平成27年度 研究成果報告会開催記録
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- 3 - タは経営に直結する情報も含まれていますので、入手困難です。 利用実態が分かるデータがないといったことを背景に、タクシーを取り扱った研究も非常に少ない状況にあります。民間のタクシー会社さんによって経営が成り立っていますので、政策的な研究をやる実務上のニーズが少ないことも理由の1つです。先ほども言いましたように、データが一般公開されていないこともありまして、分析を行うことがそもそも困難ですし、研究やデータの分析についての意識が業界にも研究者の間にもあまりないという状況もあります。 こうしたことを背景に、本研究では、まず、タクシーがどういう状況なのかという実態を把握するため、実態調査アンケートを実施しました。 対象は中部地方、愛知、岐阜、三重、静岡、福井の5県、タクシー協会でいうと愛知、岐阜、三重、静岡、福井に名古屋のタクシー協会を含めた6つのタクシー協会に加盟している全部で404社の事業者です。 回収率は38.6%です。アンケートに慣れていない業界であることを考え合わせますと、比較的高かったかなと思っています。 アンケート項目は、車両数など事業の概要が分かるもの、市町村が実施している交通政策に関与しているかどうかという状況、3つ目がポイントですが、経営者が今後事業をどうしていきたいかという意識、という3つのパートに大きく分けています。 ただ、先ほど5県6タクシー協会と申しましたが、この地域は大都市から中山間地域までさまざまですので、ひとくくりに分析することはできないだろうと考えました。事業者の行動に影響を及ぼす要素として事業を行う環境、事業がやりやすいか、やりにくいかということが影響しているのではないかと考えまして、地域をクラスター分析という手法を用いて事業環境で分類し、分類された地域ごとに事業者の回答を集計しました。 事業環境を分類するにあたって使った変数がこちらです。 タクシーをどういうときに使うかと考えると、皆さん、心当たりがあると思いますが、お酒を飲んだとき、飲み過ぎて深夜になったとき、出張などで遠くへ出掛けたとき、鉄道やバスなど他に交通手段がないとき、これがタクシーを使う状況だろうと想定して、それを表現する変数として「人口」「駅・バス停密度」「飲食店密度」「事業所密度」を設定しました。 「人口」は、需要全体の規模を表現、つまり、人

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