平成27年度 研究成果報告会開催記録
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- 9 - なかなか手放せません。道交法の改正が今、国会審議中ですが、75歳以上の免許保有者は認知症の恐れと判断されたら、事故を起こす、起こさないに関係なく、医師の診断によって免許を返上させられることになります。今国会で恐らく決定します。そういう状況の中、移行策はどうするのか。私どものNPOのテーマでもあり、研究しようと思っていますので、そういうことについて議論したいと思います。 4つ目は、中山間地は過疎地で交通不便だから公共交通、そしてコンパクトシティに移行ということですが、逆転の発想はないかということです。公共交通は共助型のボランティアでやっていこうというのが大勢ですし、それは否定しませんが。 最近、ロボタク、要するに自動運転システムを生かした無人タクシーをベンチャービジネスで、というニュースが発表されましたが、規制の厳しい中心地ではなく、過疎地で導入できるのではないかと考えています。2年ぐらい前にある学者からその話を聞いたときは、過疎地において無人運転なんてあり得ないと思ったんですが、意外とありかもしれないと思っています。逆転の発想で取り組むことも必要ではないかと思います 以上4点、感想として申し上げます。何かの参考になれば、あるいは、フロアとのやりとりができればと思います。 司会:河野様、ありがとうございました。高齢者としてかなり実感のこもったコメントとご質問をいただきました。 樋口さん、ただいまのコメントとご質問に対して回答をお願いします。 樋口:ありがとうございます。研究成果を踏まえてご回答させていただきます。 1つ目、アンケートの精度向上策についてです。 今回は紙ベースのアンケート調査を行いましたが、年齢が高くなるにつれて未回答率が高くなります。60代、70代の人は全回答していただいていますが、80代後半から90代の方は未回答が多かったという課題です。 今回は活動の実態を明らかにする調査でしたので、こういう分析をさせていただきましたが、生活に困っている方の実態把握にはこの方法では限界があるだろうと思います。 今年度は地域に実際に入ってヒアリングを行いたいと考えています。対面でないと聞けない部分もあろうかと思いますので。そういったところがアンケートの精度向上策かと思います。 ただ、ヒアリングにはお金と時間がかかりますので、独居老人のお宅を回っている民生委員の方を代表として、民生委員さんとヒアリングしながら地域の実態や課題を明らかにしていくことも精度向上策の1つではないかと考えています。 2つ目、公共交通利用促進策についてです。 今回はソフト的な側面の利用経験に着目し、公共交通を身近に感じてもらいたいという視点で報告させていただきました。地域で会合があるときは公共交通を使って参加するとか、豊田市の本庁で会議があるとき、中山間地域の代表者にはおいでんバスの回数券を渡して、おいでんバスで来ていただくとか、身近に公共交通を使える環境を整えるべきかと思います。 ハード的な側面では、運転状況の実態を見ると、近所は運転されている方が結構いらっしゃいました。高齢でも近所だけは運転できる方がバスに乗りやすいように、バス停の周りに駐車場をつくるパーク・アンド・ライド、鉄道駅に駐車場を設ける対策がよく行われていますが、中山間地域ではバス停と駐車場を一体的に整備するのも1つの方向性かと考えています。 3つ目、高齢者の免許返納に関してです。 免許を返納した後に代替手段があるかどうかが一番効いてきます。他の既往研究でもそういう方向性がまとめられています。代替手段を確保することが1つです。 それと、身体的な能力、認知的な能力という免許の基準を今後、厳しくしていくことに国も力を入れるようですが、一方で高齢ドライバーの方の任意保険の加入率が低下しているというデータもありま

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