平成26年度 研究成果報告会開催記録
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- 45 - 危険性を評価する取り組みがありますし、最近ですと、国交省は急減速のことをヒヤリハットと呼ぶ場合もあるようですが、そういうデータもある中で、地元企業の方々を対象に大規模なアンケート調査をして主観的にデータを捉える方法をとった意義について改めてご紹介いただきたいと思います。 安全対策は危険箇所の抽出、診断、対策という手順で行いますが、今回の結果をどういうふうに使うことを想定されているのでしょうか。もちろん今回の方法でないとできないこともたくさんあるでしょうし、逆に客観的な手法のほうが望ましい場合もありますから、それぞれの手法のメリットとデメリットを考えた上で、この研究の位置づけをしていただけるとありがたく思います。 2点目。リスクは「頻度」と「重篤度」の積で表されるとご説明がありましたが、これはごく一般的に定義され、よく使われるものです。今回は「重篤度」の高いところの特性について主にご紹介いただきましたが、逆に「重篤度」はそんなでもないけれども、しょっちゅう事故が起こるのはどういうところか、それは「重篤度」の高いところとどう違うのか、さらに、それを掛け算したトータルでリスクが高いところはどういうところか、せっかくこういった指標で検討されているのですから、その辺にも興味がわいてくるところです。 3点目。ヒヤリハットした回答者が車を運転していたのか、歩行していたのか、自転車に乗っていたのかというモードの別によっても指摘する箇所は違ってくるのではないかと思います。これだけたくさんのサンプル数があるのですから、その辺の情報も教えていただきたいと思います。 4点目。プレゼンテーションの最後のほうでも触れてもらっていますが、アンケート調査で抽出された箇所以外にも予防しなければいけないところが出てくると思います。それはできるだけ客観的な状態量を使って推定したいわけです。道路構造や交通特性、沿道の状況、こういったものとの関係がどうなっているのか、考えているところを教えていただきたいと思います。 司会:中村先生、ありがとうございました。 4つの質問をいただきましたので、福本さん、リプライをお願いします。 福本:1点目のご質問は、アンケート調査という主観データに基づく分析の意義だと思います。 過去に研究所で、私ではないですが、急減速のデータを使ってヒヤリハットの分布を研究した例がありますが、急減速は地点や状況より、むしろ運転者の特性に依存することが多いという結果だったと聞いています。つまり、運転の荒い人は急ブレーキをすぐに踏んでしまうとか、そういった傾向にあるようです。プローブデータを使ったヒヤリハット分析が発展途上にある中で、運転者が本当に怖いと思った地点を把握できるという意味でアンケートもメリットがあると考えています。 もう1つ、アンケートに回答していただくと、ここはこうしてほしいとか、ここはこういうことがあって危ないといった情報も一緒に入ってきますので、対策につなげる際の1つの情報として有効かと考えています。 2点目です。今回は「重篤度」に着目しましたが、それぞれの類型別の事象の死亡率のデータを得点化して、メッシュや地点ごとに積算していくやり方もあるかと思いますので、今後そういった展開ができればと考えています。 3点目です。1,200件強の回答のうちの1,150件ぐらいは車を運転している状況での回答でしたので、自転車、歩行者の立場ではどこを危険だと感じたかというのは、今回の結果ではあまり分かりません。 今年度、同様のアンケート調査を豊田市内全域の小学4年生及びそのご家族の車を運転される方を対象に実施する計画があり、既に進めています。歩行者が見たときの危険箇所と運転者が見たときの危険箇所の違いがあぶり出せるのではないかと考えています。 4点目については、先ほど最後のほうで私が申し上げたところもありますが、道路構造について非常に限定的ではありますが分析をしたところ、道路幅
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