平成27年度 研究成果報告会開催記録
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に乗っていただきたい、見ていただきたい、車両開発という意味でデータをとっていきたいといったことで、今後は藤岡へ走っている路線や渋谷線という東側をずっと走っていく路線への展開も予定しています。 豊田市、行政にとっての燃料電池バス導入に向けた実証の目的は、路線バスへの燃料電池バスの車両導入に向けた課題の抽出と、運用上の対応策の検討です。一方、トヨタ自動車さんにとっての目的は、バス車両の研究・開発・市販化です。2016年度の市販化を目標にしていると伺っています。 次に、実証を通じて分かってきたことです。 まず、車両の整備については、通常バスはそれぞれのバスの運行事業者さんが車両基地で行いますが、この車両は市販化されたものでなく、トヨタ自動車さんが直接整備していますので、何も分かっていません。 ただ、保管をはじめとする管理については、運行をお願いしている名鉄バスさんで行っていただいていますが、一般のバスと何ら変わりはないと伺っています。 燃料充填についてですが、通常大型バスは車両基地で給油ができますが、燃料電池バスは水素ステーションまで走らせなければいけないことから、その分だけ運転手さんの時間のロスも含めて若干負担がかかるのかなと思います。 また、乗務員の方には、一定の基礎的知識を学んでいただく、あるいは、車両の感覚をイメージしていただく等、事前教育が必要です。 燃料費についてですが、今、水素は1キロ1,000円から1,100円とガソリン並みの単価ですので、一般のバスが使っている軽油と比較するとどうしても費用という意味では負けてしまいます。 インフラ整備の状況についてお話ししますと、現時点で豊田市内には、とよたエコフルタウン水素ステーション、豊田インターチェンジ水素ステーションと2カ所あります。どちらも大型バスにも対応可、大型対応可です。 ただ、今後インフラを整備するとき、水素ステーション単独では成り立たないので、ガソリンスタンドとの併設になります。豊田インターチェンジ店も既存の給油所、ガソリンスタンドと併設になっています。後から水素を充填するためのスタンドをつけることになりますので、どうしても動線がスムーズでなく、一般車と交わってしまったり、バスが入ることを考えられていなかったり、乗り入れに段差があったり、なかなか大型対応ができない状況にあります。豊田インターチェンジ店については大型対応可能なようにバス事業者などとも調整して可能にしましたが、そういった問題がございます。 次に、車両性能についてです。現在走らせている東環状線は往復30キロ強あります。それを3往復ですので、そこまで走っていく分も含めますと100キロ前後走ることになります。1回の充填で1日3往復分です。軽油で走らせている一般のバスなら1回の給油で6往復と倍ぐらい走れます。現在の車両の性能といいますか、スペック、タンクの容量からいきますと、通常のバスの半分程度、給油等に関しては倍ぐらいかかることになります。 1月から走らせてきていますが、車両については非常に信頼度が高く、故障等はありません。 ただ、インフラについては今、申し上げたとおり、大型対応を視野に入れた整備をする必要があります。そうでないと今後、燃料電池バスを導入するときの障壁となります。全国で導入を検討される場合には、車の購入や運用の面だけではなく、インフラ側への配慮もお願いしたいところです。単純に水素ステーションがあれば運行できるというものでもないということです。参考にしていただければと思います。

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