平成26年度 研究成果報告会開催記録
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- 11 - 終的にはこのシステムがあることで事故がどれぐらい減るのかという事故削減件数を知りたいわけですが、それは理屈としては、システム支援があれば救えた可能性のあるシステム支援対象事故件数と、実際に支援によって回避できたと推定されるシステム有効率、さらにはインフラの普及率や車載器の搭載率、そういったものの掛け算で出ます。そのうち今回は、システムの有効率を先ほどお話ししたような形でトライしています。 まず、青信号で交差点に入った後、接近する対向直進車があったとき、Bの表示を見て、そこに踏みとどまることと、もう1つ、対向車が来ているのに曲がろうとしたけれども、ピピッと鳴る(C)ことで、踏みとどまること、このBとC、2つのケースの件数を、先ほどの5秒以内という切り口で計測、評価しました。 式はいろいろ書いてありますが、結果はここに書いてありますとおり、見通しの悪い交差点ではBとCの効果を合わせて約0.5、見通しのよいところでも約0.1の有効率が出ています。有効率0.5というのは100件の危ない右折が50件になったとご理解いただいても結構な値です。 さらに、ドライバーの属性によって有効率の評価を計算してみますと、29歳以下の若齢の方々は危ない右折が圧倒的に少なくなって、0.87ぐらい有効に働いています。60歳以上の方々は0.57です。男女別では特に女性の方が約0.7。さらに、事故歴をヒアリングでお聞きした上で解析をしたところ、事故歴のある場合は約0.8の有効率がありました。 ドライバーの方からは、いつもより右折がしやすかった、安心して右折できる、周囲を確認する余裕ができた、運転負荷の低減になった、こういうコメントをいただいています。我々も開発者として日々これを使っていますが、ほぼ同じような感覚を持っています。 アンケート結果も飛ばし飛ばし行きますが、提供された情報を参考にしたか、安全運転に貢献するか、システムを使いたいと思うか、幾らなら買うか、こういった質問に対して皆様には前向きに答えていただいています。 警察庁さんとこういった結果を共有させていただきながら、インフラの配備、我々としては車載器の普及についてご相談させていただいています。 少し話がかわって、今年度、非優先道路から出ていくときの出合い頭衝突防止について実験を行っていますので、簡単にご紹介いたします。 目的は、信号機のない交差点での出合い頭の事故を路車間の協調システムで減らすことです。
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