平成29年度 研究成果報告会開催記録
39/52

- 39 - ど見たことがありませんでした。他の地域でもこういう分析ができるようになるのではないかという期待感も生まれます。 こうしたデータを活用してビジネスの改善に使われている事業者さんもあると思いますが、それは表に出てきませんし、きちんと活用されていないケースも多いと思います。そういう事業者さんは今までどおりのビジネスしかできなくて、なかなか刷新、改善につながらないと思います。 私の研究は鉄道を対象にしたものが多いのですが、鉄道に関してもタクシーと同じようにデータがなかなか出てこなかった時期が長くて、特に国鉄が分割民営化してJRになって以降、それまで出ていたデータのほとんどが出てこなくなりました。それと比例して学術的な研究も一気に少なくなりました。 タクシーも今、ひょっとするとそういう状態なのかもしれませんが、こうした研究による成果が出て、それが社会にプラスの影響を与えることが実感されますと、こういうデータを使える機会が増えてくるのかなと思います。その意味でもこういう成果をきちっと報告していただくことは大事なことだと考えています。 ご報告は大変面白く拝聴いたしました。私がもう少し知りたいと思ったところを中心に幾つか論点を出させていただきます。 まず、最初の分析、地域特性の分析に関わる論点です。 モデルの精度が迎車の有無でかなり異なっていて、特に迎車なしの場合のモデルの当てはまりがかなり悪いなというのが率直な印象です。 なぜだろうなと私もちょっと考えてみました。迎車ありの場合はタクシーを利用するシチュエーションがほぼ特定可能で、タクシーに乗らなければいけない事情があるから電話で呼んで来てもらって乗っていくことがイメージできますが、迎車なしの場合は乗り方が幾つかのパターンに分かれるのかなと思います。分析対象地域では流し営業がないので、タクシー乗り場でなければ迎車なしでタクシーを使うことができない地域であるということの影響がありそうな気がしました。駅前など待たずに乗れる乗り場ではなく、地域に幾つかある乗り場では、私の知る限りですが、普段はタクシーが常駐していなくて、直通電話みたいなのを使ってタクシーを呼ぶようです。こういうのも迎車なしに含まれます。駅前とこちらとでは乗り方は恐らく全然違うと思います。 迎車ありでもなしでも基本的に同じ変数を使って分析されていますが、仮説を変更して別の方法を使ってみてもよかったのかなと思いましたし、乗り場の種類によってかなり使われ方が違うのであれば、種類別で分けて再度分析をされると価値のある因子が出てくるかもしれないと感じたところです。もしそういうこともやられているようであれば、分析の状況などを教えていただければと思います。 もう1つは、初乗り利用が多かったということで、

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る