体、コンパクトな団体までしっかり見られていない可能性があるのかなと考えます。 5年後の財源確保については、サービス全体の総支出が大きすぎる場合は持続が困難、自治体の計画の中にそのサービスが位置づけられている場合は持続可能という方向に影響しています。 最後に、研究のまとめです。 たった5年先の運行継続に対しても人材確保・財源確保が困難な団体が4割程度あります。 確保可能と回答した団体でも、人材は交通事業者任せ、財源は行政の補助金頼みが多くなっています。 地域住民や利用者の意見をちゃんと吸い上げて改善につなげる仕組みが大事だという結果も得られています。 行政以外の団体が行政の関与なしで自律した運営を行っている場合は、移動手段の確保だけでなく、地域が良くなることを念頭に運営を行っている事例が多かったことから、行政任せ、事業者任せ、地域任せだけでなく、地域・行政・事業者が一体となって移動を支えることが重要であろうと考えます。 人材や財源確保に影響する要因を分析したところ、運営の評価・改善をしっかり行っていることなど、ドライバーだけではなく、運営側の「ひと」に関わる項目も大きく影響しています。ドライバーだけではなく、運営側を育て確保することも大事だということです。ヒアリング調査からも一緒に運営に関わる仲間づくりが大事、相談できる人を組織の外部に持つことも重要という結果が得られています。 人材や財源、技術を適材適所で利用していくことが持続可能なコミュニティ交通の実現には重要だと考えます。 豊田市では、地域バス、デマンド交通、地域タクシー、たすけあいカーなど、いろいろな移動手段が適材適所で実施されていますが、さらにより地域に即し、より適材適所にしていくことが重要だと考えます。現在、各種評価シートや地域バス目標シートで評価を行っていますが、これを改善や実行にまでつなげることが重要です。「ひと」の育成については、行政は人が定期的に入れ替わるので、地域住民が主体的に考えていくことも1つの手であろうと考えます。 地域の価値・魅力向上を念頭に、行政・事業者・地域住民が一体となった協力のもと、自助・共助・公助を含めた適材適所でコミュニティ交通を維持していくことが重要という、少しありきたりの結果になってしまいましたが、これらのことがアンケート調査やヒアリング調査から得られています。 司会:ただいまの研究成果報告のコメンテーターは流通経済大学教授の板谷和也先生にお願いしています。 板谷先生は、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、15年ほど前に当研究所で研究員をやってい- 30 -

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