平成27年度 研究成果報告会開催記録
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- 2 - 続きまして、高齢者モビリティという用語の解説をさせていただきます。 日本では65歳以上の高齢者が25%を超え、超高齢社会に突入したといわれています。政策や対策、サービスを含め、いろんなものが展開されていますが、内閣府の「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」では、高齢者の実態と捉え方の乖離、これまでの人生65年時代のままの仕組みでは限界に来ているという指摘がなされています。 高齢者のモビリティというのは高齢者の移動性という意味ですが、これも一昔前とはちょっと変わってきています。都市圏別に10年に1回行われているパーソントリップ調査の結果を10年前と比較しますと、外出している高齢者のトリップ数、目的地まで行く移動の数が増加していることが分かります。 この理由として、免許をお持ちの高齢者が多くなっていることが挙げられます。免許をお持ちの方が自動車を運転して外出することが10年前の約2倍になっているという移動の実態が明らかになっています。 先ほども述べたとおり、中山間地域は公共交通のサービスレベルが非常に低くなっていますし、自動車を運転される高齢者が多くなっていることもあって、公共交通の存続が経営的な視点で非常に難しくなっています。高齢化に伴う運転手不足も大きな課題の1つです。 本研究では、公共交通の存続が困難であるという問題提起に対して、地域に即した対策の検討が必要だと考え、昨年豊田市の中山間地域を対象に高齢者の日常生活の実態を把握するアンケート調査を実施しました。モビリティの実態と今後の移動手段の利用意向に関する分析を踏まえ、中山間地域における短・中期的な視点でのモビリティ確保に向けた方向性を考察いたします。 アンケート調査の対象地域は、中山間地域に指定されている8つの地区の中で、65歳以上の高齢者だけがお住まいの世帯の割合が多い旭地区、限界集落になる可能性がある指標として高齢化率75%以上、世帯数20世帯未満という基準が国から出ていますが、この基準の該当した集落が多い小原地区、そして、高齢化率は30%と高いものの、過疎地ほど高齢化に対する危機感が低い石野地区、この3地区です。 高齢者がお住まいの世帯を対象に、世帯に1票ずつ町会長さんにポスティングをお願いして調査をさせていただきました。回収率はトータルで約70%です。たくさんのデータを回収できたのは、非常に関心のある調査であることと、町会長様の多大なるご協力によるものと感謝いたします。
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