平成23年度 研究成果報告会開催記録
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- - 23②交通から土地利用、両方向の影響があります。 1つ目の交通から土地利用への影響についてですが、どこに住むか、どこに店が建つかといった土地利用は、車や鉄道、バスなどの便、交通の便の良し悪しによって影響されるということです。通勤しやすいところに住むでしょうし、店はお客さんが来やすいところに立地するといったことです。 2つ目の土地利用から交通への影響ですが、どこからどこへ移動するかという交通は、出発地や目的地、これが土地利用になりますが、これがどこにあるかによって影響されます。交通は、どこに人が住んでいるとか、どこに工場があるとか、どこに商業施設があるかに影響を受けるということです。 これらの相互作用によって、土地利用と交通が決定されると考えます。 12土地利用・交通(LUT)モデルとは?土地利用・交通(LUT)モデルとは?土地利用と交通の相互作用を分析する道具地区A地区C地区B②商業施設が立地既存住宅地①道路が整備④住宅が立地例えば、・・・このような状況をシミュレーションできる③車移動(買物)⑥バス移動(買物)⑤バスが整備 このスライドで簡単な例を示して、土地利用・交通モデルでどういうことができるのかお話します。 A、B、Cという3つの地区があって、Aの地区にだけ既存の住宅が立地しているような状況をイメージしてください。A、B、Cを結ぶ道路が整備されると、交通の利便性が上がって、既存の住宅地がある地区Aの隣の地区Bに商業施設が立地します。商業施設が立地した結果、地区Aと地区Bの間に、車による買い物交通が発生します。一方、地区Cにも、地区Bに商業施設が立地した結果、新たに住宅地が立地します。その次に、地区Bと地区Cの 間にバスを整備したとすると、地区Bと地区Cの間にバスによる買い物交通が発生します。こういった土地利用・交通の相互作用をシミュレートし、分析 できるものが土地利用・交通モデルです。 13さらに、社会・環境・経済の面から評価さらに、社会・環境・経済の面から評価地区A地区C①道路が整備②商業施設が立地地区B既存住宅地④住宅が立地③車移動(買物)⑥バス移動(買物)⑤バスが整備移動利便性、居住環境、災害等に対する安全性等(生活環境の質)社会移動(交通)、道路等社会資本の維持により発生する環境負荷環境社会資本(道路等)等の市街地維持費用経済トリプルボトムラインで評価 こうやってシミュレートしたものを、さらに社会、環境、経済の面から評価していきたいと思います。 1つ目の社会は、移動の利便性、居住の快適性、災害等に対する安全性など、住民の生活環境の質に関わる部分です。 2つ目の環境は、移動や社会資本の維持により発生する環境負荷です。 3つ目の経済は、ここでは社会資本等の市街地を維持していくために必要な費用です。 これら3つをあわせて、トリプルボトムラインといっています。 14トリプルボトムラインとはトリプルボトムラインとは①もともとは、企業の持続的経営の面から提案されたコンセプト②企業が経営を持続していくためには、経済(利益追求)だけではなく、環境、社会を加えた3つ(トリプル)の視点が必要–環境:労働環境、局地環境、地球環境等–社会:地域社会への貢献等ボトムラインに環境、経済を追加 トリプルボトムラインは、もともと企業の持続的な経営の面から提案されたコンセプトで、企業の経営を継続していくためには、経済、利潤の追求だけではなく、環境、社会という視点も加えていく必要があるという考え方です。 34

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