平成29年度 研究成果報告会開催記録
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- 30 - した。 まず、1点目の質問についてです。 おっしゃったとおり、操作不適や動静不注視という高齢者に特徴的な違反は、高齢者身体能力低下に起因することです。自動車学校でハンドル操作や動静注視の練習をすることは、ドライバーの運転安全性を高める効果があると考えていますが、ドライバーによって身体能力に差がありますので、その効果には限界があると思います。 私が考える安全教育は、高齢者ドライバーに高齢者の事故特性や違反特性を知っていただいた上で、運転継続するか、運転免許を自主返納するかを自ら判断していただくというものです。 2点目の質問ですが、この研究の成果活用の方向性は2つあると考えています。 豊田市における高齢者の事故特性と違反特性をまとめ、例えばチラシみたいな分析結果の概要版を自動車学校で高齢者に配布し、情報提供すれば、高齢運転者に対する注意喚起の効果が期待できます。 また、道路形状別の事故分析結果を自動車学校のインストラクターに情報提供し、高齢者講習の中で無信号交差点とか、単路とかの場面での運転教習について、高齢者の事故や違反特性を踏まえて説明していただくことは効果があると考えています。 今後の検討内容についてですが、先ほどは事故類型別の違反種別別構成比だけを報告しましたが、道路形状別の違反特性について、例えば無信号交差点と信号交差点の事故で高齢者はどういう違反が多いとか、非高齢者と比べてどういう違反が多いとかも分析しました。本日は時間の都合で報告できませんでしたが、今後研究所が発行している機関誌を使って報告させていただきたいと考えています。 また、加齢による運転能力の低下と違反行為については、昨年度、もう1つの自主研究の中で、自動車学校にご協力いただき、高齢者講習を受けた約350名の高齢者を対象に、高齢者講習の結果と研究所が独自で行ったアンケート調査の結果を収集し、運転能力と違反行為の関係を分析しました。今年度の自主研究でさらに詳細な分析を行う予定です。 次に、先生がご指摘のとおり、交通管理の観点から高齢ドライバーに有効な交通規制や取り締まりをすることは非常に効果があると思います。この研究で明らかにした高齢者の事故特性や、先ほど申し上げた自動車学校で収集したデータの分析結果を踏まえて考えていきたいと思います。 嶋田:1点目のお答えは、高齢ドライバーに自分の操作能力や動体視力、能力を知ってもらって、そろそろ運転は駄目だよとか、そういう啓発をしていくことも教育の一環であるということだと感じました。 2点目は、おっしゃったように、今回の研究成果から、こういう違反が多いですよ、こういう違反をするとこういう事故が多いですよ、という情報を講習のときに提供することはとてもいいと私も思います。 司会:楊さん、嶋田先生、どうもありがとうございました。 (以下、会場からの質問は掲載割愛)

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