平成29年度 研究成果報告会開催記録
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- 17 - 続いて、「出合い頭事故×リスク・起こりやすさ」の関係です。 こちらは高齢者の出合い頭事故と全年齢の出合い頭事故で若干傾向が異なっています。高齢者のほうが道路構造の複雑さ、先ほどから出てきている信号機数が多いとか、横断歩道が多いとか、そういったことが関係しています。 まず、全年齢で見ますと、人口集積が多いと事故が下がる。運転マナーが悪いと事故が多い。特に注目したいのは、徒歩分担率以外の有意なものがすべて運転マナーだという点です。出合い頭事故は運転マナーとの関係がかなり深いのかなと考えています。 一方、高齢者の出合い頭事故は、道路構造の複雑さも関係しているということで、高齢者のほうがこういったことの影響を受けやすいのかもしれません。 最後に、「車両単独死亡事故×リスク・起こりやすさ」の関係です。 ここでも高齢者と全年齢で差が出ていて、高齢者の車両単独死亡事故においては人口集積、道路構造の複雑さ、走行速度が影響している可能性があります。 こちらが交通事故発生状況に関係する特性のまとめです。 さまざま交通事故に関係する地域特性として、人口の集積、走行速度、高齢化率、運転マナーなどの指標が関係していますが、ここで強調しておきたいのは運転マナーです。人と道路と車の三位一体のうち、道路に関してはかなり対策がとられてきていますが、人に対する手立てももう少し考えてもいいのではないかと感じます。 高齢者の事故に着目しますと、出合い頭事故では信号や横断歩道の多さ、車両単独事故では人口集積、道路延長、平均速度と、道路構造に関係する地域特性が多く影響していたように思います。道路構造が複雑な環境でも安全に運転できる支援システム、葛巻様のご発表にありましたToyota Safety Senseに含まれるような機能が求められるのではないかと考えます。 以上が全国の傾向です。 ここからは「交通事故死“全国ワースト1位”返上」に関係する話として、愛知県の実態を見ていきたいと思います。
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