平成27年度 研究成果報告会開催記録
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- 2 - 最初に、生活道路の交通安全対策の必要性ということで、背景を整理しておきたいと思います。 こちらは車道幅員で見た交通事故の発生状況を示したグラフです。警察庁の資料です。黄色の棒が車道幅員5.5メートル以上の道路、ピンクの棒が5.5メートル未満の、いわゆる生活道路として使われているような道路での交通事故件数です。11年分のデータが載せてあります。この10年で幅員の広い道路での交通事故は43.1%減っています。幅員の狭い道路でも減っていることは減っていますが、33.8%にとどまっています。 右上のグラフは車の速度ごとに事故に遭った歩行者が死に至る率を表しています。横軸が速度です。時速30キロを超えると急激に致死率が高まっていることが分かります。 今、国を挙げて「ゾーン30」、面的に30キロ規制をしていこうという施策が展開されています。平成25年度末で全国1,111カ所が整備済み、平成28年度末までに全国3,000カ所の整備をしようという目標が立てられています。 こちらの図は豊田市元城地区のゾーン30のエリアです。ゾーンの入り口にカラー舗装を施したり、ハンプを設置したり、物理的なデバイスを設置しつつ面的に30キロ規制をしています。 しかし、ゾーン30のエリアを40キロ、50キロで走っている車がたくさんいるような状況では決して安全とはいえません。 ゾーン30を実効性のあるものにするための方策として、先ほど紹介したハンプや狭さくといった物理デバイスは確かに効果がありますが、地元との調整で整備が困難な面もあります。 そこで、その担保策としてITSを活用したシステム、つまり、物理テバイスに頼らない方法で規制速度遵守を促すシステムを検討しました。 「気づき」で行動変容を促すには、現状のゾーン30であることを示す看板や路面の表示だけでは足りないかもしれませんし、それを守らなければいけないという意識が芽生えていないかもしれませんので、速度に連動した可変掲示板を作って路側に設置し、公道での効果と地域住民の受容性を検証しました。実は過年度の調査で、実験室内、施設内での効果は検証済みでしたので、これを公道に持ち込んで、速度抑止効果を検証するとともに、住民からの評価・受容性を把握していこうということです。 速度情報掲示板はDSDS(Dynamic Speed Display Sign)といいますが、言いにくいので、ここでは掲示板、表示板と表現いたします。

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