平成26年度 研究成果報告会開催記録
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- 39 - 集される加減速等の車両挙動データのことです。ドライブレコーダーは、ビデオカメラを車両につけておいて、急加減速があったときにその状況を記録するものです。 本研究では、少し先祖返りのような形ですが、アンケートによって広く市民からデータを集めたいということで、ヒヤリハットのアンケート調査を実施しました。 当研究所ではこれまでもヒヤリハットのアンケート調査を何度も行っていまして、その中から幾つかの課題が見えてきています。 それは、調査結果の解釈が非常に困難であることです。まず、どうしても回答者の主観に基づく回答になりますので例えばここで怖い思いをしたとか、ここで車に引かれそうになったとか、怖いと思ったシーンが出てきますが、それが本当に危ないものなのか、それとも、事故になったとしても大したことがなかったのか、なかなか判断できないところがあります。 もう1つは、偶発的な問題なのか、恒常的な問題なのかというところです。たまたま変な車がいて、すごく怖い思いをした場合もあるでしょうし、例えば見通しが悪いとか、道路のマーキングが消えかけているとか、道路構造上の問題でいつも非常に危険を感じる場合もあります。 そこで、ヒヤリハットアンケートの結果を客観的に解釈する手法をつくりたいというのを本研究の1つの大きなテーマとして設定し、研究目的をヒヤリハットのアンケート調査結果から事故危険地点を抽出する手法の確立と定めました。 客観的にヒヤリハット調査の結果を解釈するために本研究が着目したのがリスクアセスメントという考え方です。今回は「発生の可能性」と「重篤度」という2つの観点からアンケート調査の結果を解釈しました。リスクアセスメントは労働災害防止の分野で非常になじみが深く、豊田市には製造業の方もたくさんいらっしゃいますので、そういった方からすると当たり前だろうと思われるかもしれませんが、今回はその考え方を交通安全に適用しました。 リスクアセスメントにはいろんなやり方があるようですが、本研究ではマトリックス法を使い、「発生の可能性」と事故になった場合の「重篤度」という2つの軸を使って危険な事象のリスクを評価しました。 「発生の可能性」は指摘の多さを元に、危険な指摘がたくさんあったところは危ない可能性が高いと判断しています。アンケート調査結果から分かったヒヤリハット地点を地図上にプロットし、多く指摘がある地点を把握しました。
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