平成25年度 研究成果報告会開催記録
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山﨑さんがされた研究の結果と市の結果が違うということは、もし山﨑さんの研究の評価の形、ネットワークの形が正しいとすると、実は豊田市が設定した目標値、基準値の設定が怪しくなる可能性もあります。すなわち、地域バス、おいでんバス、それぞれ1割と4割、あるいは人数を設定していますが、実は同じおいでんバスでも地域によって値が違う、同じ地域バスでも地域によって違う、そういう目標値の設定が必要ということを示唆していたのかもしれません。それはおいておきましょう。 ここで幾つか質問あるいは論点ということで話題提供させていただきます。 1番目の質問です。路線長、バス停数、車両台数、運行本数、延べ運行時間等々ありましたが、これは結局、運行経費を入力として、それの出力ではないでしょうか。逆に言いますと、路線長が長ければ長いほど運行経費がかかりますし、バス停数はあまり関係ないかもしれませんが、車両台数が多ければ多いほど、運行本数が多ければ多いほど、結局運行経費がかかると思うのです。ところが、山﨑さんが示されたモデルは必ずしもそういう形になっていません。インとアウトが違うのではないかと思います。なぜモデルをああいう形にしたのかを教えていただければと思います。 2番目。どんぐりの背比べだったらどうするのかということです。豊田がそういう状況だというのではありませんが、もし豊田で走っているバスがどれもこれも非効率的でも、DEAの場合、その中でも一番いいのを基準にした評価になってしまいます。果たしてそういう評価でいいんだろうか。逆に、とてつもなく素晴らしい効率的な路線が1本だけあったら、他は全部悪くなってしまいます。その辺はいかがでしょうか。 山﨑:1つ目のご質問ですが、私どももそういったことを考えています。ただ、DEAの分析では、どんなものでも入力になるし、出力になります。先生が書かれているのは、素直に考えればごもっともですが、果たしてそれが一体何を表しているのかということです。今は市が事業者さんに委託しています。いくら払って、どれだけサービスを提供してくれているかという評価は事業者評価、事業者がどれだけ頑張っているのかという評価になってしまうと考えます。 2つ目の質問は難しいですね。今回地域バスは松平ともえ号がすごくいい成績でしたが、その理由はきちんと分析できていません。分析しなければいけないと思っています。 松本:ありがとうございます。それで結構だと思います。結局事業者の評価になります。逆に言うと、事業者に対して、それは効率的じゃないんじゃないの?みたいなことを見ることも可能かなとも思います。 では、論点です。山﨑さんは今回あえて効率性だけで話をされたと思いますが、そもそもコミュニティバスは効率性だけでいいんだろうかという根本的な問いです。 もちろん、効率性が不要というわけではありませんが、こればかりを前面に出されると、私も地域公共交通、幾つかの市町でお手伝いさせていただいていますが、「いやいや、それは違うでしょう」と言わざるを得ません。 やはり有効性、これは先ほどの繰り返しになりますが、そもそもなぜコミュニティバスを走らせているのか、その目的にあっているか、その目的を達成できているか、そこを評価する必要があるのではないかと考えます。効率性という軸である限り、車にも乗れないし、足腰も悪い、そんなお年寄りを1人だけ運ぶバスより、元気で通勤手当ももらっている10人の通勤者を運ぶほうがいいとなるでしょう。やはり目的に合わせた評価が必要ではないかと考えます。 もう1つ重要なのは、地域の努力を測っていないという点です。 そもそもコミュニティバス、これからの地域公共交通には、地域の方々の協力が不可欠です。行政だけで走らせて、行政だけがサービスを提供して、それでうまくいく時代ではありません。地域とともに築いていく、地域とともに育てていくことが不可欠― 24 ―

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