平成23年度 研究成果報告会開催記録
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らを結ぶ移動、すなわち交通の部分、これらトータルの取り組みを進めていきたいというのが1点目です。 2点目は、社会コストをなるべく抑える形で進めていきたいということです。個々の家庭に大きな太陽光パネルを付けて、あるいは、非常に大きい蓄電池を設置して、最新の省エネ機器をたくさん付ければ、明日直ちに低炭素でエコな生活を実現できますが、これではコスト的に考えて普及がなかなか難しい。そこで、生活圏全体をうまくつないでマネジメントすることで、いかにスリムで身軽な低炭素社会、生活を実現するか、これが智恵の使いどころではないかと考えています。 3点目は、グローバル競争を意識すること。企業さんはそれぞれ、いろいろな思いがあって参加されているわけですが、ここは1つの仲間としてオープンに議論し合って協調することで、グローバルに展開していける技術開発とその標準化に取り組んでいきたいと考えています。 今、申し上げてまいりました実証の狙いをキャッチフレーズ的に一言で申し上げますと、ここにありますとおり、無理なく、無駄なく、Quality of Life(生活の質)を落とすことなく、快適なエコライフの実現を目指す、こういうことになろうかと思います。 ここまでお話ししましたのは実証協議会全体としての取り組みの狙い、考え方ですが、ここからは自動車メーカーであるトヨタ自動車が本実証に取り組む意義を少し掘り下げてお話ししたいと思います。 画面は先ほどもご覧いただいたグラフです。先進国でも新興国でも発電によるCO2排出量が極めて大きいので、EVやPHV(プラグインハイブリッド車)で使う電力をいかにクリーンなものにするかというのが大きな課題であるということです。 もう1点、車が電動化された場合、電動車が普及した場合、それぞれご家庭で充電をいただくことになりますが、そのための電力は現在の各家庭の電力消費に上乗せされます。その割合は平均的な家庭の 電力消費の30%以上であろうと考えられています。 これを社会全体で、時間の経過ごとに見たのがこのグラフです。従来の業務用、産業用、家庭用に加えて、車充電のための電力が乗ってきますと、ここにありますとおり、全体を押し上げ、特にピークを非常に高いものにします。 そこで、電動車の普及を本当の意味での環境対策にしていくためには、車充電の時間を電力消費の少ない時間にシフトすること、それから、家庭内のさまざまな電力消費の平準化を図って、全体として山を小さく低くすること、もう1つは、先ほどから申し上げていますが、車に充電する電力そのものをクリーンなものに変えていくことが課題となります。 これらを総合的に取り組むためには、まず、太陽光などの自然エネルギーによる発電機能、それから、車の電池、家の蓄電池や給湯器による蓄電蓄熱機能、さらには、それらの分散配置された各機能を統合的に制御するエネルギーの需給管理システム、これらの構築が必要になります。私どもがEVやPHVをこれからたくさん売っていきたいという時に、豊田市の実証全体として目指す世の中の姿、エネルギーの仕組みが必要になってくるというわけです。 ここで、私たちが目指すスマートコミュニティのイメージをまとめた映像を4分ほどご覧いただきたいと思います。 < ビデオ上映 > いかがでしたでしょうか。なんとなくイメージをつかんでいただけたのではないかと思います。 ここからは、今の映像にも出てきた個々の取り組みの中身をご説明していきます。 まずは、家庭内のエネルギー利用をいかに最適化していくかということです。 これは取り組みの概念図です。真ん中に家があって、そこにHEMS(Home Energy Management System)と書いてあります。これが家庭内のエネルギーマネジメントの核です。各家庭に導入された太陽光のパネルや燃料電池などエネルギーを創り 7

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