平成26年度 研究成果報告会開催記録
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- 26 - 豊田市の交通混雑の軽減です。交通円滑化は研究所の4本柱の1つでもあります。通勤交通をターゲットに、その集中発生源である企業とその従業員を対象に活動を開始して、各種TDM施策の社会実験をしながら展開していったということです。 これまでの活動のポイントの1つ目は、視点の拡大です。CO2の削減という環境を取り込んだことがそれにあたります。もう1点は健康という個人の効用を踏まえて、個人の意識の変容から行動の変容に持っていこうとしたことです。 2つ目は、活動の組織化と拡大です。豊田市にある研究所として冒頭ご紹介があった特徴を踏まえ、豊田市と商工会議所、企業、研究所を核に、事業所で構成するような組織化を図っています。参加事業所の拡大のみならず、平成25年度には市民もターゲットに含み込むような形で展開しています。 3つ目は、啓発活動の広がりです。市民あるいは企業なりの意識に働きかけ、エコ交通という形で交通行動の変容までをもたらすのは非常に難しい取り組みだと思いますし、成果が見えづらい点もあるだろうと思いますが、最初の段階ではさまざまな道路交通円滑化施策、TDM施策と連携して展開し、その後、各種イベントあるいは研究所が研究活動として提言していったようなことの社会実験との連携が行われています。非常にユニークなのは啓発のキャッチフレーズです。「TDMの日」「のりあいエコデー」「チャレンジECO通勤」、さらに最近は「エコ交通」まで持ってきています。Web上でのモビリティマネジメントに対しては手法の開発で、TFPシステムの開発と実践を重ねてきています。調査研究機関である研究所による効果測定、先ほど言った渋滞度等々ですが、それを織り込みながら公表している点に特徴があるような気がします。 「豊田エコ交通をすすめる会」活動の意義と特徴を私なりにまとめてみますと、豊田市と研究所が目指している「環境モデル都市」「交通モデル都市」「かしこい交通社会」、こういう目標実現を下支えする重要な活動といえます。施策をより効果的に出していくためには、やはり市民や企業の意識と行動変容に地道に働きかけていくことが必要です。これがない限り、目標達成は難しいだろうということで、こういうことを狙っている点が1つの特徴です。 2つ目、豊田市と研究所、民(企業・市民)をつなぐ非常に重要な活動です。交通まちづくりを展開する上での実践的な活動として位置づけられます。 3つ目、先ほど言いましたように、発展させつつ、20年あまり非常に地道に連携しながら継続している活動であるというところにも特徴があります。 4つ目、研究成果と連携した活動でもあります。豊田都市交通研究所としてさまざまな研究活動をされていますが、これはその成果の実務的還元であり、逆に、こういう実践的な啓発活動から出てくる課題を研究課題として展開していくという連携も見られる活動です。 5つ目、地域に根差して世界を視野に入れるという設立当初の理念を体現する研究所を特徴づける活動の1つといえると考えます。 冒頭に言いましたように、なかなかマクロ的な成果が見づらいところもありますが、今後の展望と方針にもありましたように、より発展的に継続することを期待していますし、差し出がましいかもしれませんが、ご参会の方々のいろんな形でのご支援を期待したいところです。
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