平成23年度 研究成果報告会開催記録
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出す創エネ機器、それから、エアコンなどの省エネ家電・機器、あるいは、エネルギーのバッファとなる蓄電池や自動車用のバッテリー、こういったものをHEMSというシステムが繋いで、全体的な制御を行います。さらに、右のほうにEDMS(Energy Data Management System)という表記がありますが、これは各家庭を地域全体で結ぶエネルギーのシステムで、後ほどご説明します。こうした取り組みによりまして、家庭単体でCO2排出の約70%低減を目指します。 スライドはHEMSのコントロール画面のイメージです。左上にありますのが基本画面です。青い丸が現在の太陽光の発電量、右側のオレンジの丸が電気の使用量を表しています。これが大きくなったり、小さくなったり、そのときの状態に応じて変化しますので、一目で感覚的に今の家庭内の電力の需給状況が分かります。画面下にはアイコンが並んでいまして、これをタッチすると、例えば一日ごとのエネルギーの使用量が棒グラフで表示されたり、左下の絵は、現時点の部屋ごとの電力消費のグラフ、右下は、一日のうちの時間帯ごとの発電と電力消費の量が見られるものです。こういったさまざまな「見える化」によって、住んでおられる方の省エネ・低炭素化の意識に働きかけます。 また、このシステムには学習機能を持たせています。個々の家庭の生活パターンを日々学習して、それに合った最適制御を行います。最終的には、自動で最適なエネルギーマネジメントをやってくれるシステムにすることを目指しています。 次のスライドは、V2H(Vehicle to Home)という技術です。家から車に充電するのと逆で、車のバッテリーに蓄えられた電池を家庭に戻して、家庭の中で使うというものです。据え置き用の家庭用の蓄電池に加えて車のバッテリーも使うことで、バッファを増やし、天候による振れの大きい太陽光発電の電力を上手に使い切ることがもともとの狙いですが、特に震災以降、非常用の電源としても注目されていますので、こうした技術開発もスピードを上げて取り組んでいきたいと考えています。 次に、個々の家や商業施設等をつなぐ地域全体、生活圏全体のマネジメントです。 これが先ほども少し触れましたEDMSの概念図です。 一般的に地域のエネルギー調整といいますと、供給側の要請に基づいて需要家側の電力消費を制御してしまう、例えば地域の電力需要が非常に高まっているとき、供給側からコントロールして、冷房の温度を少し上げてしまうとか、こういったマネジメントが想像されるかと思いますが、これは受給者の側、生活者の側の我慢を強いることになりますので、長続きしないであろうと我々は考えています。私たちのEDMSでは、エコと生活の質の両立を目指して、そういったハード的な制御ではなく、ソフト面を重視した開発や取り組みを行っていきたいと考えています。 これがEDMSの機能をステップ別にまとめたものです。左側からデータ収集、予測、行動誘発、モニタリングとあります。まず、例えば明日の天気予報、各家庭の明日の電力消費予測、行動予定、そういった情報を集めて、地域における明日の電力需給の予想を行います。これがおそらく一番の肝です。今、需給が逼迫したから、電力を送るのを抑えます、冷房を抑えてくださいよというのでは我慢を強いることになりますが、前もって需給を予測しておくことで、例えば明日は天気がよくて、太陽光発電がたくさん見込めるのであれば、通常深夜に行う車などへの充電をわざとやらずに、昼間、豊富な太陽光で充電するとか。そういった先読みしたコントロールをすることで、あるいは、それを生活者の方に情報として提供することで、我慢を強いない、かしこいエコライフを送っていただくことを主眼としています。 また、情報提供だけではなく、ポイントインセンティブによる行動誘発も考えています。電力価格自体を需給に応じて高くしたり、安くしたりするのが一番分かりやすいのですが、我々の実証ではできませんので、EDMSとしての疑似電力価格を、翌日の電力需給の予測に応じて、時間帯別に設定します。 8

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