平成23年度 研究成果報告会開催記録
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そして、EDMS価格と系統電力の差をポイントとして還元するわけです。 このグラフでいいますと、真ん中の横軸、黒い線が系統電力の価格、棒グラフの頂点を結んだ曲線が疑似電力価格の推移で、上に行くほど安い、下に行くほど高いとお考えください。左から右に時間が流れています。赤いところが左側に2カ所、右側に4カ所ぐらいありますが、ここが朝と夜、家庭の電力消費が非常に多いので、EDMS価格は高くなり、ポイントはマイナスとなる。他の部分は深夜や昼間、使用電力が少ない、あるいは、太陽光発電量が多くクリーンな電力の需給に余裕があるところです。その時間帯はEDMS価格は安く、大きなエコポイントが還元される。お得だから、この時間帯に電力を使おうとか、そういう行動につなげていただければということです。 EDMSが提供するいろいろな情報や行動アドバイスは、様々なインターフェースを使い、生活者の方に気軽にアクセスしていただけるようにしたいと考えています。ウェブのポータルサイト、スマートフォン、専用のフォトフレーム、こういったものを通して常に見える形にすることで、生活者の方にエネルギーを意識した生活を快適に送っていただきたいと考えています。 最後に、移動、交通に関わる低炭素の取り組みです。 左側のグラフは先ほどもご覧いただいたセクター別のCO2排出量です。自家用車と運輸部門もあわせて、交通分野は非常に大きなウエートを占めています。 もう1点、右側のグラフは、豊田市の人口構成、年齢構成の推移を示したものです。豊田市では、人口が持続的に増加していますが、同時に高齢化もかなり進展していて、60歳以上の割合がここ10年で約8%増加しています。これは周辺の市町村より1割以上速いペースであると聞いています。こうした高齢化の進展も踏まえた交通面での取り組みが重要であると考えています。 これが低炭素交通システム取り組み全体のイメ ージです。公共交通手段の拡充、利用の促進、当然ながら、車自体の次世代自動車の普及の促進、あるいは、ITSを使った渋滞の解消、エコドライブの促進、こういった取り組みを総合的に進めていきます。 交通分野では、豊田市が2009年に環境モデル都市の選定を受けたときから、先行して画面にありますようないろいろな取り組みが始まっています。左上の写真は、先ほども触れました豊田市さんでのプラグインハイブリッド車の活用。左下は、「おいでんバス」と呼ばれています豊田市の基幹バスですが、その一部に、愛知万博でも活躍した、私どもトヨタ自動車の燃料電池バスをご利用いただいています。 こういった既存の取り組みに加えまして、今年度からは新しい開発テーマにも取り組んでいきたいと考えていまして、その1つがTDMS(Traffic Data Management System)です。先ほどエネルギーのところで申し上げましたEDMSと同様、天候やイベントの有無等々を含めた交通需給の予測をし、それに基づいて、例えば明日は電車でお出掛けいただいたら、何らかのエコポイントをさしあげますよとか、エネルギーと似たような行動のアドバイスをしていくようなシステムです。まだ概念的な段階ですが、そんなことを考えています。 もう1点は、ワンマイルモビリティです。車のまち豊田市で公共交通の利用促進がなかなか進まないのは、やはり車のドア・ツー・ドアの利便性にな かなか勝てないということだと思います。また、今後の高齢化の問題を考えますと、最寄り駅からの最後の一足が負担になる方が増えてくることも考えられます。そこで、最寄り駅まで、あるいは、駅からの最後のワンマイルに特別な交通手段を用意することで、公共交通の利用を促進しようというものです。小型のEV、パーソナルモビリティ、そういったものを使ったシェアリングの開発実証に取り組んでいきたいと考えています。これによって、自動車の渋滞解消等、まち全体の総合的な交通流の円滑化、低炭素化に繋がればと考えています。 この図は今、申し上げた各分野の取り組み全体を結んだ概念図です。実証はまだ始まったところです 9
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