平成27年度 研究成果報告会開催記録
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- 10 - は30キロ以下にしないといけないと「わかった」のか、ゾーン30として面的にずっと30キロ以下で走らないといけないことが「わかった」のか、ということです。この実験にとっては大きな違いがあると思っています。 4つ目、30キロ規制を遵守させるだけではなく、ゾーン30の意味をしっかり理解していただくことが大切だと思います。面的に速度が低減する効果は得られているか、そういう効果が期待できるかというところも含めて、今後の展開に期待したいところです。 5つ目は費用対効果についてです。住宅地区内の一番の交通事故対策は通過交通の排除です。幹線道路が渋滞しているから住宅地区内に車が入るのであれば、幹線道路の渋滞をなくすのが一番ですが、なかなかすぐには実行できないので、住宅地区内での速度を低減させるDSDSの他、ハード的な対策をいろいろ行っていくことになります。DSDSが物理的な方策と比べてどの程度の費用対効果があるのかを測るのは難しいでしょうが、どんなメリットがあるかを整理していただけるとありがたく思います。 司会:藤田先生、どうもありがとうございます。 山﨑次長、これらの質問事項に対して回答をお願いいたします。 山﨑:まず1つ目ですが、お手元の資料でグラフを見ていただくと分かりますように、先生がおっしゃるとおり、刈谷のほうが効果が大きいように見えます。 その理由として、実験した場所が刈谷市のほうがより速度を出しにくい、速度を出してはいけないと感じさせる場所だったことが挙げられます。住宅地が両側に広がっていて、速度を出してはいけないだろうと思う方が多いと思われる場所でした。一方、豊田市の井郷の調査場所も住宅地が両側にありますが、途中でなくなってパッと開けるところがあるので、そこで速度を出してもいいかな?と思ってしまうような場所だったと思います。 2つ目、両実験とも「速度OK」「ゾーン30」「速度オーバー」の表示をするほうが効果が高いが、それはなぜかということですが、「ゾーン30」の表示を挟むことによって、ここがゾーン30であることが分かり、なぜ自分は怒られているかが分からないよりも、その理由が分かったほうが効果的だからだろうと思います。「速度OK」を出す効果も、褒めてあげることは行動変容を促すという研究結果がありますので、そこだろうと思っています。 藤田:「速度OK」は褒めてあげることにすごく効果があると思いましたが、「ゾーン30」は、後の質問でもありますが、本当にゾーン30の意味が分かっているのかというところです。ゾーン30って何だろうなと思いながら、「速度OK」で褒められたから、守ろうかという程度ではないか。実験や意識調査の自由コメントで何かあれば教えてください。その下の質問でもいいんですが。 山﨑:先生が今、言われた3つ目の質問ですね。 今回の実験の中で、ゾーン30とはこんなもので、こんな実験をやりますよというチラシは配っています。豊田市はアンケートと一緒に皆さんに配っていただきました。 ただ、先生がおっしゃるように、ゾーン30そのものの意味をどれだけ理解しているかというところは十分に把握できていないと思っています。モビリティマネジメント、情報を提供することによって人々の行動変容を促していこうということですが、そういったモビリティマネジメント分野の1つの取り組みかなと思います。今後の展開についても質問していただいていますが、ゾーン30とは何かということをもっと理解していただいた上で、その効果を測ってみる価値はあると思います。 藤田:4つ目の質問は、ゾーン30の意味を分かっていただいた上で、面的に効果が出ていますかということです。一路線だけで実験して速度が下がったと述べていましたが、ゾーン30の理解が進めば、他のエリアでも速度が下がる、モラルがよくなると

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