平成29年度 研究成果報告会開催記録
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- 36 - 分析に使用したデータは、先ほどと同じように2014年度の1年間のデータで、迎車ありと迎車なしの2区分で分析を行っています。 天候のデータは、気象庁のウェブサイトで提供されている過去のアメダスのデータを用いています。1時間ごとの降水量を見ると、2014年度の1年365日8,760時間のうち豊橋市で雨が降ったのは617時間で、降雨時間の割合としては全体の約7%です。 まず、雨量による利用の変化を見てみます。雨がたくさん降れば、タクシーのお客さんが増えるのかということですが、曜日や時間帯によってタクシーの利用件数は全然違いますので、曜日別時間帯別、例えば木曜日の午前7時台とか、火曜日の午後9時台とか、その時間帯の平均的な乗客数を出して、雨が降ったときにその平均よりも多いか少ないかを見ていきました。 迎車なしと迎車あり、いずれも雨量が増えるほど平均よりも多くなる傾向にあることがわかりました。ものすごく雨が降っている場合は出かけるのを諦めている可能性もありますが、10ミリ以上の降水量はサンプル数が少ないので、はっきりした傾向は分かりませんでした。少なくとも雨が降っていて傘が要る、ぬれてしまう環境のほうがタクシーの利用が増える傾向は確認できました。 次に、雨天時の利用状況を見てみます。同じように各曜日・時間帯の平均的な値に対して、各曜日・時間帯の数値がそれを上回るかどうかの割合を雨天時と晴天時で比較してみたのがこちらです。 迎車なし、迎車なし、共に晴天時よりも雨天時のほうが平均的な利用を上回っている割合が大きい、すなわち、雨のときには利用者数が増える傾向にあるということになります。中でも極端に大きくなっているのが迎車ありの場合で、予約配車されるタクシーの利用は雨が降るとかなり増えることが分かります。 運賃に注目すると、迎車なしと迎車あり、両方とも雨天時には金額が下がっていますが、迎車ありではその傾向が顕著です。平均運賃が下がるということは乗車距離が短くなることと同じですので、雨天時の迎車ありについては、短距離の利用が非常に多いと言うことを表しています。 これは徒歩や自転車からの転換をした結果ではなかろうかと考えられます。普段なら歩いていく、あるいは、自転車で行くが、雨が降っているから、タクシーを呼んで乗ろうという利用者が増える、すなわち、雨天時のみタクシーを使う利用者層ではなかろうかと考えられます。 一方、迎車なしでは、利用件数は増える傾向にありますが、距離帯にはあまり大きな差がありません。
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