平成27年度 研究成果報告会開催記録
37/63
- 6 - 次に、3つ目の項目、経営者の意識についてです。 経営者の今後の事業展望は地域によって差があります。 緑で囲った都市地域(大)、都市地域(中)、中山間地域においては、今後多角化していきたい、コミュニティバス、貸切バス、デマンド交通の受託を自治体から受けていきたいと回答をされた経営者の割合が比較的高くなっています。 名古屋においては圧倒的に現状維持という回答の割合が高くなっています。 都市地域(小)とされる地域は非常に厳しく、今後縮小したい、事業をやめたい、台数を減らしたいと回答された経営者が多くなっています。 意外だったのは、事業環境が厳しい中山間地域よりも多少人口規模の多い都市地域(小)のほうが将来に対してやや悲観的だったことです。中山間地域においてはバスもなくなっていて、自分のところが交通の面で大きな役割を担っている、地域からも期待されていると受け止めていらっしゃる一方で、都市地域(小)においては、バスや鉄道があるが、タクシーが成り立つほどの利用者がいない中で非常に厳しい経営を強いられているのではないかと推察しています。 実態調査のまとめです。 事業環境が厳しいほど、事業者の規模は小さくなる。 都市地域(小)とされた事業環境が厳しい地域の事業者は、交通施策への関与に積極的でないし、今後の事業展望も縮小志向にある。 名古屋は現状維持志向が強い。 交通課題の認識についてはいずれの事業環境においても低調であるし、課題解決のアイデアはさらに低調である。 実態調査の結果からは、最初に申し上げましたとおり、タクシーを取り巻く環境は非常に厳しいにもかかわらず、タクシー事業者の多くは手をこまねいているという現状が見えてきます。 これを路線バス業界と比較しますと、路線バス業界も15年ぐらい前まではタクシーと同じような状況だったと思いますが、コミュニティバスをはじめ、自治体が積極的に関与する施策がたくさん行われたことで、データの集積や取り組みが蓄積され、 これが結果として路線バスを下支えし、路線バス事
元のページ
../index.html#37