平成26年度 研究成果報告会開催記録
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- 43 - まず、この19地点と交通事故地点と比較しました。当研究所には豊田市内の事故データについては過去の蓄積がありますので、そちらと付き合わせをしたところ、平成20年から24年の間に死亡重傷事故が発生しているのは、豊田市内の15地点のうち2地点だけでした。あとの13地点は、事故は発生していないが、危険であると普段ドライバーの方が思っているところということになります。 それぞれの地点に実際に行って、指摘が実際の交通状況と合っているかどうかを確認してきました。今回は「重篤度」の高い指摘の多い上位4地点のうち、豊田市道福谷一色線からみよし市道三好丘緑線の区間の結果だけをお見せいたします。ちなみに、ここは車両相互の正面衝突の指摘が15件、出合い頭事故の指摘が4件、人対車両の対背面通行中の指摘が2件ありました。 ①の写真がこちらです。宮口のほうから愛知学泉大学の横を通って、みよしのほうに抜ける道です。三好丘緑3丁目に信号がありますが、多くの車が豊田市の愛知学泉大学側からみよし市に抜けていきます。もともと交通量が非常に多いのですが、道がみよし市に入ったところで急に狭くなりますし、さらにここには交差道路も存在しますので、車が集中しているところに横から車が入ることが日常的に起きています。ヒヤリハットの指摘、正面衝突や出合い頭事故の指摘が多いことも納得できます。 ②の写真はこちらです。愛知学泉大学のほうから長い下り坂になっているので、速度が出やすいですし、愛知学泉大学の辺りまでは歩道がありますが、その先は歩道がなくなってしまうので、学生さんが歩いていたりすると、急に歩行者が出てきてびっくりしてしまうというようなことです。 このような現地調査を行ったことで、指摘の多さ、内容と現地の状況が合致することが確認できました。これは他の地点についても同様でした。 まとめますと、本研究では、リスクアセスメントの考え方を使って、交通事故発生時の死亡割合を基準にヒヤリハットデータを客観的に解釈する手法を提案し、その手法の有効性を検証するため、アンケートによる大規模ヒヤリハット調査を行いました。その結果、「重篤度」の高い事故危険箇所19地点が抽出できました。 課題と今後の展望としては、抽出された地点の道路交通上の特徴の整理と、具体的にどう対策するかという対策の立案手法が課題として残っていますので、この辺りについて検討を深めていきたいと思っています。また、今回は「重篤度」に重きを置いた分析をしましたが、今後は「重篤度」と「頻度」、両方のバランスを考慮した対策の優先順位づけの手法についても検討していければと思っています。

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