平成25年度 研究成果報告会開催記録
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豊田市の「公共交通評価」は?4チェック1:運行経費に対する負担割合「運賃収入等により運行経費の4/10(地域バスは1/10)を確保」チェック2:沿線人口に対する利用者数「沿線人口100人(地域バスは高齢者人口)6.4人/日を確保」チェック3:各主体からみた必要性(定性的指標での評価)「沿線住民」「利用者」「行政」それぞれにとっての必要性他にもさまざまな評価方法・視点・指標がある。【自主研究として】2010年:サービス享受度からみた住⺠の公共交通評価構造2011年:バスの⽣み出す価値概念の整理とバス評価への適⽤2012年:自治体バスの効率的運営に関する研究 ここで豊田市が行っている公共交通評価をおさらいしてみたいと思います。 豊田市はチェック1、2、3という3段階の評価を実施しています。平成19年度に策定しました公共交通基本計画の中で3年サイクルのPDCAを回しながら評価していくことをうたっていまして、公共交通評価のための会議を設置して評価をしています。もちろん私どもも全力でお手伝いさせていただいています。今年度は豊田市が2回目のバス評価を実施する年です。 チェック1は、運行経費に対する負担割合です。先ほどの収支率です。運賃収入等によって運行経費の10分の4、地域バスの場合は10分の1を確保しようという評価基準を設定しています。 チェック2は、沿線人口に対する利用者数です。沿線人口100人あたり、地域バスは高齢者人口100人あたり、1日の利用者6.4人を確保しようという基準。 チェック3は、各主体からみた必要性で、定性的指標で評価します。チェック1、2のような定量的な評価、定量的な指標では合格できない路線にもいろんな地域事情があるはずだからです。そもそも人口が減ってきている中山間地域を走らせるバスですから、あまりお金もかけられないけれども、人口あたりで考えるとお金もかかってしまうし、利用者も少ない。そんな地域の事情を踏まえ、もう少し他の指標が必要だろうということで、沿線住民、利用者、行政、それぞれにとっての必要性を評価します。 今回報告する研究•さまざまな要因を包含した、多面的な評価は?•ネットワーク全体を見据えた評価は?•評価値を向上させるためには、何をどうすれば良いのか?⇒具体的な改善策に結びつく評価方法は?5「効率性」という視点から、Network‐DEA により分析•「サービス提供実態(投入する施設・費用など)」に対して「運行実績(運行時間、利用者数など)」がどうであるか、を「運営効率性」と定義。•豊田市の運営するバス(基幹バス・地域バス)を例に、運営効率性を分析。 豊田市はこんな評価をしていますが、本日の主題はここではございません。先ほどお話ししたように、他にもさまざまな評価方法や視点、指標があります。 私どもは自主研究としまして、2010年には、サービス享受度からみた住民の公共交通評価構造を、市の企画課から2年に1度行っている市民意識調査のデータをお借りして分析しました。サービス享受度というのは、その方がどれくらい公共交通を使える状況にあるかということで、最寄りのバス停や駅からどれくらいの距離に住んでいらっしゃるかを条件として設定して、それから見てどんな評価をしていらっしゃるかということを分析しました。 2011年には、バスの生み出す価値概念の整理とバス評価への適用ということで、先ほどお話ししました非利用価値、利用していない方にとっても価値があるだろうということを研究しています。 2012年は、自治体バスの効率的運営に関する研究ということで、効率性をキーワードに研究を行ったわけです。 今回はあくまでも効率性という言葉を使っていますが、効率性といいますとあまり印象はよろしくないかもしれません。効率第一じゃないだろう?と言いたい方もいらっしゃるかと思いますが、先ほどお話ししましたように、さまざまな要因を包含した多面的な評価をしていきたい、ネットワーク全体を見据えた評価をしていきたい、評価値を向上させるためには何をどうすれば良いのか、具体的な改善策に結び付く評価をしたいとの思いから設定したものです。例えば評価した結果、このバスは駄目だとなったときにも何をどうしていけばいいのかが具― 18 ―
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