平成29年度 研究成果報告会開催記録
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- 40 - 初乗り利用と初乗り利用以外を分けて分析をされていましたが、顕著な違いが私には読み取れなかったのです。初乗り利用以外は有意な変数の数が減り、定数項の係数が極端に大きくなる傾向があるということですが、これが何を意味するか、考察されていれば、教えていただきたいと思います。 次に、天候とタクシー利用の関係の分析についてです。大変面白くて、勉強になりました。 もう少し深掘りしていただきたかったのは、雨天時の迎車の有無による区別は地域別のGISの結果で出されていましたが、距離の違いはないかという点です。 先ほども少しお話がありましたように、終バスがなくなった後に駅に着いて、家まで帰らなければいけない。普段使わなくて済むようなときに使うので、長い距離が多いという仮説になるのか、あるいは、短くても雨にぬれたくないから使う人が多いから、短い距離になるのか。そんな仮説を使って分析されて、迎車ありとなしで違いが出てこないか。もし分析をされていたら、教えていただきたいというのが1点です。 もう1つは、雨天になると利用距離が短縮傾向にあるというのは本当かという点です。 おっしゃったように、どんなときでも常にタクシーを使われる方、キャプティブ層が存在するわけです。多分ですが、長距離の利用は晴天時とあまり変わらないが、雨天時だけ使われる方が大体短距離で使われていて、そういう利用が増えたために平均値が下がって、利用距離が短縮傾向にあるように見えているのではないか。折れ線グラフみたいなものを使って比較されるとその辺が分かるのかなと思いました。その辺も分かっていれば、教えていただきたいと思います。 最後、今後の方向性についてです。分析結果以外に関して思ったところです。この辺りはちょっと議論が長くなりそうな気もしますが。 1点目は、こうした研究が公益に資するかどうかという点です。 一番使えそうなのはタクシー事業者の経営改善ではないかという感じがしました。そういうことを主な目的とするような研究を学術対象として継続的に行っていくことの意味はどんなものがあるのかといったところです。 2点目は、データをより詳細にすることは可能かという点です。 研究の改善というか、よりよい成果を出していくには、データをより詳細にすることが一番手っ取り早いと思いますが、属性、人数、利用目的といったデータをとろうとすると、運転手の手間が増えますし、タクシーに乗っているだけなのに、そんなことまで知られるのか、という個人情報に関する問題もありそうです。 コンビニで買い物すると、アルバイトの定員さんは見た目で性別と年齢のボタンを押して記録させていますが、そういう程度のものを開発して、さくっとボタンを1回押すだけみたいな感じでやれば、できるのかどうか。そういうデータ取得の可能性についてはどういうふうにお考えか、教えていただけるとありがたいと思います。 最後は、別の地域でもこうした分析は可能かとい
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